遊戯王ZEXAL 転生決闘者『築根ゆうや』   作:ふわ×フワ

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 なんとか大きく間を空けずに出せた…セリフだけなら意外と出力できるんですよね、脳内アニメーションのお陰で。ただその詳細の言語化が苦手だから地の文に苦労する。前話…いや全話、うんうん唸りながら書いておりやす。




No.7 巨竜降臨! 真なる決意よ理想の先へ

 

      

 天からの光は、厚く雲に遮られている。このまま夜を迎えれば、光持たぬ者は闇の中を惑うのみ…そう思えてくるほど、無事分厚い壁と化している。

 

 

「あ、ハハ…ハハハ……自惚れてたみたいだ。ナンバーズの影響を受けない特別な存在なのかもって……違かった。全く、全然」

 

 心の内側で虚像によって突きつけられた事実。そして自覚する。己が如何に浅はかであったかを。

 

「何があった! おい! 聞こえてんのか!」

 

 聞こえているのか、いないのか、遊八は続きを零す。

 

「本当の僕は、あんなに強くない。人と、自分とすらまともに向き合えない軟弱者……俺は…僕じゃない」

 

 一度溢れてしまえばもう止められない。罅割れた心は崩れてしまったのだろうか。底まで落ちた自己肯定感は自分自身を攻撃する。元々自分はこうであった。例え生まれ変わっても、決して変わる事はない、と——。

 

「僕は、弱い…誰よりも……」

「ッ……テメェ——」

 

 ついさっきまで自分と互角の勝負を繰り広げていた相手が、自ら弱いと宣うその様に、凌牙が怒りを滾らせる。一気に頂点にまで達したそれをぶつけようとしたその時——。

 

「でも……っ」

「……っ!」

 

《光、瞬く》

 

「それでも……っ‼︎」

 

(わかりきってた事だろ、僕が弱いのなんて…今更なんだよ。今更……こんな事で傷ついてんじゃねえよ。思い出せ!自分の記憶、自分の言葉、自分の想い…忘れんのには早すぎるだろ!)

 

 遊八の手が震える。抜けた力を再び込めようと震わせながら立ち上がる。まだだ、その心はまだ、壊れ切ってなどいなかった。

 彼の想いが、爆発する。

 

《光が、何かが、呼んでいる》

 

 遊八は思考を回す。生きる為、戦う為に。屁理屈、解釈、何でも捏ねる。例えそれを否定されても、今だけはそれを信じ、貫く。

 

(ナンバーズの特性は? 人の感情、心の闇の増幅。結果として欲望のまま行動する人がいることから、欲望の解放とも言えるかも。そして欲望は願いにも通じる。それなら、それならさ——)

 

「変わりたいと願ったのは僕だ。ナンバーズの力を借りてでも、変わろうとしたのは俺だ!」

 

(あの俺、虚像は理想を写してんだろ? だったらあの言葉、あの時の俺が嘘なはずがない…ったくまんまと誘導されちまったよ。あれは俺の本心、俺の願いの実体だ!)

 

 未だ力の入り切らない体。震える声で、心で、彼は吼える。

 

《聞こえる。確かに、その鼓動が》

 

(まだデュエルは終わってない。ナンバーズの力も完全には消えてない。なら、弱いままだとしても、俺はまだ闘える…(おれ)のまま、立って闘える!)

 

 全身が震え、弱々しく映る彼の姿には、それでも強い決意が確かに宿っていた。

 

(俺に憑いた事、後悔したって遅いからな。とことんまで貸して貰うよ…ナンバーズ!)

 

 彼の想いに呼応したのか、ナンバーズの数字が2つ、浮かび上がれば強く輝き、溶け込むように消えていく。

 短いようで長い時を越え、今呼び覚ます。それは、いつの間にか深く沈んでいた記憶。

 

 かつての彼は孤独だった。家族も、友もいない。完全な孤独の中で幼少を過ごした。そんな時に出会ったのが遊戯王…デュエルモンスターズだった。かっこいい、可愛い、綺麗…彼は目を奪われた。それからはカードが友だった。

 多くの人が彼を苦しめた。親のいない彼を引き取った親戚らしき家族、学校のクラスメイト、教師も……。痛かった。辛かった。泣きたかった。けど何より、相手にそうさせる自分が、弱く醜い自分が、嫌いだった。それでも彼は笑顔を失わなかった。カードが、友達がいたから…。

