異世界に呼ばれたら1人だけ女神からチートスキルを貰えた。 理由は一目惚れ。 作:貴方
「お前ってさ、なんでそんなにモテねーんだろうな?」
親しくなった友人から、決まり文句のように投げられる言葉だった。
冗談めかした口調なのに、なぜか毎回、核心を突かれた気分になる。
「さあ、なんでだろうね」
そう返しながら、自分も首をかしげていた。
なにせ自分、魅音シュウは、自他共に認める美形である。
穏やかな性格で、人当たりも悪くない、察しもいいし、人格に問題がある訳でもない。
女子からも絶対に彼女を作れると念を押されるほどだ。
「、、、でも、私はちょっとないかなぁ」
それが仲良くなった異性から投げられる決まり文句だった。
「でも、あんまり気にしてないんだよね。
あんまりそういうの興味ないし」
強がりではない。
健全な高校生としては失格かもしれないが
こうして放課後にくだらない話をする友達がいるなら
それで十分だった。
「、、、ちょっとなんか返事してよ。
1人で喋ってるみたいで恥ずかしいじゃん」
冗談めかして笑いながら友達に振り返る。
「え?」
なんと、先ほどまで隣にいた友達がいなくなっていた。
「えっ!?」
いつの間にか、近道の公園が真っ白な世界に変わっていた。
本気で焦って周囲を見渡すと見たことのない2人の学生が隣にいた。
「うおぉぉぉおお!!!」
「い、異世界転生キター!!!」
ほぼ同時に張り上げられた大声にビクッと反応してしまう。
「お静かに」
なんというか、現れたというよりは、最初からそこにいたという感じだった。
淡く光る白の髪はふわりと肩で跳ねて
大きな瞳は青空のように澄んでいる。
神秘的なのに、威圧感はなくて、むしろ可愛らしい、そんな女の子だった。
少女の一言で、空気が張りつめた。
叫んでいた2人の学生は、まるで首根っこを掴まれたみたいに口をつぐむ。
「ここはあなた方の世界ではありません。
ですが、安心してください。
選ばれし者には、新たな生を与えます」
女の子はそう言って、少しだけ胸を張った。
どう見ても年下にしか見えないのに、その声音だけは不思議と疑う余地がない。
「ほ、本当に女神様ですか!?」
「も、もちろんチート能力もらえるやつですよね!?」
食いつく2人に、女神は小さく頷いた。
「はい、あなた方二名には勇者としての適性がございます。
剣の才能、魔力の資質。
そして何より、、、世界を救う強い“意志”が云々かんぬん」
そう言いながら、指先を軽く振る。
次の瞬間、2人の足元に淡い魔法陣が浮かび上がった。
「うおおおお!」
「ちょっと待ってください女神様!?
チートスキルの内容は!?」
女神と呼ばれた少女はニコニコと微笑むだけだった。
ほとんど準備も覚悟もないまま
2人は光に包まれて、あっさりと消えた。
「、、、え?」
気づけば、真っ白な世界に残されたのは自分と女神だけだった。
「え、ちょ、ちょっと待って」
我ながら焦りを隠せなかった。
意味不明な状況に1人だけ取り残されてしまった。
「フフ、フヒヒ!
やっと、やっとここまで漕ぎつけた、、、!」
今、なんで言った?
必死に情報を捉えようとしていた耳が明らかに歪な声を聞いてしまった。
「我が名はセレーネ。
安心してくださいシュウ。
アナタだけには、ちゃぁんと私の加護を授けますから」
「、、、へ?」
呆気に取られていると、セレーネはモジモジと身体をくねらせて顔を赤らめていく。
「えっと、、、そんなに見つめられると照れちゃいます」
「、、、、、、」
、、、恋愛に疎い自分でも分かる。
どことなく、青い瞳にハートが宿っている気がする。
「あの、事情を説明してもらえますか?」
「もちろんです私のシュウ」
あっ、これやっぱりそうだろ。
なんとなく神話で見たことある展開だ。
まだ何も説明されてないのに自分の中で疑問だった点と点が繋がって全て察してしまった。
「今から2人で異世界にランデブーします。
、、、絶対に逃しませんからねシュウ♡」
これからのことを考えれば死ぬほど頭が痛くなった。
女神から偏愛を受けた男の話で
ハッピーエンドだった例を自分は一つも知らないからだ。
好評そうなら続きます