遊戯王ZEXAL 転生決闘者『築根ゆうや』   作:ふわ×フワ

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 作者より頭の良いキャラは書けない。それを痛感し始めており……。お口のやり取りって難しいですわね。いえ、そこは学ぶのです。語彙と人の心を。

 感想、評価など、大変励みになります。誠にありがとうございます。
 評価バーが遂に色つきになりましてねぇ。嬉しい限りです。でも、こんなんで満足せず、これからも精進して参りますよ。



No.25 結ばれた因縁

 

         

 夜の計画を立てる遊八に、着信が届いた。

 

「ん、堅護から……? ごめんアンナ、ちょっと待ってて」

 

 通話を繋げれば、何やら焦った様子。

 

『遊八! 優希がⅣに……! 陸人が遊八に連絡しろって!』

 

「——っ!落ち着いて! 優希は無事なんだな!」

 

 そう聞けば、薄らと声が届く。

 

『ボクは……大丈夫、だよ。それよりも陸人くんの所に……心配…だから』

 

 大丈夫そうには聞こえないが、ひとまず無事ではありそうだ。

 

『ついさっき起きたばっかだろ、無理すんな……とにかく! 優希クンはこんな状態で、陸人は今一人なんだ!』

 

 そしてどうやら、陸人がまだⅣと……悪魔の決闘者といるようだった。

 

(そうだよ言ってたなチクショウ……ッ! あークソッ!また僕は自分ばっかりで——違う)

 

 思考が後ろ向きになりつつあるのを自覚する。だが、今はそんな場合ではない。すぐに陸人の下に向かわねばならない。

 

「堅護君。優希君を頼むよ」

 

『遊八……勿論だ。陸人の居場所も送っとく。そっちも任せた』

 

 落ち着きを取り戻した堅護から、すぐに座標が送られてきた。

 

「任された……アンナ! フライングランチャー借りたい!」

 

 通話を終了し、最速で向かおうとする。

 

「急ぎだな! 当然だぜ!」

 

 快く貸してくれる……が。

 

「……あーごめん。使い方教えて?」

 

「ったくしゃーねぇな! 場所教えろ!」

 

「ありがとう! 場所はここ。全速力で頼んだ!」

 

 見かねたアンナが、遊八を乗せて再び空を行く。

 

(無事でいろよ。陸人……)

 

 

 

 

 

 ——ほんの少し遡り、単身残った陸人がⅣと睨み合う……。

 

「もう少し、俺とお話しましょうか? Ⅳさん」

 

「ファンの望みとあらば……と、言いてぇところだが、生憎俺は忙しいんだ」

 

「あー、そりゃそうだ。チャンピオンともなりゃ当然か。大変ですよねぇ——期待に応えるってのは」

 

 どこか含みを持たせた物言い。ⅣもⅢも訝しむ。

 相手は推定イレギュラー。調査対象だ。二人はその場に留まって、会話に応じる事にした。

 

「あぁそうだな。ま、だからこそサービスし甲斐があるってもんさ」

 

「へぇ、そうなんですねぇ。いやぁ、自分を偽るのも楽じゃないでしょ? よくやってますよ」

 

「……何が言いたい」

 

 普段の顔と、プロの顔。この二面について……だとは思うが、陸人はⅣの何を見たと言うのか。

 

「さっきのデュエル、違和感があったんですよ」

 

「ああ?」

 

「中身だけなら、そうおかしくはない。相手の全力を引き出して、更に上から叩き潰す。相応の実力がないと成り立たない、まさにプロだからこそのデュエルでした」

 

「……」

 

 何を言われるかと思えば、急に評価し出した。考えが読めない。

 

「違和感を感じたのは表情です。Ⅳさん、そしてⅢ君も……何を考えているんです?」

 

「それを聞きたいのはこっちだな」

 

「俺はただ、貴方たちを知りたいだけです…で、そちらは?」

 

「……答えるとでも?」

 

 お互い相手を計りかねている。

 

「まあ後ろ暗い何かがあるんでしょうね。自分を偽ってでも、成し遂げたい何かが……だからⅣさんの、あのファンサービスとやらに、Ⅲ君はどこか、心を痛めたのでは……?」

 

「……っ」

 

 ここで陸人が、一歩踏み込んだ。Ⅲの顔が一瞬、気のせいかと思えるほど一瞬だけ、歪んだ。

 

(人が痛めつけられるの見て、全く何も思わない。んなのまともな感性ならありえねぇ。ここまで確証は得られなかったが、あの反応なら間違い無い。彼、良い子ちゃんだ)

