三日もしない内に新たな新入部員が門戸を叩いた。
田中よしお。バスケ未経験。
身長僕と同程度。
基礎体力は一般人よりちょい上。坊主頭。
何故バスケ部と聞いたら「バスケがしたかったから」とのこと。
中学時代はその体格からか入部すらも受け付けて貰えなかったとか。
中学でそれは顧問らの対応にどん引きである。
一般論的に君の中学時代のバスケ部は悪い意味の外れ値だからと伝え、入部を了承。
人格に問題なければうちは来るもの拒まず。そう言った意味ではよしお君は非常に好ましい。人格的な面で。
但しプレイヤーとしてだと正直今すぐ使える人材じゃない。
しかも行太より背が低いときたら。
高校三年間ベンチを温める覚悟はあるか。頑張っても報われる世界じゃない。勝負には非常に徹するため温情で君を試合に出すことは無い。
と、これでもかって脅しをかけたが「バスケができるなら」と言う事で特に問題ないとの事。
ふむ、メンタルは強い。
ならばメニュー作りだ。
よしお君含む一年坊を集め、七尾先生監修の元各人の目指す選手像のプランニングを行う。
そこに僕も混じってがっつり口を出す。
行太は今のプレースタイルを突き詰めゲームメイクかつ外も狙えるPGを目指す。
ならフィジカルも一緒に磨きましょうねー。
後外狙う前にイージーディスタンスで高めの連中から勝負してもらえる程度のシュート精度も上げましょうねー。
それとディフェンスざるだからそこも重点的に。
体力?当たり前だが付けてもらうよ。
新見さんと茂吉君に介助をお願いしよう。彼ら彼女らの練習も兼ねて。
ミチローはあれ。百春君に僕が施した練習法で付きっ切りだね。
何度も〇んで貰うよ。それこそ試合程度で緊張するより僕とやり合った方が緊張感持てる程度には。
第二の百春君は君だ。
得点センス次第によっては千秋君、茂吉君、迫田キャップらにも応援を要請することになるかな。
よしお君は基礎技術の向上から。
幸いにサンプルが三名いるからそいつらの薫陶を受けつつ、いい塩梅に加減した僕とも、ってとこ。
そうと決まれば練習あるのみ。
今日は遅いから明日からでいい。
それと直近の大会は4月下旬の春季大会の県予選かららしいので、使えりゃそこで使うかな。
その前に練習試合組んで試運転はするけど。
さて、一年坊のスタンスが決まったから。同級生、先輩達は当然余裕なんてないですよねぇ。
当分僕は一年の面倒も見るから必然的に連中を相手する時間も少なくなるわけで、、、うん、喜ぶとこじゃないんだわ。
割と真面目に横浜大栄あたりは攻撃特化を極めてきてたから、さしもの僕だって、、、あれ、点を取れないイメージが湧かないや。
とは言えどっこいの勝負になることは変わんないから、僕以外でも安定して点を取れるようにしましょう。あとボコすかやられないようディフェンスも固めていきましょう。
なーに、あなた達のポテンシャルなら十分攻守ともにどっこいの勝負ができますよ。
だからさ、、、もっと緊張感持ってやりましょうや。生温い。
2年生以上には一度通常練から付きっきりで個人練を仕掛けるか。
伸びた鼻っ柱バキバキにしないとダメ。関東制覇してちょい調子に乗ってる節がある。
僕の練習に死んだ顔して喰らい付いていた時の感覚を思い出してもらおう。
今みたいに軽口叩ける余裕はなかったよ。
ちょっと前までは大目に見てたけど、大会終えてからちょくちょく甘っちょろい言動が増えてきたから。
この人達にも一度〇んで貰おう。
そういった点で女子の方はいいサイクルで回っている。
常に頂点で新見さんが(無自覚に)君臨しているから。
周囲は新見さんをぶっ倒す気概と言うのが常に見られていて実にいい。
なまじ僕と違い手の届きそうな位置にいるから皆本気で取りに行っている。
まあ実際はかなり差があるんだけど。
鍛え上げたトビ君とフィジカルでタメはれる女子がいる世界線とは。女子力(フィジカル)
早速次の日から一人一人念入りに鼻っ柱を折り続けて気がつけばもう4月も折り返し。
一年坊の僕を見る目が人を見るそれじゃなくなってきた今日この頃。練習試合を挟み今の一年を試験運用してみた所両者ともスポット運用ならまあいいやって感じに仕上がった。
勝敗気にするなら僕が本腰入れりゃ済む問題だし。と言うか他の先輩連中がそれできないようなら僕は負けちまえと思ってる。
だからいいやって感じである。
行太はこじんまりまとまってたから、現状県予選で使うことは無い、、、と思う。
一つブレイクスルー起こさない限り出番無いからって僕(火の玉ストレート)と七尾さん(やんわり)が説明した。体格差は残酷である。
チームとして必要なパーツになるために成長するか、個人の理想を追求するか。まあ悩めと。
「先輩ならどうするっすか」と聞かれたからノータイムで「両方」って言っておいた。センスはあるからいけると思うんだけどなー。
ミチローはあれ。
一度にあれこれ言ってもそも試合勘そのものがないからマジで一つのことに集中させる方法で試運転。
