遊戯王ZEXAL 転生決闘者『築根ゆうや』   作:ふわ×フワ

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 丸っと1話デュエルで埋まった。長いですよ今回は。
 遊八のライバル候補陸人君、その本来の強さを書きたかった。もしかしたら要らない回かもしれない。そうなるかもしれない…でも書きたかったんだ。だから必ず意味は見出す。今後も陸人君の活躍を書いてみせる!

 今回のデュエルから、以下を加えました。
1、セリフ内のカード名にも『』(解説役は除く)
2、レベル・ランク表記を追加(☆・★)
 正直最初からやっとくべきでしたよね…。



No.10 陸人vs優希 仲直り兼研究デュエル

 

      

 デュエル研究会最初のデュエルを前に、観戦する2人はデュエルの行く末を予想する。

 

「遊八クンは、このデュエルどうなると思う?」

「あれ、陸人君が勝つって確信してるわけじゃないんだね」

 

 予想外の問いについ聞き返してしまう。

 

「確かに陸人は強い。正直どちらかと言ったらそっちだよ。でも優希クンだってなんだかんだ強いと思うんだ。今まで抑えつけちゃってたから、その枷が外れたらきっと陸人に勝てるかも。なんてね」

 

 当時取り巻きと思われていた彼も、陸人と同様に罪悪感を抱いているようだ。申し訳なさを滲ませながらも、同時にこれからに期待を抱いている。

 

「確かに可能性はある。アドバイスしてた時から何となく彼は化けるなって僕も思った。けど、まだ陸人君に勝つには至らない。それが僕の予想だよ」

「なるほど…それじゃあこのデュエルを通して、優希クンがどれだけ成長できるかに注目だね」

「うん」

 

 それぞれの予測が出揃ったところで視線はデュエルする2人へと向く。

——

 

「全力で君に挑む。改めてもう一度、覚悟してもらうよ!」

「ああ、だが俺も勝ちを譲るつもりは無い。精々出し切る前に果てないことを祈るよ」

 

 準備を終えた優希が再度宣言。陸人もそれに挑発的に返す。

 

「じゃあ遠慮無く」

「来い……!」

 

「「デュエル!!」」

 

「先行はボクだ! ドロー!」

 

 手札を見て、思考する。

 

(実力は考えるまでも無く陸人くんが上、だけどそれは挑まない理由にはならない。折角くれた機会を無駄にはしない)

「ボクは手札から魔法カード『魔の試着部屋』を発動。ライフを800払い、デッキの上から4枚をめくる」

 

 優希 LP 4000→3200

 

「そしてその中にあるレベル3以下の通常モンスターを全て特殊召喚する。めくられたカードは……よし、この2体を特殊召喚!」 

 

『岩石の巨兵』☆3 DEF/2000

『岩窟魔人オーガ・ロック』☆3 DEF/1200

 

「2枚も引き当てたか、それもレベル3が2体」

 

 幸先は良し、流れを作るべく優希は動く。

 

「ボクは『岩石の巨兵』と『オーガ・ロック』でオーバーレイ! 2体の岩石族モンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!『鋼鉄の巨兵』!」

 

 大地を揺らし現れるは、その名の通り鋼鉄の身を持つ、堅牢なる巨人。

 

『鋼鉄の巨兵』★3 DEF/2000

 

「永続魔法『凡骨の意地』を発動。カード2枚をセットしてターンエンド」

 

 守りを万全にして、攻めの手を着実に稼ぎに行くつもりだ。

 

「まずは守備を固めてきたか…俺のターン、ドロー」

(鋼鉄に伏せが2、そこそこ硬そうか)

「ま、問題は無いな。焦らず行こう。『輪廻天狗』を召喚」

 

『輪廻天狗』☆4 ATK/1700

 

(守備力は超えられてない。まだ効果はいらない?)

