コツコツと、大人の背を見ながら進む。
「、、、、、、」
歳を重ねて白く縮まった髪。
自分もいずれああなるのかと漠然と考えていた。
ふと、隣の窓越しから騒がしい声と同時に自分と同じくらいの子供が挙手をする姿が見えた。
すると自分が興味を持ったとでも思ったのか前を歩いている大人が話かけてきた。
「あれは授業。
先生の話を聞いて、自分が分からなかった箇所を質問するために挙手をしているのだよ。
ここは学ぶための場所だからね」
意味が分からなかった。
そんなものは必要ない。
「まぁ、君のような天才に挙手なんて必要無いかもしれないがね」
、、、ハァ
思わず溜め息が出た。
違う、そうじゃない。
挙手の話だけは無い。
自分だけの話でも無い。
教育とやらが全人類に必要ない。
ほんの少し頭を使えばいい。
紙も本も、そこに書かれた前提知識も全く必要無い。
___そんなものが存在しない時代から人はここまで到達したのだから。
学びに必要なのは自分と
ほんの少しの時間だけ。
最大限に譲歩しても__
脳で組み立てた理論と
それを理解出来ないお前達が如何に無能であるかを証明するためだけにする実験。
___それだけだ。
「、、、、、、」
本当に意味が分からない。
この頭の悪い大人が恥ずかしげも無く自身を最高学府の博士と名乗って白衣を着ていることが。
お前はそこで手を挙げる子供達と何も変わらない。
「もういいのかい?」
もう最初から諦めている。
だから、全てを無視して歩きはじめた。
「、、、、、、」
分からない。
何故、この不必要な挙手とやらに
少しだけ、自分が関心を向けたのか。
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___倒れた後のことをほとんど覚えていない。
ただ、病院の無菌室で変な夢を見て
目覚めた後に16年以上のプレイで損傷を負った私の脳を手術したと説明してもらった。
___そして、今の自分の状況とこれからのことも。
正直、すごくつらい。
でも、手術を担当してくれたお医者さんに複雑な顔で厳重注意させてしまって。
24時間体制の様子見をずっと続けてもらって。
すごく忙しいのに無理矢理時間を作って来てくれたお姉ちゃんと大喧嘩してしまって。
お姉ちゃんと同じくらい忙しいお兄ちゃんに相談に乗ってもらって。
すごく長い時間と迷惑をかけて
ようやく学校に通えるようになったのだ。
文句なんて言えない。
学校にも監視がつくことになってしまったが、完全に自分が悪いので仕方がない。
むしろありがたい。
初めて会ったリュウカちゃんにも、監視につくことになったメイドさんにも。
、、、お姉ちゃんにも。
いつも、皆に迷惑をかけて申し訳ない気持ちになる。
でも、本当に感謝している。
そして今、私は部活届を出すためにリュウカちゃんと待ち合わせしている。
逸る気持ちが行動に出てしまって
かなり早めに着いてしまった。
久しぶりに見た城牙学園。
普段は降りない方の校門で車から下ろしてもらった。
ほとんど人の気配が無い校門。
それが珍しくて、つい中に目を向けていると
5分もしないうちにリュウカちゃんが来てくれた。
「お待たせ」
3ヶ月ぶりに聞いたリュウカちゃんの声。
返事を返そうと振り向いた。
「え!?」
なんと、リュウカちゃんは長く美しい金髪をバッサリと切ってボブカットにしていた。
両耳の部分に残した長く細い糸のような束が短くなった髪をより鮮明にしている。
「へ、変かな?」
もしかすれば、リュウカちゃんは言葉通りの意味で聞いているのかもしれない。
それでも、あの長く美しい金髪を維持するために一体どれほどの時間を費やしてきたか。
それを断ち切ることにどれだけの覚悟が必要か。
それくらい私にも分かる。
「すごく似合ってるよ」
その言葉を聞いたリュウカちゃんは最後に残った迷いを断ち切ったように
私の隣に立ってくれた。
「「行こう」」
___その言葉は、自然と重なった。