遊戯王ZEXAL 転生決闘者『築根ゆうや』 作:ふわ×フワ
凌牙vs遊八 前半戦。
最序盤だとシャークさんのカード(主にエクシーズ)足んなくてですね、Ⅱからもカードを持ってきてしまいました。やっぱ大変、と言うかデュエルが長なってまう。
さて、2週開いたか…亀や言うたけどそれはそれとして、待たせてしまうのは申し訳ないと思っとります。今更ですがお気に入りしてくれた方、本当にありがとうございます。なんなら見てくれるだけでも嬉しいわ。
少し前——。
「これ、良いの? ホントに?」
「うん。ボクにとって大切なカードなのは間違いない。でも、だからこそ君に受け取って欲しいんだ。ボクが強くなれたその時に、そのカードを使ってボクとデュエルして欲しい」
少年の目に小さく灯った覚悟の火。
出会いからの僅かな時間で、彼は何を感じ何を思ったのか……それは本人にしかわからない。けれど——。
「きっとこれは君にとって大事な事なんだろうね……」
揺るがぬ瞳を見つめ、遊八は頷いた。
「わかった。新しい友達からの頼みだ、これは預からせてもらう。そして、デュエルの話も受けよう。いつかその日が来るのを楽しみにしてるよ。約束だ」
「…っ! ありがとう!」
少年の顔にパッと花が咲き、友情と共に固く握手が結ばれる。彼からはもう、さっきまでの弱さを感じはしない。
(君のその目は、僕の何を見つけたの? 何で、自分の大事なカードを僕に……?)
遊八の瞳が揺れる。成長の見えた姿はその一瞬、たった一瞬だけ崩れる…だが、誰もそれに気づく事は無かった。
そして現在——。
「「デュエル!!」」
対峙する2人。本来起こり得ないこのデュエルにて、先に動いたのは凌牙。
「先行はもらう。俺のターン、ドロー!」
相手はナンバーズを複数操る決闘者。凌牙は自分の手札を確認し、瞬時に戦略を組み立てる。
「俺はキラー・ラブカを召喚。そして、シャーク・サッカーを特殊召喚。コイツは魚族モンスターが召喚された時特殊召喚できる」
(早速レベル3が2体。シャークの先行で出すランク3エクシーズといえば——)
「俺はレベル3のキラー・ラブカとシャーク・サッカーでオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚! 現れろ、潜航母艦 エアロシャーク!」
『潜航母艦 エアロシャーク』 ATK/1900
(出た! シャークさんのランク3エクシーズ! やっぱこいつよね)
「エアロシャークの効果発動。ORUを1つ使い、自分の手札1枚につき400のダメージを与える。俺の手札は4枚、よって1600のダメージだ。エアー・トルピード!」
遊八 LP 4000→2400
「ぐうっ、先行から半分近いダメージ、流石に効くなぁ」
「まだ終わりじゃねえ、永続魔法、シャーク・レイアーを発動。こいつは手札の魚族モンスター1体を墓地に送り、その攻撃力以下の相手モンスターの攻撃を封じるカード。俺は攻撃力1600のディープ・スィーパーを墓地に送る。カードを2枚伏せてターンエンド」
手加減も様子見もしない。凌牙は遊八を相手に、全力を出さねばならないと判断している。
(もう手札が0…打てる手は全て打つつもりってとこか。ありがたいね。さて俺は…)
纏う雰囲気が変わる。先程のデュエルで見せたものだ。それに当てられた凌牙は、一層気を引き締める。
「行きますよ。俺のターン、ドロー。レスキューラビットを召喚し効果。このカードを除外する事で、デッキからレベル4以下の同名通常モンスター2体を特殊召喚できる。来い、アレキサンドライドラゴン。ただし、この効果で特殊召喚したモンスターはターンの終わりに破壊されます」
アレキサンドライドラゴン ATK/2000
(たった1枚でレベル4を2体揃えやがった)
「そしたらエクシーズ、と行きたいですがこのままバトル! まずはエアロシャークに攻撃」
ドラゴンの鋭い爪にエアロシャークが引き裂かれる。
「くっ」
凌牙 LP 4000→3900
「続けて直接攻撃」
2体目が凌牙に向かって突撃しようとする。が——。
