職業体験ができるキッザニアにいけなかった男の子が、出産の時の痛みを体験できる、出産の時の痛みッザニアに行けることになって大喜び。
そこに待ち受ける試練とは?

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職業体験ができるキッザニアにいけなかった男の子が、出産の時の痛みを体験できる、出産の時の痛みッザニアに行けることになって大喜び。
そこに待ち受ける試練とは?


出産の時の痛みッザニア

【出産の時の痛みッザニア】

 

太郎くんは小学校1年生。遠足を楽しみにしていました。なんてったって、行き先は、あの“キッザニア”です。

 

キッザニアは、色んな職業の体験ができるという、子供たちにとっては夢のテーマパークです。

 

太郎くんは、毎日毎日、遠足の日をワクワクしながら待ちました。

 

消防士さんもカッコいいなあ。ケーキ屋さんもあるのかなあ?

 

郵便屋さんとかもあるのかな?

 

太郎くんは色々考えると、眠れなくなりました。

 

さて、そんな太郎くんに、いよいよ遠足の日がきました。

 

起きると、なんだか体が重たいのです。太郎くんは、なんと、遠足当日に、風邪をひいてしまったのです。

 

誰よりも行きたくて、誰よりも楽しみにしていたキッザニアですから、しんどいことがお母さんにもバレないようにしようとしましたが、そこはお母さんです。

 

我が愛する子供が様子がおかしいことにすぐに気づき、太郎くんは、あんなにも行きたかったキッザニアに、クラスで一人だけ、いや、学年で一人だけ行けなかったのです。

 

太郎くんは、とてもショックを受けました。

 

風邪でうなされながらも、キッザニアの夢をみましたし、しばらくは学校でも、キッザニアに行ったみんなの話を聞くのがつらくて仕方がなかったのです。

 

“最近あったこと”というテーマで作文を書く宿題が出た時も、ほとんどのみんなは、キッザニアのことを書いていましたが、太郎くんは、書きたいことがなかったので、お父さんが連れて行ってくれた、ちいさな動物園のことを書きました。

 

そんなある日です。

 

太郎くんがトボトボとお家に帰っていると、いつもの公園があったところに、絵本に出てくるような、お菓子の家みたいな建物があります。

 

「あれれ?なんだろう」

 

太郎くんが、そのお菓子の家を見ていると、家には看板がありました。

 

看板には「ミッザニア」と書いてあります。

 

すると、お菓子の家の扉がパァッと開き、中からステッキを持って、シルクハットをかぶった細身の紳士が出てきました。

 

太郎くんは、なんとなく直感で、この人は優しい人だとわかりました。

 

「キミはもしかして、このお家が見えるのかい?」

 

「うん。おじさんはだあれ?」

 

「おじさんはこの遊園地のオーナーだよ。このお家はね、心がきれいな人にしか見えないんだよ」

 

「ミッザニアってなあに?」

 

と太郎くんが聞くと、紳士は笑いながら「そうか。まだ漢字が読めないんだね。ミッザニアではなく、ここは【出産の時の痛ミッザニア】だよ。色々な形で女性の出産の時の痛みを体験できるんだ!」

 

「しゅっさ、いた、?ミッザニア?」

 

「あはは。とにかく心がキレイな男の子なら、遊んでいけるよ。出産の時の痛ミッザニアで、遊んでいくかい?」

 

太郎くんは、大喜びです。憧れのキッザニアで遊べるんだ。そう思うと、ワクワクドキドキがとまりません。あまりの嬉しさにかたまっていると

 

「そうか。イヤならいいんだよ」と紳士が言うので、太郎くんは慌てて「遊ぶ!遊ぶ!!キッザニアで遊ぶ!」と叫びました。

 

出産の時の痛ミッザニアは、入ってみると、中がとても広くて、太郎くんはワクワクしました。

 

「自己紹介が遅れたね。おじさんの名前は、キングオブペイン。ペインマンと呼んでおくれ。さあ、太郎くん、まずは、どのアトラクションで出産の痛みを体験する?」

 

そう言いながら、ペインマンは、出産の時の痛ミッザニアのエリアマップを太郎くんに渡しました。

 

