遊戯王ZEXAL 転生決闘者『築根ゆうや』 作:ふわ×フワ
ダメだ…天城カイトは強い。強くないとダメと思ってるから扱いが難しい。でもかっこいいので好きです。銀河眼も好き。かっこいい。MDでもデッキ組んだ。大好き。
さあてこの時期のカイト相手に遊八君はどうするのか。どうなるのか。頑張れ自認一般人!
※No.6のタイトルを変更しました。
「人は俺を、ナンバーズ・ハンターと呼ぶ」
(おかしいな、名前を聞いたつもりなんだけど。や、問いに対しての答えにはなってるか……天城カイト、まさかここで会うなんてな…WDCが終わってからが良かったのに、ついてないな)
遊八の前に現れたナンバーズ・ハンターを名乗る男。特徴的な髪型と纏う衣装。紛れもなく天城カイトその人であった。
「ナンバーズ・ハンター…噂には聞いてましたが、本当だったんですね。でも僕は持ってませんよ」
(圧が尋常じゃない。怖い。喉カラッカラ。ぶっ倒れそう。どうすりゃええよこれぇ)
この場を切り抜けるべく思考を巡らせる遊八。しかし、彼の放つ迫力に耐える方へと意識を奪われ、考えがまとまらない。
「その程度の嘘で俺を欺けると思わない事だな。この地点からナンバーズのエネルギーを観測した。それは今もだ。これでも言い逃れするつもりか」
表情に変化は無い。だが、見定める眼に更なる圧が籠るのを感じ、余計な事を言ったと悟る。安直に打った一手はやはり間違いだった。
「ですよねー。やーどうにかお引き取り願えないですかね?」
顔が引き攣る。一歩下がれば一歩詰められる。こうなった時点で、もはや逃げる手立ては無いだろうと察する。
「無理な話だな……貴様だろう? ナンバーズを己の意思で操るデュエリストは」
「あ、違いますね。普通に影響受けてましたから」
先程のデュエルで証明された事実だ。遊八はこれを自信満々で発言するが、今の自分の状態と矛盾していると、言ってから気づいた。そもそも過去形。
「嘘は言っていないか…だが今の貴様は、間違いなく自我を保っている。今度はこちらが問う番だ。貴様、何者だ」
「発言全部裏目に出るじゃんもう…俺は一般人です。何も知りませんよぉ…」
(最初っから白くなってたしなー、かなり警戒されてる。問答無用でデュエルに持ち込まないあたり、まだ計りかねてる感じか? それでも自分のが優位だって思ってそうよね。てか実際そう、勝てるかわからん。いや、負けるつもりは無いけどさぁ……うーん手詰まり)
苛立つカイトを前に頭を抱える。早くも取り繕う余裕が消えた。
もはやこれまでか…と弁明を諦めかけたその時、1枚のカードが遊八のデッキケースから飛び出す。
「「——ッ!?」」
「… これは、手に取れと?」
直感、なんとなく、けれど確信に近い感覚を遊八は得る。
手に取る。
(……ッ! 何だ…何をする気だ。まさか俺の身体を——)
キーンと脳内に響く甲高い音。無意識の防衛反応が頭痛を誘発、咄嗟に頭を抑える。だがカイトからすればそんなこと知ったことではない。異変が起きているのは確か、目の前の警戒対象に最後の警告を投げようとする。
「貴様! 何をしている——」
「黙って下さい! ホント! ちょっと待って!」
咄嗟に声を上げしまう遊八。やってしまった、とすぐに後悔するがもう遅い。言葉を遮ったのが裏目に出ない事を祈り、痛みに耐えながらナンバーズへ目と、意識を向ける。
(違う、悪意は無い。ただの勘で根拠なんて無いけど……信じていいかい? 僕を害する気は無いと、本当に)
カードはただ淡く光るだけ。けれど、遊八にはそれで十分だった。
「チッ、話すだけ無駄か。ならば!」
相手は今行動不能に陥っている。そう考えたカイトが狩るために動く。このまま行けば遊八は一巻の終わり。だが——。
(信じるよ君を…友達だからね…!)