 

 陸人の行動に注意を払う。その様子に陸人は、思わず笑みを溢した。

 

「フフッ、あとは…そうだね、『強欲なカケラ』を発動。3枚のカードを伏せてターンエンド」

「これで終わり…何を狙って…?」

「進めればわかる」

 

 大きな動きは無い。だが、陸人の見せる余裕が優希の警戒心を刺激する。

 

——

「鋼鉄の巨兵は自身以外のモンスター効果を受けない。魔法・罠での対処が無難か」

「陸人は以外とドデカいモンスター出さないからな、後ろが怖いんだ。んであいつの狙いがわかったとして、じゃあ毎度対処出来るかってーとなぁ」

「へぇ…僕は昨日のが初めてのデュエルだったから、本来の陸人君のデュエルがどんなのか、ここで見させてもらおっかな」

 

 外野の注目も陸人へと向いた。

——

 

「行くしかない。ボクのターン、ドローカードは『アクア・マドール』。これにより『凡骨の意地』の効果発動。もう1枚ドロー! 更にリバースカード『凡人の施し』発動。カードを2枚ドローして、その後手札の通常モンスター1体を除外」

 

 まだまだ序盤だが、一見すると主導権を握っているのは優希と答える者が多いだろう盤面——。

 

「『凡骨の意地』の効果はドローフェイズ中ならどのドローにも対応してるんだったか、結果は?」

 

 だが、全て想定内と言わんばかりの余裕の表情。陸人に主導権があるように思えてくる。

 

「追加のドローは無いよ」

「そうか」

(ふむ。任意効果とはいえ、これは無かった…でいいかな)

「ボクは『ガガギゴ』を召喚してバトル!『輪廻天狗』に攻撃」

 

『ガガギゴ』☆4 ATK/1850

 

「『輪廻天狗』をリリースして『風霊術—「雅」』を発動」

 

 迷いの無い宣言。

 

「自分から場をがら空きに……っ⁉︎」

「そんなわけ無いだろう。これにより相手フィールドのカード1枚、今回は『鋼鉄の巨兵』、そいつをデッキの一番下…尤もそいつはEXデッキにだからそんなの関係無いが、戻って貰おうか」

 

 輪廻天狗の姿が消え、一陣の風が吹く。それが鋼鉄の巨兵を包み、吹き飛ばした。

 

「うっ、そんな…でもがら空きなのに変わりは——え」

 

 風が止んだ時、陸人の場に消えた筈の輪廻天狗がいた。

 

「表側で存在する『輪廻天狗』は、フィールドを離れるとデッキから同名モンスターを特殊召喚できる」

 

『輪廻天狗』☆4 DEF/600

 

——

「なるほど、これは高相性なカードだ」

「あー、オレもやられた事あるよ」

 

 相手フィールドの除去をしつつ後続も呼ぶ組み合わせ。外野もそれぞれの感想を溢す。

——

 

「ならその『輪廻天狗』に攻撃」

 

 ガガギゴの拳が輪廻天狗を打ち砕いた。

 

「効果を再び発動。デッキよりもう1体特殊召喚」

 

『輪廻天狗』☆4 DEF/600

 

「3体目…でもそれで最後だ」

 

 デッキに積める上限。そこに優希は隙を見出す。

 

「2枚のカードをセット。ターンエンドだ」

 

「俺のターン、ドロー。『強欲なカケラ』にカウンターを1つ置く……『ソニックバード』召喚」

 

『ソニックバード』☆4 ATK/1400

 

「効果だ。召喚時にデッキから儀式魔法を手札に加える。俺が加えるのは『ドリアードの祈り』」

 

——

「儀式? 今まで使ってるなんて噂に聞いてすらないけど」

 

 遊八は問う。

 クラス内で誰が何を使ってるのかは、日々のデュエルや会話、噂などである程度共有されている。身近な存在故に秘蔵のカード、デッキでない限り手の内はほぼ知られているのだ。しかし、陸人がこれまで儀式を使ったなどと言う話は全く聞いたことが無かった。尤も、陸人のデュエルはほとんど共有されていなかったのだが……。