「……次にⅣさん。貴方には、サディスティック…ですかね…? な一面があるのかもですが、極悪非道な人ってんでも無さそうだ。むしろもっと単純……意外と…情だとか、影響され易かったりします?」

 

 どこを見てそう考えたのか。何のつもりなのか……Ⅳは無性に苛立った。

 

「趣味は人間観察ってか? ハッ、ませてんねぇ」

 

「そんな気は無かったんですが……まあ、少しばかりあなたを出し抜きたかったのはありますね」

 

「……」

 

 生意気。怒りがあるくせに、スカした顔している目の前の少年が、Ⅳはとにかく気に食わない。

 

「ねぇ、Ⅳさん。なんで最後の、優希が笑ってた時——あなたも少し、嬉しそうに笑ったんですか?」

 

「な——」

 

 内心が漏れていた? それともハッタリ? いずれにせよ、今の自分の反応はミスだと気付く。

 

「その後も顔、真剣でしたね。悪魔の笑みじゃ隠し切れてなかった……Ⅳさん。何か不都合な感情でも抱きましたか? となれば果たさなきゃならない使命でもあったり?」

 

「テメェ——ッ!」

 

 我慢の限界に達しようかというその瞬間。側で見ていたⅢが、割って入る。

 

「兄様! 落ち着いてください。彼は恐らくイレギュラー。その相手は、僕の役目です」

 

(役目……Ⅳはナンバーズ集め担当ってとこか。Ⅲがイレギュラー担当…イレギュラーって何だよ。まさか偽のナンバーズに勘付いて……?)

 

 Ⅲによって、舌打ちしながらもⅣは落ち着きを取り戻す。

 

「そうだな。少し熱くなり過ぎた……こっからは任せるぜ、Ⅲ」

 

「はい、兄様……君、陸人って呼ばれてたね」

 

 ⅣからⅢに、選手交代といったところか。

 

「そういえば自己紹介、してませんでしたね。彩葉陸人です」

 

(彩葉、ねぇ…懐かしい名だ……)

 

「……陸人。君は何故、僕たちを知ろうとする」

 

 攻守逆転。次に問うのはⅢ。

 

「君も感情を隠している。怒りが丸見えだよ」

 

「そりゃ友達を傷つけられて、キレるなって方が無理な話だ」

 

 バレているなら隠す必要は無い。陸人は怒りを表出させる。

 

「なら——」

 

「俺の感情なんざ関係ねぇって話だよ」

 

 けれど、それだけ。

 今の彼にとって、自分の感情は二の次。原動力であっても、それをぶつけるのはついでに過ぎない。

 

「優希は最後まで全力を尽くした。笑顔で学び、楽しんだ……そして、Ⅳを悪者にしなかった……ここで俺が怒りに任せたら、あいつのデュエルが無駄になる気がしてな」

 

 優希は言った。良いデュエルだったと。

 今、怒りに任せた言動を取れば、あのデュエルを否定してしまいそうだったのだ。それはならない。優希のために……。

 

「別にこれは俺の勝手だ。気にする必要なんざ無いのかもな……まあこれでも、感情のコントロールは得意な方でね。あんたらも根っからの悪人ってんじゃ無さそうだったから、ここは一度抑えとこうって思ったわけさ」

 

「理解できねぇな」

 

「しなくていいですよ? Ⅳさん」

 

 顔を顰めぼやいたⅣに、攻撃的な笑みを向ける。また表面を取り繕う。

 

「貴方たちの目的はわからないし、教えてもくれないでしょう。けど、貴方たちは悪人を演じている。そう感じたから、貴方たちを知ろうと思った」

 

 素は隠れようと、語るのは本音。取り繕うのは、相手のペースに乗せられないためだ。

 そんな彼に、Ⅲは観念した表情を見せる。

 

「……どうやら、これ以上話しても無意味そうですね」

(彼、手強いな。逆に探られるなんて……なら次は——)

 

 その一言を合図に、ⅢはⅣとアイコンタクトを取る。

 陸人も、これ以上の情報を引き出すのは困難と判断した。

 

「……ぽいな」

(しゃーないか。今はこれで十分としよう。多少は引き出せたろ)

 

「彩葉陸人…覚えておけ。テメェは俺が、必ずぶっ壊す」

 

「いいでしょう。受けて立ちます。その時はお互い全力でね? チャンピオン」

 

「……チッ」

 

 舌戦を制したのは陸人だろうか。

 Ⅳと陸人。次はデュエルによる決着を、お互い望む。

 

「あ、そうですお帰りの前に…」

 

「あ? まだあんのかよ」

 

