遊戯王ZEXAL 転生決闘者『築根ゆうや』 作:ふわ×フワ
前回に引き続き当日仕上げ。粗はあるでしょうがどうにか書き上げました。(満身創痍)
前書きと後書き。なんか書いとかないとーって思ってずっと書いてましたが、見返してこれ自分書かんほうがええ気がするわぁ思いまして、今回が最後。
今後は必要そうならそん時にって感じやね。
それでは陸人vsⅢ、終盤戦をどうぞ。
「僕のターン、ドロー!」
Ⅲの足元、影が円形に広がり波打っている。
「何が起きてんだ……あの影、まさかあの人型のと同じとか言わねぇよな……」
「遊八…あれって一体……?」
「わからない。けど……ただの演出じゃあ絶対無い」
(でもあの感じは……受け入れたくないな)
突如として溢れ出した力に、動揺が広がる。Ⅲに異常は見えないが、遊八にとってこの事態は看過できない。
(原作大崩壊。これまでずっと僕たちだけだったのに、主要キャラにまで影響し出した。これでまだバリアンが控えてんだろ? 収拾つくのかよ……いや、今はとにかく——)
「頼む……陸人君……」
今はただ、勝利を祈るしかできない。
「僕は魔法カード〈パレンケの石棺〉を発動! 自分フィールドに〈先史遺産〉カードがある時、カードを2枚…ドロー!」
新たな力を得たⅢが、動き出す。
「〈先史遺産ネブラ・ディスク〉を召喚!」
「新たな〈先史遺産〉モンスター。レベル4が2体揃ったか……」
「〈ネブラ・ディスク〉の召喚に成功した時、デッキから〈ネブラ・ディスク〉以外の〈オーパーツ〉カードを手札に加える! 僕が加えるのは、〈先史遺産ウィングス・スフィンクス〉! そしてこのカードには、〈先史遺産〉モンスターがいる時特殊召喚できる効果がある」
それが意味するのは、レベル変更効果の実質的な封殺。
「レベルを変えても、あのモンスターを特殊召喚すればまたナンバーズが……なるほどな」
その意識を植え付けることで、陸人は効果を使用せずにスルー。この瞬間を、Ⅲは待っていた。
「そう言うことさ。そして僕は、レベル4の〈コロッサル・ヘッド〉と〈ネブラ・ディスク〉で、オーバーレイ!」
「っ! しまった!」
既に見えているナンバーズに、気を取られすぎた。
「2体の〈先史遺産〉モンスターで、オーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚! これが僕の新たな力! 現れろ、〈No.36〉!」
「あれは——っ⁉︎」
小型のマシュ=マック、と言うのが近いだろうか。水色のバリアに覆われた街。その中央には、黒い石が浮いている。
「〈先史遺産-超機関フォーク=ヒューク〉‼︎」
『No.36 先史遺産-超機関フォーク=ヒューク』★4 ATK/2000
持っていないと思われた、本編未登場のナンバーズ。あの影の影響なのだろう。ならばおそらく、偽のナンバーズだ。
「新たな…ナンバーズ……」
もはや余裕ぶってなどいられない。しかし、一体だけならまだ——
「新たな力は、ナンバーズだけじゃない! 僕は罠カード〈
「ヤバい! 陸人君っ!」
記憶が正しければ、あれは未来のカード。時代にそぐわぬその一枚は、オーパーツと言って差し支えないように思える。
「〈フォーク=ヒューク〉を対象として、そのランクよりレベルが一つ上の〈先史遺産〉モンスター2体を、手札、デッキ、墓地から、効果を無効にして特殊召喚する! 来い!〈先史遺産モアイ〉!〈モアイキャリア〉!」
「一度に2体…でも〈覚星師〉の効果で——」
「それは無理だ陸人! まだ効果は終わっていない! 僕は特殊召喚した2体で、オーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚! 再び現れろ、〈No.33 先史遺産-超兵器マシュ=マック〉‼︎」
