遊戯王ZEXAL 転生決闘者『築根ゆうや』   作:ふわ×フワ

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 やったね遊八君、友達ができるよ。

 今更ながらサブタイ考えるのすごく苦手で、いつもずうっと悩んでる。



No.5 和解の語らい 新たな友に心舞う

 

 

 取り戻したナンバーズを手に、倒れている三人を見る。

 

「どうなるかと思ったけど、何とかなるもんだな」

 

 不安、恐怖が無かったとは到底言えない。けれどナンバーズの力も借りて彼は今、前世からのトラウマに罅を入れたのだ。

 

「ぐっ、俺は何を……」

「あっ、目が覚めたんだね」

 

 陸人と、続いて二人も起きる。

 

「体、ちょっと痛い」

「何だったんだ今の……」

 

 ナンバーズの影響か、ダメージがARでなく現実のものとして発生している。この事実を遊八は再確認する。が、今はそれよりも——。

 

「デュエルは僕が勝ったよ陸人君。このカードは返して貰うし、僕とそこの彼が君に払う友達料はこれで無しだ」

 

 デュエルに勝利したと言う結果が、陸人と対等に向き合う勇気を与えてくれている。

 

「……ああ、どうにも記憶がハッキリしないが、約束は約束だ。例え衝動的、感情的に発したものであってもそれを違えるつもりは無い」

 

 意外にも淡白な反応。だが、その言葉に嘘は無いとその場の全員が理解できる。

 

「随分とあっさり受け入れるんだね」

「俺はただ誰よりも上で在りたいだけだ。その為にお前らにしてきた事は自分でも理解してるさ。それが褒められたもんじゃないこともな」

「陸人君……」

 

 ナンバーズに取り憑かれたからだろうか、心の内を隠さず語りだす。

 

「だが、それが約束を守らない理由にはならないだろ?」

 

 問われて、少し彼について思い起こしてみる。

 

(そういえば陸人君、これまで約束を破ったところ一度も見てないや。こっちのお願いも全部聞いてくれたし……もしかして元々は、もっと真っ直ぐで誠実な人だったのかも?)

 

 デュエルの前、僅かに感じ取った焦りの感情は、彼がこうなった原因に関係しているのかもしれない。

 

「そうだね。どんな人だろうと約束は守るべきだと思う…それに、正直であって欲しいかな」

「…そうさ。だから負けた以上みっともなく抵抗するなんてことはしない。そして……」

 

 少しの逡巡から、意を決してその言葉を紡ぐ。

 

「築根遊八、お前は俺より上だ。認める。だからもう見下しも奪いもしない、これまでの行いを許せとも言わない。煮るなり焼くなり好きにしろ」

 

 俯いていた顔を上げ、目を逸らす事なく遊八を見つめ言い切った。

 流れる沈黙。陸人の言葉を聴いて、遊八は目を閉じた。その言葉を何度も反芻し、自分の言葉を引き摺り出す。そして——。

 

「違う。違うよ」

「……」

「君とは対等だ。さっきのデュエルでようやく対等になれたんだ」

 

 ゆっくりと目を開き、真っ直ぐ陸人を見据える姿は、今までと別人に思えた。まるで子どもが急に大人になったような、それも少し違うような……。

 

「だが結果はお前の勝ち。なら——」

「だからだよ。君に勝ったから対等に話せるようになった…実を言うとね、怖かったんだよ。ここに来るまで」

 

 今度は遊八が語る番。

 

「ずっと人と関わるのが苦手だったからさ、君には本当に感謝してたんだ。例えどんな裏があったとしてもね」

「お前……」

 

 表情、声音。彼は本気で感謝しているのが嫌でも伝わる。

 

「ずっと怖くてさ…でも、そんなのもう嫌だったんだ。変わりたかったんだ。そんな時に手に入れたのがこいつだった」

 

 ナンバーズを見せる。

 

「このカードが…いや、俺のデッキ全部が力を貸してくれる。だから君に立ち向かえた。結局、一人じゃまだまだってね。ナンバーズの力は君も確かに感じたでしょ?」

 

 頷く陸人。その表情はどこか素っ頓狂で普通の少年のものだった。

 

「てな訳で別に俺は君を超えちゃいないし、そもそもそんなのどうでもいい」

 

 キッパリと言い捨てる。これにはその場の全員が素っ頓狂な顔をする。

 