『あいつを徹底マークして好きにオフェンスさせるな』『○○先輩に気持ち良くシュート打たすためスクリーンプレーこなせ』
『百春先輩のリバウンドを奪え』等。
交代の度ワンタスクワンオーダーしてその任務だけを遂行させる方針。それ以外はせんでええで、と。但し任務だけは○んでも遂行しろ、と通達。
上二つは頼れる先輩もいるからコートで先輩のタスク処理を目にしながらこなしてた。
三つ目は正直無理筋のタスク処理にどう取り組むかなーってのを見てたんだけど、あいつ一回だけ成功させたんだよね。流石の僕も想定外だったわ。
「緊張した?」って聞いたら「むっちゃ緊張しましたよ!」と半泣きで返された。
ちなみに空先輩がどう自分を○すのかって点が一番の不安だったらしい。
何も自分も物理的に君を○すつもりは無いと説明。
今後の練習で罵詈雑言をトビ君クラスに飛ばすだけだよ、と言ったら「精神的に○すって意味っすか、、、」って言われた。なら何故トビ君は生きてるのだろう。謎である。
正直これなら元素人組と同列とまではいかないけど、ゲーム終盤で勝ち確状態なら使ってもいいかな、程度の仕上がりではある。もっともあの人らはゲームを形作るのに器用な立ち回りができるから、まだまだミチローは比較の枠組みには入れられないけどね。育成枠と言うやつである。
よしお君はまだまだ試合は無理。
だけど身体能力のポテンシャル自体は悪くない。
家から毎日ランニングがてら登校してる(片道十数キロ)っぽいから、持ってるものはある。
もっとも今後はランニング止めさせるつもり。
練習で全部吐き出させるから。
あ、まだ通常練は完全には参加させてない。
初歩の初歩、ハンドリングやフットワーク、シュートフォーム等を徹底させているからね。
まあお披露目は当分先になるか、お披露目できずに終わるか。本人の成長次第としか言えない。
「慌てる必要は無いけど焦燥感は常に持ちな。君のバスケがしたいと言う欲望が『試合で使われたい』と言う意味でのことならだらだら成長したって来やしないよ」
「どうすれば」
「○ぬ気で身につけな。受け身で身に付いたって使えはしないから。その点はチャッキー先輩が一番詳しい。今もあの人はうちの連中の誰よりも思考を止めないから。考え方ならあの人のものをインストールするのが最良」
「分かりました」
「ん、気張んな」
多分使われる日はそんなに遠くならない気がする。
とまあ一年坊の成長と先輩らのメンタルリセットについてはこんなところである。
春期の県予選も間近に迫った折り。
色々細々した雑務をできる人手がいないと言うことで、急遽雑務助っ人を募った所4名の人員が集まった。
それぞれ中田、小池、小南、和田と言うらしい。
と言うか参集早々に謝罪をされた。
どうも初日の騒動で舐めきったことを反省し、五月先生に謝罪(義務)のうえ、名誉挽回機会まで与えられたと思い各人相談の上立候補したんだとか。
中々殊勝な心掛けだと思い謝罪を受け入れた。
で、うちの割り振りだが聞くと支部予選の会場設営やらタイムキーパーやら得点係やら、結構割り当てが多いらしく、何とかお願いできないかと言うことでお鉢が回ってきたらしい。
去年初出場の際に大分お目溢しされてたと言うこともあり、断りづらかったらしいのでまあしゃあない。甘んじて受け入れよう。
説明後にまあせっかくと思い改めて入部の意思があるか聞いてみたところ、悩んでいるとのことであった。
どうも練習の熱量に面食らったらしく、自身の覚悟が定まっていなかったとのこと。
確かに「甘ったれた根性だね」と言ったら七尾さんに拳骨を食らった。痛い。
元々来るもの拒まずのスタンスだったのだ。
今更体裁繕ってもしょうがないので「言いすぎた。ごめんなさい」と謝った上で改めて部のスタンスを説明。
今でこそ関大制覇してるけどそれは副産物であって、本質は試合をしこたましたい、と言うことである。
で、負けると無茶苦茶悔しいから本気で取り組んでる、ってだけである(僕は違うけど)
でも強制じゃない。
もちろん皆試合に飢えてるから、試合で使えそうじゃなければ三年間使われないことも大いにあるが、それさえ許容
できれば別に初心者が入ってくれたって構わない。でなきゃよしお君弾いてるし。
君達は謝罪も誠意も見せたから、気が向いたらいつでも見学でも何でも声掛けてね、と言えば少しはホッとしたようだった。僕も七尾さんを振り返り怒りを納めた様子を見てホッとした。
マジで怒ると怖いんだよね。
多分本気で言い合ったら僕、勝てる気がしない。
川崎支部を勝ち抜いたのは西条、新丸子、北住、etc、、、
中でも激戦だったのは、西条ー鶴金、のカードと北住ー菊川のカードだったらしい。
最後は自力の差を見せつけられたようではあるが、北住ー菊川を観戦した一年坊(臨時)は凄く影響を受けたらしく、次の日には全員再入部届けを持ってきていた。
君達、入る高校間違えて無い?
