そのあひる、狂暴につき   作:グゥワバス

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あひるの皮を被ったふれんず9

新しい部員はあまりに大きく、細身で、ひ弱だった。

なんかどしゃ降りの中他校の女の子に公開告白&謝罪をかましてそのまま風邪を引いて寝込んだのだと専らの噂だ。ソースは僕。

むっちゃ漢やん、茂吉君。

見直したわ(にちゃあ)

 

多分バスケ部の誰よりも甘酸っぱい青春を謳歌してる。

ちなみに他の部員はただただ酸っぱい物を吐き出してる。

対比が余りにも酷い。

 

 

 

さて、大会まで10日を切ったわけだが、いよいよ母さんの容態もよろしくなくなってきた。

 

流石の僕もこれは堪えた。

分かってはいたけどいざ別れが近付くと胸が苦しい。

 

だからなのか、逃避行動からより一層練習に打ち込んだ。

それこそ周りが気遣う位に僕はピリピリしているらしい。

正直、今1on1をやったらそれこそ相手を壊しかねない位に荒れる。

 

申し訳無いが個人練はせず、近場の大学に道場破り感覚で乗り込み誰彼構わず1on1を仕掛けていった。

 

大学生と言っても正直僕の相手ではない。

身長以外の全てにおいて僕が圧倒している。

ただ、それでも足りなくなってきている。

フィジカルだけは百春君達とやってた方がましだと言うのだから、あの人達も大概である。

 

ともかく、我ながらとんでもない身体だと改めて実感する。

追い込めば追い込むほどそれだけ実るのだから。

 

その頑強さの一部が、母さんに備わっていればなぁ、と思うこともあるけど。

 

 

「君、もしかして最近噂になってる子?昨日知り合いから連絡あったんだけど」

「うっす。昨日の先輩に良くして貰ったので。対価に紹介して貰ったっす」

 

 

昨日の相手は期待の新人と言われてたけど拍子抜けだった。

まだ大学バスケに馴染んでいなかったから暇つぶしにもならなかったって言うのが本音。

ぶちのめしてこの人(先輩らしい)に約束取付させ今に至る。

 

 

「事前に連絡あったしいいけど、何本?」

「そちらが納得いくまでお願いします」

「言うね」

 

 

構えからして昨日の人よりやるっぽいけど、その距離間はイージーだわ。

軽く放るだけでスリー余裕っす。

 

で、攻守交替での相手の攻めはというと、、わお、力強。

0.9百春君位ある。

ちなみに僕に力で勝るためにが3百春君位は必要なはず。

しかしちょい力一辺倒過ぎ。まだ舐めてるな。はい、カット。

 

もっかい僕の攻め。

今度はタイトに仕掛けて来たな。流石に隙は、、あるんだなこれが。

高校生のチビなら弾けると思った?残念強引にいっちゃいます。

さっきの力押しでまだ図り損ねてるっぽいけど、あんたより俺の方がパワーあるんだわ。

 

尻もちついてるのがその結果だよ、おにーさん。

 

 

「お前、マジか」

「もちっと力入れろよ大学生」

 

 

遠慮なしのオフェンス。

いいね、ガツンと来る。けど押し込めてないね。

僕もスリーポイントラインから中では簡単に仕事させる気は無いんだわ。

とはいえ流石に打点高くシュート放たれるとどうしようもない。

 

切り替えっべ。

どうせこの人に僕の得点止められる力は無さそうだし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2時間ねぇ。結構粘ったな、この人。

僕さ、フィジカル以上にシュートは自信があるんだ。

なんせあの車谷由夏の薫陶を受けたんだぜ。半端な気持ちでシュートを打つなんてしない。

 

それこそ練習程度で落とす事なんて殆どあり得ないんだわ。

ポロポロ落としてへらへらする奴とは覚悟が違うよ。

 

 

 

 

「--お前、何者だよ」

「推定日本一のスモールプレイヤー」

「守りもやばいけど、攻めはどうにも止められねぇよ、クソッたれ」

「じゃあ唐沢さんも誰かすげぇ奴紹介してね。明日はそいつとやるから」

「気が早ぇ。明日も来い」

「図と態度がたでけぇ。黙って紹介しろクソ雑魚ナメクジ」

「(態度はテメーもでけぇよ)っち。俺より上の学生なんて近場に早々いねぇよ。だからとっておきを紹介してやる。実業団行ったOBに声かけるから何日か付き合えよ」

「唐沢先輩、いい人」

「お前、ぜってーろくな死に方しねーぞ」

 

 

 

正解。

前世の記憶思い出せない時点で多分ろくな死に方してないと思う。

 

ストップ&シュート、スリー、ロングスリー、両利き使い、打点設定、ドリブルシュート等々。

状況に応じてシュートを使い分けられるのも僕の強みでもある。

というかフィジカルはオマケ。

バスケは点とってなんぼだし。

 

教えてくれたのは母で、奥行きを引き出したのは父。

僕は二人の自慢の息子だ。

 

その後は連絡先を教えて貰い帰宅した。

なお、噂を聞き付けたフィジカル担当の先生(おねーさん(仮))に診て貰う機会があったのだが、無茶苦茶頭を抱えていたことも申し添えしておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いよいよ試合前日。

流石に今日は唐沢さんに会いにいかない。

いつメンで全体練、からの個人練。

 

七尾さんには「少しは落ち着いた?空気軽いし」と言われて、まだまだ精神的には未熟だなと思ってしまった。

ホント、良く見てるわ。

 

だから今日は軽め。

久々に各人の実力を確かめる程度にマッチアップ。

 

1ヶ月全力で。というかオーバーヒート気味に駆け抜けさせたけど、何て言うかな。

思ったよりやるじゃんこの人ら。

 

くそみそな不良軍団だったわけだし、人様の時間も無駄に費やしてたし、バスケはど下手だし。

例を挙げればしょうもない程のクソだけど、まあ根性はあった。そこは認める。

 

だからそう。

これから言うのは僕の我儘だから。

悪いけど飲み込んで欲しい。

、、、この人らがどうしようもないクソだったら言い易かったんだけどなぁ。

 

 

 

 

「ちょっと話していいですか」

「あん。なんじゃ」

「大会のことなんだけどさ。本当に申し訳無いんだけどーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー母さんが死にそうだからさ。連絡が入り次第僕は棄権させて貰います。

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