遊戯王ZEXAL 転生決闘者『築根ゆうや』 作:ふわ×フワ
今日はお休みと言ったな…あれは嘘だ。
遊八とアンナの因縁はこれで一区切り。
あらかじめ言っておく。これが正解なのか、私にはわからない。本当にこれでよかったのか、今も唸っている。
とにかくわかっているのは一つ! 私は恋愛描写が苦手であること!
マジで悩んだ。
思えば、僕がアンナへ向ける感情を明確にした事は無かった。
理由は一つ、好意が過去のものと思っていたから。そしてそれが遊馬に向くと知っていたからだ。まあ、その事実は事実でなくなったけども……。
前世でアンナは、所謂推しだった。前世の僕の境遇を考えれば、イジメを想起させるキャラは遠ざけそうに思えるかもしれない。
なら何故推していたのか。答えは簡単……猪突猛進。自分の道を真っ直ぐ、全速力で突き進む姿に惚れたからだ。
羨ましかった。あの頃は常に自分を押し殺していたから、ああなりたいなって、自由に、自分に正直に生きたいって思ったから……まあ他人に迷惑かけてまでそうしたいとは、思わなかったけど。アンナ本人も意図してないわけだし。
結局その思いは実らず死んだ。
転生してからはどうだったか……記憶に残る展開のメモを一通り書き終えてからは、人生のやり直しに注力し始めた。前世の思いがあったからだ。
自分を縛る鎖が緩んでいる気がして、ならと、自分のやりたいようにやってみようとした。それも失敗に終わったのだけど……。
鎖は緩んでいただけ。染みついた感情に邪魔されて、最終的にはアンナ本人によってトラウマが蘇ってしまった。また、鎖がきつく縛られた。
あーでも、アンナに悪感情を抱きはしなかった。どれも自分の弱さが根底にあるのだから、自分の所為だろう。むしろアンナには感謝している。遊馬もそうだが、僕にチャレンジする理由と勇気をくれた。それに、前世から変わらずいじめられっ子だった僕を、助けてくれた事もあるし。
総合的には、憧れ……が近しい気がする。はっきりしないのは、自分のこういう感情を分析することがほぼ無かったから。最近やり始めたのにいきなり満点叩き出せなんて、簡単に言わないでほしい。
(まあこんな小難しいこと考えずに、可愛いから、なんてのもあるんだけどさ)
今は二人で空の上。なんとかこの状態に慣れてきたところだ。高所恐怖症になりそうだった……。
と、どうやら目的地に着きそうだ。操縦ミスによる暴走で遠回りしたが、無事、五体満足で空の旅が終わりそうです。
……
「よっし、到着だぜ!」
「あー、生きてる…僕生きてるよー」
地上に戻ってきた二人。遊八は一気に緊張から解放された.
「大袈裟じゃないか?」
「心頭滅却すれば、火もまた涼し……だっけ? まあいいや。もう上空でのドタバタはゴメンだよ……」
心を無にしたり、考え事をしたりでどうにかやり過ごした遊八だが、今の彼はげっそりしている。
「それはその…ごめん」
遊馬たちと別れた後、別に遠くないはずの目的地に、右往左往しながら向かっていたのだが、これがまあ怖いのなんの。
スピードは速いし、上昇と降下を繰り返すし、ビルやら何やらにぶつかりかけるしで、遊八は過去一番死を覚悟した。まさかナンバーズ関係以外でするとは思わなかった。
「まあ大丈夫だ。死ななかったし!」
気遣いなのか切り替えが早いのか……なんであれ顔色が一瞬で元に戻る。口調も明るい。
「……ようやく来れたよ。待たせちゃったね」
「ほんとだぜ……でも、来てくれたんだ。許してやる」
ちょっとムスッとしつつ、けれど穏やか。普段より大分お淑やかな雰囲気だ。
「ははっ、ありがとう」
二年の時を超え、約束の場所に立つ二人。側に立つ一本の木は、あの時と違い青い葉を茂らせ、強い日差しから二人を守っている。木陰を流れる風は涼しく、心地良い。
感傷に浸るのはほんの少しだけ。すぐにアンナが切り出してきた。
「改めて言うぜ。遊八……俺は、その……お前のことが好きだ」
「うん……」
「だから、その……つ、付き合って…下さい」
少しの恥じらい。顔を紅潮させながらの告白。
「……」
遊八は考える。向き合う。持ち越さずにここで、気持ちをはっきりさせる。
「凄く、嬉しいよ。まずは好きでいてくれてありがとう」
「……」
感情の輪郭を捉えるためか、紡がれる言葉はゆっくりとしている。それを静かに、真剣に聞くアンナ。
「ただ……うーん、ちょっと待ってね」
こういった経験は無いために、言葉に詰まる。それでもアンナは、急かさずにいてくれる。
「……うん。よし」
なんとか思考をまとめ、再び言葉を紡ぐ。
「まだ気持ちの整理がついてなくて、恋愛的なね……だから、友達からでお願いします」
結局はっきりしてないんじゃ?