 

「いや、使ってたよ。だいぶ前から見なくなったなとは思ってたけど…そうか、まだ入れてたんだな」

 

 遊八の問いに答えたその顔には、懐かしさと嬉しさが浮かんでいた。

——

 

「まさか儀式カードを持ってたなんて」

 

 知らないカードに驚く優希。

 

「驚いてるところすまないが、これの出番は無い。少なくともまだな…続けようか、俺はレベル4の『輪廻天狗』と『ソニックバード』でオーバーレイ。2体の風属性モンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚。来い『電光千鳥』」

 

『電光千鳥』★4 ATK/1900

 

「エクシーズ召喚した『電光千鳥』の効果発動。相手フィールド上のセットされたカード1枚をデッキの一番下に戻す」

「くっ、なら戻される前に発動! 2枚目の『凡人の施し』。2枚ドローして手札の通常モンスター『アクア・マドール』を除外」

「外れか。ならORUを1つ使い、もう一つの効果を発動。相手フィールドの表側表示カード1枚をデッキの一番上に戻す」

 

 僅かに思考。

 

(確実に勝つなら『凡骨の意地』を戻すのが一番良い。けど今回は……向こうの全力を引き出して貰った方が都合の良いか。今の優希とそのデッキのポテンシャルを知れる。和解の為にも、全て受け止めた上で勝てる)

 

 考えは纏まった。陸人は電光千鳥の効果対象を宣言する。

 

「『ガガギゴ』をデッキトップに戻す」

 

 迸る電光がガガギゴを弾き飛ばした。

 

——

「え、どうして⁉︎」

 

 陸人の内心を知らない遊八は、その宣言が理解できず困惑する。

 

「どうかしたのか?」

「電光千鳥の効果は、対象耐性を持つカード以外の相手表側カードなら、どれでも対象に取れる。モンスターだけ、魔法・罠だけって制限は無いんだよ」

「だからガガギゴを対象にして、壁となるモンスターを無くしたんじゃ?」

「確かにダメージは稼げるし、デッキトップがガガギゴに固定されたから、また場に出すには召喚権が必要だ。そう考えると悪い手じゃない。けどそもそも、電光千鳥はガガギゴに攻撃力で勝ってるし、何より優希君の場には凡骨の意地があるから、ガガギゴを引いたら追加でドローができる。そこで反撃のカードを引かれる可能性を考えると…」

「そっか! 凡骨の意地を戻せば!」

「そう。次のドローを確実に潰せる上にモンスターもいない状況を作れる」

(陸人がプレミ? 何か考えがあるのか?)

「あ! まさか……」

 

 そこで陸人の友人が気付く。

 

「どうかしたの?」

「いや多分なんだけどさ——」

……

「——なるほど、研究会の名目に則れば寧ろ都合の良い…のか? ま、細かいところは後で感想戦をすれば良いもんね」

 

 遊八も一応は納得が行く結論を得られたようだ。

——

 

「…何のつもり?」

 

 一方の優希もまた陸人のプレイングに疑問を抱いていた。

 

(向こうもプレイングについては気づいてそうか。よしよし)

 

 その反応を前にした陸人。まだ少しだけとは言え、教えたことを活かせていると感心する。

 

「全力を尽くしてもらうつもりさ。細かい話は後だ。場合によってはここの一手が勝敗に大きく繋がってるかもだからな。さてと、このままバトルと行こうか」

「考えがあってなんだね…複雑な気はしないでもないけど、わかった」

 

 承知の上でのプレイであると簡単に説明。優希も一応の理解を示した。

 

「理解してくれて何より、それじゃあバトルだ!『電光千鳥』で直接攻撃」

「うわああぁ!」

 

 優希 LP 3200→1300

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

 

「ボクのターン! ドロー!『ガガギゴ』を見せて更にドロー! ふう、負けても後悔しないでね」

 

 手札を眺めて、笑う。

 