『No.33 先史遺産-超兵器マシュ=マック』★5 ATK/2400
「効果による…エクシーズ召喚……? しかも素材の確保まで同時に行うなんて……」
「インチキ効果もいい加減にしろ!」
「そ、そうだそうだ!」
空中に浮かぶナンバーズが二体。陸人に絶望を突き付ける。
「覚悟しろ陸人! ORUを一つ使い、〈フォーク=ヒューク〉の効果発動!1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体の攻撃力を、このターン0にする! 僕は〈バロメット〉を選択!」
『神羊樹バロメット』ATK/1900→0
(攻撃力0……でも、それだけなら——)
「そしてこの瞬間!〈マシュ=マック〉の効果発動!」
「——ッ!」
「モンスターの攻撃力が変化した時、ORUを一つ使い、その変化した数値分のダメージを相手に与える! インフィニティ・キャノン!」
空中都市の外壁から伸びる砲台。その一斉掃射が陸人を襲う。
「何っ⁉︎ ——ぐあああああああ!!」
陸人 LP 3700→1800
今までに受けたことのない苦痛に身を焼かれ、陸人は叫び、倒れ伏す。
「陸人君っ!」
「……どうやら、これで終わりみたいだね」
このまま立ち上がれず敗北か。そう思われた矢先——。
「う…ぐっ——っ!」
痛みに耐え、立ち上がる。その目はまだ鋭い。
「まだ立つか…なら、僕は2枚目の〈パレンケの石棺〉を発動して、2枚ドロー!…〈先史遺産ウィングス・スフィンクス〉を特殊召喚して、リリース!〈フォーク=ヒューク〉第二の効果を発動! 攻撃力が元々の攻撃力と異なる相手モンスター1体を破壊する!〈神羊樹バロメット〉を破壊!」
(破壊自体は許せる…俺の手札は0で、次を考えると…ライフが怖いが……いや、だとしても今はっ——!)
「罠発動!〈地霊術—「
間一髪破壊は免れるも、その程度では足りない。
「新しいモンスターを出したところで、敗北は変わらない! 手札から永続魔法〈先史遺産-ピラミッド・アイ・タブレット〉を発動! このカードがある限り、自分の〈先史遺産〉モンスターの攻撃力は800ポイントアップする!」
『フォーク=ヒューク』ATK/2000→2800
『マシュ=マック』ATK/2400→3200
「バトル!〈マシュ=マック〉で〈覚星師ライズベルト〉を攻撃!」
「終わってたまるかよ! 罠発動!〈立ちはだかる強敵〉! 攻撃対象は〈マスマティシャン〉だ!」
「だけど攻撃は止まらない! 喰らえ! ヴリルの火!」
再び迫る火球。今度は弾かれる事なく着弾した。
「ッ——があああああああ!!!」
陸人 LP 1800→100
爆炎に焼かれながら、吹き飛ばされる。しかしまだ……いや、もう倒れない。
「ぐっ、くぅ……っ!〈マスマティシャン〉の…効果!」
優希は折れなかった。ならば、その彼にデュエルを教える自分が、倒れてなるものか。そう自分に言い聞かせて、陸人は立ち直る。もう声を荒げすらしない。
「戦闘で破壊された時、1枚…ドロー!」
「さっきの罠、デッキの下に戻ってたんじゃ…?」
「そうだね。けど〈マスマティシャン〉の召喚時、効果を使ったことでシャッフルされてる。つまり考えられるのは、運良く一番上に来たか、二枚目だ」
(でも、それよりも……一枚のカードのためだけに、敢えてダメージを受けるなんて……勝つための選択肢としては理解できるし、場合によっちゃ僕もやるけど、相手はナンバーズだぞ? あのリアルダメージを、しかも一度受けた上で許容できるものか?)
