遊戯王ZEXAL 転生決闘者『築根ゆうや』   作:ふわ×フワ

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 今更だが展開遅いか? しかし、うーむ…。
 何にせよ経験が足りぬ故、これからも書き続ける。以上。

 ※サブタイをちょろっと修正。


No.4 たかが一歩、されど一歩

 

      

 夢を見る。

 暗闇の中、自分がもう1人いる夢を。

 何かを言われている気がする。聞こえはしない。だがまるで、心の芯まで凍てつく様な、そんな冷たい声が、聞こえないはずなのに響いてくる。

 けれど結局はただの夢、起きれば何も覚えてなどいない……そう、覚えていないはずだ。見た目だけよく似たもう1人の俺が、嘲る様な冷たい目を向けていた事なんて…その手がこちらに伸びて来ている事なんて……。

 

 

 

 新たなナンバーズを手に入れてから数日が経った。あの時のデュエルは、地域雑誌…でいいのか? に小さく載っていたらしい。…うー、あの時の恥ずかしさがぶり返してきた。

 そんな一幕がありつつ、ここ最近は非常に、ひっっっじょうに! 好調な日が続いていた。

 

「よーし今日も連戦連勝っと」

 

 ここまでおよそ20戦以上。これほど連勝を重ねたのは前世込みでも初めての経験だった。

 

「ナンバーズを使わない縛りがあるけど以外とやれるもんだなぁ。と、今日も反省会をしないとね。常に研鑽休むのも忘れずー。さ、早よ帰ろ」

 

 そんな遊八を見る影が一つ……。

 

「クソッ、調子に乗りやがって。これは一度痛い目見させねぇとな」

 

 忌々しげに呟く声の主。その手には、恥ずかしげに笑う遊八の写真。それが載った雑誌が握られていた。

 

 

 翌日——。

 学校に来た時、それはあった。

 

「何だ? この紙……なるほど」

 

 中身を確認して、表情が険しくなる…呼び出しだ。

 僅かに面倒に思いつつ、自分にも落ち度があるだろうと放課後を待つ事にした。

 

 

 僕、築根遊八はあまり人に良く思われていない。イジメまでは行かないが、まあ嫌われてるんだろう。

 直接嫌いと言われては無い。それらしい態度も表には出ていない。けれどよく面倒事を押し付けられる。きっと体よく使われているのだろう。そう言えば徳之助君にそんな感じの事言われたっけか…裏があるとか何とか。

 俺じゃない本来の僕だったのなら、こうはならなかったんじゃないかって、そう思う時がある。俺は元々人と関わるのが上手くないから…前世でもそれで沢山傷ついた。勝手に傷ついた事もあったろう。そして、傷つけば傷つくだけ関われなくなる。

 こっちに来て、この世界に関する記憶だけを書き出して、次第に以前の記憶も薄れてきて…1からやり直してようやく、少しはマシになれたと思っている。

 それでも持って生まれたものを完全に無くす事は出来なかった……トラウマを掘り起こしてしまった。目を逸らして、押し込めることもできたはずなのに。

 

「ナンバーズが無かったら、今頃もっと悪くなってたかもしれない。それ以前にデュエルモンスターズが無けりゃ、僕は生きることすら出来なかったろうな」

 

 放課後、指定された場所に向かうその途中。立ち止まって目を閉じ、そっとデッキに手を当て感謝の念を送る。幾度となくトラウマを忘れさせてくれた…自分を支えてくれた唯一の存在に。

 

「届いてるかはわからない。でも、ありがとう。一時的にでも僕が強い俺になれるのは、みんなのお陰だ……きっと今なら、傷つくのも怖くない」

 

 再び歩き出す。変わるための大事な一歩を……過去のトラウマを振り切る大事な一歩を……。

 その確かな足取りとは裏腹に、握られた手はまだ、震えたままだった。

 

 

「来たよ。何の用かな」

「時間通り、殊勝なことで優等生」

 

