そのあひる、狂暴につき   作:グゥワバス

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閑話・あひるの皮に騙されたふれんず13

ーーside ヒロミ

連中全員とんでもなくマジな目をしてやがる。

特に15番のチビッ子。あの目は人を見下した目。アメリカでよく見られる奴だ。

 

そんな連中を俺は何人も平らげて来たからな。

お前も同じように喰らってやるよ。

 

始めはそんな気構えしかなかった。

相手の金髪とことを構えるまでは。

 

 

 

「力強!」

 

 

 

お前が言うか!

前やった菊川のセンターも凄い力だったがこいつも強ぇ。

同じ川崎地区の学校らしいが川崎は筋肉の神でも信仰してんのかよ。

 

反応速度と跳躍力に至っては菊川の奴より上だ。

特に反応は頗る良い。

 

面白ぇ。

こいつだけでも腹ぁ満たせるぞ。

ヘルプに誰も入らねぇのから信頼を寄せてるのも伺える

 

 

「フックかよ」

 

 

 

当たり。腕も長いなら活かすしかねーべ。

ダンクはぶつけたら痛ぇし。

 

しかし嫌に落ち着いてる。

どうしたんだ一体。

 

 

一瞬だった。

15番のチビが脇を過ぎ去る。

 

 

単独速攻。形的には暴走に近いか。前のディフェンス関係なしに突っ込んで来る。って思ったらスリーラインの大分後方でストップ。

 

応援待ちか?

 

違った。そのまま放りやがった。

まさかと思ったがすんなりリングを通った。

 

あの距離も沈めるのか。

静かに戦慄した。

 

 

 

「取り合いっこか。いいなそれ!」

 

 

 

俺の号令にチーム全体が認識する。

あれは災害。適度にやり過ごすと。

 

元々情報は揃ってた。

大栄と練習試合やった時、この前の妙院との試合で。

 

違うとこで稼ぎを上回るしかねぇ。

予定調和的に発した俺の言に各々が動き出す。

 

すると睨んだ通りあのチビが俺にマークマンとして迫って来た。

 

とりあえず接触したが全然びくともしねぇ。

菊川の奴や金髪のフィジカルが可愛いく感じるぜ。

 

ただ空きが出るところは想定済みだ。

すぐパス放ってリターンを受けとる。同時にパサーはスクスクリーナーとして動いてもらう。

 

寸分の互いもなく動く。

フィジカルは圧倒的に奴が上だが自分から当たりにいけばディフェンスファウルだ。

 

ほんの少し、チビッ子と距離が取れれば何とでもなる。言い方はあれだが弱者の壁というやつか。

 

そして俺はアウトレンジもいける。

と言うことでごっつぁんです!

 

大栄と練習試合しておいて良かったぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1ピリ終えて21-26

健闘してる方だろう。まだまだ体力に余裕はあるが1試合通しとなるときちぃ。ワンマンチームの定めだな、受けて立つが。

 

回りの連中も俺を労ってか、負担を掛けないプランを示しちゃいるがそりゃリスクだ。

ここで置いてかれると浮上の目は無ぇ。コートの連中も同感だろう。

 

 

 

「余裕そうだな、もっと詰めるぜ」

「温ぃよ」

 

 

 

金髪の野郎がタフ過ぎるせいでこっちも倍消耗しちまう。

パンチパーマとアフロもでけぇし、ベンチにもでけぇのいるし。

 

チビッ子がちょっかい掛けなくなったのが地味に痛ぇ。

あのセットプレーは大分練習したから割りと消耗も少なく稼げるんだがな。

 

泣き言は言ってられねぇが、泣きたくなるぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーside 新見

ベスト8を賭けての試合。相手は同地区の翠松女学院。

見ていて思うのはこの前戦った所とそう変わらない。

 

正直私の出番は無いかなと思ってたけど、ヨーコ先輩に怪我トラブルが起きたから代わりに出ることになりました。

 

無理するところでもないし、ヨーコ先輩は怪我をしっかり治さなくちゃですね。

 

 

 

「正直レイがいてくれたから、心置きなく私は交代できる」なんて言われたら、もう上がるしかないです。

 

監督も開き直って「暴れてこい」って声をかけてくれたことも、私のテンションが高い理由です。

結論、私のコンディションは絶好調と言うことです。

 

 

 

「13番チェック!」

「ヘルプ入って!」

「もっと厳しく!」

 

 

ヨーコ先輩のマークは勿論、ヘルプが来た所で大した驚異ではありません。迫田先輩クラスが迫るわけでも無いですし、並みのレベルなら二人位対応可能です。

 