各人色々影響を受けたっぽく、今後目指す選手像を語る時もとてもお目目がキラキラしていた。
いいんだけどさ、うちの連中で誰か模範を、、、ダメだ、候補が僕しかいない上に最悪の印象しか与えてねーわ。
うん、君達が良ければそれでいいんだけどね。
但し天井は決めるんじゃない、そこははっきり明言しておいた。
なんかあっという間に4月も最終週を迎えていよいよ週末から県予選が始まる。4強以上に残れれば確定本選と言う温過ぎる予選会である(全方面にケンカ売ってくスタイル)
一回戦の相手は北辰と言うこれまた県初出場みたいなチームらしいので、まあ緩く勝ち抜こうと思う。多分僕は温存だと思うけど。
まさか一年坊にまでお鉢は回らないと思うけど、準備に越したことはないからみんなガンバえー。あ、晴生君吐くなら、、、遅かったか。はーい園芸部に声掛けて捨ててきてねー。
園芸部には足を向けて眠れないっすわ。
総合的に頭一個抜けてるのは行太だけど、どうにも、、、お、何かディフェンスがいい感じ、フィジカルひょろひょろだけどしっかりやり辛いようにディフェンスしてる。チャッキーさんちょいつらそう
まあきっちり対処できちゃう当たりチャッキーさんの方が上手ですね。
はい、アシストあざます。
簡単に抜かれなくなった点は進歩かな。
ミチロー君はひたすらオフザボールの動きを磨いて自信を形成していこう。じゃけんチャッキーさんの動きと思考をインストールしましょうねー。彼の動きはうちの叡智だから。
うちのデータが欲しければ彼を引き抜くといいよ。
ん、翔太君北辰の連中のこと知ってるの?
え、岡平中の県ベスト8メンツがそのまま北辰のレギュラー。七尾さんや、、、合ってる。
顔に似合わずデータ派なのね。
僕にケンカ売ってきてたから肉体派だと思ってたわ。
で、中学の県ベスト8、、、微妙じゃね?
うち腐っても関東トップ。
と言うかこの時点で僕の温存確定でしょう。
逆に僕抜きで負けるくらいならそのまま負けなって話。
なんだ行太にミチロー、出番ありそうだぞ。
何なら温情で翔太君も。
他はちょい厳しいっすね。
ベンチ登録はできるからするけど。
週末である。
北辰戦におけるこちらのスタートは
チャッキーさん、トビ君、千秋君、ミチロー、迫田キャップ
完全に舐めプである。
そしてミチローのスターター。彼には二つのタスクを依頼している。
難しいことじゃない。
リバウンド抑えろと、向こうの寧人とやらが出てきたらそいつをマンツーで抑えろ。以上である。
特に後者は極めて重要である。
「君が死に物狂いで駆け抜けた一ヶ月で、仲良しこ好しで積み上げた奴らの評判をぶっ壊そうぜ(ニコニコ)」と、要するに奴らを中軸からぶっ潰す作戦。
ミチローに自信と練習の成果と容赦の無さを一度に身に付けて貰おうと言う意図もある。七尾さんもスパルタだなぁ(遠い目)
ちょっと僕に呑まれ掛けたけどきっちり返事を返してきたからお手並み拝見といこうか。
向こうも始めは一年坊じゃないっぽいし、先ずはウォームアップから。
1ピリ途中で22ー6。
いいね。トビ君、千秋君、迫田キャップが軸で潤滑油であるチャッキーさんが上手く回せてる。
潤滑油その2のミチローもよく動けてる。
百春君には遠く及ばないながらもリバウンドは十分抑えてるし。
相手さんもタイムアウト後に一年坊を揃えてきた。
うちがやることはそれでも変わらない。変える必要もない。
チャッキーさんはよくそれを分かっている。
だってうちの方がタレント揃ってるし。
後全員スリーが打てるって前情報もあったけど、こいつらがいつも誰のスリーを経験していると。
「おいおい、14番のスリー止められたぞ!」
「クズ校のあいつ1年だろう。どういう鍛え方してんだよ」
「北辰の14番あいつ岡平中の中軸だった奴なのに」
ふっふっふ、湧け湧け。
お調子者のミチローのことだからそのまま上がってくだろう。だから一釘。