そんな事を自分で思う遊八。けれど、関係の積み重ねはほぼ無く、好きの違いについて理解が薄い以上は、少しずつ進めていくしかない。そう結論付けた。
「……ん?」
けれどアンナは何か引っかかったようで……。
「遊八さっき付き合ってもらうって……」
「え? うん」
「うーん? いや、完全に振られてもない? いやいやでも付き合ってもないじゃないか?」
理解が追いついてないのか。珍しくぶつぶつと呟くアンナ。ここで一つ問い詰める。
「そうだよな! 付き合うんじゃなかったのか!? どういう事だ遊八!」
「え⁉︎ いや、え……あ! 付き合うってそういう——」
遊八、決定的なミスとアンナの勘違いに気づく。
「僕が言ったのはここに来る事そのもので、別にOKサインじゃ……」
「ぬぬ、うぐぅ〜、騙したなあ! やっぱりここでお前を撃つ!」
フライングランチャーを突きつける。即断即決でなかったあたり、今回はまだ理性的か、などと思っている暇は無い。
「ストップ! 待って! たんま! ごめんほんと!」
「今更聞き入れるかそんな事!」
「違くて! ほらまだ僕全然アンナの事知らないからもっと知りたいなって! やっぱ好きじゃなかったとかそんなの言いたくないからさ! いや好きなんだけどね!」
「へ?」
全力弁明。全部事実。
またサラッと勘違いさせそうな文言が入った。
「好き…なんだな?」
「好きだよ! でもこれが恋愛感情かって言うとそれはわからないから! だからまず友達になってアンナの事を知りつつ自分の気持ちも知りたいなって!」
真剣に向き合いたいがために、慎重なのだった。
アンナも、唸ってはいるが理解は得られそうだ。
「……わかった。そう言うことにしてやるぜ」
「勘違いさせてごめん。ちょっと言葉選びが悪かったよ。でもアンナと真剣に向き合いたいのは本当だ」
真っ直ぐ目を見て伝える。
恋愛に無知な遊八が、アンナを可能な限り傷つけないよう配慮した結果なので、あまり悪くは言いづらい。
「うぐっ…まあお前、そういうとこあるもんな」
記憶から引っ張り出してきて、渋々納得したアンナ。やはり理性的だ。真剣な恋で、かつ遊八の本心を聞いたのが理由だろうか……。
「そういうとこってどこだ?」
「気遣いできるとこ。優しいよなって」
今回のそれはズレてるけど、と補足する。
恋してるだけあって、遊八の良いところはちゃんと知っている。当の本人は首を傾げているが。
「さりげないけど、よく困ってる人を助けてたよな」
荷物を運んであげる。怪我した子を保健室に連れていったり、絆創膏を貼ってあげたり。学内だけでなく街中でも。
自覚は無いが、小さな人助けを何度かしていた。
「その優しさが、今は俺を気遣う言葉として出たんだろ?」
「気遣う…確かに傷つけたくなかったからで……そっか、優しいのかこれ」
嫌われたくない。でも嫌われるのは慣れていて、前世で自分の所為だと言われる事ばっかりで、だからもう誰かを傷つけたくなくて……。
そんな臆病から生まれた思いが、些細な気遣いとして表れたのかもしれない。そう分析した遊八。
「ああ、優しいんだよ遊八は……それに勇気だってあった」
「勇気? 僕に?」
頷くアンナ。
かつての遊八には、今に至る土台がしっかりとあったのだ。
「いじめられっ子を庇ってた事、あっただろ」
「庇った、ね……記憶違いじゃないなら、あれは僕も関係あったし」
どれくらい前だったか……遊八が助けた子が一人いて、それが気に食わなかったいじめっ子が、その子に遊八が嫌いかどうかを聞いていたのだ。もっとも、嫌いと言うのを強要していたようなものだが……。
「その子が殴られそうになって、でもその子は何も悪く無いから、それでって感じだったはず」