そのままマンツーで当たりスティール。

追い上げムードと思って浮き足立ってましたから狙い目です。そのままゴールをいただきます。

 

機微を察した円先輩も乗っかってきたのでもっかい狙えちゃいました。

 

堪らず相手はタイムアウト。

 

 

 

「上出来だ。そのままレイ中心でいけ」

「はい。円先輩、気紛れに回します」

「りょ」

「(私が代わった方が強いかも。腑に落ちないけど)」

 

 

 

タイムアウト空けは流石にクールダウン。

しっかり自分のマークマンをチェック。

 

けれどやはりどこか浮き足立ってるように見えます。

ポストプレイにハナ先輩が対応。

 

普段は仲間思いの優しい先輩ですが、仲間の一大事に奮起できる逆境に強い先輩でもあります。

 

頭一つ分高い相手でも果敢にチャージを仕掛ける。まだ浮き足立ってる相手にそれは刺さります。

 

攻めあぐねている相手の隙をまた円先輩が一突き。

本当に先輩は相手の機微を突くのが上手です。ここは私も見習うべき点です。

 

こぼれ球を私が拾いそのまま速攻。

情勢は決しました。

 

最後まで押し切り82-60で勝利。

ベスト8進出を決めました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーside 常磐

ベスト8を賭けた昭学との対戦。

やはり神奈川1位は伊達じゃない。

うちほど高さは無いが上手さがある。全国で戦える連中と言うのはこの水準が求められるのか。

 

去年の夏に戦って分かってたつもりだったが、うちはまだ粗い。

 

差が一向に縮まらない。

点差も、技術も。

 

 

「綺麗にまとまるな。攻守共ガツガツ当たっていけ。でなければ始まらんぞ。お前らに小綺麗なバスケを教えた覚えはない」

 

 

インターバルに監督から檄が飛ぶ。

確かに。身体を活かしたフィジカル中心にアクセントを付けたのがうちのバスケだ。その象徴がチバさんだったけか。

 

 

「常磐、もっとボールを回せ。俺が沈めてお前を活かしてやる」

 

 

沢のアウトレンジすらここまで活かしきれていない。

単発で攻撃が終わってしまっているため、相手の思考を乱すに至ってない

 

そうか。

相手の粗を探す内にこっちの長所を活かし切れていなかったか。

 

どうしてそんなノイズが走る?

自分に、自分達に自信を見出だせていない?

何故?

 

 

 

「常磐、交代だ」

「、、、すみません。今日ダメな日です」

「2分で戻す、整理しろ。後、背負い過ぎだ。だからか、人間として見る分には安心した。今の今までスーパーマンだと思ってた」

「、、、ハハッ、何ですかそれ」

「物の例えだ、忘れろ。それとうちに器用な立ち回りは無理だ。だからお前が操れ。支配しろ」

「はい」

「思考を続けろ。そこに余計なノイズは入れるな。それで勝負できる。だから頑張れ、スーパーマン」

「激励下手くそですね」

 

 

 

うん、気合入った。

今日が最後じゃなくて良かったと思える程度には余裕ができた。

 

色んな物引っくるめて反省は後。

目先の県1位のことから片付けよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーside 五十嵐

っくそ。

どうして俺はこんなとこまで足運んでんだよ。

 

モンスターバッシュで散々ボロカスにされて、ボロクソに言われて、、、何でそんな高校の試合何て観に来てんだ。

 

しかもカズに何も相談せず。

何なんだよ一体、自分でも分からねぇよ。

 

カズと組んで、高橋さん達の築いた新城をもっとでっかくして、その名を轟かせてやるんだって意気込んでんのに、何でだよ。

 

っくそ、考えがまとまらねぇ!

負けちまえクズ校なんか!!

 

 

点差が着き始めたタイミングで帰ろうとしたのだが、振り向いた直後に誰かにぶつかった。

 

って~、結構強めにいっちまった。

やば、相手は大丈夫か。

 

キョロキョロ見回すと上から女子が覗き込んでいた。

 

 

「ったた、すみません大丈夫ですか!」

 

 

なんか小動物みたいな奴が慌ててた。

とりあえずは何もなさそうで良かった。

 

いい案配に力が掛かってなくて助かった。

これだけ華奢そうだと誰がぶつかっても怪我しそうだし。

 

 

 

「ああ、何ともねぇ。こっちこそ悪かった」

「いえいえそんな」

 

 

 

忙しなく動いてる両手、俺に対しても使う敬語、ちゃちいなり。

何となく同級生位かと思った。

誰か目的の人物でもいたのか。

 

いや、何となく予想できる。

 

 

 