「その前に罠発動。ゴースト・フリート・サルベージ。自分の水属性エクシーズが戦闘で破壊された時、そのモンスターと素材となったモンスターを効果を無効にして特殊召喚する。俺は、エアロシャークとその素材となった2体を特殊召喚」
凌牙の場に、3体のモンスターが水飛沫を上げ蘇る。
「一気に3体も……ならシャークサッカーに攻撃!」
「次のターンのエクシーズ召喚を止めようってんだろうが、そうは行かねえ。更に罠、フル・アーマード・エクシーズ」
「んなっ、そのカードは——」
続けて開かれたもう1枚。それは効果の違いこそあれど、遊八も知るカードであった。
「俺はエアロシャークを対象にコイツを発動。俺はこのターン一度だけエクシーズ召喚を行える」
「やっぱ相手ターンエクシーズか…くぅっ」
「俺はレベル3のキラー・ラブカとシャーク・サッカーでオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚! 来い! ブラック・レイ・ランサー!」
(確かアニメ効果はここから——)
「そして、効果の対象となっていたエアロシャークを装備カード扱いで、ブラック・レイ・ランサーに装備。その攻撃力分、ブラック・レイ・ランサーの攻撃力をアップする」
エアロシャークが鎧に変化し、それをブラック・レイ・ランサーが装着。遊八の前世に倣うのならば、その姿は——。
『FA—ブラック・レイ・ランサー』 ATK/4000
「攻撃力4000。初っ端からこんなの出してくるなんて……」
「何だ。怖気づいたか?」
「とんでもない…こんなの見せられたら、尚更燃えてきますよ」
立ちはだかる巨大な壁を前に、遊八はその身を歓喜に震わせる。かつて画面の向こうに見た姿をこの目に焼き付けながら。
「とは言えこれじゃ攻撃は出来ない。バトルは終了。そしたらお待ちかね、エクシーズだ! 俺はレベル4のアレキサンドライドラゴン2体でオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚! 現れろ、No.60! 刻不知のデュガレス!」
ナンバーズ1体目は、時を司る悪魔。
『No.60 刻不知のデュガレス』 DEF/1200
「来たか、ナンバーズ」
現れた最初の獲物を、凌牙の鋭い目が捉えた。
「デュガレスの効果発動。ORUを2つ使い。3つの効果から1つを使用可能、俺はカードを2枚ドロー、その後手札を1枚を捨てる」
「攻撃力アップにドローまで…サポート特化のモンスターか」
先程のデュエルとこのデュエル。そこからナンバーズの力を的確に分析する。
「はい。ただし次のターン、使った効果に対応したフェイズがスキップされます。今回はドロー、つまり——」
「ドローフェイズのスキップか」
「その通りです。俺はカードを2枚伏せてターンエンド」
「俺のターン、ドロー!」
(フィールドのモンスターの攻撃力だけなら俺の方が上だが、俺のカードは手札も込みで3枚だけ…対してあいつはナンバーズに伏せが2枚、手札がまだ4枚ある。これは厳しいデュエルになりそうだぜ)
「ブラック・レイ・ランサーの効果発動! デュガレスの効果をこのターンの間無効にする。パラライズ・ランス!」
「これで破壊耐性が無くなった。壁にはさせてくれませんか」
「時間をかければ不利になるのは俺だからな。バトル、ブラック・レイ・ランサーでデュガレスに攻撃! ブラックスピア!」
鋭い槍の一閃。デュガレスは貫かれ破壊される。
「くっ」
「俺はカードを1枚伏せて、ターンエンド」
「ならその前に罠発動、リビングデッドの呼び声。墓地から聖鳥クレインを特殊召喚し、効果発動。カードを1枚ドロー」
「デュガレスの効果で捨てたカードか、これでドロースキップは無かったも同然になるってわけだ」
「そんなとこです。いやぁ、陸人君には感謝ですね。良いカードを教えてくれた」
(まだまだ余裕ってとこか、これは崩すのに苦労しそうだぜ)