瞳を閉じ、意識をより深くカードへと……瞬間、時が止まったように全てが静まり返る。いや、確かに止まっている。遊八はそれに気付くことなく心の中で語りかける。
「後は君に任せるよ。だから身体、ちゃんと返してね」
つい口に出してしまう。それだけ強い想いが、カードへと注がれているのだ。
力が、ナニカが入ってくる。注げば注ぐだけ強くなる拒絶反応。それを無視して力に身を委ねる。
遊八の意識は、眠るように深く落ちていった。
時は動き出す。
「——ッ!」
カイトから伸びる光の手。それは正確に遊八の心臓…いや、魂を捉えて——。
「なん…だと……?」
掴み取る事なくすり抜けた。
「ふむふむ、成る程。こうなるか…」
「貴様、一体何をした⁉︎」
異常事態。これまで経験してしたことのない現象に動揺が生まれる。
「何…何か……我はただ少年の身体を借りただけ。何もしとらん」
口調が変化している。閉じられた瞳は開かれ、異質な力が解放される。
「貴様…ナンバーズッ!」
「如何にも。我はその60番目、時を司るナンバーズ、デュガレスである」
右の瞳に刻まれたナンバーズの数字。今、築根遊八の肉体を操っているのは、刻不知のデュガレス。
「まさかナンバーズ直々のお出ましとはな…」
「我に交戦の意図は無い。しばらく我と話をしようではないか」
再び止まった時間。今度はカイトも動けている。
「なるほど、時を操る貴様を捉えることはできない、とでも言うつもりか…いいだろう。乗ってやる」
不服そうに答える。
「すまんの。代わりに楽にしても良い。その姿、消耗が激しいのだろう」
「……」
カイトは思案する。目の前の存在の真意と得体の知れぬ少年の力を。
(ナンバーズと一体化…いや、身体を貸し与えたが正しいか…そんな事が可能なのか? そしてこの地点で観測したナンバーズとも違う異常な量のエネルギー。奴との会話からその答えを引き出せるか? No.60…ナンバーズの中でも一際厄介なのは間違いないだろう。何故今出てきた。何故俺との会話を望む? なんであれ警戒を解くわけにはいかない)
「断る」
「そうか、ならばよい。では…何から話そうかのう?」
惚けたように切り出す。数字の刻まれていない方の目を閉じ、誘うようにカイトを見る。
主導権を握るのはデュガレス。カイトは苦々しい表情で最初の質問を投げる。
「……その少年…築根遊八は何者だ」
「我も全てはわからぬ。しかし…至って普通だった少年、としか言えんな」
顎に手を当て、整理しながら話す。
ナンバーズとナンバーズ・ハンター。誰にも知られることの無い2人だけの会合が、始まった。
「ならば次だ。貴様は奴を乗っ取っていないようだが?」
「乗っ取れない。そして乗っ取る気はもう無い。それが答えだ」
「何故だ」
「魂だ。お主が狩れなんだのもこれが理由である」
ナンバーズは魂に干渉する。カイトがナンバーズを魂ごと狩るのもそれ故。つまりこれは、最も重要で根本的な話となる。
「魂、だと……?」
一言一句とて聞き逃さないよう、デュガレスの言葉に意識を向ける。
「先程普通だった少年と言ったがの、実のところ魂だけは普通でなかったのだ。異常も異常」
そう語るデュガレスの顔は真剣そのもの。想像よりも厄介な状態かもしれない。カイトの顔が僅かに歪む。
「お主も見た通りすり抜けるのだ。確かに存在しているにも関わらずだぞ? 幽霊にでも出会したかと思うたわ」
「信じられん。そいつは確かに生きた人間だろう」
「うむ、間違いなくな。なんならほれ、触ってもよいぞ? 肉には触れれるでな」
幽霊などと言う不条理の存在で無いのは明白。今の人格はナンバーズだが、こうして肉体が目の前あり、会話が成立するのだから。しかし、仮に輪廻から外れた魂を幽霊とするなら、魂すらも透明な遊八はそれ以上の不条理と言えるかもしれない。
「……それは貴様がやっても意味を成さん。さっさと続けろ」
ついでで両手を挙げ、無抵抗を示すデュガレス。カイトは取り合わず続きを促す。
「そうか、して少年…此奴の魂だが…あくまで予想ではあるが、我は別の世界から来たものと考えておる。我の知るどの世界とも別のな」
ナンバーズ…それも時間に深く関わるナンバーズすら知らない世界。そんな世界が存在する可能性が示唆された。