「あんた。やっぱ車谷見に来た感じ?」

「ええ。あの身長で戦う選手はやっぱためになるので」

「ふーん」

 

 

 

だろうと思った。

帰ろうと思ったけど、なんかこのまま帰るとこいつに対して感じ悪く見えちまうし。何となくそのまま居座ることにした。

 

当然、あいつのプレーを改めて目にすることになるわけで、、、やっぱり気に食わねぇ。

あの身長で外は勿論当たり負けしないフィジカルまで持ってるのがムカつく。

 

何より自分一人で完結させてしまうその実力が憎らしい。

 

 

この気持ちをきっと嫉妬と言うのだろう。

俺が諦めたものをあいつは全部持ってやがるから。

 

 

 

ーーくそ、やっぱ苛々するぜ。

どうせ隣の女もミーハーな奴だろ。

 

どうせもう会うこともねぇし、悪態の一つ二つついて帰るか。

 

そう思い視線を移すと、真剣な表情で試合を見ている姿が見られた。

 

何を真剣に、、なんて声を掛けることすら躊躇われる。

さっきまでの鈍感そうな女もーはそこにはいなかった。

 

 

 

「やっぱ自分で完結させられるから。ならパスの頻度をもっと減らしても、、、気紛れっていってたけどその方が相手の揺さぶりになる、、、あ、どうかしました?」

「いや、何か随分真剣だなって」

「それはそうですよ。あの身長で圧倒的な実力持っているんですから、取り入れられる技術はどんどんパクらないとです」

 

 

フンス、と鼻息が聞こえそうな位捲し立てられた。

違う、何かミーハーそうな空気持ってそうだったのに、むっちゃ真剣な奴でギャップに驚く。

 

 

「、、、あの身長でフィジカルが強いのは反則だろ。もっと体格を活かした軽い身のこなしを正直期待してたんだ」

「(´・ω・`)?」

「何で意味分かんなそうな面してんだよ」

「いや、でもーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー人より身長低いんだから。普通のことしてたら差が埋まらないじゃないですか。

 

 

 

あっけらかんと放たれた物言いに言葉を失った。

そりゃそうだ。人と同じことしても身長差でマイナスなんだ。どれだけ+αの武器を持てるかでコートでの存在意義が変わる。

 

こいつ、どこの強豪校の選手だ、、、いや、そんなことどうでもいい。おかげでスッキリした。

 

 

 

「お前、名前は」

「え、えっと新見。新見玲と言います」

「五十嵐行太だ。あんた、きっと上手くなるよ」

「え、その、、ありがとう?」

「そうだ、連絡先教えてくんない。本気で上目指してる奴同士仲良くしたいし」

「え、えー、い、良いけど」

「サンキュ。お進路とか悩んでたけどおかげで踏ん切りついた。もしなんかお前も悩みとかあったら相談乗るから」

「し、進路とか、、えっ!そんな大事なこと!!私のぼやきなんかで決めちゃって」

「いい、決めた。だからお前も頑張れよな」

「頑張るけどあれ、進路って、、もしかして年し「ありがとなー」

 

 

 

道は決めた。迷わねぇ。

ここに来て羨んでばかりだったけどもういい。必要な物は手前で勝ち取ることにした。無い物ねだりなんてだせぇしな。だからここに長居してもしょうがねぇ。

 

そうと決まればカズに相談だ。

拗れようが何だろうがもう決めた。俺自身が決めた。

縁や縁や仁義も大事かもだけど、一番成したいことを無視するわけにはいかねぇから。筋は通すが我も通す。こんなんで拗れるくらいなら逆にそこまでの関係だったのだろう。

 

 

あやふやな覚悟じゃダメってことを同級の女から学んだ。

あの女もきっとどっか強豪校で覚悟決めてバスケするんだろう。

 

その内会うこともあるだろうし、連絡先も聞いたから機会があれば聞いて見るのもありか。後でメールすっか。

 

、、、ちっと可愛かったし。

うん、考えてみたらあいつの進路とかも気になる。

あれだけ真剣な目をしてたからやる奴だと言うのは分かるし。

成したいことはあるけど、男バスさえあればどこだって構わねぇし、、、ならカズと一緒でも別に言いような、、、いやいやいや、あのチビがいるとこの方が環境的に良いって結論付けたろう。けどあの女の行き先も気にはなる、、、

 

 

参考に。参考にあの女動向を聞いてみるか。

ほんと、参考に。話はそれからだ。

 

 

 

 

 

ーー彼がこの感情の意味を知るまであとーーーーーー




覚悟ぶれぶれぇえ!
多感な時期だもの、ちかたないね。
男の友情<自身の展望≦自身の欲望(恋心)
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