遊戯王ZEXAL 転生決闘者『築根ゆうや』   作:ふわ×フワ

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 一人称と三人称。使い分けできた方が良くね? と思うて、練習がてら…この切り替え方、前にもした気が…。
 デュエルは基本三になるでしょうね。皆さんは、一と三どっちが好みなんでしょうか…。

 この作品は、(改良か改悪かわからないけど思いついた時に)試行錯誤しながら、お送りしています。

 陸人君メイン回。彼の両親はこのエピソードだけのゲスト…の予定だったはずなのに…経歴、盛っちゃった。しかも文量まで一緒に。一話で終えるつもりだったのに。



No.16 陽炎の奥の感情

 

 

 ……      

 ずっと、悩んでいた気がする。ずっと、怯えていた気がする。

 

「ただいま」

 

「お帰りなさい…どうかしたの?」

 

「いや、別に。父さんは?」

 

 家族が好きで、期待に応えたくて、嫌われたくなくて……。

 

「リビングにいるけど」

 

「そ……昨日の、覚えてるよね」

 

「……できたの? 心の準備」

 

「うん」

 

 今でも、その気持ちは変わらない。でも、それ以上に……。

 

「ただいま、父さん…話がある。母さんも聞いて欲しい」

 

 顔は向けられず、けれど、意識は確かにこちらを向いている。

 緊張…テレビの音が嫌に大きく聞こえる。

 

「俺、俺は……自分の道を生きたい。自分で考えて、自分で道を決めたいんだ」

 

 あまりに漠然とした宣言。もっと明確な形を得てからが良かったのだが、それじゃあいつまで経っても踏み出せない。そんな確信があった。

 沈黙。でも、父さんがピクリと僅かに反応を示したのを、俺は見逃さなかった。

 鼓動が早い。どんな言葉が返ってくるのか、わからない。怖い。けど、目を逸さぬように、逃げ出さないように、拳と一緒に心にも、力を込める。

 

 身構える中、その言葉が聞こえたのは正面、父さんからではなく、後ろの母さんからだった。

 

「ねえ、陸人。今まであなたの為にどれだけ尽くしたかわかってるの?」

 

 努めて冷静に、けれど怒りは滲み出していて全く隠せていない。

 わかっている。生活が保障されてるのは親のお陰。これまで積んできた経験も、親が機会をくれて、お金を出してくれたから。

 

「わかってるよ。だから感謝もして——」

 

「わかってない! あなたは何も!」

 

 爆発した感情を前に、一つも言葉も出てこない。心が痛む。

 

「あなたは凄い子よ。何でもできる自慢の子…だから、私たちが経験した苦しみを感じずに生きる事ができるの。お願い、私たちの想いを無駄にしないで…」

 

 それが、一番に拘る理由。初めて聞いた本音には、深い実感が伴っていた。

 実を言うと、俺は知っていた。二人とも、自分たちがいた世界に未練がある…。気づいていないだろうけど、俺はその姿を何度か見ているから……それでも——。

 

「俺は…今苦しいよ」

 

「え……?」

 

 母さんと向き合う。

 

「ずっと言う通りにしてきた。その度に成長を感じて、その度に喜んでくれて、嬉しかった。だから頑張ってきた…」

 

 自分の本音を、自分でもこれまで言葉にできなかった本当の俺を…紡いでいく。

 

「でもさ、気づいたんだ。俺を見てないって」

 

「っ、そんなこと——」

 

「あるだろ! 俺を使って、その先にある一番って場所しか見てなかったじゃないか! 自分の血を引く俺を一番にして、自分たちの才能を証明したかったんだろ!」

 

 自分を満たす為に、誰かを使う。つい最近まで俺がやっていた事だ。自覚して、照らし合わせて、この結論に至った……もっと前からわかっていたのかもしれない。だが、気づきたくなかったんだろう。

 

「ちがっ、そんなわけ——」

 

「違うものか! こっちの意見も聞かずに——」

 