 描かれた世界の向こうに想いを馳せて、描かれ続けるその世界を見ていたくて、彼は死のうなどと思う事は一度も無かった。どれだけ散々な目に遭おうとも、生きる理由をしっかりと持ち続けていた。彼は、諦めが悪かったのだ。

 

「そうだったな…例え俺が弱くとも、力を貸してくれるカード(友達)がいる。だったらこんなところで…折れてなんかやるものか! かっとビングだあ! 俺え!」

「それは…あいつの——っ!」

 

(怖い、怖いさ。でも、俺にはまだカードが残ってる。何がたかが2枚だよ。2()()()、俺に力を貸してくれるってんだ。それもナンバーズがだぞ。これで奮い立たなきゃ決闘者失格だろうが…! ああ、そうさ——)

 

自分のデッキを一瞥。そして前を向いて一歩、力強く踏み出す。もう震えは無い。

 

「そもそも俺は決闘者。デュエルを、それもこんなとびっきり楽しいデュエルを、途中で投げ出すなんてこと…ありえませんから! ですから、安心してくださいよ。先輩!」

 

 不敵に笑う。それが例え虎の威を借る狐に見えようとも。

 

「……ハッ、言ってくれんじゃねぇか。だったら最後までかかって来やがれ」

(正直何があったのかわかんねぇ。だが、あの何かを決意した眼、さっきまでとはまるで違う。それにかっとビング……ったく、どうやら大丈夫みたいだな…後はあいつの全力に応えるだけ…なら、その為に俺も——)

 

 呆気に取られた凌牙だったが、その決意は確かに聞き届けた。ならばこちらも最後まで全力を尽くすのみ。彼もまた、己と向き合い、再び闘志を燃やす。

 

 

 仕切り直しの遊八のターン。

 

遊戯王(これ)デュエル(この時)だけはずっと向き合うことが出来てたんだ。今更これまで捨ててたまるものかよ!)

 

 ぐっと拳に力を入れて、天へと突き上げる。

 

《まだ、残っている……鼓動が、強くなる》

 

(俺に特別な力は無い。無いけど、気分だけなら……)

 

 心の中で叫ぶ。希望を呼び込む奇跡の技を。

 

《神経を研ぎ澄ます。もうすぐ、手が届く》

 

(最強決闘者のデュエルは全て必然。ドローカードさえも決闘者が創造する。シャイニング……)

 

(やみ)が裂ける。切れ間から光が差す——咆哮が、聞こえた》

 

「……ッドロー!!!」

 

 手にしたカードを見て、笑う。

 

(そうだよな。まだ、お前がいてくれた…ありがとう。お陰で腹は決まった!)

「ナンバーズが無くとも、俺は戦える。サファイアドラゴンを召喚!」

 

『サファイアドラゴン』ATK/1900

 

(まずは準備だ。道は整えてやらないと)

「バトル。サファイアドラゴンで直接攻撃!」

 

 蒼き輝きを放つドラゴンの一撃が迫る。が——。

 

「罠発動、ディープ・カーレント。直接攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる」

 

 その攻撃は阻まれた。

 

「ターンエンド」

 

 追加の行動は無い。だが遊八の目は、まだまだこれからと言わんばかりに燃えている。

 

「俺のターン!」

 

 ドローカードを瞬時に確認し、そのままそれを発動する。

 

「魔法カード、サルベージ。墓地の攻撃力1500以下の水属性モンスター2体を手札に加える。俺はダブルフィン・シャークとシャーク・サッカーを手札に加える。モンスターをセットしてターンエンド」

 

「俺のターン、ドロー! アステル・ドローンを召喚してバトル」

(恐らくセットされているのはさっき手札に加えた2枚のどっちだよな…よし)

「アステル・ドローンでセットモンスターに攻撃」

 

『アステル・ドローン』ATK/1600

『シャーク・サッカー』DEF/1000

 

「くっ」

「続けて、サファイアドラゴンで直接攻撃!」

「ぐあああああ!」

 

 凌牙 LP 3900→2000

 

 遂に、凌牙のライフを大きく削る事に成功した。

 

「よしっ、俺はこれでターンエンド」

 

「俺のターン、ドロー! ダブルフィン・シャークを召喚」

 

『ダブルフィン・シャーク』ATK/1000

 