「別の世界…ありえるのか?」
「さてな、あくまで可能性だ。我も知らぬ世界…しかし、その力はそこらの人間と何一つ変わらぬ。ただ観測できるだけの、一部において高次の存在とするか…我らとは形、格が合わぬ故すり抜ける。真偽がどうであれ、まったくありえぬ存在よ」
「だが確かにここに存在している」
「うむ。故にこうして、向こうから招き入れてもらわねばならんのだ…この1枚を除いてな。これのみが、此奴の魂に干渉できたのだ。取り憑いてはないようだが」
そう言って1枚のカードを見せる。
「No.5…」
「如何にも、しかし一つだけ間違っておる」
「何?」
「これは本物の5番ではない。別の機能を持った精巧な贋物なのだ」
ナンバーズ、100枚しか存在しない特別な力を持つカードの偽物が存在している。どうにも信じがたい話ばかり飛び出てくる。
「バカな⁉︎ 観測したエネルギーは間違いなくナンバーズだった。オービタル!」
「ハ、ハイ!」
(異常なエネルギーはあのカードからのものだった…? だが、あれはどこからどう見てもナンバーズ)
オービタルと呼ばれたロボットが慌てて観測結果を再確認、同時に目の前のカードのスキャンも行う。
「間違いなく3枚分観測されていマス…ア! カイト様! そのナンバーズから僅かに別のエネルギーを検知。それを隠すようにナンバーズのエネルギーを纏っているようでアリマス」
これで偽のナンバーズと言う衝撃の事実が証明された。
「ほう、中々良い目を持っているようだ。正しくその通り、誰が何を目的にこれを創ったのかはわからぬが、碌な結果を産まんだろう。この力はあまりに禍々しい」
「ならば尚更狩らねばなるまい」
このままでは狩れない。それでもどうにか、己の使命を遂行しようとする。だがデュガレスはそれを止める。
「やめておけ。これはエネルギーを吸収、蓄積しておる。此奴とその周りの人々からな。もしお主が持てば……」
明かされた機能。そしてナンバーズ・ハンターとして各地を飛び回り、自身も絶大な力を持つカイト。この二つを合わせて考えれば、どうなるかなど容易に想像がつく。
「……格好の餌、というわけか」
「理解が早くて助かるのう。だが安心せい。そもそもの話、お主では此奴の魂を狩る事ができんのは既に証明されておるのだからな」
ハハハ、と余裕の笑み。底が知れない。カイトはデュガレスを忌々しげに睨んだ。
別世界の魂を持つイレギュラーに時の悪魔、この組み合わせは脅威。そしていずれ、彼らを相手にしなければならない……面倒、そう思った。
「…しかし、何故これほどの情報を隠さず話す。そもそも貴様なら逃げるなど容易いはず…一体何を企んでいる」
手が出せないとわかっているが故の慢心。いや、ありえない。何か別の思惑があると考えたカイトは、できる限り問い詰める。
「何も企んでなどおらんよ。我がこうしてここにいるのは、此奴の為に他ならん」
「どう言うことだ」
「偽の5番が邪魔をしよったが、それでも我らは此奴の為に力を使うと決めたのだ…」
これはデュガレスの…いや、もう1枚。No.57も含めた遊八への思いだ。
「此奴はの、自己肯定感が著しく低く、その点において無駄に強固な精神を持つ。相対的に他者への評価が異常に高いようで、それ故かのう…己以外を深く愛し、よく心を配っているのだ。かくいう我らもその恩恵に与っていてのう。尤も、此奴はそこまで意識しておらんようだが…さて、そんな自己を顧みぬ少年がだ、強くなりたいと、己の変化を望んだ。純粋な力では無い、心の強さをだ…最初は理解できなんだ。強き心はいるだろう。だが、力を得てそれを振り翳せば、他に気を配る必要など無かろうにと、今より自由に生きれるだろうにと。しかし此奴は違った。他が為にあるのが此奴の普通、それ無くして此奴の生は無いのだと、我はそう確信した。偽の5番に心を侵されかけていたにも関わらず、自身を害した者、友でない者に手を差し伸べた…遍く全てを受け入れる。それが此奴の願う理想であった。他が為の強さ…我らは、此奴の持つ愛を知り、直に見て、この身に受け、いつの間にか感化されていたようだ。全てではないが、此奴の過去を見たのもあるかのう…まさかこんな早々に絆されるなど、未だに信じられんよ。故に時が来るまで、我らは此奴の為に在ろう。そう決めた」