胆力がある、と言うのだろうか。知れば知るほど、強さの底が深く感じられる。同い年とは、とても思えなかった。
「仕留め損なった……けど、ライフは残りたったの100だ。カードを1枚伏せて、ターンエンド!」
勝ちは決まったようなもの。であるはずのⅢだが、苦しそうにしている。それでもあの手を払った以上は、目の前の敵を倒さねばならない。彼もまた覚悟を決めている。
「今度はこっちの番…だがその前に、〈覚星師〉で〈ドリアード〉をレベルアップ! そして俺のターン、ドロー!……っ!」
☆8→9
「残念だけどこれで終わりだ!〈フォーク=ヒューク〉の効果発動!〈ドリアード〉の攻撃力は0になる!」
ORUが使用され、中央部の石に光が走る。同時に、ドリアードから力を奪う。
「相手ターンにも発動可能だったのか……っ!」
『精霊術師 ドリアード』ATK/1200→0
「この瞬間〈マシュ=マック〉の効果発動! その魂ごと燃え尽きろ! インフィニティ・キャノン!」
「まずい! 陸人君っ!」
再び放たれた一斉掃射。陸人の全てを焼き尽くさんと、大地を穿ちながら迫り来る。
「焦んなよⅢ。速攻魔法発動!〈禁じられた聖杯〉!〈マシュ=マック〉の攻撃力を400アップし、このターン効果を無効にする!」
「そんなっ——⁉︎」
聖杯より垂らされた
「たった1枚の差。間一髪だったな。タイミングが違えば負けてたぜ」
額の汗を拭い、笑って見せる。
「焦っていた? 僕が……?」
陸人の持つ何かに当てられたのだろうか。見えていたはずのビジョンが、遠ざかっていく感覚を覚えた。
「ああ、必死そうに見えたな……そのお陰で、ナンバーズのORUは無くなった。これで心置き無く戦えそうだ」
「いいや、ORUが無くなってもナンバーズは健在! 僕の勝ちは揺るぎない!」
「じゃあどうにかしねぇとな。早速〈ドリアード〉をレベルアップ!」
☆9→10
「そして、レベル4の〈覚星師ライズベルト〉と〈アステル・ドローン〉で、オーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚! 来い、〈恐牙狼 ダイヤウルフ〉!」
『恐牙狼 ダイヤウルフ』★4 ATK/2000
「〈アステル・ドローン〉を素材とした事で、1枚ドロー!〈ダイヤウルフ〉の効果! ORUを一つ使い、自分の獣、獣戦士、鳥獣族モンスターと、相手フィールドのカードを1枚ずつ破壊する! こっちは〈ダイヤウルフ〉のみ、そっちは〈マシュ=マック〉だ!」
死力を尽くした吶喊。しかし——
「二度もナンバーズは破壊させない! 永続罠発動!〈ナンバーズ・ウォール〉!」
砕けたのは、恐牙狼のみ。
「もう諦めろよ陸人! お前に勝ち目は無い!」
自分に言い聞かせるように言い放つ。だが実際彼の場は強固。戦闘、効果破壊に耐性を持ったナンバーズが二体。その攻撃力はどちらも、陸人の持つ『グラディエール』を超えている。
突破は困難。しかし陸人は平然としている。
「その結論を出すのは早計だな!〈貪欲な壺〉を発動! 墓地のモンスター5体をデッキに戻す!」
本当の本気で、勝つ気でいる。
(〈バロメット〉、〈ダイヤウルフ〉、2体の〈ライズベルト〉、〈マスマティシャン〉に〈アステル・ドローン〉と——。ギリ数足りてて良かった……)
「新たなカードに可能性を託すか……」
「2枚ドロー!〈サモンプリースト〉召喚!」
「——っ!」
まだ、止まりそうにない。
「効果発動! 手札の魔法を1枚、墓地に送って…〈覚星師ライズベルト〉を特殊召喚! ここでコストになった〈代償の宝札〉が、効果を発動する! 2枚ドロー!」