太郎くんは、無邪気に「消防士!」と答えながら、地図で消防署を探しました。

 

「消防士、出動だ!」と言って太郎くんは、消防署のあるところを目指しました。

 

小走りで走っていると、真っ赤な建物が見えてきました。

 

「わあああ!消防署だ!!!」

 

太郎くんは大喜び。するとペインマンは「さあ、火事だよ!!消防士なら、消防士の制服を切るんだ!!急ぐんだ!!」と叫び、消防服を渡しました。

 

いつもは、ダラダラと着替えて、よく怒られる太郎くんも、この時ばかりは大張り切りです。

 

消防服にサッサと着替えます。上下の消防服を着終わると、ペインマンは、「ほら!ちゃんとヘルメットも!」とヘルメットを太郎くんに被せました。

 

太郎くんの顎のところに、ヘルメットを固定するベルトがあります。

 

「ペインマン!早く!早くするんだ!」とすっかりその気になっている太郎くんは叫びます。

 

ペインマンは、「さすがだ!痛いぞ!」と言いながら、思いっきり太郎くんのあごの肉をはさみながらヘルメットのベルトを閉めました。

 

「ぎゃああああああ!」と叫ぶ太郎くん。

 

「それだ!それが、出産の時の痛みだ!!!」

 

ベルトからは電流が流れているのです。太郎くんは、泣きながら、のたうち回っています。

 

「出産の時の痛ミッザニアでは、怪我をすることなく、女性の出産の時の痛みを経験することができるんだ。キミはまだ子供だから、それでも、実際の出産の痛みの1/3なんだよ。あと10分だけだ!!」

 

10分間、太郎くんは泣き叫び、ヘルメットは外されました。

 

激痛から解放されて、呆然としている太郎くんのもとに、ススで黒くなったお父さん、お母さん、その娘、の3人のファミリーがやってきました。

 

そして、棒読みで「助けてくれてありがとう」と言いました。

 

太郎くんは、ヘルメットであごの肉をはさまれただけで、ホースを持って消火活動とか、やりたかったことがなんにもできていません。

 

それなのに、棒読みでありがとうと言われても、ちっとも嬉しくありません。

 

3人のファミリーは、声を揃えて、また棒読みでこう言いました。

 

「私たちは助かりましたが、一人、死にました。気にしないでください」

 

太郎くんは、心から帰りたいと思いました。

 

なんなんだ!!出産の時の痛ミッザニアって!!!!!!

 

キッザニアと全然違うじゃないか!!!

 

その時です。ペインマンの横で泣きわめく太郎くんに、話しかける女性がいました。

 

「ペインマン!こんな小さな子供に!また悪さしてるのね!!」

 

「く、くそ!!!ペインクイーン!!またしてもお前か!邪魔ばかりしよって!」

 

そう言うと、ペインマンは、どこかに逃げていってしまいました。

 

ペインクイーンと呼ばれた女性は太郎くんを抱きしめて「もう大丈夫よ」と言いました。

 

ペインクイーンからは、なんだか懐かしくていい匂いがしました。

 

「さあ、太郎くん。ケーキ屋さんに行って、ケーキを食べない?」

 

太郎くんは、また子供らしい笑顔に戻りました。

 

「うん!」

 

ケーキ屋さんがどこにあるか、マップで探し、ペインクイーンといっしょにケーキ屋さんに向かいました。

 

「さあ、太郎くんは、このケーキに、最後の仕上げとして、生クリームをかけて、イチゴを載せてね!」

 

太郎くんは、すっかりパティシエの気分です。

 

そこに、さっきのススのついたファミリーがまたやってきました。

 

お父さん、お母さん、その娘が棒読みでまた太郎くんにこう言いました。

 

「そのケーキをくださいな」

 

太郎くんは、「はい!」と言いながらケーキを渡しました。

 

太郎くんと同じぐらいの背の高さの娘がケーキを受け取ると、お父さんが太郎くんに「美味しそうなケーキをありがとう!」と握手を求めてきました。

 

太郎くんが、手を出すと、お父さんは、すさまじいチカラで太郎くんの右手を握りしめました。

 

「ぎょええええ!!!!」

 

太郎くんは、のけぞりました。

 