「はっ、誰がするかよ」

「だったら…!『ガガギゴ』を召喚。そして、儀式魔法発動。『高等儀式術』! レベルの合計が召喚するモンスターと同じになるように、デッキの通常モンスターを墓地に送る。ボクはレベル8の『ラビードラゴン』を墓地に送って、手札より儀式モンスターを儀式召喚する!」

「レベル8の儀式モンスターか、やるじゃん」

「『ゼラ』降臨! さあ行くよ。バトル!『電光千鳥』を攻撃!」

 

 間髪入れない攻撃宣言。ゼラの鋭い爪が迫る。

 

「出てきたばっかで申し訳ないが、そいつらにはご退場願おうか。罠発動、『聖なるバリア—ミラーフォース—』!」

 

 しかし、それを強烈な光が阻んだ。

 

「相手の攻撃表示モンスターを全て破壊する」

「そんな…っ⁉︎」

 

 攻撃を跳ね返し、優希のモンスターを光が飲み込む。そのあまりの眩しさに思わず目を閉じてしまう。

 再び目を開けた時、彼のフィールドにモンスターは1体も残っていなかった。

 

「一度に幾つもの対策を用意するのは難しい。あれもこれもとはならないのは俺も同じだ。だがそうだとしても直線的、詰めが甘い。残念だったな」

「ううっ、ターンエンド」

 

 苦しい状況、だが諦めず次の手を考える。

 

「俺のターン、ドロー。ここで『強欲なカケラ』のカウンターが2つになる。2つ以上の時、このカードを墓地に送って2枚ドローできる……『切り込み隊長』を召喚して効果発動。手札のレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚だ。『グリーンガジェット』召喚。効果発動。デッキから『レッドガジェット』を手札に加える。さらに『暗黒界の取引』を発動。互いに1枚ドロー、その後手札を1枚捨てる。さあバトル、防げなきゃ俺の勝ちだ。行け、『電光千鳥』!」

 

 激しさを増す稲光。バチバチと音を立てて舞い上がる。

 

「…っ!『攻撃の無力化』でバトルフェイズを強制終了!」

 

 間一髪反応した優希。電光千鳥の攻撃は、カードが生んだ渦へと吸い込まれていった。

 

「仕留め損なったか。カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

 何とか繋いだターン。一度大きく深呼吸して気合を入れ直す。

 

「ボクのターンだ。ドロー!『メカファルコン』を見せる。ドロー! 更に『幻のグリフォン』で追加ドロー! よし、『悪魔への貢物』。フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を対象に取り発動。そのモンスターを墓地に送り、手札からレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚する。『電光千鳥』を墓地に送り、『メカファルコン』を特殊召喚。そして『幻のグリフォン』召喚」

 

 カードから伸びる悪魔の手。それに掴まれた電光千鳥が、地面へと引き摺り込まれる。再び現れた悪魔から齎された光は、機械の鳥へと姿を変えた。それを皮切りに、優希は再度攻勢に出る。

 

「今度はレベル4が2体並んだか」

「ボクはレベル4の『メカファルコン』と『幻のグリフォン』でオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!『ダイガスタ・エメラル』!」

 

 透き通った風に乗り、翠緑の戦士が登場。

 

『ダイガスタ・エメラル』★4 ATK/1900

 

「効果発動。ORUを1つ使い、効果モンスター以外の自分墓地のモンスターを特殊召喚する。『ラビードラゴン』を特殊召喚」

 

『ラビードラゴン』☆8 ATK/2950

 

「バトル! ラビー——」

「罠発動、『立ちはだかる強敵』。対象は『切り込み隊長』。相手はこのターン、対象のモンスターしか攻撃できない。更に罠、『地霊術—「(くろがね)」』を発動。自分フィールドの地属性モンスター、俺は『切り込み隊長』をリリース。そのモンスター以外の地属性モンスターを墓地から特殊召喚する。『アステル・ドローン』を特殊召喚」

「…取引で墓地に送ってたんだね」

 

