そのあひる、狂暴につき   作:グゥワバス

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あひるの皮を被ったふれんず24

例によってクズ校の横断幕に関東制覇のラインナップがもう二つ増えた。

 

今度は男女合わせてなので非常に楽だったらしい。

頭に男女って付ければ共用できると言うことで。

 

いよいよ持ってうちの強さが全国に響きつつある。

最近の論調は秋田の古豪を筆頭に、京都、新潟、福岡の猛者と良い勝負ができるか否か、という塩梅で醸成されている。

 

もっともうちを高校の枠組みで捉えているのはまだまだナンセンスだと思うけど。

 

よく取材に来る人は僕の人となりや実力を漸く捉え始めたのか、関東では随一と言う表現をするようになった。

正しくは世界を見渡しても、と言う表現だけどまあしょうがない。大人もいろいろあるようだ。僕には分かる。

 

僕の知名度が上がるのは高校卒業してからだと思ってる。

今はあくまで高校。よくて日本という枠組みでしか語られないので。僕が大言吐いても「はいはいワロスワロス」で片付けられる。だから僕もはっちゃけてインタビューに答えられるというわけなのだ。

 

 

 

「記者さん。他校で僕に興味持ってる人っていないですか?」

「皆君をインターハイで泣かせてやるって言ってるよ。関東の強豪以外」

「粋がいいですねー。で、どこの高校のなんてやつですぅ?」

「すまないね。取材を受けた側の個人情報は漏らしてはいけないんだ」

「僕はいつでもオープンなのにそいつは相当な腰抜けですねー。あ、この内容もぜひ使ってください。記事にしても他の取材対象に話してもらっても構わないので」

「前向きに検討しよう」

 

 

 

こんなほのぼのする一幕もあってか、全国では日々僕の首級を上げようとかなり躍起になって練習に励んでいるらしい。さながら僕は鎌倉武士ってところかな。元寇を返り討ちにするといった意味で。七尾さんには「頭のおかしい戦闘狂って意味では」と真顔で返された。

 

 

 

 

さて、時分は6月。

僕達クズ校の総体予選は県のベスト16からスタートする。

関東大会を行ってる間に支部予選は行われ県予選も進んだらしい。

 

川崎を魔境たらしめた三校は仲良く関東大会出場のため支部予選免除。

残された高校が鎬を削り西条、菊川、新城が県大への出場を決めたとのこと。鶴金工業は玉川学園に負けちゃったし、三校も結局県予選で消え去ったけど。

 

ただ結構盛り上がったみたいではある。

特に菖蒲対菊川は接戦オブ接戦だったようでむっちゃ上がったとか。

 

 

今日に至るまで一年は公式戦をバチクソにこなせたため、将太君までは一通り試合を経験させることはできた。流石に他の連中はまだ試合には出せない。今後の成長に期待である。

 

 

で、迎えた今日であるが相手は妙院。僕とは水が合わない監督がいたとこ。

加えて早々に相手の銀髪に喧嘩を売られた訳である。

「おチビちゃん、俺と勝負しよ」と。

 

 

前見た時はいなかったから一年だな。本当にこのチームは僕をイライラさせる。

 

前マッチアップした小デブを一睨みしたら目を逸らされた。ったく一年坊位きっちり躾とけと。

 

 

 

「おい、こ汚ねー銀髪、喜べ。そのやっすい挑発高値で買ってやる。

 早々にベンチ引っ込ませてやるよ」

「へー、言うね。じゃ勝負だ。どっちがスリー外した数で」

「勝負にならないね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スタートは千秋君、僕、トビ君、迫田キャップ、茂吉君。

そして僕のマッチアップはあの銀髪。

 

一年スターターとか、よほど人がいないんだな。その点は向こうの監督に同情する。

 

 

 

「一年の今井君が準備してるってことは点の取り合いを挑んで来ると思います。各人ディフェンスを固めること。それと得点は必ず意識し続けること」

「いつもどおり、ですね」

「そうです。うちはそれが一番強いので」

「七尾の言う通りだ。一番強いことして勝ちに行くぞ」

「「「おう!」」」

 

 

 

と言うわけでティップオフ。

こぼれ球を僕が拾い速攻で運ぶ。

 

例の銀髪は僕に着くけど温すぎて欠伸が出る。

余裕でスリー噛まして先制。

目ぇ瞑っても外す気がしない。

 

なので僕の仕事はこの後。

如何に今井を早くにコートアウトするか。

 

しかし僕の意に反して今井にボールは回ってこず。

相手の4番→15番のひょろながセンターに繋ぎ茂吉君のブロックを躱し得点。フックで。

 

まあ無難な入りだね。

 

返しのオフェンスだけどディフェンスが欠伸出るくらい温いから再びスリー。

今井。お前もしかして僕にスリーを献上するためにコートにいてくれるのか。

こんなボーナスタイム拾わないわけにもいかないので千秋君に「初っ端からボーナスタイムですよ」と伝えたら意図を組んでくれたのか、続けざまに僕にパスを供給し続けてくれた。

 