すさまじい痛みが太郎くんを襲います。

 

「やめて!やめ!!あーっ!!」

 

「どうして、もう一人助けなかった!」ファミリーの3人は太郎くんを睨みつけます。

 

太郎くんは、また10分間、号泣しながら、出産の時の痛みの1/6を味わいました。

 

ペインクイーンは太郎くんに「外の世界で同じ行為をしたら、キミの手の骨は確実に粉々になってるわ。でも、出産の時の痛ミッザニアでは、痛みだけを抽出できるのよ!!!」

 

太郎くんは、地獄のような痛みと悲しみで、いっぱいでした。

 

ペインクイーンの言う通り、確かに顎も、手も、怪我はしていません。

 

痛みも消えています。

 

しかし、そういう問題ではありません。ペインクイーンを睨みつける太郎くん。

 

そこに、あたたかみのある関西弁の女の人の声が聞こえました。

 

「ペインクイーン!ええかげんにせなあかんで!!子供をいじめて、何がおもろいねん!!ウチが許さへんで!!」

 

太郎くんが声の主のほうを振り向くと、たよりがいのありそうな黒いボンテージ姿のお姉さんがいます。

 

「また、ジャマをしにきたのね!!ザ・ペイン!!今日のところは、この子はアンタにやるよ!でも覚えときな!!」

 

ペインクイーンはそそくさと逃げていきました。

 

ザ・ペインと呼ばれたお姉さんは、優しく太郎くんに微笑みかけました。

 

「おいで」

 

太郎くんはバカではありません。ペインのつく奴は、もうダメだ、と思いました。

 

「ほら、おいで」ザ・ペインは両手を広げました。

 

なんとなく、名前的に一番ヤバそうです。太郎くんは英語なんかわからないけれども、ザ・ペインは今までで一番ヤバそうな気がします。

 

ゆっくりと後ずさりをする太郎くんに、なにやら、楽しそうな音楽とともに、キラキラしたイルミネーションに包まれた車が近づいてきました。

 

どこかで見たことがあるネズミのキャラクターが車から身を乗り出してこう叫びます。

 

「太郎くん!ザ・ペインから逃げよう!この車に乗って!!」

 

ザ・ペインは、その車に向かって、黄色くて中が少し緑色の一番きしょい痰をはきました。

 

「じゃまをするな!ペインマウスめ!!!」

 

太郎くんは絶望しました。ここにいたら殺される!そう思いました。

 

一目散に、出産の時の痛ミッザニアの入り口に向かって走り出しました。

 

ペインマウスの車が後ろから近づいてきます。

 

「お前を今からひく!この世界では、車に轢かれても死なない!!ただ、出産の時の痛みが襲うだけなのだ!!」

 

太郎くんは、半狂乱になりながら、逃げ惑いました。

 

入り口の扉までもうすぐです。

 

光って見えます。

 

そこには、太郎くんのお母さんが立っていました。

 

お母さんの姿を見た瞬間、太郎くんは泣き出しました。

 

「おかあさん!」

 

お母さんに飛びつこうとすると、お母さんは、「ウリアアアア」と、太郎くんに見事なラリアットを決めました。

 

「お前を産んだ時の痛みは、もっとあったぞ!」

 

そう言いながら、お母さんは太郎くんの横っ腹を蹴り飛ばし、背中にまたがり、キャメルクラッチをしました。

 

意識がなくなっていく太郎くん。

 

そうして、目が覚めると、ここはいつもの太郎くんのお部屋です。。

 

夢だったのか。。太郎くんは、こんなにも怖い悪夢を見たのは初めてです。

 

「太郎、遅刻するよ!早く着替えなさい!」といつものお母さんの声が響きます。

 

太郎くんは、産んでくれたお母さんに感謝しながら、いつもよりも素早く着替えました。

 

するとお母さんがこう言いました。

 

「早くしなさい!今日は死刑囚の気持チッザニアにいくんでしょ」

 

おしまい。




芸人、ネタ作家、短編小説家。“理系の変な奴”は自分で髪の毛を切ります。それが私。ついでの用事が二個ないとお墓参りに行かないです。
Twitter、noteなど色々やってます。

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