——

「うわお、これはまた上手いな」

「え? そうなの?」

——

 

「けどこれで『切り込み隊長』がいなくなったよ。『ラビードラゴン』!」

「無駄だ。このターン『切り込み隊長』しか攻撃できないって言ったろ?」

「でもリリースされていなくなって——」

「『立ちはだかる強敵』の効果は、対象のモンスターがフィールドを離れても有効。攻撃対象がいなけりゃ攻撃できない。これで実質バトルは無効だな」

「そんな、このターンも防がれた」

 

——

「それだけじゃないよ。蘇生されたのはアステル・ドローン。これでレベル4が2体揃ったし、エクシーズ召喚して1枚ドロー出来る」

「はえー、さっすが陸人」

——

 

「けどまだだ。『一時休戦』を発動。互いに1枚ドローと、次のターン終了までお互いへのダメージを0にする。カードを1枚伏せてターンエンド」

「時間稼ぎ…面倒なカードを使ってくれやがったな」

「遊八くんには感謝だね」

「あいつの入れ知恵か、まさか一度席を外した隙に……まあいいだろう。問題無い」

 

 まだ何か仕込んでいるか? などと考えつつ、はあ、と溜め息一つ。けれど陸人はフッと笑い余裕を崩さない。

 

「じゃあターンを貰おうか、ドロー。『レッドガジェット』を召喚して効果発動。『イエローガジェット』を手札に加える。そして、『レッドガジェット』と『アステル・ドローン』でオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚。『恐牙狼 ダイヤウルフ』」

 

『恐牙狼 ダイヤウルフ』★4 ATK/2000

 

「『アステル・ドローン』を素材にした事で、『ダイヤウルフ』は追加効果を得る。1枚ドロー。さてと、ダメージは無くても破壊は出来る。バトルだ!『ダイヤウルフ』で『ダイガスタ・エメラル』に攻撃」

(確か『ダイヤウルフ』はフィールドのカード1枚を破壊する効果があったはずだから…)

「この攻撃を通すと場ががら空きになっちゃうね。残しときたかったんだけど…罠発動、『ハーフ・アンブレイク』」

 

 自身の選択が正しいと信じて発動した罠。ダイガスタ・エメラルを泡が包み、破壊から守る。

 

「破壊無効とダメージ半減のカード。戦闘破壊できなくなっちまったな。バトルを終了して『ダイヤウルフ』の効果だ。ORUを1つ使い、自分の獣・獣戦士・鳥獣族モンスター1体とフィールドのカード1枚を破壊する。指定された種族のカードは『ダイヤウルフ』のみ。もう1枚は、効果使われると面倒だし『ダイガスタ・エメラル』にするか」

「…ッエメラル!」

「次に手札から魔法カード、『貪欲な壺』を発動。墓地のモンスター5体をデッキに戻し、カードを2枚ドローする。戻すのは『輪廻天狗』2枚と『グリーンガジェット』、『電光千鳥』、『ダイヤウルフ』だ。ドロー…よし、『死者蘇生』で墓地の『輪廻天狗』を蘇生。カードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

——

「輪廻天狗…貪欲で戻したから効果を使える」

「面倒な壁再びだねぇ」

——

 

「ボクのターン、ドロー…よし、これなら…!」

 

 手札を確認した優希が、ここで勝負に出る。どうやら決め切るつもりのようだ。普段の彼らしからぬ鋭い眼光が、陸人を貫いた。

 

「…っ来るか!」

「『ドラゴラド』召喚。効果発動! 墓地の攻撃力1000以下の通常モンスターを守備表示で特殊召喚できる。蘇れ、『岩窟魔人オーガ・ロック』。更に『ドラゴラド』の効果! 自分フィールドのドラゴン族モンスター、ボクは『ドラゴラド』自身をリリースして、『オーガ・ロック』を対象に効果発動。ターン終了時までレベルを8にして、攻撃力を800アップする」

 