 踵を返すⅣに、どうしても言っておきたいと言い、引き留める。

 苛立ちを隠さず聞き返すⅣに、無言で言葉を待つⅢ。

 

「貴方たちが何を企んでるのかは知りません。ただ……家族は、大事にして下さい」

 

「……言われなくてもそのつもりだ」

 

 そこに込められた感情は、複雑。

 

 家族。この言葉を、陸人はただ親切心で言っただけだった。非道に手を染める彼らが、せめて家族だけは巻き込まないように、迷惑をかけないように、釘を刺すつもりでの発言なのだ。

 だからこの反応は、思いがけないものだった。

 

(……なるほど、思いの外根が深そうだな)

 

 目的は依然としてわからないが、彼らに些細な共通点を見つけた陸人は、少し態度を軟化させた。

 

「そりゃ良かった。家族は心の拠り所。笑顔でいるのが一番ですからね」

 

 しかしⅣにとっては、ただでさえ気に食わない存在。その少し安心したような、彼らを慮るような声は、却って神経を逆撫でする。

 

「テメェに何が——」

 

「わかりませんよ」

 

「は——?」

 

 声を荒げようとしたⅣを遮る。

 

「俺には、貴方たちがそうなった理由なんてわかりません。でも、もし想像通りなら、理解できる部分はあるはず。俺も家族は大好きなんでね」

 

 過程、規模、その他要素に差はあれど、少し前自分と似た思いを抱いているのでは。Ⅳの歪み、Ⅲの些細な表情の変化から、そう読み取った。

 

「理解? さっきからそうだが、テメェが? 俺たちを? 何様のつもりだ」

 

「別に…勝手な想像で余計なお世話を焼いてる。とでも思っとけばいい。でも——」

 

 完全には堕ちていないのだ。ならば祈ろう、彼ら家族に——。

 

「祈っときますよ。貴方たちが、また家族と笑い合えるようにね……」

 

 敵対するものと思っていた。何故歩み寄ろうとするのか……。あまりに想定外。Ⅲも、Ⅳも、言葉を失う。

 

(早とちりなら黒歴史確定。だがまぁ、この程度の恥で情報取れるんなら良いだろう)

 

 ナンバーズが関係するなら無視はできない。最も大きい原動力は怒りだが、そればかりにならない陸人。

 

 だからか、彼らには脅威に映った。映ってしまった。

 

(何なんだよ。あの優希って奴といいアイツといい、何で……)

 

 怒りに震える。しかしどこか胸が痛む。感情が混ざってわからない。

 Ⅲも同様、罪の意識を刺激されるが、これは家族のため。Ⅳに呼びかけ、調査は次の段階に移る。

 

「兄様……。っ! 兄様は先に報告を!」

 

「チッ……ああ」

 

 Ⅳの右手、刻まれた紋章が輝けば、彼はその場から姿を消す。

 

「ッ! 消えた? どこに——っ!」

 

 瞬間、陸人の手首に赤いエネルギーが巻き付く。

 

「んだよコレ!」

 

「それはデュエルアンカーです。僕とデュエルしないと、外れない」

 

「……お前を伸す必要は無いんだが?」

 

「余裕だね。あまり調子に乗るなよ。彩葉陸人——!」

 

 警戒心が異様に高まっている。刺激し過ぎたかもと反省する陸人。大人しく受ける事にした。

 

「仕方ない…か。わかったよ。なら少し、八つ当たりさせてもらう」

 

「勝った気になるには、早過ぎるんじゃないかな」

 

 睨み合う両者——そこに、上空より空気をぶち壊して乱入者が現れた。

 

 

「おぉ空の上からぁっ! こぉんにちはあああ‼︎」

 

 

「「⁉︎」」

 

 所謂ヒーロー着地をする一人の男。二人の意識は彼に移った。

 

「無事かい陸人君!」

 

「……お前……こっちは落ち着きが欲しいな」

 

 その正体は築根遊八。陸人は天を仰いだ。

 

「おーい! 急に飛び降りんじゃねえ!」

 

「ごめん慌ててたから…でもほら! 僕は五体満足! 元気ビンビンさ!」

 

 アンナも遅れてやってくる。

 

「君たちは……?」

 

 新たな人物の登場により、Ⅲは軽く混乱している。が、取り乱す程ではない。

 

「んあ?」

(……あ、Ⅲ! 何故ここに⁉︎ 普通にⅣの付き添いかなぁ)

「僕は築根遊八。こっちはアンナだ。堅護から連絡が来てね。大急ぎで飛んで来たってわけさ」

 

「陸人のお友達か……」

 