「ミチロー!自分の仕事復唱!!」
「はい!!リバウンドとマンツー徹底っす!」
よろしい。
もちろん他の連中もスリーケアは怠らない。
「のう一年坊。うちの紺野の方がましなディフェンスするで」
トビ君がダンクを沈めた後に向こうのぷしゅぷしゅ言ってるおかっぱに話してるのも聞こえた。
1ピリ終わって35ー12。
こりゃ相手が温すぎる。プラン変更で翔太君まで使えるな。
とりあえずチャッキーさんと行太はチェンジ。
トビ君と安原さん交代で。
安原さんはディフェンスにも定評あるけど、ドライブも割と面白い。速くはないけどテンポが独特で。行太と噛み合えば面白い。
、、、、うん、流石に失点が目立つかな。
その代わり攻撃の厚みは増した。
どちらかと言うと行太は自分で切り開いてパスを供給するタイプ。非力なのにようやる。
但しディフェンスはまだまだ。
反応はいいけど力で押し通されてる。課題は見えたね。
安原さんは相手のぷしゅおのディフェンスなぞ物ともしない。中学生レベルじゃ相手にならんよ。曲がりなりにも関東の猛者と渡り合ってるんだから。
ミチローはタスク処理を無難に継続中。
そして現状のオフェンスの要は千秋君、迫田キャップのツインタワー。二人とも1年で大分見違えたね。
特にキャップは鬼気迫る物を感じる。
全国レベルの安定感と言うのかな。大栄の白石さん張りの安定感だと思うんよね。
後輩達は呆然としてるけど「安原さんは去年からバスケ始めたんだからね」と言うと更に唖然としていた。
で、前半終えて68ー27
全体的に失点は抑えられたけど、ほぼ行太と次いでミチローのとこから。
まあ両者共にいいデビュー戦じゃないのかな。
後半も引っ張るつもりだけど、安原さんと翔太君をチェンジ。おつかれっした。
彼は緊張しいじゃないから可愛げ無さそうだけど、他の一年坊より結果を残せるかな?
、、、、うん、やはり行太-翔太ラインはまだまだ拙い。ギリ相手どれてるけど、2回戦以降はまだ使い物にならないでしょう。
ミチロー?オフェンスに関しては翔太君とどっこいだよ。
必然千秋君とキャップの比重が重くなるけど、そんなん関係ねぇとばかりに点を量産している。頼もしい。
途中千秋君と茂吉君をチェンジしたけど勢いは留まらず。
と言うか点効率が上がったね。茂吉君は千秋君より器用で(得点バリエーション)不器用(ゲームメイク不可)だから。
行太の負担が大きくなってちょい疲労たまってきたかな。
3ピリまで責任は果たさせるかな。
本当は4ピリまで行太もミチローも翔太君も引っ張りたかったけど、先輩方の戦いっぷりも一応見せとかないと、とのこと(七尾談)
3ピリ終えて90-42。
茂吉君が大分暴れてたね。
と言うことで千秋君、トビ君、迫田キャップ、百春君、茂吉君にはオーラスまで行って貰おうかな。
190~200の4枚は県内どころか全国でも高い方だろう。
分かっていたけど強ぇわ。
高校生、、いいとこの大学生ともタメはれるだろうね。
僕から見たらまだまだアマチュアの範疇だけど。
一年前までお遊戯会だったことを考えると頑張った結果だと思うわけですよ。
最早勢いを止められない。
途中三年らしき人が出てきて多少ましになったけど、焼け石に水である。
結局このゲームは迫田キャップが完走してフィニッシュ。
131ー50の圧勝である。
「君達は今後あの中でバスケするわけなのさ。今のままで通用するしないは君達の方が理解してるよね」
「、、、あれでもチームの全力じゃない」
「行太の言うとおり。僕が入ることで全国でも図抜けた高校になるわけ。うん、僕は今日は出ないって七尾さんとも話してたから出てなかったけど、明日はあれ以上を見せるよ」
行太とミチローとよしお君は見たことあるから分かってるけど、他の連中はまだまだ分からないって顔してる。
まあ、明日には分かるよ。