その顔は優しかった。人の身を借りているとは言え、相手はナンバーズ。血の通った暖かく穏やかな表情は意外でしかなかった。
「今も此奴は他を想い、いくつか願いを抱いておる。それは自らの為にはならん。無意味にすら思える。だがその願いは小さいものばかりでの、一つや二つ程度なら叶えても良いだろうと、情報共有も兼ねて出てきたのだよ。ホッホッホ、すぐにお主も此奴の優しさを知るだろう。理解は…できんだろうが」
「……友の自慢は終わったか」
最後の言葉に怪訝そうにしつつも、それ以上に辟易とした様子のカイト。しかし結局、デュガレスは微笑んだままだった。
「おやおや、長々とすまんかったな。これ以上語る事は…現状無いの。我らはもう帰るとしよう…では、さらばだ」
そう言って彼は瞬きの間に姿を消した。
「オービタル。反応は」
「この場に残っていマス。おかしいですね、隠れる場所なんて無いのに……」
辺りを見渡しても何も無い。再び刻まれ始めた時に乗って風が、くもが、流れるだけだった。
「時間を操ってエネルギーをその場に留めたか。恐らく過去や未来に飛ばす事もできるのだろう。通りでこれまで、奴を捕捉できなかったわけだ……ん?」
カイトは気づく。自分が何かを持っている事に。
「これは——」
デュエルモンスターズのカード。テキストのみが書かれたそれは、彼に宛てたメッセージカードだった。
【身体の調子は如何かな? 天城カイト】
「何故名前を…ッ! それだけじゃない。まさか、奴が言っていたのは…いや、そんな馬鹿な。ありえん。だが……」
軽い。身体の時間が巻き戻ったように軽いのだ。築根遊八が抱く小さな願いの一つ。デュガレスの言葉から察したそれは、敵に塩を送る行為に等しい。カイトは理解に苦しんだ。
名乗っていないはずの名を知られている事実。肉体のダメージを看破し回復させた事実。そして、ナンバーズが取り憑けない魂の持ち主。彼に感じる異質さが、まだ膨れ上がっていく。当の本人はもう、この場にいないというのに…。
(貴様は一体何者なんだ…駄目だな、奴はもう常識では測れない存在。俺の決闘者としての本能が警鐘を鳴らしている。そこらの雑魚より遥かに厄介、間違いなく…強いと)
カイトは考え、最重要警戒対象と認識する。早々に狩りたいところだが、現状不可能。仮に手があってもナンバーズが障害として立ち塞がる。
「今奴を追うのは時間の無駄か……仕方あるまい、オービタル。戻るぞ」
「カシコマリ!」
手に残るメッセージカード。そのもう1枚に目を通し、渋い顔。舌打ちをして懐にしまう。そのままカイトは飛び去って行った。
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「ふむ、偽の5番の力、引き出す事も可能なようで良かったわい。時間稼ぎになるかわからんが、本来以上の力を発揮できるのならば儲け物か……これから刻まれる歴史、運命は、既に本来の形とは異なる。その歪みの中心に少年…お主はおるのだ。お主にとってはそれが普通であり、日常となるのだろうがな……では、返すぞ」
風が吹く。少し強めに、けれど静かに髪を揺らす。まだ勢いは増していきそうだ。遠く聞こえるざわめきが、それを予感させる。
「——ん、戻った? って家の前じゃん! はあ、体重ーい……何したかはわからないけど、約束は守ってくれたみたいでなにより。さあて、今日はもうさっさと寝ちゃおっと」
デュガレスとカイトの会話は記憶に無く、デュガレスもまた直接言葉を届けられない。遊八が自身の異常性を知るのはいつになるだろうか…意外とすぐ、来るかもしれない。
説明回。こういうのは退屈になりかねないから、そこら辺クリアできてると良いなぁ。んで今更ながらこれ、負けイベにしてもよかったか? と思うてもうたがもう遅い。(構成考えるのをサボっただけ)これほんまにカイトとデュエルする回作れるのか? と心配している。
作者自ら言う事では無いのだろうけど…そろそろオリキャラの口調とか設定がぶれ始める頃かな?
まだ少し先の話。WDCどないしょか…展開に悩んでおります。