「もうよせ」

 

 低く、力の籠った声。父さんだ。父さんが間に入ってきた。

 

「陸人。その道は辛いぞ」

 

「重々承知さ。それでも今のままよかマシだね」

 

 売り言葉に買い言葉。感情が先走っているのを自覚していても止まれない……後で謝らないと。

 

「いいだろう。だったら証明してみろ……デュエルだ」

 

 父さんの目は本気だ。幼い頃に見た、大きく、頼もしいその姿が、今は目の前に壁となって立ちはだかっている。

 

「わかった。俺が勝ったら、これまでみたいな過干渉は無し。負けたら……これまで通り言いなりになってやるよ」

 

「待って、無茶よ。私は——」

 

「勝つ必要は無い。相応の覚悟と実力を示せば、それでいい」

 

 優しく感じるその条件。確かに優しさもあるのだろう。でも今の俺には、舐めてるとしか感じられない。勝てないと言われている。割って入ろうとした母さんも、父さんの勝ちを確信してるから止めようとしたんだろう。

 

「…ふぅー、わかったよ」

 

 ここは無理にでも、ヒートアップ気味な心を落ち着ける。一度冷静にならなければ、デュエルに支障が出る。

 

「準備を整えて来い。外で待つ」

 

 そう言ってリビングから出て行き、母さんもそれを追うように慌てて外へ……俺一人になる。

 

「上手くいかないな。くそっ、嫌になる…はぁ、準備すっか」

 

 

 一度自室へ……。

 

 机の上、真っ黒く塗り潰されたカードが置かれている。

 

 ある夢を見た。明晰夢ってやつで、滅びた世界で真っ黒な影とデュエルした。特に強くなかったから、苦戦せず勝利。目覚めた時、カードパックとこの黒塗りのカードが、報酬だと言うように手元にあった。

 

「怪しさ満点。けど何故か手放せないんだよな…パックも怪しかったが、別に異常は無かったし……そいやあの影、何か意思を持ってそうだったが…今考えるのはそのじゃないな」

 

 今回の相手は父さんだ。俺の師匠に等しい。正直言えば、勝てるかわからない。

 一度冷静になれて良かった。情けない話、啖呵切っといて速攻で後悔した。とは言え、負ける気は当然無い。

 

 正体不明のカードを手に取り、デッキに組み込む。

 

「役に立ってくれれば良いんだがな」

 

 今度はベッドへ、時計のすぐ横に立て掛けてあるカード…傷が付かないように厳重に保護してあるそれを、ケースから取り出し、念の為プロテクター越しに状態を確認。胸元に仕舞う。

 

「御守りなら、これがあれば十分か」

 

 最愛のカードである『精霊術師 ドリアード』…そのリメイク前、通常の『ドリアード』を御守り代わりにする。いや、代わりじゃない。俺にとってはこれ以上の物は無いのだから……。

 

「デッキはとっくに調整済み。思考に迷い無しと。っし! 行くか!」

 

 結果はどうあれ、全力を尽くす以外にすべきことは無い……絶対に認めさせる。

 

 

 

————

 

 

 

 陸人家の庭……の近く。

 

「ボクたちは何でこんな事を…」

 

「あ、陸人のご両親の登場だねー」

 

 デュエルが見れるから。とここに来て数分。何故隠れているのかは知らないが、遊八たちが様子を探りながら、デュエル開始を待つ。そんな中姿を見せた両親。その父親の方を見た鉄男が小さく反応を見せた。

 

「あれ、あの人どっかで見た気が……」

 

「え、鉄男君の知り合いなの⁉︎」

 

「声を抑えろ! バレるだろ!」

 

「あ、ごめん」

 

 声量を抑えながら叫ぶ陸人の友人。その剣幕に思わず遊八はたじろいだ。

 

「いや、そうじゃないけど。どっかで…」

 

「ちなあの人元有名人だよ」

 

「知っているのか⁉︎ 堅護!」

 

