GWである。
これまでの間に各人現状で何が足りないかよく分かったと思うのでそれは大目標として、目下チームとして最低限起動させるための練習に臨む。
それはもうみっちりと。
つまりは合宿である。
七尾さんに話したら秒で理解してくれて1時間後には合宿のメニューを組んでくれた。
諸々の手続きと手配は五月先生が済ませてくれた。
ちなみにGW中の体育館の使用は問題ないとのこと。
サポートが有能すぎる件。
「迫田先輩は大分シュート沈むようになりましたね。感覚戻ってきましたか。と言うか多芸ですね。フックシュート打てるんですか」
「野良で社会人相手にしてた時に教えてもらった。そこのバカ力みたいなのと当たった場合に引き出しの数を増やして対応している」
「なんだ。部に所属してなくてもやる気はあったんですね」
「だらだらラフにな。ここからはガチだよ」
「なるほど。じゃ先輩らも頑張りましょうねー」
平面勝負じゃ全く抜かれる気はないけど高さと腕の長さを使われると流石に僕じゃ対応できない。
そう持っていかせないように平場ではDFしてるんだけど、思いの外迫田先輩の対応力が早い。
ちょいと圧強めるか。
「迫田先輩、ギア1個上げてDFします」
「ガキかよ。出し惜しみすんな」
「いやぁ。OFはゴリゴリのサンドバッグがいるから良かったんですが、DFはどうも物足りなかったんですよ。百春君と千秋君はシュート力に難ありで、トビ君は繊細なんで怪我させちゃいそうだったんで。
迫田先輩は割りと両者のいいとこ取りなんですよ」
「嬉しくて涙が出るね」
「簡単にくたばんないで下さいね」
とまあ迫田先輩始め、現在は部員の全員で無限1on1とみっちりと合宿を堪能しているわけである。
ちなみに午前中はオールフットワーク練を行っていた。
皆ゾンビ化していた。体力無さすぎぃ。
百春君が及第点、千秋君、迫田先輩がギリギリ。
他はまあ頑張ろうや。必死こいて足動かしましょうねぇ。
特にトビ君は必須。
普通の高校生くらいのバスケ選手並の体力しか無いんだもの。君、本当に特待生候補だったのか。、、、いや、入学したてだからそんなものか。
で、お昼挟んで午後は全体練。
試合で必要な動きを何度も繰り返す。
合間合間に七尾さんからの指導が入る。
意外なことに五月先生からも声が結構飛んだ。
どうも予習済み(七尾さんに色々聞いてるらしい)で、素人ばりにバスケに理解を示し、僕らに動きの意図をレクチャーしてくれたりしていた。
僕はともかく、百春君や3バカ先輩ずにはとても好評だった。
曰く、授業よりすっと頭に入ると。
そして今に至ると。
日が沈み、夕飯を食べた後は個人練。無限1on1である。
各人の個人スキルの向上を図る時間である。
あー楽しい。
本当は物足りなかったら夜は社会人チームなりどっかの大学なりにアポって練習に潜り込もうと思ったけど、思いの外皆成長してくれるから、天秤が部活に傾き大人しく練習している。
このままどんどん成長してくれるといいな。
僕の成長のためにも。
合宿期間中の練習はなお続く。
途中、素人組の心が折れるかな、なんて思いもしたが、思った以上に折れない。
迫田先輩の戒めは相当に効いているようである。
ただそろそろ紅白戦意外の試合をしてみてもいいと思うんだよね。
いい加減練習だけだと飽きちゃうし。
なんて思ってたら七尾さんがすでに相手を手配済みとのこと。
北住吉高校と言う近隣じゃめっさ強いとこらしい。
何でも相手のエース格と幼馴染みみたいで、打診したらOKをもらえたとのこと。エース格の部でのヒエラルキーが伺える。
で、そのエース格が挨拶(ついで)兼敵情視察(ついで)兼七尾さんの顔を見に来た(本命)わけだけど、ちょっとした動きから察するにまあ1.2トビ君程度と見た。
つまり高校生にしてはやるんじゃね?と言うレベルである。
なお、七尾さんと話してる僕を見てちょっと突っ掛かって来たから処そうかなぁと思ったけど、気配を感じ取った千秋君with部員の皆に総出で止められた。
太郎君(エース格)は「え、こいつそんな不味いやつなん?」って表情でドン引きしていた。
帰った後で「別に1on1で分からせるだけでしたよ」って言ったら「試合だけにして」って七尾さんに言われた。