「俺のターン。ドローをスキップ、そのままメインまで。サモンプリースト召喚。このカードは召喚成功時守備表示になります。そして効果発動。手札の魔法1枚を墓地に送り、デッキから紅血鬼を特殊召喚」
意気揚々、手早く準備を整える。
「これでレベル4が3体…」
「ええ、行きますよ! 俺はレベル4のクレイン、サモンプリースト、紅血鬼でオーバーレイ! 3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚! 現れろ、No.57 奮迅竜 トレスラグーン!」
遊八の反撃のカード。2体目のナンバーズが凌牙の前に立ちはだかる。
「来たか、2体目のナンバーズ。そいつの効果は相手モンスター1体の攻撃力を自身に加えるものだったな」
「はい。これでブラック・レイ・ランサーの攻撃力を上回る!」
白きその身を炎に包み、爆ぜる。渦巻く爆炎の中、再び竜が身体を創る。ブラック・レイ・ランサーの姿をその一部にトレースして……。
『No.57 奮迅竜 トレスラグーン』ATK/4100
「バトル! トレスラグーンでブラック・レイ・ランサーに攻撃!」
「させねぇ、墓地のキラー・ラブカの効果発動。その攻撃を無効にして、攻撃力を500ダウンさせる」
盾になるように半透明のキラー・ラブカの姿が浮かび、攻撃から守る。
「使って来ますか。カードを1枚伏せてターンエンド」
「俺のターン、ドロー! エクシーズ・ギフト。今フィールドにはちょうど2体のモンスターエクシーズがいる。よってカードを2枚ドロー。そしてブラック・レイ・ランサーの効果発動! これでトレスラグーンの効果は無効、攻撃力は元に戻る」
「トレスラグーン!」
竜の巨体が揺らぐ。なんとか維持するも、姿は最初の状態に戻ってしまった。
攻撃力の差は歴然。次の一撃で勝敗が決してしまう。
「バトルだ! 行け、ブラック・レイ・ランサー!」
「させない。罠発動、重力解除! フィールドの全てのモンスターの表示形式を変更する。これでバトルは無効です!」
『ブラック・レイ・ランサー』DEF/600
『No.60 奮迅竜 トレスラグーン』DEF/2600
「止められたか」
(それだけじゃねえ、ナンバーズでしか破壊出来ない守備力2600にしやがった。俺としたことが、勝負を焦ったか…)
(危ない。ナンバーズ耐性と相性良さそうでかつ、サンドバッグ回避の為入れてみたのが役に立った。うん、これイイかも)
「仕方ねぇ、カードを1枚伏せてターンエンド」
悔しさを滲ませつつも、気持ちを切り替えターンを回す。
「俺のターン、ドロー…」
(うーん、こっちの方が有利なはずなんだけど、中々ライフが削れそうにない。けどまだ焦らない。えーと向こうのフィールドがレイランサー、装備されてるエアロシャーク、レイアーと2伏せで計5枚。こっちは57、リビデ、伏せが1で3。よし)
遊八もまた、凌牙の実力の高さをその身で感じ取っていた。それでもまだ、焦る事なく次の一手を打つべく動く。
「トレスラグーンの効果、ORUを1つ使い相手フィールドを1ヶ所、封鎖する。ORU3つ全て使い、焼き払え! トレスラグーン!」
トレスラグーンの咆哮。凌牙のフィールドを白が舞う。瞬間、爆発。モンスターゾーン3つが焼き尽くされた。
「くっ…だがまだ——」
「狙いはそれだけじゃ無い。罠発動、強化蘇生。墓地のレベル4以下のモンスター1体、俺は聖鳥クレインを特殊召喚」
「そうか、エクシーズ素材にしたモンスターを墓地に送る為に…!」
妨害と展開。2つの手を同時にこなす。これには凌牙も苦しい表情が浮かぶ。
「そう。更にこの効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は100アップし、レベルが1つ上がる。クレインの効果でドロー。そしたら、黄血鬼を召喚し、これを対象にスター・チェンジャー。レベルを1つ上げ、これでレベル5が2体。俺はレベル5となったクレイン、黄血鬼でオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚! 現れろ、No.5 亡朧竜 デス・キマイラ・ドラゴン!」