 言葉遣いに反して、攻撃的な視線を向けるのは同じクラスでトップの成績の1人、彩葉陸人(いろは りくと)だ。

 

「成績で見たら君もでしょ」

「そう言うとこが気に食わねえんだよ。そうやってヘラヘラして、誰にでもいい顔して…ここ最近、調子が良さそうじゃないか」

 

 一目見れば誰でもわかるくらいイラついている。それに、何故だか焦りも見える。

 今も2人の取り巻きを連れている彼は、プライドが高く、人の上に立つのを好む。きっと調子の良い僕のことが気に食わないのだろう。

 

「そうだね。ちょっと良いことがあってさ、そのおかげなんだよ」

「そうかいそうかい。んじゃあ俺たちに金なりカードなり寄越せよ。忘れてないよな? 俺たちのおかげでクラスにいられるってことを」

 

 少し大袈裟な表現。けれど真っ赤な嘘でもない。

 

「うん。人付き合いの苦手な僕の為にいつも仲良くしてくれて、他の人との関係も取り持ってくれてる。忘れてないよ」

「んじゃあ——」

「でもごめん! 今は渡せるものが無くて」

 

 断るだけの一言。たったこれだけでも勇気を絞り出す。

 静寂…下げた頭を僅かに上げ、表情を伺う。イラつき歪んだ顔は、怒りから乾いた笑みに、一呼吸おいて今度は笑みすら消える。

 

「そうか、そうかよ。じゃあ……ッ!」

 

 頭を掴まれ、乱暴に投げ飛ばされる。その拍子に自分のデッキが散らばってしまう。

 走る痛みに弱い自分が表に出そうになるもなんとか堪え、表情を隠す様に散らばったデッキを集める。その時、視界に手が映るとそれは1枚のカードを手に取った。

 

「ん? 何だよ。あんじゃねぇかよ」

 

 その声に反応して顔を向ける。

 

「あ、それは……」

「ナンバーズ…ナンバーズか。へぇ、こんなの持ってたんだ。聞いたことのないカードだが、きっとレアカードに違いない。持ってるだけで……こうして力が湧いてくるしな。ははは」

 

 異質な雰囲気を放つ陸人。どうやらナンバーズに取り憑かれてしまったようだ。

 

(しまった。まさかこうなるなんて……取り返さなきゃ、でもどうやって…)

「ちょうどいいや。デュエルしろよ」

「え?」

「返して欲しいんだろ? だったら俺たち3人とデュエルして、勝てたら返してやるよ」

 

 ナンバーズを手にそう宣言する。3対1、圧倒的に不利な条件。けれど受け入れる他ない。その条件を呑もうとして…一つの声が耳に届く。

 

「おいテメェら、何してやがる」

 

 どこか聞き覚えのある声、その主は——。

 

「シ、シャーク。なんでここに」

 

 取り巻きの1人が狼狽える。

 シャーク、神代凌牙がここに来たのだ。

 

「俺が来ちゃ悪いかよ。騒がしいと思って来てみれば、寄ってたかって弱いものいじめか?」

「ただ不義理を咎めただけです。何か文句でも? 第一あなたに言われたくは無いですね、先輩」

「なるほど、確かに俺も人のことを言えたタチじゃねえが、だからって——」

「いいんですよ凌牙先輩。これは僕達の問題です」

 

 ゆらりと立ち上がり、3人と向き合う。

 

「そうですよ。それに俺たち3人にデュエルで勝てたら不問にしてあげようって、そう話してたところですしね」

「3対1だと? やっぱテメェら——」

 

 後ろに手を突き出して、来るなと暗に伝える。

 

「大丈夫です。僕だってデュエリスト、売られた勝負は買うのが礼儀ですよ」

 

 恐らくただ通りすがっただけで、会話の一部…『No.』と言う単語が聞こえたから来たのだろう。でなければきっと助けようなんて思わなかったはず。

 