愛されてるなー、あいつ。やっぱ処そ。
練習試合当日である。
ここまで徹底的に身体を苛め抜いた合宿の集大成を出す場でもある。
各人、疲労はピークだが目だけはギラギラしている。
まあ全員漏れなく毎日吐いてたしなぁ。
皆午前中のフットワーク練が無いだけで超嬉しそうである。
まあ試合中に吐くまで走ることは無いからね。
「試合をやるからには負ける気でやることはありませんが、あくまで練習試合です。先ずは試合の動きを各人体感しましょう」
「「「「おう!」」」」
スターティングは僕とトビ君の2枚ガードに、花園ブラザーズフォワード、センター迫田先輩と言う布陣。
ガチガチにインサイド勝負で臨む。
こちらと比べたら向こうは小兵だが、敢えて乗ってきてくれた。
向こうの14番がこちらの百春君に真っ向勝負を仕掛けてきたが残念、パワーと高さが違う。
百春君がそのままリバウンドを抑え、千秋君へと繋ぐ。
トビ君が前に出てたから僕が千秋君からボールを受ける。
相手も戻りが早いから2対3の局面。
折角だしトビ君に譲ろう。
余裕でパスを通し1対2。
いや、実質1対1。だってもう1人はマーク追い付いてないし。
これを落とすほどトビ君は下手じゃない。
普通にシュートを沈める。
続けてDFはハーフからマンツー。
オールでもいいけど初試合だしね。
僕の相手は背番号5番。
なんか太郎君の女房役っぽい人。
正統派のガードって感じ。
太郎くんへの供給ラインは断ってほしいとの七尾さんのオーダーなので、そっちに抑え入ってるトビ君達を気にしつつこの人を抑えるべ。
と言うわけで5番からもう一度14番と。
14番は、、、ありゃ強気。また百春君と勝負だ。
今度は力押しではなくフェイク入れてきたけど、まああの程度なら百春君余裕っしょ。
僕のOFを毎度毎度体験してるんだもの。
流石に14番も無理と判断。
ボールを戻そうとするが残念、そこは千秋君ゾーン。
トビ君より今度は迫田先輩がゴールの臭いを嗅ぎ取り前線にダッシュ。ボール運びは僕だね。
5番さんが僕に空かさずマンツーに入るが残念、千秋君のパスで余裕で振り切れた。パスおいちぃのねん。
今度は2対2。
でも迫田先輩が前線走ってるから高さ的には有利。
じゃああれっしょ。
おら、跳べ。
瞬間、リングが揺れた。
そのまま持ってけるかなー、なんて思ってたけど甘くなかった。
パスワーク、スクリーンプレー、ドライブを駆使してアウトナンバー作りだしてシュートまで持ってく。
チームとしてのバスケIQが高い辺りは強豪である。
うちもトビ君と迫田先輩が主で、たまに千秋君と僕とで点を稼ぎ、1ピリは23-18と中々な出だしであった。
百春君?いないこですねぇ。
とは言えうちのDFリバウンドは百春君が拾ってくれているからまあチャラである。
これで点を取れるようになったら普通に超いい選手なんだよな。非常に惜しい。
で、2ピリはメンバーの入れ替え。
僕が引いてチャッキーさんがイン。
七尾さん曰く、相手もこっちを舐めてるようだしお互い様とのこと。
全体的に高くなったけど機動力はまあ落ちる。
それとチャッキーさんに5番はきつい。
案の定5番に振り回されて死屍累々。
それでもよく引っ付く。1ヶ月の成長速度で見たら大したものである。まあ練習相手がいいよね、相手が。
OFも割りと様になっている。
まだまだ中に入り込めるドリブル技術は無いけど、パスワークとボールをもらいにいく動きはいい。この合宿で徹底的に叩き込んだ成果だろう。
それでもジリジリと追いつかれてくる。
展開も速くなってきた。3分切った辺りでチャッキーさんとトビ君、僕と安原さんが入れ替わる。
曰く展開が速くなるから、前半残りで体験してみなとのこと。
七尾さんが完全に練習試合を堪能してる件。
勝つこと以上に経験値を積み上げることを重視してるなー。
安原さんは太郎くんについて僕は5番。
何度も言うけど3バカはまだまだ素人だけど僕の相手をみっちりしてるわけで。
まだまだ経験値は足りないけど、パワーレべリングしてるし、あくまで1人で対処させる。
後折角だし2人目が介入するタイミングってのもレクチャーしておこう。
、、、はい、ここぉお!