口にはしないが、悪いのはその子を巻き込んだ自分。なら殴られるのも自分だろう。そんな事を当時考えていた。
そして、その直後である。
「アンナが助けてくれたんだよね。急に現れたかと思えば、いじめっ子に蹴りかかって…びっくりしたよあれ」
「うん。なんか懐かしいな……多分あの日からだと思うんだ。俺が遊八を好きになったの……」
お互いにとって、忘れられない出来事。
これがあったから、遊八はアンナを嫌いなるなどありえなかった。
これがきっかけで、アンナは遊八を好きになった。
「そんなかっこいいもんじゃ無かった気がするけどな……」
「かっこよかった! 優しくて、でもそれだけじゃなくて……いつも泣いてばかりいたお前が、誰かを守ろうと必死になってた。今にも泣きそうなのに、絶対に退かなかった……本当に、かっこよかった」
自分には無い強さを持っている気がした。それを羨ましくも思った。でもそれ以上に……輝いて見えた。誰かのために立ち向かえる、優しい強さが。
アンナも曲がったことが嫌いで、よく喧嘩をしていたし、いじめられっ子を守っていた。けれどそれは、自分が気に入らないからで、守るという意識は無かったように思う。
そんな時に目にした、遊八の強さ。普段の弱々しい彼とのギャップに彼女は惚れたのだった。
「でも危なっかしくて、だから守りたくなった。それと……遊八の優しい笑顔が、その…見たくて……俺に向けて欲しくて……」
件の子を助けた後、二人ともお礼を言われたのだが、その時に見せた遊八の笑顔が眩しくて、その子が羨ましくなって、独り占めしたくなったアンナ。
(だから熱烈にアピールしたわけね……なんであんな出力になったんだよ! 空回りしすぎじゃないかな⁉︎)
恋とはそういうものなのだろうか。そんな事もあるか……。遊八は一つ賢くなった。
「そっか……うん! アンナが僕をどれだけ好きかは、十分伝わったよ」
「お、おう……」
顔が赤くなっていくのがわかる。やっぱり可愛いなと、遊八は再認識する。心に大きな余裕ができた証拠だ。
「僕もその想いを裏切らないよう頑張らないとな。これからもよろしく! アンナ!」
「うん! ……あれ? 結局——」
「僕はアンナが好き! 以上!」
「おう、そっか……へへ、好き。好きか……」
強引に終わらせた遊八。
いつか必ず、今度は自分から想いを伝えねばと、そう思うのだった。
「さてと、んじゃあこの後どうすっかなぁ。成美さんと遊馬、小鳥ちゃんにお詫びもしないとだし……あ!」
その時遊八に妙案浮かぶ。
「みんなを家に招待しよう! これなら成美さんに家事を教える約束も果たせるし……アンナも——」
「良いのか⁉︎」
「……も、もちろん」
食い気味な大声だったのでびっくりした。
「へへ、遊八の家かぁ。楽しみだぜ」
「まったく、そんな喜ばれるとは……ふふ。こりゃ一層頑張らないとね」
嬉しそうなアンナ。期待になんとしても応えねばと意気込む遊八。
これにて、二人の関係に一つの区切りがついた。
過去の因縁はここで終点。路線を乗り換え、今度は共に進んで行くのだ。
遊八とアンナ、新たな未来へ出発進行!
とりあえず、今日は家でパーティだ。夕飯は何を作ろうか、今から考えるの遊八だった……。
次回からも難しい。他の研究会メンバーのデュエルに、遊八君の残りのピース集め。原作をどれだけ崩すか……。
特にキツいのは本戦から。コースターのルールはよくわかんないし、最後の一騎打ちは対戦カードが元から良いので崩していいのか……。
まだ決まってないのかって? ええそうですまだなんですよ。
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