(けどあれはまだ誰にも渡すわけには行かない。幸い取られたのは一枚だけ、可能性が無いわけじゃない)

「言ってくれるじゃないか。そんなに返して欲しいか、これを」

 

 ナンバーズをヒラヒラと揺らしながら見せつけてくる陸人。

 

「ッ…ナンバーズ」

「あれ、知ってるんですね」

 (今更だけど時期的にタッグデュエルの後だろうな)

「ああ、だがこれじゃ尚更手を出さないわけには行かない」

「させませんよ先輩…出てこいお前ら!」

 

 その一声で、更に2人がシャークの前に飛び出してくる。

 

「先輩は先にその2人を相手にすることです。もっともそちらを待つ気はないですけど」

「…ッ! テメェ!」

「大丈夫です! そうだ。後でナンバーズについて、何か知っている事があれば教えてくれませんか? 僕も手に入れたばっかですから。その為にも……まずは君たちを倒すとしようか」

 

 深呼吸……スイッチを切り替える。勝つために、ナンバーズを取り戻すために。

 

「何だ、雰囲気が変わった?」

「へぇ、お前そんな顔できたんだな」

 

 ただ口調を変えただけなのだが、その変化に皆が面食らった様子を見せる。まぁ、少しは調子が上がって来たけれど。

 

「別に、そんな大したことじゃ無いだろ?」

「…そうだな、行くぞお前ら」

「……おう」「あ、は、はい」

 

 どうやら1人は強引に連れて来たようだ。もう1人もあまり乗り気ではない。

 

「デュエルディスクセット…Dゲイザーセット」

 

「「「「デュエル!!!」」」」

 

「チッ、見てるしか無いか」

 

 外野3人は観戦。シャークの妨害に出てきた2人は顔を見合わせ、安堵していた。

 

「最初はお前から行け」

 

 陸人の命令で気弱そうな少年から動く。

 

「は、はい。ボクのターン、ドロー。モンスターをセットしてターンエンド」

 

 間髪入れずにもう1人の取り巻きへとターンが移る。

 

「次はオレだな、ドロー。暗黒界の取引。全てのプレイヤーは1枚ドローし、1枚捨てる。インヴェルズを呼ぶ者を召喚。カードを1枚伏せてエンド」

 

『インヴェルズを呼ぶ者』ATK/1700

 

 最後に陸人のターンだ。

 

「俺のターン、ドロー…残念。ま、次からが本番か。モンスターをセット。カードを2枚伏せてエンドだ」

 

 本領を発揮できる手札ではなかったようだ。

 これで3人のターンが終わり遊八へ移る。

 

「俺のターン、ドロー」

(伏せが合計6、いや関係無いか。それにしても……なんじゃこの手札は⁉︎ 枚数調整で入れてたのを抜き忘れてた…事故一歩手前ってとこか? ギリギリ大丈夫? ただ防御が足りないかも。とにかく)

「今やれるのはこれだけだ。一時休戦。全てのプレイヤーは1枚ドローする。」

(…よし! 完璧、パーフェクト! ほんと良かった。今度からは、あらかじめデッキの確認ちゃんとせんとな)

「そして、次のターンの終わりまで全てのダメージは0となる。5枚のカードをセット。カードカーDを召喚し効果、このカードをリリースして2枚ドローする。その後エンドフェイズとなる。ターンエンドだ」

 

「バトルロイヤルルールは全プレイヤーが最初のターン攻撃できない。あらかじめカードをセットすればデメリットは意味を為さないか、上手いな。だが…」

 

 凌牙は懸念する。このデュエルは多対一、数による圧倒的不利をどう覆すつもりなのだろうか。

 

「五枚も何を伏せたかは知らないが、ここから全て防ぎ切れるかな?」

「…」

 

 数的有利から来る自信。陸人の発した挑発に返ってくるものは何も無かった。ただ真っ直ぐに盤面を注視する遊八に、痺れを切らした彼は次を急かす。

 