相手も別の所から攻め入り得点を継続中だけど、うちの連中もやられっぱなしでいないだろうし、どこかしらで止めるだろう。

その間僕はスリーを継続させるわけで。

 

って思ってたけど向うの10番がトビ君とこからスリーで応戦してきた。

ありゃ。この前はそこまで積極的じゃ無かったのにちょい想定外。

 

ならトビ君には相手を振り回して貰おうかね。

 

 

 

「10番潰せそう?」

「は?」

「いや、ディフェンス優先で潰しちゃって。ふわっちの前哨戦だと思って。点は僕稼ぐから」

 

 

 

僕という絶対スリーマンがいるわけだから前半のトビ君には相手の10番を削ってもらおう。

ここの代替は早々いないってのは分かってるし、交代するようならトビ君の独壇場だし。

 

けど思ったほど10番にボールは回らずで僕の指示は不発。

代わりに4番15番のインサイド陣中心に点を稼いできた。

 

相手の4番15番は神奈川選抜にも選ばれる位の選手らしくそれなりに上手いらしい。

何故僕が選ばれていないのか。

 

でもまあうちのキャップと茂吉君と比較すると一枚落ちるかな。

特に狙い目は15番の方。

 

あれは茂吉君の劣化版。

ぼちぼち茂吉君も、、、はいブロック。

 

うちの茂吉君は2,3年で一番フィジカルが弱いとはいえ、それなりに鍛えてはいる。

特に僕の薫陶を受けた百春君やキャップのようなでかくて強い(高校生比)部員がデフォの相手なのだ。

必然鍛えられるし、独自にまきちゃん先生に教えを乞うてるらしく、いい塩梅で肉付きも良くなってきてる。

 

この程度の相手抑えられない訳が無い。

 

加えてオフェンスの手段は僕監修の元一通り身に着けてもらった。

たかだか一般的なセンターのディフェンスなんぞ茂吉君の相手ではない。

 

4番がちょい僕を警戒し出したところで茂吉君にパスを供給。

位置取りはスリーライン上。

 

相手センターも警戒はしているがピッタリシールしているわけでは無い。

もうこの時点で勝負は着いた。

 

茂吉君のスリーが決まり会場にどよめきが起きた。

ちなみにこれも大栄のセンターの逆輸入でもある。

 

もっとも僕の生きた時代では2m級がガード張りにボール転がせる方が一般的でもあるんだけどね。

 

 

ただ相手も全然タイムアウトを取らない。

徐々に点差が開きつつあるとはいえまだ慌てる時間じゃないってことかな。

 

そう思ったら今井が動き出した。

僕もシールで引っ付いて行ったけどここで一つ相手のスクリーンにまんまと引っかかってしまった。

 

僕も一枚なら余裕で躱せるんだけどまさか二枚で被せるとは思わなくて、流石に止まらざるを得なかった。

激しく接触したら相手吹っ飛ばしてファウル貰い兼ねんし。

 

当然今井はスリー決めて来るし。

 

 

成る程。

朋誠二高が前に僕に仕掛けてたやつだ。

僕も一枚なら捌けるけど完璧なタイミングで二枚目は仕掛けられてたからそれはまだ無理。ちょい時間が必要。

 

 

「介護スリーかー。刺さる」

「同じ三点」

 

 

にゃろ、調子に乗ってっるな。

ただちょうどいいや。学ばせてもらおうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前半を終えて52-40

うちがリードとは言えまあ善戦してる方。

 

とは言え今井の介護スリーも中々精度が落ちない。

僕も一枚目のスクリーナーには反応できるけど、直後の二枚目に上手く対応できない。悉くいい位置を取られてる。

 

結果今井にスリーを許しちゃってる。

 

 

 

「攻撃機会が少ないとは言え今井君に打たせ続けてる現状はよろしくありません」

「流石に二枚目はきついね。貧弱なフィジカル差を逆手に取られちゃったよ」

「変則ダブルチームでいきましょう。マッチアップは変えず。だけど今井君のスリー体制の構築が始まったら安原さんにヘルプに行って貰いましょうか」

「正直もう少し時間貰えれば二枚目も対応できると思うけど、、、うん、それでいこう」

 

 

 

これはガチ。

元来この身体は反射神経も規格外であるためもう少し経験すれば対応できる。

 

ただ思った以上に崩れない今井を見てちょい手段を選べなくなったことも自覚している。

 

方針は徹底的に潰す。

トラウマを残すかの如く。

 

 

 

「安原先輩。あのスクリーン躱せますよね」

「まあ、あれ位なら」

「多分他の皆さんも同じことはできると思いますけど、確実に躱すなら安原先輩でづ。そのディフェンス力と足捌きを買ってます」

「おう」

「安原先輩へのヘルプは他で回してください。具体的には百春先輩。隙あればそこから崩しにくると思いますので」

「道理だな」

「後車谷君。早く順応しちゃってください」

「分かり」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後半スタートは千秋君、僕、安原さん、百春君、迫田キャップ。

 

このまま得点力で潰しても良かったけど相手の攻めの軸をぶっ潰す方針で行くための布陣。

 

要は安原さんと百春君。

 