 どうやら知っているらしい陸人の友人、改め『友成 堅護(ともなり けんご)』と、何故かテンションの高い遊八。

 

「遊八君。テンション高いね」

 

「あはは、何でだろね。ボクにもわかんないよ」

 

 遊八の謎テンションに苦笑いを浮かべる小鳥、優希。

 

「なー、それよりデュエルはまだか?」

 

『焦るな。今は準備時間なのだろう』

 

 デュエルが目的組。

 なんとも纏まりが無い。

 

「しっかしさっきから何か話してるけど、何じゃらほい」

 

「ここからじゃよく聞こえないね」

 

 

————

 

「ねえ、ちょっと。今からでも無かったことにできないの?」

 

「ならあのまま止めずにいれば良かったか?」

 

「……私は陸人を傷付けていたのに、それに気づけなかった。だったら、あのままでも…」

 

「あいつは優しい子だ」

 

「そうね」

 

「だからこそ、あのまま言わせればあいつは更に傷つく。思いを吐き出すのは大事だが、それで禍根を残してはならない…俺たちはあいつの為に、これまで多くを注いだ。それが間違いだったとしても、想いは本物だったはずだろう。だったらあいつが、自分の言動で後悔する結果はお断りだな。全部、俺たちに非があるのだから」

 

「……」

 

 愛が無かったわけではない。少なくとも最初は、陸人を見ていた。純粋に彼を褒めて、多くの挑戦を見守っていた。

 

「良いじゃないか。反抗期が来たんだ。喜ぶべき成長さ」

 

 デュエルディスクを着け、体の調子を確かめる。

 

「悔いるのは俺たちだけでいい。ここから改めて、また良き親としてあいつを見守ってやればいい。そのために、あいつの抱えたもの全部、ここで受け止めてやらなきゃな」

 

「ええ、そうね…わかった」

 

 奇しくも、デュエル研究会結成前のやり取りと似た事が行われようとしている。

 デュエルを通じて、相手を知る。なんともこの世界らしいやり取りだ。

 

「さ、来たぞ」

 

 玄関のドアが開かれた。

 

「待たせた。始めようか父さん」

 

「ああ、ぶつけて来い。お前のすべてを」

 

 陸人の父。素直じゃない人だ。子の成長を喜ぶ父の顔は、陸人を前に一瞬で、子を縛りつける忌むべき親の顔へ変貌。

 彼もこのデュエルで、己の過去にケリをつけるつもりだ。

 

 彩葉家の呪いを断つ儀式(デュエル)が始まる。

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

 陸人   vs  晴磨(はるま) 

 LP 4000    LP 4000

 

  

 

————

 

「お、始まったよ」

 

 親子対決の開幕に、隠れた観戦者も期待する。特に、初めて陸人のデュエルを見る遊馬たちは。

 

「楽しみだぜ!」

 

『ああ、しっかりと見させてもらおう』

 

————

 

 

 

「先行は俺だ!」

 

 陸人からのスタート。いつも以上の気合が感じ取れる。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 すぐに動かず、しっかりと手札を確認する。

 感情に任せて猛進しない。この冷静さが、彼の強みだ。

 

「手札より魔法カード〈二重召喚〉発動。このターン、通常召喚を2回行える。俺はこの2体を召喚。〈クリッター〉、〈九蛇孔雀〉!」

 

 

 

————

 

「レベル3が2体!早速来るのか!」

 

「いや、多分まだだよ遊馬君。あの2体なら素材にするより、それぞれの効果を活かしにくる」

 

————

 

 

 

(この手札とタイミングなら…)

 

「カードを3枚伏せて、ターンエンド!」

 

 慎重な滑り出し。継続してリソースを稼ぎつつ、除去を行い確実にライフを削りに行く、陸人らしいスタートだ。

 

「ターンをもらうぞ。俺のターン、ドロー!」

 

 対する彼はどんなカードを使うのか……。

 