隙ありだよ太郎くん。
ワンマン速攻んぎもちぃいいいいいい!!!
ふぅ(賢者タイム)
結局前半終わったところで40ー46と6点差を着けられたった。
インサイドは迫田先輩が筆頭で点を稼ぎ、百春君がリバウンドを拾って千秋君がアシストをしてと、まあまあ機能してる。
迫田先輩のマークがきつくなって陰りも見えてるけど。
じゃけん、花園兄弟はミドルレンジでも安定して点取りましょうねぇ。それが課題。
フィジカルは高校生レベルの枠外なんだから。
チームとしての連携はザルだけど個々のポテンシャルをフルに使って戦えてるから、これでチームとしてもっと機能しだしたらまあ高校位なら戦い抜けるのかね。
総括終わり。
「七尾さん、次のピリオド僕にくれる?」
「どういうことかな」
「暴れてくる。後チームの上限を見定めてほしい」
「それはチームに有益なこと?」
「うん」
「分かった。出だしのメンバーは?」
「スタートと同じで。途中なべさんをチェンジ。タイミングと誰と代わるかは七尾さんの判断に任すよ」
「了解」
「さて皆さん。次のピリオドは猫被りませんので、頑張ってついて来てください」
大暴れ開始である。
温いマンマークを抜け出しリングへGO。
ヘルプに来たけど判断が遅い!
多少の接触じゃ振れんのよ。
吹っ飛ばして、避わして、はいゴール。
簡単なお仕事である。
そのまま5番のDF。オールで。
こちとら眠いゲーム展開で体力有り余ってるんすわ。
おら、抜け、抜け、抜け、、、ませぇえええん。
あ、太郎くんがパス貰いに来た。
トビ君、ガンバレ♥️ガンバレ♥️
うーん、いい線いってるんだけど太郎くんの方が上手かぁ
。
トビ君はまだまだ攻撃特化だからなー。
DFもっと頑張ろうねー(ガチ)
よし、マークチェンジでおなしゃす。
なんか太郎君話してるけどそんな余裕あるんかね。
抜き抜き、抜き抜き、抜き抜き、あげません!
はい、完封。
そのままオンユアマーク。
いいわぁ、太郎くんのびっくりフェイス好きだわぁ。
きっと自分に自信があるんだよね。
でもぼく、そういう人とバチバチにやるのだーい好きなのだー。
だからほら、そう簡単にくたばらないでね。
トビ君は先ず5番の人抑えられてからだね。
僕とやってる方が圧倒的に鍛えられると思うけど。
はい、太郎くんストーップ。
お、無理に抜こうとせんで5番に戻すと。
組んで来たかー。判断が速い!
いや、ホントその辺の切り替えは速いのは偉いわ。
でもまあ自力で抜けないと思わせたのは御の字かな。
じゃあ今度は僕の番。
ほーら踊れ踊れ!キリキリ踊、、、ほいさー
バイバイ太郎君。
あ、千秋君ポストかー。
ゴール背にしてるし、なんかしてくれるかも?
ゴール向いてー
シュートフェイク入れて
僕が切れた方にバックパs、じゃない方にいったー!肘だぁああ(キャッキャッ)
百春君にがそのままゴールにどフリーダン、、丁寧にゴール下シュー!