「ここで攻撃力1000を守備じゃなく攻撃表示? エクシーズは、違いそうかな。なら攻撃力アップか!」

「いい勘してるぜ。魔法カード、アクア・ジェット。このターン、俺の水属性モンスターの攻撃力は1000アップする」

「これで2000…あっ!」

 

 何かに気づいた遊八の視線。その先にはアステル・ドローンがいた。

 

「お前のライフは残り300。アステル・ドローンの攻撃力は1600」

「400のダメージで俺の負け、と」

「そう言うことだ。バトル!」

「そんな事させるわけ無いでしょう。罠発動、威嚇する咆哮。これで攻撃宣言はできません」

「防がれたか、カードを2枚伏せてターンエンド」

 

 お互いにエースカードをほぼ出し尽くしている。拮抗した状況は続く。

 

「俺のターン、ドロー。バトル! アステルドローンでダブルフィン・シャークを攻撃!」

「罠発動、ハイド・アンド・シャーク。ライフが2000以下で相手が攻撃宣言した時、ライフを半分を払いシャークと名のついたモンスター1体を除外する。俺はダブルフィン・シャークを除外」

 

 凌牙 LP 2000→1000

 

「これによりバトルを強制終了させる」

「まだそんなカードが…ですがこれで先輩のフィールドはガラ空きです」

「そいつはどうかな」

「え?」

「バトル終了と同時に除外されたダブルフィン・シャークはフィールドに戻る。そしてその攻撃力は、発動時に払ったライフと同じ数値分アップする!」

「また攻撃力が2000に、しかもアステル・ドローンは無効になったとは言え攻撃宣言を行った。表示形式を変更出来ない…発動時のライフも丁度2000でしたし、俺が迂闊な部分もあったかもですが、計算高過ぎですよ」

「だったらどうする。サレンダーするか?」

 

 実際、凌牙はサルベージを引いた段階でここまでの流れを想定していた。そして、その先も。

 

「冗談じゃない。言ったでしょう? 俺はこんなとこで折れてなんかやりません」

 

 だが、あくまで想定に過ぎない。その通りに行くかは、その時にならないとわからない。

 

「だったら見せてもらおうか、次の一手を」

「勿論。見せてやりますよ。俺の最後の切り札を……」

(出番だ、行くぞ!)

 

 手札から1枚カードを取る。それはあのドローによって加わったカード。ナンバーズを手にする前からの相棒であり、遊八に残された最後の力。遊八の希望。

 

「俺は! アステル・ドローンとサファイアドラゴンをリリースし、アドバンス召喚! 我が相棒にして、雄大なる竜。降臨せよ! フェルグラントドラゴン!」

 

 天より注ぐ光を受けて、眩き金色の輝き放つ。

 今、フィールドに1体のドラゴンが降り立った。

 

『フェルグラントドラゴン』ATK/2800

 

「ここでレベル8の大型モンスターか」

 

 まだ想定する道筋が潰えていないのか。僅かな驚きはあれど焦りはしない。

 

「ええ、ですがまだ気は抜きませんよ。一時休戦、互いに1枚ドロー。次のターン終了までに発生する全てのダメージをゼロにします」

「この状況で面倒なカードを……」

 

 直接潰されたわけではなくとも、道が遠のく。流石に全てが想定通りに進むなど無かったか。

 

「なんとでも言って下さい。私とて勝利を譲るつもりはありませんから。カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

 遊八もまた、自身の勝利を信じているのだろう。その声に揺らぎは無い。

 

「俺ターン…ドロー! 来たか」

 

 お互いが勝利を見据える。決着は近い。凌牙はここで最後の攻勢に出た。

 

「さて、次は俺の番だ。魔法カード、死者蘇生。戻ってこい、エアロシャーク!」

(ここでエアロシャーク…何をする気だ?)