「一人でⅣといるって聞いて来たけど……いない…先に撤収した感じかな?」

(無事…良かった。陸人なら簡単にはやられないと信じていたけど……待て、そもそもデュエルすらしてない⁉︎)

 

 素早く状況確認。おちゃらけていたが、それは平静を保つため、心臓はバクバク鳴っていた。

 

「ああ、少しお話してそのままな……つっても、追えなかったってだけだが」

 

 思いっきり腕を引けば、巻き付いたエネルギーが再出現する。

 

(あれって…まさかデュエルアンカー)

 

「お友達には悪いけど、彼をそのまま帰しはしないよ」

 

「てな訳で、これからあのⅢって奴とデュエルするんだ」

 

「なーるほど」

 

 把握完了。遊八から見て、陸人に敵意剥き出し状態。珍しく何かやらかしたのか? などと考える。

 

「えーっとじゃあ……頑張れ二人ともー!」

 

「……?」

 

 Ⅲは、何故自分まで応援されているのかわからない。

 

「気にすんな。いやなんでかは俺も気になるが、気にすんな」

 

「調子が狂う……」

 

 遊八が前世の記憶を持つ事は、彼のナンバーズ以外は誰も知らない。故にその行動に疑問を抱く人物は少なくない。

 が、そんな事は捨て置く。今はデュエルが最優先だ。陸人が負ければ、何があるかわからない。

 

(偽物とはいえ、ナンバーズ持ち。アストラルですらすぐに気付けない程の代物だ。バレたら魂ごと取られちまう……)

 

 ナンバーズ・ハンター。カイトについては共有しているが、彼以外の情報は伏せている。Ⅳのデュエルを見たならば心配いらないだろうが、最悪を想像してしまう。

 

「んじゃ気を取り直して……優希が受けた痛み、お返しするよ。知ってて止めなかった以上お前も共犯だからな」

 

「できるものなら、ね。僕も君と戦う理由がある。知られてばかりじゃ気分が悪い……」

 

「だったら引き出してみなよ。まぁ、ナンバーズを集めてる奴に、タダで情報をやる気は無いけどな」

 

 ぶつかる視線。熱される空気。もう二人を止めるものは何も無い。

 

「バチバチだな……」

 

「……うん。熾烈な戦いになりそうだ」

 

 アンナに共感しつつ、ここに至るまでの経緯を考える。

 

(知られてばかり…情報…陸人あいつ地雷踏んだ? じゃあその地雷は……復讐…トロン…父親…家族——家族か!)

 

 そして遊八は思い至った。

 彩葉家の一件は記憶に新しい。細部は異なるが、似た部分はあるように思えるし、そうでなくとも、親が子の思いを蔑ろにするその一点は、二つの家庭に共通している。陸人が何かを感じても、おかしくは……ない?

 

(ええと、鋭くなぁい? わかるもんなんだねぇ……デュエルも強いしさ、脚本な都合で消されたキャラみたいな立ち位置にいねぇか? 良かったよこれが現実で……それならそれで問題か)

 

 現にⅢに敵意を向けられている。因縁ができているのだ。

 

(デリケートな問題だしなぁ……全部終わった時、二人が友達になれるといいんだけど……)

 

 自分もなりたいし。そんな思いもあり、陸人の立ち回りに注目するのだった。

 

「頼むよ陸人……」

 

 

「デュエルディスク、セット」

 

 不用意に踏み込み過ぎた。それでもまだ表面をなぞった程度だろう。けれど陸人の、彼ら家族の幸せを祈る気持ちは本物。

 

「Dゲイザー、セット」

 

 非道に手を染めるのを見た以上、完全に人の心を失うのだけは避けたいところだ。せめて楔は打ち込みたい。

 

(取り戻せた、恵まれた俺が踏み入るのは、烏滸がましいのかもしれねぇ。けど——)

「……大丈夫。行ける」

 

「覚悟しろよ……陸人!」

 

「ああ。そっちもな…Ⅲ!」

(余計なお世話、焼かせてもらおうか!)

 

 思い浮かぶのは、すぐそこにいる遊八と、今はいないが優希。そしてもう一人、九十九遊馬。

 お人好しな友達なら、やりそうだから……。

 

 

「「デュエル!!」」

 

 陸人   vs   Ⅲ

 LP 4000     LP 4000

 

 新たな因縁。陸人の祈りは、届くのか……。





 風呂敷どんどん広がリング。着地点はどこだ——!

 陸人君とⅣのデュエルが予約されました。今はまだですけど、私も書きたいし、そこまでに陸人君に強者ムーブを維持してもらわないとね。
 結果、次回の内容に悩む事に……。
 まだ本文にすら辿り着いてない。
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