——

「レベル8の通常モンスターが2体……これは来るよ! 通常モンスターデッキの切り札!」

「何だって⁉︎ うおおおー! 行けー! 優希ー!」

——

 

「ボクは! レベル8の『ラビードラゴン』とレベル8となった『オーガ・ロック』でオーバーレイ! 2体の通常モンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚! 陸人くん。君のくれたこのカードが、今のボクの切り札だ! 現れろ、滅びの雷!『サンダーエンド・ドラゴン』!」

 

 轟く雷鳴、迸る雷と共に放たれる威圧感。優希の切り札がここに顕現した。

 

「遂にお出ましか…っ!」

 

『サンダーエンド・ドラゴン』★8 ATK/3000

 

——

「おお、攻撃力3000のモンスターエクシーズ…凄いよ優希クン!」

「うん。デッキをもう使いこなしてる。こりゃ俺も負けてらんないね」

 

 思考がデュエルモードに入った遊八。つい一人称が変わってしまう。

——

 

「『サンダーエンド』の効果発動! 1ターンに1度、ORUを1つ使ってこのカード以外のフィールドのモンスター全てを破壊する! サンダーエンドクラッシュ!」

「ぐっ、『輪廻天狗』の効果! デッキから同名カードを特殊召喚する!」

「その壁も突破させてもらうよ! 罠発動!『エクシーズ・リボーン』。蘇れ、『ダイガスタ・エメラル』!」

 

『ダイガスタ・エメラル』★4 ATK/1900

 

「ORUを使って効果発動。再び蘇れ!『ラビードラゴン』!」

 

『ラビードラゴン』☆8 ATK/2950

 

「まだ終わらない! 魔法発動、『エクシーズ・ギフト』。フィールドに2体以上のモンスターエクシーズがいる時、2枚ドロー出来る……やった! これでラスト。『死者蘇生』!『ゼラ』再臨!」

 

『ゼラ』☆8 ATK/2800

 

 

 怒涛の展開。大型モンスターが並び立つ。

 

——

「優希君のエースカード勢揃い。壮観だね」

「もしかするともしかするかもよ! 行けー! 優希クン!」

——

 

「バトルだ! 行くよ陸人くん!」

 

 これで最後と言わんばかりの気迫。優希はここに全てを込める。

 

「来い! 全部受け止めてやる!」

 

 対する陸人もその視線は逸らさない。真っ向から受けて立つ。

 

「『ダイガスタ・エメラル』で『輪廻天狗』を攻撃!」

 

 一撃目。突風に乗せた渾身の打撃が『輪廻天狗』を撃ち抜く。

 

「破壊された事で効果! デッキより『輪廻天狗』を特殊召喚!」

「続けて『ゼラ』で攻撃! これで『輪廻天狗』は尽きるよ!」

 

 二撃目。ゼラが輪廻天狗に飛び掛かる。これが通れば陸人を守る壁は無くなる。

 

「そして2体で直接攻撃。お前の勝ち、と…フッ」

 

 はずだった——。

 

「言ったろう! 全部受け止めるって! 罠カード、『貪欲な瓶』発動!『貪欲な瓶』以外の墓地のカード5枚をデッキに戻し、1枚ドローする。戻すのは『輪廻天狗』2枚、『貪欲な壺』、『死者蘇生』、『地霊術』だ」

 

 防御札ではない。けれどこの一手は、優希の勝利を阻むに十分だった。

 

「そんな…これじゃ——」

「ああ、これで効果が発動可能になった。破壊された事で同名を特殊召喚」

「くっ、けどこのターンで勝てなくなっただけだ!『ラビードラゴン』!」

 

 それでも最後まで勝負を捨てることはしない。跳ねるように飛び上がったドラゴンが、上空より輪廻天狗を押し潰す。

 

「最後の『輪廻天狗』だ」

「『サンダーエンド』で攻撃! これで陸人くんのフィールドから、モンスターはいなくなった。カードを1枚伏せてターンエンドだよ!」

 