「そしてエアロシャークを対象に装備魔法、エクシーズの宝冠を発動。こいつはモンスターエクシーズにのみ装備でき、装備モンスターはそのランクと同じ数のレベルを得て、1体で2体分のエクシーズ素材に出来る」

「ここでランク3エクシーズか…」

「更に魔法カード、下降潮流。ダブルフィン・シャークのレベルを3にする。そしてこいつもまた、1体で2体分のエクシーズ素材となるモンスター」

「なっ、しかも4体素材⁉︎」

「俺も見せてやるぜ、切り札ってやつを。俺は、2体分となったエアロシャークとダブルフィン・シャークでオーバーレイ! 4体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚! 出でよ! 海の帝王! 牙鮫帝シャーク・カイゼル‼︎」

 

 このタイミングでの大型エクシーズ。その名に違わぬ威圧感で遊八を圧倒する。

 

『牙鮫帝シャーク・カイゼル』ATK/1800

 

「まさか本当にやるとは…さっすがシャーク!」

「そう笑っていられるのも今のうちだ。ORUを1つ使い、シャーク・カイゼルの効果発動! このカードの攻撃力を、エクシーズ召喚に必要な素材の数から、今のORUの数を引いた数×1000アップする」

「本来必要な素材は4体ですよね。んで今ORUは1つ。その差は3…ってことはつまり3000もアップ⁉︎」

 

『牙鮫帝シャーク・カイゼル』ATK/4800

 

「マジすか、休戦が無かったら負けてたのか」

「そうだな。ったく何度も攻撃を躱しやがって、イラッとくるぜ。バトル!」

「そりゃお互い様でしょうよ!」

 

 クライマックスと言えるこの状況で、互いに軽口を叩き合う。

 

「シャーク・カイゼルでフェルグラントドラゴンを攻撃! カイザー・バスター!」

 

 帝王の一撃が竜を撃ち抜く。

 

「ぐうっ、一時休戦によってダメージは無い!」

「だが、お前の最後の切り札は破壊された。俺はこれでターンエンド。さて、ここからどうするつもりだ」

「まだですよ。まだ残ってます……俺の、俺たちの輝きは…ッ! 罠発動、奇跡の残照!」

 

 天から注ぐ一筋の光が、フィールドを照らす。

 

「このターン、戦闘で破壊されたモンスター1体を、墓地より特殊召喚する。蘇れ! フェルグラントドラゴン‼︎」

 

 遊八の背後。地に落ちた輝きが黄金の円を描き、そこから再び、金色の竜が翼を広げ姿を現す。より強い輝きを纏って——。

 

「墓地から特殊召喚されたフェルグラントの効果発動。俺の墓地のモンスター1体を対象に、そのモンスターのレベル×200、攻撃力をアップする。対象はレベル8のダークストーム・ドラゴン。これにより攻撃力は1600アップ。シャイニンググロウ!」

 

 たとえ一度倒れようとも、再び立ち上がり強くなる。更に輝く。

 

『フェルグラントドラゴン』ATK/4400

 

「だが、まだ俺のシャーク・カイゼルには届いてねぇ。そして罠発動、爆弾ウニ—ボム・アーチン—。相手が罠を発動した時に発動でき、次の自分スタンバイフェイズに1000ポイントのダメージを与える。もう逃さねぇ。次で終わりにしてやるぜ」

「こちらの罠を利用してくるとは、抜け目がないですね。とは言え、今の俺にこれ以上の手が無いのも確か…」

 

 自分の手札を見る。それは現状を覆すカードでは無い。

 

「だったら、ここで引き当てるまでです!」

「面白ぇ、だったら見せてもらおうじゃねえか。お前の最後のカードを」

 

 呼吸を整える。心を落ち着ける。

 

「…必ず引く。俺のターン…」

 

 一度拳を握り目を閉じて、集中。握り拳を解き、運命のカードを手に取る。

 

「……ドロー!!!」

 

 しばしの沈黙。それを破ったのは——。

 

「……これがラストバトルです」

 

 遊八だった。

 

「……ッ!」

「行こう、フェルグラント。バトル! 牙鮫帝シャーク・カイゼルに攻撃!」

 

 宣言と同時に巨大な翼をはためかせ、黄金の竜は天高く舞う。

 

「迎え撃て! シャーク・カイゼル!」

 

 対する海の帝王も、巨大な影を見逃さない。その影を堕とすべく、渾身の一撃を放つ。

 

「これが俺の最後の1枚! 速攻魔法、虚栄巨影!」

 

 逆転のカード。魂を込め今、発動する。

 

(虚栄ハッタリ上等よ! 俺1人で出来ることなんてたかが知れてる)

「バトル終了まで、自分モンスター1体の攻撃力を1000アップ。更に対象モンスターがバトルする時、その相手モンスターの攻撃力は元々の攻撃力となる!」

「なッ⁉︎」

 