「相手フィールドにのみモンスターが存在する場合に、このカードは発動できる。魔法カード〈炎王の急襲〉」

 

 

 

————

 

(うわっ、炎王…この時期には、俺の記憶にあるカードは無いはずなのに、あのカード自体はそんな見なかったのに…嫌な思い出が蘇るぜ)

 

 彼を苦しめた事のあるテーマのカード。蛙になった気分だ。蛇の眼に睨まれた感覚。

 

————

 

 

 

「デッキから獣、獣戦士、鳥獣族の炎属性モンスターを、効果を無効にして特殊召喚。エンドフェイズに破壊されるがな。〈陽炎獣(ヘイズビースト) サーベラス〉を特殊召喚」

 

 立ち上る業火。揺らめきながら、地獄の番犬を生み出した。無数の蛇の(たてがみ)に、竜のような尾。しかし炎で構成されたそれに、実体は無いに等しい。

 

『陽炎獣 サーベラス』☆6 ATK/2000

 

「そして、こいつをリリース。来たれ、〈陽炎獣 ペリュトン〉」

 

 炎は姿を変える。次に現れたのは、鳥の胴体と翼に、牡鹿の頭と脚を持つ怪鳥。

 

『陽炎獣 ペリュトン』☆6 ATK/1600

 

「〈ペリュトン〉の効果発動。手札の炎属性モンスター1体を墓地に送り、このモンスターをリリース。デッキから〈陽炎獣〉2体を特殊召喚する。新たな炎を糧とし、来たれ、2体の〈陽炎獣 ヒュドラー〉」

 

『陽炎獣 ヒュドラー』☆6 ATK/2300

 

 またしても変化する炎。更に手札一枚が焚べられ、勢いを増した炎は二つに分かれる。次の姿は、九つの頭持つ大蛇だ。

 

「2体の〈ヒュドラー〉でオーバーレイ、エクシーズ召喚。〈エヴォルカイザー・ソルデ〉!」

 

『エヴォルカイザー・ソルデ』★6 ATK/2600

 

 炎交わり出たるは、電子世界に生み出された翼竜。カイザーの名に恥じぬ威容は、自らが進化の先、頂点の存在であると示すが如く。翼を広げ、対する者を見下ろしている。

 

(ペリュトンの効果に攻撃制限は無かったはず…効果破壊耐性を優先したか、手加減のつもりか、さてどっちかな)

 

「素材となった〈ヒュドラー〉2体により、〈ソルデ〉は新たな効果を得る。墓地から2体の〈陽炎獣〉をORUに加える」

 

「罠発動〈捨て身の宝札〉! 自分の攻撃表示モンスター2体以上の攻撃力の合計が、相手の最も攻撃力の低いモンスターの攻撃力より低い場合に、2枚ドローできる! 俺の場には攻撃力1000の〈クリッター〉と、1200の〈九蛇孔雀〉がいる。合計は2200。よってカードドロー! ただし、このターン俺は一切の召喚を行えず、モンスターの表示形式を変更できない」

 

 相手の強力モンスター召喚を逆手に取り、手札を増やす。高打点モンスターの少ない陸人だからこそ、使用できるカードだ。

 

 

 

————

 

「召喚できないって…今相手ターンだろ? それってデメリット無いのと同じじゃねぇか⁉︎」

 

「確かに、使い辛いのによくやるなぁ」

 

 鉄男が驚き、堅護は感嘆する。重いデメリットを持つカードだが、それを考えなくてもいいタイミングでの発動。これには遊八も拳をグッと握り陸人を称賛する。

 

「流石陸人君。後は相手の攻撃も防げるなら完璧ってとこ…無策で使うカードじゃないし、まだ仕込んでるだろうな」

 

 序盤の、まだダメージを許容できる場面とは言え、後々を考えれば最小限に抑えたい。しかしながら、カード名通りの防御を捨てた一手。それを見落とす陸人ではないはず。

 一方で、遊馬とアストラルも彼のデュエルを分析する。

 