「フン! 早くしろ」

「ッ、ボクのターン、ドロー。アクア・マドールを反転召喚。そして、幻のグリフォンを召喚。更に手札から思い出のブランコを発動。墓地の通常モンスター、メカファルコンを特殊召喚」

(これでレベル4が3体ね)

「…来るか」

 

 ぱっと見では大したことない相手に思える。しかしそれは、警戒しない理由にはならない。

 

「ボクはレベル4のアクアマドール、幻のグリフォン、メカファルコンでオーバーレイ! 3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚! 覚醒の勇士 ガガギゴ!」

 

『覚醒の勇士 ガガギゴ』ATK/2950

 

 現れたのは、緑色の肌に鎧を纏う爬虫類の人型のモンスター。

 

「攻撃力2950のエクシーズ、いいカードを持ってるじゃないか。ちょうどいいや、お前からも何か見返りを貰おうかと思ってたんだ」

 

 新たな獲物を見つけたと言わんばかりに目を細める陸人。

 

「え、ま、まさかこれを⁉︎ でもこれは…」

 

 あまりに急な要求。少年は顔を伏せ困り果ててしまう。

 

「いいだろ? それとももう俺たちの助けはいらないのか?」

「うっ、それは……」

 

 時に実力で、時に弱みに付け込んで優位に立つ。それが彼だ。

 

「待てよ、今は俺とのデュエルだろ?」

 

 威圧的な陸人を前に、遊八は臆する事なく声を挙げる。

 

「へぇ、庇うのか。優しいなあ優等生」

 

 嫌味ったらしい笑みの陸人に遊八は真っ向から向き合う。

 

「それじゃあ優しい優等生ついでにもう一つ要求しよう」

「…何かな?」

 

 陸人の眉間に皺が寄る。

 

「そいつの払う見返りは無かったことにしてもらう」

 

 互いに睨み合う。

 

「ほう……無理だな。お前が追加で何かくれるんなら考えてやるが」

「いいよ。けどデュエルに勝てたら全部チャラだ」

「生意気な。勝てる気でいるのか? 俺たちに、良いぜ乗ってやるよ」

 

 あくまで冷静を保っている。しかしナンバーズの影響だろうか、感情を抑え切れていない。

 

(あいつもっとポーカーフェイス上手かったろうに、あれなら勝ちやすそうだ。とは言え数の差が変わるわけじゃない。油断は禁物っと)

 

 気を取り直しデュエル続行。

 

「一時休戦の効果でダメージは無い。だからボクはこのままターンエンド」

 

「オレのターン。折角のモンスターも何も無しに棒立ちじゃあ意味無いだろ。手本を見せてやるぜ、ドロー。罠発動、侵略の波紋。500のライフを払い、墓地からレベル4以下のインヴェルズを特殊召喚する。蘇れ門番」

 

 LP 4000→3500

『インヴェルズの門番』DEF/1900

 

「そしてインヴェルズを呼ぶ者をリリースして、インヴェルズマディスをアドバンス召喚。この瞬間、呼ぶ者とマディスの効果発動! インヴェルズを呼ぶ者は、自身をリリースして召喚されたインヴェルズのアドバンス召喚成功時、デッキからレベル4以下のインヴェルズを特殊召喚できる。インヴェルズマディスは、インヴェルズをリリースしてアドバンス召喚に成功した時、1000のライフを払って墓地のインヴェルズ1体を特殊召喚する。デッキから万能態、墓地から呼ぶ者をそれぞれ特殊召喚!」

 

 LP 3500→2500

『インヴェルズマディス』ATK/2200

『インヴェルズの万能態』ATK/1000

『インヴェルズを呼ぶ者』ATK/1700

 

「フィールドにモンスターが4体も……」

 

 観戦している取り巻きの1人が呟く。

 

「これで終わりとでも? 門番の効果。コイツがいる状態でインヴェルズのアドバンス召喚に成功したターン、オレはもう一度通常召喚を行える。更に万能態はインヴェルズのアドバンス召喚を行う時、2体分のリリースに出来る…良いか?」