「は? いや、じゃあさっきまでのは何だったんだよ」

 

 流れを断ち切る一言につい突っ込みを入れる陸人。

 

「君が上下関係にこだわるから。とにかくどっちが上とか無い、対等対等」

 

 投げやりな遊八。その場に屈み、座り込んだままの陸人の肩をポンポンと叩く。ちょっと距離が近い。

 

「急に気安くなるじゃねえか、距離感バグってんぞお前」

「あれ、駄目だった? 友達なら別に良いかと」

 

 友達。この一言に、陸人は何度目かの間の抜けた表情になる。

 

「いつ友達になったんだ」

「え゛、ショック。表向きとは言えずっと友達だったんじゃ——」

「お前それは流石におかしいだろ! 友達ごっこは本物の友達じゃ無いだろうがよぉ!」

「あ、そっかぁ。確かに」

 

 マイペースな遊八に頭を抱える陸人。

 

 

「何なんだこれは……」

 

 呆れ果てる凌牙。

 

(ナンバーズを複数操るから何者かと思えば、飛んだ間抜けだったな。どっかの馬鹿を思い出すぜ)

 

 そう思いつつも、ナンバーズの事があるのでこの場に留まるのだった。

 

 

「それじゃあ今からは本物の友達だ。これで良いでしょ」

 

 真っ直ぐな微笑みで、陸人へ手を差し出す遊八。

 

「正気か?」

「正気だよ。俺と君は対等で、君は煮るなり焼くなり好きにすれば良いと言った。何もおかしなことは無い」

 

 自分の言葉を逆手に取られた陸人は溜め息を吐いて、遊八の手を取った。

 

「わかった。俺は自分の言葉に嘘はつかないからな。それに…今までのお前よりかは今のが幾分かマシだ」

 

 これにて二人の和解が成った。すると——。

 

「よかったじゃんよぉ、陸人君よぉ!」

 

 ヴェルズ使いの取り巻きが陸人を小突いて揶揄う。思えばデュエル中も、他の取り巻きと違って対等にやり取りをしていた。ならば恐らく友達なのだろう。

 

「何がだ」

「おまえちょっと前からずうっとピリピリしててさぁ、オレ以外に普通の友達いなかったろ。なっ! 孤高のガキ大将!」

「馬鹿にしてんだろお前! この!」

「あー! い、いふぁい〜」

 

 頬をつねる陸人。痛がりはするが、彼に新しい友達が出来た喜びが勝るのか笑顔が崩れない友人。

 

「あーいいね。俺もあんな風に戯れ合える友達が欲しかったんだよ」

 

 しれっと凌牙の横に立ち羨ましそうに二人を眺める遊八。

 

「はっ、俺はごめんだぜ」

 

 我関せずの凌牙。急に現れた遊八に実は少し驚いた。

 

「先輩って絶対めんどくさいですよね」

「喧嘩売ってんのか」

「正直に思ったことを言ったまでです」

「テメェッ!」

 

 ついに凌牙がキレる。となったところで——。

 

「あっあの!」

「ん?」「あ?」

「ヒッ」

 

 気弱な少年が声を掛けて、凌牙の圧に怯んだ。

 

「先輩。怖がられてますよ」

「やっぱ喧嘩売ってんだろ」

「後で買ってあげますから今は待って下さい」

 

 自然な流れで凌牙を煽る遊八。本人にそんなつもりはない……半分くらい。

 

「売ってんのはッ……チッ、後で覚悟してろ」

 

 面倒になったのか引き下がる。

 

「それで、どうしたんだい?」

 

 少年に向き直る遊八。少年は意を決して話し始める。

 

「えっと、助けてくれてありがとうございます。あなたがいなかったらきっとボクは——」

「そんなつもりは無いよ」

 

 またしてもキッパリ切り捨てる。

 

「え?」

「あーいや、自分の事で手一杯だったからさ。君の事は正直ついでぐらいにしか考えてなくて…あはは」

 

 言葉が足りない事に気づいた遊八は言葉を足す。それでもあんまりな物言いな気はしないでもない。

 

「い、いやそれでも! ありがとうございます!」

 

 この少年、気弱に見えて以外と心が強いのかもしれない。

 

「そ、そっか……あ、そうだ! はい」

 

 遊八は少年にも手を差し出す。

 