迫田先輩ならダンクいったな。
けどあのパスは百春君じゃなきゃ反応でき無かったし。
やっぱいいもん持ってるわ百春君。
お、流石にTOですか向こうさんは。
どうすんだろ。
結局僕を何とかしないといけんし。
3人かぁ。
いけちゃうんですわ、これが。
スピードとテクと後パワーがあれば抜けちゃうんよ。
で、どーすっかな。ゴール下から動こうとしないし。
、、、フリーで3ポイントは外さんわ。
いやぁ、3ピリは爽快でしたね(にっこり)
でもまさか僕となべさんを交換とは、七尾さん完全に遊んでるなー(にっこり)
「七尾さん」
「なに?」
「上限見えた?」
「今はまだ。試合終わって振り替えって見てかな」
3ピリ終了。
一時は75ー58と離した点差も80ー74とすげぇ追い上げを見せられた。
やっぱ5人でやる方が強いんよ。
相手に僕がいなければ。
けど、4ピリは僕無しでいってる。
体力有り余ってんだけどなー。
チームバランスを取りながら成長した方が良いとの判断っぽい。
僕と言う劇物も、服用のし過ぎは良くないってことだね。チームの底力が上がるまでは。
「車谷君が皆を一方的に使うんじゃなくて、皆が車谷君を使えるって意識を醸成するまで、車谷君は暴れない方がいいかな。車谷君の成長のためにも」
「数合わせだけじゃなく対等な仲間がほしいでござる」
「腕力でクズ校を制した人がいうことじゃないね」
七尾さんが辛辣でござる。
五月先生も頷いちゃってるし。
「頑張って育てよー」
(植物に水をやって成長してる様子を見る目だ、、、)
さて、僕抜きでも頑張っているが、やはり運動量に差が出る。
顕著なのはトビ君。次点で迫田先輩。
合宿中は走るだけ走って今も走り続けて。
まあ一番きつい状況でしょう。
そう考えると花園兄弟はまじで異常なんだよなー。
「車谷君、チャッキーさん。5分切ったらTOを取るのでトビ君と迫田先輩と交代してください。DFハーフマンツーでOFは車谷君に任せます」
「らじゃ」
流石に相手は僕を警戒している。
と言うかトライアングルツーで抑え込もうとしてる。
スリーもドライブもやらせんと気迫が見える。
いやいこうと思えばいけるがな。
攻め駒は僕。
でも暴れるなってオーダーも含んでいる。
チャッキーさんに臨時司令塔を任せるか。
ほい、中掻き回して千秋君へパース。
我、アシストも可能なり。
フリースローラインやで千秋君。
流石に沈めましたか。
DFは、、ああ、やっぱりチャッキーさんとこからよね。
アウトナンバー作ってかつ僕に関わらないできっちり詰めてくる辺りホント鍛えられてる。
こういうとこでも差が出るね。
個々の能力は負けてない。
僕と太郎君との格付けも着いた。
1ピリを圧倒できる実力があっても。
結局最後に点を上回っていなければ試合では勝てないのだ。
試合終了
九頭竜90ー97北住吉
対戦後に七尾さん一緒に監督さんに挨拶に行ったら色々興味深い話が聞けた。
やっぱり主力を何人か欠いていたと。
また、3ピリの爆発力は手に終えなかったとのこと。
4ピリも君でいくようだったら多分今日の結果は逆になっていたと。
うん、僕もそう思う。
けど今日はお互いそこまで勝ち負けに拘るような試合じゃ無いし。
チームとしては苦杯に甘んじたけど、そっちのエース格にも泥飲んで貰ったのでおあいこかな
って伝えたら渋そうな表情をしてた。
あれだね。良い経験にはなったけどチームの柱がボコボコにされてたから何とも言えないのであろう。
ぬははははは。
最後に母さんのことについて昔話を語ってくれた。
ゴールが近いことを伝えると、近い内に絶対に顔を出すと言い残した。
んだよ、ふざける空気じゃなくなったわ。
この後体力が有り余ってるし、うちの連中に試合経験が圧倒的に足りないことからハーフゲーム1本と全体合同練を行ってから解散となった。
更におかわりで太郎君とKATOさんは僕と無限1on1を行った。
始めは太郎君だけだったんだけど、へばってきたからKATOさんも入れてあげた。
それでも飽きてきたから羨ましそうに見ている(大嘘)トビ君も混ぜて無限2on2に切り替えた。
いつしか僕と太郎君の無限1on1となり、太郎君のギブアップ(2回目)でお開きとなった。
待ってた健気な後輩君(コニー君)の介助を受けながら帰っていった。
帰り際に3バカが高校からの素人連中だと伝えたら、もっと労ってやれとドン引きされながら言われた。