 

 視線が陸人へと、許可を求めているようだ。それを合図に陸人が動く。

 

「出てくんのはアイツか。なら先にリバースカードだ。リビングデッドの呼び声、墓地から黒き森のウィッチを特殊召喚。更に罠、闇霊術—「欲」自分の闇属性モンスター1体、黒き森のウィッチをリリースして発動。カードを2枚ドローだ。この効果は手札の魔法を見せれば無効に出来るが?」

 

 視線は遊八へ向く。

 

「死者蘇生」

「チッ、だが更に黒き森のウィッチの効果。守備力1500以下、カゲトカゲを手札に、もういいぞ」

 

 許可を得て取り巻きが再び動く。

 

「んじゃあ遠慮無く、オレはインヴェルズの万能態をリリース。インヴェルズガザスをアドバンス召喚!」

 

『インヴェルズガザス』ATK/2800

 

「さあ覚悟しな! ガザスの効果発動。インヴェルズ2体をリリースして召喚されたコイツは、このカード以外のモンスターか、フィールドの魔法・罠全てのどちらかを破壊出来る。オレが選択するのは当然魔法・罠だ」

「成る程ね。だからさっき確認取ったわけだ。けど罠発動、威嚇する咆哮。このターン相手は攻撃宣言できない。更に罠、ゴブリンのやりくり上手。こいつは墓地の同名カード+1枚ドローし、手札1枚をデッキの下に戻すカードだ」

「攻撃封じと…もう1枚は墓地に同名カードが無いならただの手札交換じゃないか」

「そう、だからこうするのさ。まずは更に2枚のやりくり上手を発動」

「えっ⁉︎」「んなぁ⁉︎」「嘘でしょ?」「そんなことある?」「マジかよ……」

 

 まさかの同名カード三枚同時発動にその場の全員が少なからず驚愕する。

 

「驚くよな、そりゃ俺もびっくりしたもん」

「なるほどな。通りで渋い顔をしてた訳だ。てことはまだ何かあるんだろう?」

「鋭いね、流石陸人君…速攻魔法、非常食! このカード以外の自分フィールドの魔法・罠を墓地に送り、その数1枚につき1000ライフを回復する! 俺は4枚全部墓地に送る」

 

 LP:4000→8000

 

「ライフ回復にこのターンの攻撃封じ…それだけじゃねぇ」

 

 衝撃の展開に思わず息を呑む凌牙。

 

「非常食によってゴブリンのやりくり上手が墓地に行った。これで同名カードは3枚存在する事になる!」

「と言うことは、それぞれが+1で4枚ドロー。これが3枚…って、え」

「合計12枚のドロー…そんなの見たこと無ぇって…」

「3枚戻すから増えるのは9枚。これで手札は11枚。うーん多いね」

 

 増えた手札を眺め、遊八は滅多に無い状況を噛み締める。

 

「だがそれだけじゃまだ勝てはしないぞ」

 

 強気でいる陸人も、これにはたじろぐ。

 

「不確定要素はあるしね、わかってるさ」

 

 決して油断はしない。気を引き締め直した遊八の目が、また鋭くなる。

 

「んぐぐ、攻撃できないならオレはこれでエンド。エクシーズがありゃなぁ」

 

 取り巻きは悔しげにターンを終える。

 

「無いものねだりをしても意味は無いさ。俺のターン、ドロー。反転召喚、召喚僧サモンプリースト。効果で守備表示になる。更に効果だ。手札の魔法カードを1枚墓地に送り、デッキからレベル4を1体特殊召喚する。聖鳥クレイン。クレインの効果でカードを1枚ドロー。プロミネンス・ドラゴン召喚、ここでカゲトカゲの効果だ。自身を特殊召喚」

 

『召喚僧サモンプリースト』DEF/1600

『聖鳥クレイン』ATK/1600

『プロミネンス・ドラゴン』ATK/1500

『カゲトカゲ』DEF/1500

 