安原さんは今井体制の特攻。

百春君は安原さんが一時的に空いた際の穴埋め。キャップと茂吉君はディフェンス力を取った場合の取捨選択でキャップ。

 

 

多分向こうも今井体制→別攻撃シフトも相応に用意してると思うから、その上を行くディフェンス札をこちらも切った。

 

何度も言うけど得点攻勢で負けてはいないからそのままでも良かったけど、この程度ぶっ潰せ無いようじゃ先はないから、いい踏み台になって貰おうってわけ。七尾さんもスパルタだねぇ。

 

 

案の定馬鹿の一つ覚えで今井体制を敷いてきた。

早々に安原さんが動き出すが見定めたように空いた10番にパス供給。そのまま行くと思ったけど百春君が読み切ってブロック。

 

お互いの先読みの上今回はうちのディフェンスに軍配が上がった。

 

見返りは僕のスリー。

 

これが続けば得点効率が大幅に上がるわけだけど、向こうの10番、4番、5番のスリーで応戦。向こうもスリーの札も中々粒揃い。割と動かしてたつもりだけど運動量下がってない。トビ君、10番まだまだ元気なんだけど。

 

今井もまだ元気だし、本当運動量も上手く分散されてる。

あのヘボ監督、肩書は本物だったわけね。

 

なるほど、今井もただの見せ札か。

本チャンは総合的な得点力。

 

前半よか差が広がらない。

これあれだね。大栄張りに攻撃力あるわ。

 

 

今井軸、ねぇ。

まあ、見事だわ。

 

このまま3ピリを流し78-66

点差を広げられなかったのは久々。大栄以来である。

今井体制下のスリーもあるにはあったがそれを見せ札にした崩しからの得点攻勢。

 

面白く無いねぇ。

面白く無いよぉ。

 

ファウルトラブルとは程遠いけどそんなリスク負って潰しかかったらそれこそ相手が高笑いするしね。

 

 

 

「差は詰められていません。が、相手の思惑の上で戦わされています。面白く無いですがこのまま押し切ります。面白く無いですが。車谷君以外も暴れちゃってください。押し切るなんて考えず、圧倒するつもりで。今のまま詰め切る、なんて夢物語だと」

「「「了解」」」

 

 

七尾さんも腸煮えくり返ってるだろうね。

ここ最近は聞かないくらいに強い言葉で指示出してるし。

 

 

 

「凄いね」

「何?」

「全然スリー落とさないじゃん」

「ディフェンス温すぎだからね」

「まあ外した数勝負だから」

「母数じゃ勝てないもんね。ゲームも落としてたら世話無いけど」

「生意気」

「対等に喋んなど雑魚」

 

 

 

開幕スリーで差を広げる。

抑える気が無いなら外す道理は無い。

 

向こうも返しのスリー体制。

けどさあ、大体掴めたんだわ。

 

安原さんには悪いけど今回はフォローは来なくていいと言っておいた。

 

必然、ダブルスクリーンをかけてくるだろう。

けどタイミング掴めちゃったんだわ。

一枚目を躱して、二枚目も難なく躱す。

 

馬鹿の一つ覚えにコース誘導されてたら流石に読み切るわ。

予想外して動けば余裕。

その分今井に時間を与えちゃうけどまあ問題ない。

 

だってこいつヘロヘロだし。

 

僕のマークをフルで受けてりゃそうなる。

況してや一年坊。走りが甘い。

 

プレッシャーどころかブロックショットまでいけちゃうわ。

 

 

「介護も飽きたってよ。お前がコートにいる価値無くなったね」

 

 

 

見せつけるようにスリーを沈め今井に口撃。

早くコート去らないかなー。

 

健気に今井軸を試すも残念ながらもう無理だろう。

だってこいつ足止まってるし。

 

ちょい当たり厳しくすりゃすぐふらついてパスを受けるどころの話じゃない。

 

そうすると今度はうちの守備の手薄なところを攻めてくるんだけど安原さんは簡単に10番にドライブを許さない。

 

こいつも結構頑張ってるんだよね。

百春君がいいタイミングでちょっかいかけてくれるお陰で押さえ込めちゃってる。

 

トビ君も割といい仕事してたから疲れてそうではあるし。

 

 

と言うことで向こうのタイムアウト。

と言ってももう策は無いだろう。

 

 

「止めです。安原先輩と夏目君を交代で。10番に仕事をさせないでください。そこも折ります」

「トビ。あいつ大分消耗してるぞ」

「おー、安原さんも振り回しとったからなー」

 

 

 

巷じゃウミヘビって言われ削り屋として名を馳せてるっぽいけど、今回削られたのは自分だったって言うオチとは。

 

まあ全ては体力の無さを嘆くんだね。

 

 

 

どうやら今井も引っ込めて最後の最後に真っ向勝負を挑んできた。

 

交代で入った小デブがマッチアップ。

 

 

 

「敗因は一年に頼り切ったこと。ま、対策打つには気付きが遅かったってのもあるかな」

 

 

ボールが渡った瞬間に、小デブとの格付けは終わらせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クズ校102ー81妙院

 

 

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