「同じレベルが揃ってんのに、エクシーズ召喚しなかったのってこれが理由か?」

 

『そうだな。そしてもう一つ、彼のモンスターはどちらも、フィールドから離れた時に発動できる効果を持っているのもあるだろう。一枚一枚の効果を積み重ね、着実に盤面を固めていく長期戦が、彼のスタイルだろうか…』

 

————

 

 

 

 観客が静かに熱狂するも、それを知らない二人のデュエルは淡々と進行する。

 

「バトル。〈九蛇孔雀〉を攻撃」

 

「通さない。〈風霊術—「雅」〉発動! 自分フィールドの風属性モンスター、〈九蛇孔雀〉をリリースし、〈エヴォルカイザー・ソルデ〉をデッキの下に戻す」

 

 無情の風が皇帝の攻撃を弾き、あまつさえその存在をかき消した。呆気ない退場である。

 

「フィールドからリリースされた〈九蛇孔雀〉の効果により、デッキから〈覚星師ライズベルト〉を手札に加える」

 

「…カードを2枚伏せて、ターンエンド。抜かりないな」

 

「誰にデュエルを教わったと思ってる」

 

「そうだな…よく学んでいる。親として嬉しく思う」

 

「どの口が…あんたも母さんと同じだろ」

 

 返ってくる言葉は無い。

 

「デュエル続行だ。俺のターン、ドロー」

 

 相手は盾となるモンスターがいない。ここでライフを大きく削りたいが、伏せられたカードが怖いところだ。

 

「〈覚星師ライズベルト〉を召喚。そして、墓地の風属性、〈九蛇孔雀〉を除外して〈シルフィード〉特殊召喚」

 

『覚星師ライズベルト』☆4 ATK/1500

『シルフィード』☆4 ATK/1700

 

(クリッターの1000と合わせて4200…削り切れるけど)

 

 真正面から向き合っているため、その表情は丸わかりなのだが……。

 

「……」

 

(ピクリとも動いてねぇ)

 

 無表情。冷や汗一つもかかず、考えが何一つ読めない。

 迷う。勝負を決めに行けるが、それを許してくれる相手ではない……彼の判断は——。

 

「俺は、レベル4の〈ライズベルト〉と〈シルフィード〉でオーバーレイ!」

 

 安全策。

 

「2体の風属性モンスターで、オーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚! 来い、〈電光千鳥〉!」

 

『電光千鳥』★4 ATK/1900

 

 

 

————

 

「確実にダメージを入れる方を取ったか…まあ怪しいもんね、あれ」

 

 前世だったらどうか…削りに行きそうだ。そんな事を考えつつも、今世は今世で、都合良くカードが手元に来る事が、自他共に前世より圧倒的に多い。恐らく陸人の父もそっち側の実力者だ。陸人の判断を否定はしない。

 

————

 

 

 

「〈電光千鳥〉がエクシーズ召喚した時、相手フィールドのセットカード1枚をデッキの下に戻す。右を選択だ」

 

 放電。伏せられたカードを除かんとするがしかし——。

 

「残念だが罠だ。永続罠〈陽炎光輪(ヘイズグローリー)〉発動。表側になった事で、効果は不発に終わる」

 

 外れ。陸人の表情は苦々しげだ。

 

(もう一つの効果を使ったとして、光輪も効果を使えばリソース回復しつつ避けれる。トップ固定はできない…が)

 

「リリース軽減もさせたくないな。〈電光千鳥〉の更なる効果! ORUを一つ使い、相手の表側カード1枚をデッキの上に戻す」

 

「〈陽炎光輪〉の効果。表側のこのカードを墓地に送り、墓地の〈ヘイズ〉と名のついたカード1枚を手札に加える。〈ペリュトン〉回収」

 

 またしても不発。だがわかりきっていた事、瞬時に切り替える。

 

「仕方ない。バトル! 2体で直接攻撃!」

 