巨体をしならせながら、亡者の様に虚ろな竜が姿を現す。3体目、彼の最後のナンバーズだ。
『No.5 亡朧竜 デス・キマイラ・ドラゴン』ATK/2000
「バトル! ブラック・レイ・ランサーに攻撃!」
(装備されているエアロシャークを身代わりにできるが…ここは)
デスキマイラの放つ瘴気を受け、ブラック・レイ・ランサーが破壊される。
「何? いやとりあえず撃破、俺はデス・キマイラ・ドラゴンの効果を使い、自分の墓地からこのカードにORUを追加。攻撃力アップ。これでターンエンド」
(装備カードで破壊を肩代わり出来たはず、何故……)
彼が自分のカードの効果を忘れるだろうか…疑問は警戒へと変わる。
「俺のターン、ドロー! 俺がブラック・レイ・ランサーを破壊から守らなかったのが不思議でならないみたいだな」
遊八の思考を凌牙が言い当てる。
「そうですね。装備が剥がれるので攻撃力は下がりますが、壁としてはまだ機能するはずですから」
遊八の返答にニヤリと笑う。
「堅実だな、確かにそれは俺も考えた。その上で守りを固めてもお前には勝てねぇ、そう考えた。ならっ! 罠発動、エクシーズ・リボーン!」
「……っ! これは困るかも…」
ここで遊八の余裕が僅かに崩れた。
「蘇れ! ブラック・レイ・ランサー! そして、エクシーズ・リボーンはORUとなる。そのまま効果発動! デス・キマイラ・ドラゴンの効果を無効にする。パラライズ・ランス!」
デス・キマイラ・ドラゴンが力無く項垂れる。
「効果が無効になった事で攻撃力は0に…っ」
「さらに、エクシーズ・トレジャーを発動。フィールドのモンスターエクシーズの数だけドローする。今フィールドには3体。よって3枚のドローだ。バトル、ブラック・レイ・ランサーでデス・キマイラ・ドラゴンを攻撃、ブラックスピア!」
「ぐっ…うわあああああ!!」
デス・キマイラが破壊され、その衝撃によって、吹き飛ばされる。
遊八 LP 2400→300
「俺はモンスターをセットして、ターンエンド」
「俺のターン……ふう、ドロー」
ライフを大きく削られ焦りが生じるが、ここは一度深呼吸。心を落ち着ける。
「まずはこれから、トレード・イン。手札のレベル8、ダークストームを墓地に送ってカードを2枚ドロー。更にエクシーズ・ギフトで追加2枚ドロー! 思い出のブランコを発動し、さっき墓地に送ったダークストームを特殊召喚」
『ダークストーム・ドラゴン』ATK/2700
「なるほど、デュアルモンスターか」
「ええ、ここから反撃です。通常モンスター扱いのダークストームを再度召喚し、効果発動! 自分フィールドの表側魔法・罠1枚を墓地に送り、お互いの魔法・罠全てを破壊する! 俺はリビングデッドを墓地に送る」
「くっ、なら罠発動、超水圧。自分フィールドのモンスター1体を破壊し、カードを1枚ドロー!」
「自らブラック・レイ・ランサーを手放した。ダメージは与えられなくなりましたか…バトル、セットモンスターを攻撃」
『ダブルフィン・シャーク』DEF/1200
「くっ…」
「カードを1枚伏せてターンエンド。思い出のブランコの効果によりダークストームは破壊されます」
「俺のターン、ドロー!」
ドローカードを確認する凌牙。対する遊八に一筋の汗が流れる。
(今フィールドにいるのは守備表示のトレスラグーンだけ、これを突破されたらライフの少ない俺は大ピンチ、さてどうなる……)
「手札より、
「……っ!」
引き当てられてしまった。遊八は息を呑む。
「このまま攻撃できりゃ俺の勝ちだが、残念なことにモンスターはいねぇ、命拾いしたな。カードを1枚伏せて、ターンエンド」
「はぁ、ふぅ。俺のターン」
(安心したからか? 何か少し力が抜けたかも、入れ直さないと)
大きく息を吸い吐き出す。そしてカードを引こうとする。が——
「?……あ、れ…力が、これは…はぁ、はぁ…んぐっなんで…っ」
襲い来る脱力感。倒れないよう何とか力を込めるも、その足はガクガクと震えている。