(それでも変わると願ったのなら、そこで折れてちゃ本末転倒)

 

『フェルグラントドラゴン』ATK/5400

『牙鮫帝シャーク・カイゼル』ATK/1800

 

 威力の弱まったシャーク・カイゼルの攻撃を、フェルグラントが腕の一振りで掻き消す。

 

(ああ、もう。こんなデュエルしてたらさ、もっと強くなりたくなるじゃん。今の強さは借りもんだけど、そんなの全然関係ない。ほんの少しずつでもいい、いずれは自力で補えるように、その力を自分に刷り込め。そんで心身鍛えて強くなる! とにかく割り切れ、使えるもんは全て使え…! こんな所で満足できるか! 僕は行きたい。もっと高みに!)

 

 一時は悲観に塗れた表情も、今は希望に溢れている。これを齎したのは自分か、凌牙か、それともデュエルモンスターズか……彼がそれに気づく日はきっと来ないかもしれない。それでも今日のこのデュエルは、本当の本気の出発点として、彼の心に深く刻まれるだろう。

 

「行っけえ! フェルグラント! グランドレイ・バースト‼︎」

 

 轟く咆哮。これまでで一番の輝きを放つ。振り撒かれた光の粒が頭上に集い、光球を生み出す。フェルグラントは敵を見据え、再び咆えた。瞬間、光球から光線が放たれ、シャーク・カイゼルを飲み込んだ。

 

「ぐあああああぁぁぁ!!!」

 

 起こる大爆発。残りのライフごと凌牙を吹き飛ばした。

 これにて、決着。

 

 凌牙 LP 1000→0

   

  遊八 WIN

  

  

 Dゲイザーを外し、凌牙の元へ歩み寄る遊八。凌牙も体を起こす。

 

「凌牙先輩。いいデュエルでした。またやりましょう」

 

 晴れやかな笑顔で手を差し出す。

 

「また、か…ハッ、俺みたいな奴にあんまり絡むもんじゃないぜ」

 

 手を取ることなく立ち上がり、歩き出す。すると途中で立ち止まって振り返り、一言零していく。

 

「だが…ああ、いいデュエルだった。久しぶりに熱くなったぜ」

 

 その時の顔は僅かにだが、確かに笑みを浮かべていた。

 

(築根遊八……ったく、ホントにアイツを思い出す……デュエル、か…俺も俺なりに向き合ってみるぜ。遊馬)

 

 

「……あれは、素直じゃない。でいいのかな。今の悪評は聞いてるし、完全では無いとは言え、前世の記憶で先輩の一部分は知ってる。それで考えると…本当に丸くなってるなぁ。こっから操られたり前世の記憶蘇ったりすんのか…シャークさんの人生波乱万丈過ぎない? 苦労人の印象が強い」

 

 自分の持つ情報と実際に見た彼を重ね合わせてみて、そんな感想に至る。そんな中でふと、登場人物の内面の深掘りなどしたこと無かったな、と彼は思う。

 

「もしこれから更に交流が広がるなら、直接会ってその人をもっと知りたいな」

 

 以前なら抱くことの無かった感情。自覚はしていないが、築根遊八は確かに前を向き、成長していた。

 

「さて、帰るか! また明日から頑張るぞー!」

 

 去って行く凌牙を見送って、自分も帰路に着こうとする。このまま帰って気持ちよく眠ろうと……だが、人生とは全部が都合良くなど行かないものだ。

 

「動くな」

 

 降り立つ影が彼を呼び止めた。

 

「……あー今日は、随分と濃い1日だなぁ」

 

 さっきとは別の、けれど記憶の底に今も残る聞き覚えのある声。遊八に緊張が走る。

 

(一応聞いとくか)

 

 精一杯平静を装い、振り向きざまに聞く。

 

「あなた…誰です?」

 

 視線がぶつかる。

 

「人の心に澱む影を照らす眩き光…人は俺を、ナンバーズ・ハンターと呼ぶ」





 アニメ版カイゼルに虚栄巨影。これ効果間違えてないかめちゃ不安になる…しかし、それよりも今はフェルグラント。かっこよく書けたでしょうか…書けてると良いな。

 さてさて、凌牙に続いてカイトともエンカウントした遊八君。運命やいかにってとこで、また次回。
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