 最後に雷に撃ち抜かれ、遂に輪廻天狗が消滅。防ぎ切った。防ぎ切られた。陸人の防御が優希の猛攻の上を行ったのだ。

 壁を壊すに止まった優希。届かなかった。けれどまだ負けてはいない。彼は静かに待つ、恐らく最後になるであろう陸人のターンを……。

 

(大丈夫。ボクにはまだこのカードが残ってる。万全の状態、これで君に勝つ)

 

「……」

「陸人くんのターンだよ」

「ああ、わかってる」

(……これが優希の全力か…やってくれるじゃないか)

 

 彼の全力は、自身の想像の上を行った。陸人はその実力を認める。気を抜けばすぐにでも追い越されるだろう。

 

「まさかここまでやれるなんてね。ドロー…驚いたよ。なら今度はこっちの番だな。まずは『イエローガジェット』召喚。効果発動」

 

 反撃を許すわけにはいかない優希が、ここで最後の1枚を切る。

 

「もう後続は呼ばせない! 永続罠発動。『スキルドレイン』! これがボクの最後の砦、崩せるものなら崩してみろ!」

 

 起動するは今尚数多の決闘者を苦しめ続ける凶悪カードの一角。最後の砦に相応しい1枚と言えよう。

 

——

「うわっ! やった! やりやがったよ優希君!」

 

 前世のデュエル知識を持つ遊八。スキドレ採用の原因が、満面の笑みで歓声を上げる。

 

「これは凶悪だぁ。さっきのを耐え切った陸人も流石だけど、こうなるときついか」

 

 その横で陸人の友人が、遊八の悪い顔を思い出して苦笑を浮かべる。

——

 

「フィールドのモンスター効果を無効にする永続罠カード……このタイミングでとんでもない伏兵だな」

「こっちは通常モンスターメインのデッキだからね。同じ土俵に立ってもらったよ」

(それに、ボクの最後の手札は『マジック・プランター』。『スキルドレイン』をコストにすれば効果を復活させられる。『サンダーエンド』の効果はもう1回使えるから、あとは火力で押し切る。この勝負もらった…っ!)

 

 勝利は目前。このほぼ一方的なロックにて陸人を封殺する。

 

「なるほどね。アッハハハハ…いや、本当に凄いよ。ここまで急成長してるなんてな。どうやら、出番が来たみたいだ……いいだろう。だったら崩して見せるさ」

 

 それは実質的な勝利宣言。これまで見せる事のなかった陸人の真の実力。それが今、解放される。

 それは優希への最大限の敬意。それは陸人自身のこれからを示す為のターン。

 

「魔法カード、『エクシーズ・トレジャー』を発動。場にいるエクシーズは2体、よって2枚ドローできる……お前の全力、確かに見届けた。けど、俺はお前の先生やってんだ。こんな早々に負けてなんかやらねぇよ」

 

 迷いなき手が、デッキトップ2枚を掴んで、引き抜いた。

 

 思い出す。自分の原点を…。そう、全てはあのカードの為にあった。

 祈る。否、信じる。勝利を…共に戦い、共に掴む勝利を…!

 

「ドロー! さて、まずは厄介な『スキルドレイン』を剥がす。カードを1枚セット、そして『パラレル・ツイスター』発動! このカード以外の魔法・罠1枚を墓地に送って、フィールドのカード1枚を破壊だ。俺は今さっき伏せたカードを墓地に送る。割れろ、『スキルドレイン』!」

 

 どんなに強力な効果を持とうと、結局は1枚のカードに過ぎない。スキルドレインは無惨にも破壊される。

 

「砦と言うなら、たった1枚で終わらないことだな」

 

「くっ、でもまだボクには4体のモンスターがいるっ!」

「ならそれもどうにかしよう。魔法カード、『儀式の準備』。デッキからレベル7以下の儀式モンスターを加え、その後、墓地の儀式魔法を手札に加える事ができる」

「でも墓地に儀式魔法なんて…あっ!」

 