「手札が、無くならない…無駄が無い……ならやっぱり、〈ドリアード〉のレベルを上げ続けるのにも意味が……?」
未だ意味を成さない行動。陸人はそれを無意味に行う人間ではない。Ⅲもその結論に達した。
(んな特別凄い事にはならねぇけど、〈ドリアード〉を守るのは変わらんし、まぁいいだろう)
「〈覚星師〉で、〈ドリアード〉をレベルアップ! そしてこの〈ドリアード〉は魔法使い。よってこのカードは手札から特殊召喚できる!〈稲荷火〉を特殊召喚!」
『稲荷火』☆4 ATK/1500
「〈稲荷火〉と〈サモンプリースト〉で、再び〈神羊樹バロメット〉をエクシーズ召喚! そして効果発動! ORUを一つ使い、墓地から〈立ちはだかる強敵〉をデッキの下に戻し、ドロー!カードを2枚伏せて、ターンエンド!」
「随分動いた割には、結局ナンバーズは倒せなかったね。やっぱり君では、僕に勝てない」
安心を滲ませ、強気な笑み。そこに陸人も煽り返す。
「さっき言ったばかりだろ。早計だ。記憶力足りてるか?」
「ッ、その減らず口もここまでだ! 僕のターン、ドロー!……バトル!」
勢いよくカードを引き、引導を渡すべく宣言する。
「行け〈マシュ=マック〉! ヴリルの火!」
「これを食らったら終わりだぜ?!」
「大丈夫。陸人君ならきっと……」
二枚の伏せカード。彼ならば、あの中に攻撃を防ぐ手を仕込んであるはず……。遊八は信じる。
バチリと、電気が走る。
「Ⅲ…目を逸らすな。俺から……いや、俺たちから逃げるな」
「……?」
赤く染まる空を無視して、Ⅲへ言葉を投げかける。
「そうやって無視するから、俺の言葉が抜け落ちる……そんなんだから、焦るんだ。視野が狭くなって、見落とす」
意図が読めない。
「何を言って——」
「俺はもう、カード効果を発動してるぜ」
「なっ——⁉︎」
落ちて来るはずの火球が、いつの間にか消え失せている——何故?
「〈超電磁タートル〉はデュエル中に一度だけ、相手バトルフェイズを強制終了する効果を持つ。俺はこの効果を発動し、バトルを終わらせた」
「そんなカードいつ……まさか⁉︎」
「〈ドリアード〉の儀式素材だ!〈マスマティシャン〉が違うなら、もうそのタイミングしか無い!」
「嘘だろ⁉︎ 最初も最初じゃねぇか⁉︎ なのにずっと使わずに温存してたのか⁉︎」
一ターン目の二手目。アンナの言う通り最序盤から、ずっと陸人の墓地にあった。どうしても避けねばならないバトル……つまり今、この瞬間のために。
「そんな……いや、まだこのターンを凌いだだけだ! 次のターンで、必ず仕留める! カードを1枚伏せて、ターンエンド!」
(今伏せたのは〈
その耐久性を信じるⅢに、陸人は淡々と、効果発動を宣言する。
「だったらエンド前に〈覚星師〉だ。〈ドリアード〉をレベルアップ。そしてターンが終わり、〈ドリアード〉の攻撃力も戻る……覚悟はいいな?」
「——ッ!」
思わず後退る。
「俺ターン! ドロー!」
(後1枚なんだ…ライフを削り切るには後1枚欲しい)
「魔法カード〈ナイト・ショット〉!相手のセットされた魔法、罠1枚を破壊! 更に対象のカードは発動できない!」
「くっ……!」
「〈雷雲の壷〉……攻撃無効か」
相手の場の不安要素は消えて、勝利のピースも揃いつつあるが、足りない。もう後がないこの局面に残されたのは、ドローという不確定の手のみ。
「罠カード〈貪欲な瓶〉を発動! 墓地からカード5枚をデッキに戻し、シャッフル。その後1枚ドローする!」
(……違う。これじゃない)