 次々にモンスターを並べていく。全てはあのカードに繋げる為に…。

 

「レベル4が並んだか」

「さて、それじゃあこいつを使わせてもらおうか! サモンプリースト、クレイン、カゲトカゲでオーバーレイ! 3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚! No.57 奮迅竜トレスラグーン!」

 

『No.57 奮迅竜トレスラグーン』ATK/100

 

 陸人の手に浮かび上がる数字は自分を助けてくれた1枚のもの、遊八の額に一筋の汗がつたう。

 

「遂にお出ましか、ナンバーズッ」

 

 凌牙もまた、自らが手にし、相手取った経験のある物と似た力を確かに感じ取っていた。

 

「効果はもう知ってんだろ? 相手モンスター1体の攻撃力を加える。対象はガガギゴだ」

 

 ATK/100→3050

 

「攻撃力3050……これがあのナンバーズの力か」

「バトル! 2体のモンスターで直接攻撃」

「ぐっ、クッ……ッグググ」

 

 LP 8000→3450

 

 走る衝撃と痛みを堪える。圧に負けぬよう、弱さを見せぬように。

「カードを3枚伏せエンドフェイズ、プロミネンス・ドラゴンの効果で500ダメージを与える」

「クッ……」

 

 LP 3450→2950

 

「回復されてなきゃ削り切れてたんだが、仕方ない。ターンエンド」

(俺の伏せはミラーフォース、奈落の落とし穴、破壊輪。これなら手札があろうとも何とかなるはず、例え防ぎ切れずともこちらは3人いるんだ……)

 

(……とでも考えてんのかな、実際数の暴力は雑魚相手でも脅威には違いないしな。けど——)

 

 目を閉じ、神経を研ぎ澄ます。その両手には2つの数字が浮かび上がっていた。

 

「俺のターンだ。ドロー」

 

 確信する勝利を前に頬が緩む。

 

「お前何を笑って——」

「大嵐発動」

「え」

 

 吹き荒れる嵐、非情な現実を突きつける最初の一手が打たれた。

 陸人の伏せた罠は全て巻き上げられ、破壊される。

 

「これで後ろはまっさらになったな。そしたらサイバー・ドラゴン特殊召喚。んでサモプリ召喚効果で守備に、そのまま効果発動。さっき使ってたし説明はいらんね。デッキからアステル・ドローン。おろかな埋葬で蒼血鬼を墓地に、死者蘇生で即蘇生…ふう」

 

 淡々とカードをプレイする。

 

「なんて勢いだ。一切の迷いが無え」

 

 凌牙の目に映るのは、圧倒的な力と自信を持った決闘者の姿——。

 

「こっからが本番だ! 俺はレベル4のサモンプリーストとアステル・ドローンでオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚! 現れろ、No.60 刻不知のデュガレス!」

 

『No.60 刻不知のデュガレス』DEF/1200

 

 青い炎と共に現れる2体目のナンバーズ。

 

「ナンバーズ⁉︎ あいつに取られたんじゃ」

「あーはい。1枚だけ」

「へぇコイツは驚いたな、けど——」

「言っとくがまだ終わりじゃない」

 

 今はただ目の前の敵を倒す事のみを考える。その表情に、慈悲の念は欠片も感じ取れない

 

「ッ……!」

 

 ここまで余裕を保っていた陸人の表情が崩れ、僅かに後退る。

 

「俺がエクシーズ召喚に成功した事で、アステル・ドローンを素材としたデュガレスの効果発動。カードを1枚ドロー。蒼血鬼の効果、デュガレスのORUを1つ墓地に送り、墓地のアンデットを特殊召喚、紅血鬼蘇生。紅血鬼の効果、フィールドの…そうだな、トレスラグーンのORUを1つ墓地に送り、自身のレベルを1つ、攻撃力を300上げる。スター・チェンジャー発動。蒼血鬼のレベルを1つ上げる!」