——

「そういえばずっと持ってたね。それをパラレル・ツイスターのコストにしたんだ」

「なら加える儀式モンスターは当然……!」

——

 

「デッキから『精霊術師(エレメンタルマスター) ドリアード』を加えて、墓地の『ドリアードの祈り』を手札に戻す……さて、待たせたな。『ドリアードの祈り』発動!」

 

 語りかける様な優しい声音から力強い宣言。満を持して、儀式が執り行われる。

 

「レベルが3以上になるように手札、フィールドのモンスターをリリースする。俺は『イエローガジェット』をリリース。さあ、刮目しな! 俺の原点(マイフェイバリット)を…!」

 

 描かれ、起動する魔法陣。溢れ出る光に包まれながら、祈る様に手を合わせる。

 

「麗しき精霊術師よ、その祈り、我が祈りと重ね合わせて、森羅万象をその身に宿さん! 今再び共に! 儀式召喚!『精霊術師 ドリアード』!」

 

『精霊術師 ドリアード』☆3 ATK/1200

 

 魔法陣から溢れる光が晴れて、1人の術師が姿を見せる。これが陸人の本当の切り札。魂のカードだ。

 

——

「久しぶりに見たな、陸人のドリアード……あいつがドリアードを召喚したデュエルで負けた事は一度も無い。強いよ、本気の陸人は」

「……マジ? とんでもないな。ふふっ、なんかワクワクしてきたよ」

 

 ただ1人、陸人の過去を知る友人が伝える事実は、遊八の闘志を沸き立たせる。

——

 

「これが陸人くんのフェイバリットモンスター…けど、攻撃力は1200のみ…どうするつもりなんだ」

「この『ドリアード』は、元々の光属性に加えて地、水、風、炎の4属性を併せ持つ。だから属性を参照する効果を受けやすく、条件を満たしやすい。ようはこういう事だ! 罠発動!『風林火山』! 地、水、風、炎の4属性が揃っている時に発動でき、4つの効果から1つを選んで適用する。俺が選ぶのは、相手フィールドのモンスターを全て破壊する効果だ!」

「なあっ! うぐぅっ、ボクのモンスターが全滅…?」

 

 侵掠すること火の如し。優希のモンスターが業火によって焼き払われる。

 

「あとはライフを削り切るだけだ。装備魔法『リチュアル・ウェポン』を発動。レベル6以下の儀式モンスターに装備でき、装備モンスターの攻撃力を1500アップする」

 

『精霊術師 ドリアード』ATK/1200→2700

 

「さあ、バトル!『ドリアード』で直接攻撃! 浄化の極光、アウラースプリーム!」

 

 両手を広げたドリアードを中心に、暖かく優しい光が、そよ風と共に拡散される。

 まさに至高の輝き。その光景、その美しさに、この場にいる全員が目が奪われた。

 

「——っ! あっはは、やっぱ強いな、陸人くんは……」

 

 光に呑まれていく優希。その瞳に陸人が映る。ドリアードと並び立つその姿は、彼にとっての力の象徴、一つの目標として焼き付けられた。

 

 優希 LP 1300→0

  

  RIKUTO WIN

  

 

 霧散する光の中、微かに残るそよ風が陸人の頬を撫でる。彼が放つは圧倒的存在感、強者の風格。今この場を、この空気を支配しているのは、間違いなく彼だ。

 

(もしかして、本気の陸人君ってめちゃ強い…?)

 

 心が昂るのを感じる。自分も負けてはいられない。

 優希だけではない。遊八もまた、その存在を強く意識していたのだった。

 

 






 手加減した上で勝ってる…思ったより陸人君が強くなってしまったかもしれん。活躍させるとは言ったが、盛りすぎちゃった…? それと、外野の反応って以外と難しいな。

 使用デッキやカードの共有。あの世界のコミュニティ内だったら、そんな話もありそうだな。と思いまして…まあ独自解釈、設定。みたいなものと思ってくれて構いません。

(ドリアード……ふつくしい)
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