キドカワイレブン!木戸川清修のヴィクトリーロード!   作:工帝 アザレア

3 / 6
すいませんプロローグと一話を色々加筆修正しました。
昨日のイナダイ素晴らしかった。インフェルノペンギンかっこ良すぎる。


第二話 イかれたメンバー(もんだいじたち)を紹介するぜ!!

 木戸川清修中サッカー部グラウンド。

 

 そこでは、新たな監督による練習が始まろうとしていた。

 

「始め!!」

 

 西垣の合図と同時に、4vs4のサッカーバトルが始まった。

 

 そして。

 

 木戸川は開始数秒で崩壊した。

 

「どけぇぇぇ!!」

 

「俺が撃つ!!」

 

「パスしろ!!」

 

 DFが攻め上がる。

 FWが守備を放棄する。

 GKが中央突破する。

 

 サッカーが壊れていた。

 

「えぇ…なんなんだよこれ……!」

 

 キャプテンマークを受けたMF、一ノ瀬湊(いちのせ みなと)は走る。

 

 カバー。

 守備。

 フォロー。

 配球。

 

 誰もやらない仕事を、全部一人で背負う。

 

「剣崎戻れ!!」

 

「断る!!」

 

 相変わらずゴールを捨てて攻撃に参加する長身のGK⸻剣崎悠真(けんざき ゆうま)

 

 “シュートを打たれる前にシュートを決めればいい"とイかれた思考回路のゴールキーパーである。

 

「牙道! せめてパス見ろ!!」

 

「撃った方が早い」

 

 吐き捨てるように言ったのは、木戸川のエースFW⸻牙道烈刃(がどう れっぱ)

 

 圧倒的な突破力を誇る孤高のストライカー。

 

 だがそのプレースタイルは、あまりにも独善的だった。

 

「紅星ィ!! ファウルすんな!!」

 

「先に削ってきたの向こうでーす!」

 

 不機嫌そうに髪をかき上げた少女⸻紅星玲奈(べにほし れいな)

 

 冷静な分析力を持ちながら、何故かプレーだけはやたら荒い木戸川の問題児MFである。

 

 地獄だった。

 

 だが。

 

「……っ!?」

 

 強い。

 

 めちゃくちゃ強い。

 

 狭いコートだからこそ分かる。

 

 木戸川の選手たちは、一人一人が異常な突破力を持っていた。

 

 止めても止めても突っ込んでくる。

 

 奪っても奪っても前へ出る。

 

 まるで“攻撃すること”しか頭にない。

 

 休憩時間。

 

 流石の問題児集団も地面へ倒れ込んでいた。

 

 その中で、湊は西垣へ詰め寄る。

 

「監督」

 

「なんだ」

 

「こんなのサッカーじゃないです」

 

 西垣は黙る。

 

「連携も守備もバラバラで、ただ好き勝手やってるだけだ」

 

「こんなんじゃ勝てません」

 

 すると西垣は静かに問い返した。

 

「じゃあ聞くが」

 

 その目は真っ直ぐだった。

 

「お前の言う“正しいサッカー”で、木戸川は勝てたのか?」

 

 湊の言葉が止まる。

 

「関東ベスト8」

 

「帝国には善戦止まり」

 

「雷門には届かない」

 

「それがお前らだったんじゃないのか」

 

 反論できない。

 

 西垣はグラウンドを見る。

 

「木戸川は昔、連携のチームだった」

 

「でもお前らは、いつからか“エース”ばかり追い始めた」

 

「雷門みたいな、“一人で試合を変える怪物”をな」

 

 誰もが心当たりを感じていた。

 

「だが俺は、それを間違いだとは思わない」

 

 部員たちが顔を上げる。

 

「エースを目指せ」

 

「お前ら全員、主役になれ」

 

「ただし⸻」

 

 西垣の目が鋭くなる。

 

「“一人で勝てる”とは思うな」

 

 静寂。

 

 そして再び4vs4が始まる。

 

 最初はまたカオスだった。

 

 だが。

 

「っ!」

 

 烈刃が強引突破。

 

 囲まれる。

 

 潰される。

 

 だがその瞬間。

 

「遅ぇんだよ」

 

 攻め上がっていたDFが即座に回収。

 

 前線へ蹴り込む。

 

 さらに悠真が飛び出す。

 

「何してるGK!?」

 

「俺を誰だと思ってる」

 

 胸トラップ。

 

 浮いたボール。

 

 そこへ、湊が走り込む。

 

 考えるより先に身体が動いていた。

 

(ここだ……!)

 

 ダイレクト。

 

 さらに別方向から烈刃が飛び込む。

 

 二人同時。

 

 ぶつかるように放たれた二つのシュートが、空中で交差する。

 

 噛み合うはずのなかった攻撃。

 

 だがその瞬間だけは、確かに繋がっていた。

 

 偶然が生んだ即興のシュートチェイン。

 

 轟音。

 

 ゴールネットが揺れた。

 

 静寂。

 

「……今の何だ?」

 

 誰かが呟く。

 

 誰も説明できなかった。

 

 偶然。

 

 それで片付けるには、あまりにも噛み合いすぎていた。

 

 西垣だけが笑う。

 

「それでいい」

 

「今の木戸川には“繊細で綺麗なサッカー”には向いてない」

 

 夕陽がグラウンドを赤く染める。

 

 問題児ばかりの木戸川清修。

 

 噛み合わない。

 

 まとまらない。

 

 だが。

 

 その歯車は、確かに回り始めていた。

 

 

 そして更に翌日。

 

 グラウンドに集められた木戸川イレブンへ、西垣が一枚の紙を投げ渡す。

 

「練習試合が決まった」

 

 部員たちが顔を上げる。

 

「相手は二軍だがな」

 

 その紙に書かれていた校名を見た瞬間。

 

 木戸川全員の空気が変わった。

 

 関東屈指の名門校。

 

 徹底的な組織プレイ。

 

 完全な戦術統制。

 

 試合の全てを掌握する絶対的強豪。

 

 木戸川清修とは、あまりにも対極に位置するチーム。

 

 『帝国学園』




牙道烈刃(がどう れっぱ)
高い身体能力と高すぎるプライドと強すぎる闘争心を持つ孤高の天才ストライカー。
帝国学園を志望していたが英語の成績が壊滅的に悪くて試験に落ちた。

紅星玲奈(べにほし れいな)
荒々しい攻撃的なプレーを好む好戦的な性格になる。
本人曰く「木戸川清修は家から近かったから選んだ」と言っている。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。