古の灯火   作:丸亀導師

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南洋諸島海戦 終

1914年9月、マリアナ諸島・パガン島 島民視点

 

パガン島は、ドイツ領南洋諸島の小さな島だった。

火山の影が島を覆い、コプラ畑と漁村が点在する静かな場所。

島民は、チャモロ人とドイツ人入植者、カロリン人労働者の混成で、数千名が暮らしていた。

 

ドイツ統治下で、無線局と補給倉庫が置かれ、島はドイツ東洋艦隊の隠れ家となっていた。

島民の多くは、ドイツの補給船が来るのを待ちわびていた。

だが島民の願いとは逆に、石炭と食糧が、ドイツの艦隊に積み込まれていった。

 

その朝、島は異変に包まれた。最初に聞こえたのは、遠くの空の音だった。パタパタという軽快な音は、日常を破壊した。

島の少年、ホセは、畑でコプラを干していた。

16歳の彼は、チャモロ人の血を引く島生まれだった。空を見上げると、黒い点が近づいてくる。

それは、飛行機だった。

 

日本人の飛行機。

 

「飛行機だ!」

 

ホセは、叫んだ。それとともに村の人々が、畑から顔を上げた。

飛行機は、低空で島の上空を旋回しだし、数分間そのまま飛び続けている。なんだろうか?皆一様に首を傾げる。

プロペラの音が、轟音となって響いていた。

 

ドイツの兵士たちが、無線局から飛び出し、空を指差している間も、飛行機は、観測を続け、島の補給状況を捉えた。

ドイツ艦隊の煙が、湾に立ち上っていたが、その威容も直ぐに掻き消される事となった。

 

バッグゥオーン。

次に聞こえたのは雷鳴……、いや砲声だった。

 

遠くの海から、轟音が響いたのだ。それは日本艦隊の砲撃が、始まった事を示していた。

島民たちは、驚いて家に駆け込んだ。

 

ドイツ兵は、倉庫を守ろうと銃を構えたが、巨大な砲声の前にガタガタと震えていた。

 

ホセは、丘の上から海を見た。

ポツポツポツと見慣れない艦隊の影が、水平線に浮かんでいた。

それは、日本の艦隊であった。

 

金剛型の高速艦が、煙を上げて接近し、河内型の戦艦が、砲を構えていた。

 

次の瞬間!砲弾が、湾に落ち、爆発音が、島を震わせた。

 

――ドイツ艦隊は、補給を中断し、出航を急いだ。

島民の老人は、祈りを捧げた。

 

「神よ、守ってくれ。」

 

チャモロ人の女性たちは、子どもを抱き、隠れた。飛行機は、上空を旋回し続け、砲撃の観測を続けていた。ホセはそれをジッと見ていた…。

日本艦隊の射撃は、正確だった。ドイツ艦隊は、退避を試みたが、この時既に諸島をぐるりと取り囲むように、艦隊の包囲は狭まっていた。

 

島民たちは、砲声と飛行機の音に、怯えていた。

ドイツの統治が、終わろうとしている誰もがそう思った。

 

時間が経つ事に砲火は、更に激しくなった。

島民のホセは、丘の陰から海を見ていた。

 

朝の飛行機の音から、数時間後。日本艦隊の砲撃が、ドイツ艦隊に向かって始まったその砲撃は、まさしく地鳴りのように島を震わせる。

 

最初は、遠くの地鳴りのような音だった。

それが、次第に轟音となった。

 

30.5cm砲の咆哮が、海を震わせ、島の地面を伝わってきた。

金剛型の高速艦が、側面から砲弾を浴びせ、河内型の戦艦が正面から集中射撃を敢行している。

 

爆発の閃光が、海面に瞬き、煙が立ち上った。

ドイツ艦隊は、必死に反撃した。シャルンホルストの砲が、火を噴いたが、日本艦隊の機動が速く、射撃は散発的だった。

 

グナイゼナウも応射したが、被弾が増え、火災が発生した。

 

島民たちは、家に閉じこもり、祈りを捧げていた。

チャモロ人の老女は、十字を切り、子どもを抱きしめた。

ドイツ兵は、無線局を守ろうと銃を構えていたが、砲声に圧倒されていた。

 

ホセは、息を潜めて見ていた。

日本艦隊の砲撃は、あまりにも正確で…見惚れていたのだ。

上空の偵察機が、敵の位置を伝えていた事を知るのは、後のことである。

 

ドイツ艦の煙が、濃くなった。反撃は、次第に下火になっていった。

ドイツ砲の音が、間隔を空け、弱々しくなった。

シャルンホルストの甲板に、火の手が上がった。グナイゼナウも、傾き始めた。

 

そして、一転して、静けさが周囲を覆った。

 

砲声が、止んだ。

 

海面に、煙が漂うだけ。

 

ドイツ艦隊は、白旗を掲げていた。

 

砲声が止んでから暫くすると、島民たちは、恐る恐る家から出た。

 

ホセは、丘から海を見下ろした。

 

日本艦隊が、ゆっくりと近づいていた。

揚陸舟艇の航跡が白く延び、島に向かっていた。

 

島のドイツ兵は、武器を捨て、降伏した。

島の無線局は、日本兵に引き継がれた。

静けさは、重かった。

戦争の音が去り、新たな支配の影が、島に落ちた。

 

 

 

 

ドイツ東洋艦隊の退避失敗が主因で、戦闘は短期間に決着しました。以下に、双方の被害を推定値で整理して記述いたします。評価は、研究会影響による日本軍の質的優位とドイツ艦隊の孤立を考慮したものです。

日本側の被害

人的損害: 死傷者約200〜300名(戦死約50〜100名)

損耗率は総兵力(約20,000名規模)の約1〜1.5%

偵察機の有効活用と艦隊機動により、直接衝突を最小限に抑えました。

物的損害:

艦艇: 軽巡洋艦1隻中破、駆逐艦2〜3隻軽損。戦艦・巡洋戦艦はほぼ無傷。

航空機: 水上偵察機2〜3機損失(着水失敗によるもの)

全体評価: 損害は極めて軽微。研究会影響の偵察・機動戦法が、敵火力の集中を回避し、勝利を低コストで達成しました。

 

ドイツ側の被害

人的損害: 死傷者約3,000〜4,000名(戦死約1,500〜2,000名、俘虜約2,000名)

艦隊総兵力(約5,000名規模)の約60〜80%が損耗。

物的損害:

艦艇: 装甲巡洋艦シャルンホルスト沈没、グナイゼナウ降伏・拿捕。

軽巡洋艦2〜3隻沈没または拿捕、補助艦艇多数損失。

東洋艦隊主力はほぼ全滅。

航空機・気球: なし(ドイツ側は航空戦力未配備)

全体評価: 壊滅的損害。補給不足と日本側の偵察優位により、退避失敗が致命傷となりました。

フォン・シュペー中将は降伏・俘虜。

 

戦闘の総括

日本側の被害は軽微で、ドイツ東洋艦隊の無力化を達成。

 

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