「レベル5がこれで3体に……っ」

 

 まさかを想定し、凌牙は目の前の決闘者ならやりかねないと、そう確信する。

 

「俺はレベル5のサイバー・ドラゴン、蒼血鬼、紅血鬼でオーバーレイ!」

「レベル5モンスター3体でのエクシーズ召喚だって⁉︎」

 

 取り巻き達もまた驚きを隠せずにいる。

 

「3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚! 来い。No.5 亡朧竜 デス・キマイラ・ドラゴン‼︎」

 

『No.5 亡朧竜 デス・キマイラ・ドラゴン』ATK/0

 

「3体目のナンバーズ⁉︎」

 

 2体ナンバーズを操るも、その影響を僅かに留めている。身近にこれ程の存在がいると何故気づかなかったのか、神代凌牙は築根遊八を今ここで、このデュエルで認識した。

 

「だがそいつの攻撃力は0。それじゃあ——」

「効果、デスキマイラの攻撃力はORUの数×1000。つまり3000……いや、4000だ。魔法カード、オーバーレイ・リジェネレート。フィールドのモンスター・エクシーズ全てにORUを1つ追加する」

 

 ATK/0→4000

 

「ぐっ、いやだがまだだ。削りきれはしない。仮にまだ何かあっても誰か1人残ればまだ……!」

 

 未だに勝利を信じる陸人、しかし——。

 

「誰にも次は渡さない! デュガレスの効果発動! ORUを2つ使い次の俺のターン、バトルフェイズをスキップする代わりに、自分のモンスター1体の攻撃力を倍にする! 対象はもちろんデスキマイラだ!」

 

 ATK/4000→8000

 

「攻撃力…8000、だと…⁉︎」

「それだけじゃない、デスキマイラは相手モンスター全てに攻撃出来る…バトル!」

「そんな……嘘だ……」

 

 自分は誰よりも上なはずだと、そんな自分がこれ程圧倒されるなどあってはならない。これは夢だと、陸人は頭を振って目を覚まそうとする。正気に戻ろうとする…けれど目の前に映る光景は変わらず敗北を突きつける。

 

「嘘でも夢でもない、これが事実で現実だ。行けっ! デス・キマイラ・ドラゴン!」

 

 虚なる竜はその巨体で3人を囲む。その口から放たれたブレスは彼らのモンスターを塵へと変えた。

 

「「「うわあああああ!!!」」」

 

 LP 4000→0

   2500→0

   4000→0

  

    YUYA WIN

  

 

「手札が潤沢にあったとは言え、1ターンでナンバーズ持ちも込みの3人を同時に……」

 

 自身の想定を超えたデュエル。その勝者を見やる。

 

「ふう、ちょっと気張りすぎたかな。さてそれじゃあ返してもらうよっと」

 

 倒れ伏した陸人からナンバーズを取り返す遊八。

 

「いったい何者なんだ。あいつは」

 

 ナンバーズの数字が消え、放つ雰囲気はデュエル前のものに戻っている…ナンバーズを知る者として、警戒心を強める凌牙だった……。

 





 今回はバトルロイヤルに挑戦してみた。長い。そりゃワンターンスリーキルゥする訳だ。私もした。そんな事より…オリキャラが増えた? 主人公だけのつもりだったんすけどね。納得いくように文章を調節していたら、いつの間にかできていたのです。
 さて、ここで遊八君がシャークさんと初めましてしましたね。もっと主要キャラと対面させたいところです……エミュ、めちゃんこ苦手だけど大丈夫かなぁ。ZEXALまた見てぇよ。

 心情描写、行動の説得力…まだ数話だからと言いたい気持ちと、これで良いのか? と思う気持ちがある…。
 遊八君、一人称を2つも使わんといて。ナンバーズ手にして自我を保たんでもろて……自業自得だし遊八君に限った話じゃなかろうて! あー! 俺! ファイト!
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