しかし陸人に迷いは無い。恐れは無い。ほんの僅かにでも可能性がある限り、終わりは来ない。
「Ⅲ。今の俺にはそのナンバーズを倒す術も、ライフを削り切る術も無い」
「……ようやく諦める気になったかい?」
その問いに、陸人は鼻で笑った。
「バカ言うなよ。んな事するならとっくにしてるさ。俺が言いたいのはな——次で全てが決まるって事さ」
「次?」
「〈バロメット〉効果発動! ORUを一つ使い、〈貪欲な瓶〉を戻す」
デッキトップに指がかかる。
「……このドローで俺の、このデュエルの結末が決まる」
「……」
息を呑む。
勝利を掴むか、敗北を確定するか……。防御札も戻しているため、延長戦もあり得るが、直感が告げる——それは無い。これが真の最後のカードだと。
「さあ、行くぞ……」
わざとらしく焦らす陸人。緊張が高まる。
「ふぅ……ドロー!!!」
一呼吸置いて、チラリと目をやる。
「フッ」
「ッ!」
口元には弧が描かれ、しかしその小さな笑みは、結果を確定させるには至らない。知るのは陸人ただ一人。
(わからない。引いたのか、違かったか……どっちだ……っ!)
安心か……
「……」
諦念か……
「……」
果たして結果は——
(頼む……陸人……っ!)
カードを手札に加えた陸人は、天を仰ぐ。
「まさか……そんな……」
外れ。そう思わせる彼の姿に、遊八は呆然とし、Ⅲは安堵する。
「ここまで、だね」
その時、空を見上げたまま、陸人は唐突に語り始める。
「……祈り、願い……まとめて想いかな…努力と同じで積み重なってくもんだと、俺は思うんだ」
「……」
Ⅲは何も言わず聞き届ける。きっとそれは、彼が最後に言い残したい言葉だろうからと。
「想いってのは原動力になる。自分のため、誰かのため、大小問わず願って祈る。そしたらそれが実を結ぶよう、想いを糧に、努力へ繋げるんだ……」
たとえそれが間違ってても……。以前の自分を回顧する。
「絶対に実るとは言えない。失敗もすれば、無駄に終わることもある…結果として悔やんだり、諦めたりだってするだろうさ。でもそこで終わりじゃないから、また人は立ち上がる」
敗北を経て、許されて、自分の心と家族に向き合った。そして彼は想いを新たに、また歩き始めた。
道半ばの自分の言葉じゃ軽く聞こえるかもしれない。それでも語らずにはいられなかった。
「時に一人で、時には協力しながら…その数は、時間と共に増えてって、その度に僅かにでも強くなれる。誰かを思い遣ったなら、その分だけ優しくなれる……そうして思い合い、繋がって、高め合い、成長する……きっとそうして生きてくんだろうな。人間ってのは」
自分と、周りの人たちを見て出した結論。
目を閉じて、首に手を添えながら一度回して解す。
「だから、本当に心の底から願う何かがあるなら、きっとそのために本気になれるはずで、本気で頑張ってんなら、力を貸してくれるモノが集まって来る」
人も、カードも、全部が彼の力になっている。だから彼は、何事にも全力で挑む。
「今の俺も、お前たちのために祈って、力を貸したくなった——本気でな」
だから彼は諦めない。だから彼は強いのだ。
大きく息を吐き出して、陸人はⅢに視線を合わせた。
「だからⅢ——俺の勝ちだ」
その顔は、とびっきりの笑顔だった。
「なっ——」
天を仰いだのを見た時、語り始めた時、勝ったと思った……違かった。ぬか喜びをさせられた。
「フフッ、希望を与えてそれを奪う…だったか? 本当はⅣ相手にやりたかったが…ま、タイミングが悪かったってやつだ。許してくれよ。じゃあ締めと行こうか」