「えっと?」

「君とも友達になろうと思って、あと敬語はいらないよ。同い年でしょ?」

「あ、はい…あ、いや、うん」

 

 僅かな戸惑う少年。けれど敬語は無くした。

 

「じゃあ、ん」

 

 再度握手を要求。

 

「えっと、うん。よろしく」

 

 少年はその手を取った。

 

「やった。ようやく友達が出来たっ!」

 

 反対の手でガッツポーズ。

 

「お、おめでとう」

「本当、馬鹿馬鹿しい」

 

 押され気味な少年と、呆れ顔の凌牙だった。

 

「あ、そうだ遊八くん。受け取って欲しい物があるんだけど——」

 

 

 …………

 

 

「話は済んだか?」

 

 頃合いを見て凌牙が遊八へと話しかける。

 

「まだいたんですね凌牙先輩」

 

 純粋な疑問である。

 

「……俺もお前に話があるからな。ちょっと面貸せ」

 

 凌牙、ここはグッと堪えた。

 

「おー凄く不良みたい。良いですよ。俺もあなたと話したかったので」

 

 快く受ける。その様子に周りの意見はおおよそ一致した。

 

「能天気かよ」

 

 ジト目でボソッと陸人が溢す。

 

「はぁ、気の抜ける奴だぜ。まあいい、ついて来い」

 

 そう言って凌牙は歩き出す。

 

「あっはい。そうだちょっと寄り道いいですか? デッキ弄りたい。流石にやりくりターボは常用できない」

 

 遊八もそれについて行く。

 

「構わねえ。はなっからデュエルするつもりだからな」

 

 

「……あれ、大丈夫かな」

 

 遠ざかる二人を見て、ふと一人が呟いた。

 

「無自覚に煽ってたしな。やっぱボコされんじゃね?」

「ご愁傷様だな」

「流石に今回はアイツのために祈るぜ」

「遊八君……」

「案外何とかすんじゃねぇの? それはそれとして祈るが」

 

 皆口々に言うが割と心配されている。それだけシャークの名はまだ、恐れられていた。

 

 

 

 

 学校を後にした遊八と凌牙は今揃って歩いている。

 

「しっかし何でこれくれたんでしょう。どうにも理由に納得行かなくて……」

 

 遊八の手にあるのは《覚醒の勇士 ガガギゴ》少年から渡されたカードだ。

 

「知るかよ。きっと友情のカードってやつなんだろ、貰えるなら貰っとけよ」

「友情。なるほど、なら貰っときましょう。にしても先輩に友情への理解なんてあるんですね」

 

 まだ腑に落ちない様子だが、とりあえず受け入れたようだ。それはそれとして余計な一言も足す。

 

「やっぱ今ここで相手してやろうか」

 

 イラつく凌牙、当然の反応である。

 

「そんなつもりじゃ…すいません。それと、人目のつくところでナンバーズは使いたくないです。何があるかわかりませんから」

「はぁ、調子狂うぜ…まあいい。俺はテメェを見極める為にデュエルを申し込んだんだ」

「ふふ、やーまさかあのシャークとデュエル出来るなんて……昔の僕に言っても信じて貰えないだろうなぁ」

 

 コロコロと表情が変わる遊八。しかし彼にとってこれは特別な時間なのだ。テンションが上がるのも仕方ないだろう。

 

(遂にゼアルの登場人物とのデュエル……! しかも相手はあのシャークと来た。これはもう頑張るしかない。全力で勝ちに行く!)

(何でコイツこんなテンション高えんだ。本当にあのデュエル馬鹿を見てる気分だ)

 

 そしてしばらく経ち、人気の無い開けた場所へ着くと互いに距離を取り、向き合う。

 

「覚悟はいいか」

「ええ、手加減はいりませんよ。全力でお願いします」

「そんなつもりはさらさら無え」

「そりゃ良かった」

 

 遊八の表情も引き締まり、睨み合う。そして——。

 

「「デュエルディスク、セット!」」

「Dゲイザー、セット」

「デュエルターゲット、ロックオン!」

 

 準備は整った。遊八の深呼吸を挟み、開始の合図を互いに叫ぶ。

 

「「デュエル!!」」

 

 激闘が今、始まる。






 シャークさんか? これほんまにシャークさんか? この時期もっとピリついてなかったか? でも最初期よりちょっとは丸くなってるはずよな、これでええか。

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