 何かあれば使うはず。しかし、結果は予想外なものだった。

 

「ぐっ……」

 

 晴磨 LP 4000→1100

 

「何も、無い…?」

 

「そうだな。そのモンスター・エクシーズを出してくれたお陰だ」

 

 起動しないカード。大ダメージを受けて尚も揺らがない貫禄。ポーカーフェイスが上手いで済むのだろうか…。

 

「くっ…カードを1枚伏せて、ターンエンド」

 

 

 

————

 

「うっそ⁉︎ あれで何も無いですとか肝据わりすぎだろ⁉︎ 表情筋死んでるんか⁉︎」

 

「言い過ぎだろ。とは言え、相変わらずだなあの人…」

 

「いやほんと誰なのあの人⁉︎ 教えてよ堅護くん!」

 

 もしかしたらもう一枚で防げたのかもしれない。むしろその可能性が高い。だが、つい驚愕してしまった。彼の発言の所為もあるだろう。そして……。

 

「お前ら…何してんだ?」

 

 声を荒げた所為でバレた。

 

「あっ…よっ、デュエル、見に来たぜ」

 

 仕方なし、と大人しく姿を見せる。

 

「君は、陸人の友人か。まさか見ていたとは…できれば知られたくなかったのだが」

 

「すいません。どうしても、陸人の様子が気になったもので。それにしても…相変わらず強いですね、元極東エリアチャンピオン」

 

「「……」」

 

 ゆっくりと顔を向き合わせる遊八と優希。視線が交わる。どうやら、考えている事は同じな様子。

 今、彼はなんと言った?

 

「あーっ! 思い出したぜ! 極東エリアでチャンピオンに次ぐ実力者。引退までランキング二位をキープし続け、未だに復帰を望む声も多い晴磨プロだ! 俺たちが生まれる前にはチャンピオンも経験してたらしいけど、本当だったんだ!」

 

 見覚えがあると言っていた鉄男。思い出したようだ。

 

 上級モンスターを多数並べ、パワフルで熱気溢れるデュエルを展開。同時に、ポーカーフェイスや言葉で揺さぶり、的確なカードプレイで相手を追い詰める、冷静沈着でクールなプレイスタイルを見せる。

 その底知れなさと、デュエルに対する情熱で、多くの人々を魅了したのが、彩葉陸人の父…彩葉晴磨だった。

 

「「え、ええええええぇぇぇぇ!」」

 

 驚愕。友達は元プロの子。優希と二人で絶叫する。

 堅護の言葉を思い出す。元有名人。合っている、合っているがその一言で済ませちゃうのか…と、遊八は思った。

 

「随分と遠い世界の人が出てきたもんだ」

 

 そんな彼など梅雨知らず、晴磨はかつてに思いを馳せる。

 

「……懐かしいな。今でも思い出せる。充実した日々だった」

 

 小さな笑みを浮かべて語る彼の声には、どこか忌々しげな色が混じる。

 

「だがかつての栄光は、俺にとって頂点に縛りつける呪いだ。現役を引退した今も、この身を蝕み続けている。もう決して届かないチャンピオンの座を求めている」

 

 操るモンスターに反して、今の彼から熱を感じることは無い。そんな彼の様子に我慢ならなかったのは陸人。

 

「何が届かないだ。そんな諦めたような口ぶりで…」

 

 感情の吐露。先程より明確に形成され始めた本音で、彼は両親へ言葉を投げる。

 彼の心の内が、今再び曝け出される……。

 





 陸人の父ちゃんは強かった。プロの世界でⅣに次ぐ実力を持っていた……陸人もそうだが、なんでこんなに盛られちまうんだ…。次回、どうやら私は彩葉家大好きだった…?

 冗談…じゃないかもだがそれは置いといて、次回もやばいぞ。長くなりそうで、一万字超える可能性がある。この内容を一話でなんて、到底無理な話だったんだ。
 これが、行き当たりばったりの弊害。
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