イタズラ成功と言わんばかりの少年の顔は、やはりまだ中学生なのだと思わされる。しかし勝負に戻ればまた一変。鋭い表情と余裕ある態度。落ち着きつつも力強い声。負ける気がしない。
「〈覚星師〉の効果を発動してレベルアップ!……俺は積み重ねたぜ。祈りを、〈ドリアード〉にな。そしてこれが、その末の力だ!」
耐えた末に集まったカード。手に取ったカードが、精霊術師に力を与える。
「1枚目! レベルを上げ続けたのはこのためだ! 装備魔法〈バウンド・ワンド〉! 装備した魔法使い族モンスターの攻撃力を、レベル×100アップ!」
赤い宝石の付いた杖。この一枚はまさに、耐え抜き、積み重ねた証となる。
「なぁ、今の〈ドリアード〉のレベルって……」
「うん。限界突破の13。つまり上昇値は、1300」
積み上げた星は、思いの外大きな力となって恩恵を齎した。
『精霊術師 ドリアード』ATK/1200→2500
「2枚目! 装備魔法〈団結の力〉! ドリアードに装備し、その攻撃力を自分の表側モンスターの数×800アップする!今いるのは3体。よって2400アップだ!」
続くカードで、陸人の下に集まったモンスターたちが、彼のためにその心を一つにする。
ATK/2500→4900
「攻撃力4900……ッ!」
レベル13、攻撃力4900。最早初期のステータスなど見る影も無い。
「行くぞバトル!〈ドリアード〉で〈マシュ=マック〉を攻撃!」
天を舞うドリアード。彼女を中心に発生する極光と広がる波動。Ⅲの影は揺れ、元の形を残しながら、虚空へと消えていく。しかしまだ——
「〈マシュ=マック〉の攻撃力は3200! 僕が受けるダメージは1700だ! まだライフは残る!」
「んなミスするわけねぇだろ! これがラストカードだ! 罠発動!」
それは、陸人の場に伏せられていた一枚。
「〈魂の一撃〉! ライフが4000以下で、相手モンスターとバトルする攻撃宣言時、ライフ半分を払い自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる! 対象は当然〈ドリアード〉!——くっ」
陸人 LP 100→50
「対象モンスターの攻撃力は、自分のライフから4000を下回っている数値分アップする! 俺のライフは50。つまり4000からの差3950を、〈ドリアード〉に加える!」
『精霊術師 ドリアード』ATK/4900→8850
「攻撃力……8850⁉︎」
「俺の本気だ。余すことなくその身に刻みな! アウラースプリーム‼︎」
陸人の全霊を込めた至高の輝き。祈りと共にⅢを包む。
「僕が…負ける……? ナンバーズ使いじゃない彼に……?」
光に飲まれゆくⅢは実感する。
(これが陸人の祈り……積み重ねて来た想いの力か……)
最後に見たのは、天から優しく微笑みかける精霊術師。陸人の祈りの体現者、その姿だった……。
Ⅲ LP 3700→0
RIKUTO WIN
途中で使用カードとか変えてて、特にミスが怖い回になりました。主に手札枚数とライフ。でもやりたい事(高レベル高打点ドリアード)はやれたので良し。
陸人君のフィニッシャー筆頭なので、決め方には気を使わないとマンネリしちゃうよね……ここでこれやって良かったの? もうドリアードでインパクトのあるフィニッシュは難しいわよ?
3000打点が欲しい。精霊神后……セブンスロード……。
ドリアードたちは良い。使う可能性も考えてるし、夢産、改め影産で手に入る。でもラッシュは……いや、行けるか? やれるのか? 影なら……?
マジに困ったら手に染める。でもまだいらない。大丈夫。