「おい、どうした!…まさかナンバーズが⁉︎」
(ナンバーズ? 何で今…全部倒されたからか? そんな馬鹿な。そもそもだ、調子こそ良くなるが僕はずっと正気なまま。だからそんな事ありえない…ありえないはず……——)
まとまらない思考、走る悪寒。遊八から平常心を奪っていく。
ざわめく心が感じ取る。奥から何かが、湧き上がってくる。迫ってくるのを…。
ノイズ…思考が固まり、鼓動が跳ねる。今度ははっきりと浮かんだ。脳裏にはナンバーズの数字…。
視界と思考が、闇に包まれた。
………
『いい加減気づいたらどうだ』
迫り来るのは闇。
『お前は俺じゃない』
どこからともなく響く声。
闇が遊八そっくりの姿となって現れ、語りかけてくる。
『おかしいと思わなかったのか? これまでずっと怯えて、流されるまま生きてきた人間が、たった2枚のカードを手にした途端に、こうも変わるなんてさ』
耳を塞ごうとも聞こえてくる声。
脳内に映像として流れる記憶。
逃れる術はない。
『ナンバーズの影響を受けない? 自分は特別だとでも? 願うだけで動こうとしなかった奴が? 都合が良すぎる。バカバカしい』
表情に色は無く、冷たい声が容赦なく責め立てる。ここでようやく、遊八が言葉を発した。
「じ、じゃあさっき陸人たちの前で言った言葉も嘘だってのか?」
『それは俺の言葉だ。さっき言ったばかりじゃないか、お前は俺じゃない。俺は、ナンバーズによって作り出された理想を写す虚像。気づいてなかったんだな…お前の勇気も、決意も、言葉行動全部…俺のモノだ。お前は何も変わっちゃいない、手に入れてない。だからナンバーズを失えばかつてのお前に逆戻り、そうなりゃ俺が手に入れたものも失われる。ま、勘違い野郎にゃ当然の末路だろうよ。二度目を歩んどきながら、情けない』
「……嘘だろ?」
虚像の手が遊八の頬に添えられる。顔を突き合わせ、彼は告げる。
『嘘じゃない。これが事実で、現実だ……だがぁ、1つだけ逃れる手がある。手に入れたもの、手に入れるもの、失いたくなければ…わかるだろう?』
弧を描く口元、耳元で囁かれた救い。姿を崩し、纏わりつくように闇が包む。重い。のしかかる重さに耐えきれず膝をつく。このまま呑み込まれてしまうのか…このまま潰されてしまうのか…。
「ああ、そんな…そんなのって……」
何度も突き立てられた言の刃は心をえぐり、突きつけられた事実がそこに染み込み蝕んでいく。これを受け止められる強い心など彼は——。
遊八の心が闇に閉ざされる。まるで星なき夜のように。今の彼を照らす光は、不気味な赤に染まった三日月、ただ一つだけだった…。
「少しは強くなれたって思ってた…でも、そんなこと無かったのか……?」
呟く。現実にしてほんの一瞬、その僅かな時間で彼の心は罅割れ、削られた。急激な成長を感じさせた彼は、もう見る影もない。結局、全ては幻だったのだ。
「どうした! 遊八! おい!」
「あ、ハハ…ハハハ……」
「本当にどうしちまったんだ」
届かぬ声。力無く笑う遊八。突然崩れ落ち、弱々しい姿を見せる彼に、凌牙はただ困惑するしかなかった……。
遊八君は遊戯王への愛が強いだけの一般人です。
最初期は召喚口上ほとんど無かったはずよねってことで、本作もここまで口上は無しでした。ただこれから少しずつ増やしていくつもりです。投稿がもっと遅くなるねっ!(弱々語彙力ですまない)
ま、そんな長ったらしいのは用意できないだろうけど…。
次回 凌牙vs遊八 決着!
おまけ
VRAINSの配信を見て、私もあー言うのを作ってみたくなったのでやってみた。(サブタイは仮、変わる可能性あり)
次回予告
彼は己の弱さを知っている。己の強さを否定する。
自らを信じることのない心を、深い絶望と自己嫌悪へと導くのはただ一つ、真実のみ…。
かつて孤独を生きた少年はそれでも、信ずるモノを胸に歩み続けた。
「例え俺が弱くとも、力を貸してくれる友達がいる」
次回、遊戯王ZEXAL 転生決闘者『築根ゆうや』
『舞い降りる巨竜、理想へ伸ばす決意の手』
「かっとビングだ! 俺!」