少年漫画のラスボスになったので異世界堪能します   作:Revak

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 ツルギとヴァルザールは地面に落ちた。

 どしんと重低音と共に落下し、クレーターを残した。

 

「し、死ぬかと思った……」

 

 ツルギは足を再生させ立ち上がる。

 残る腕も体も徐々に治っていく。

 

 これまでにない強敵だった。下手したら死ぬかもと思うほどに。

 無論実際はレベル差と能力で問題なく勝てただろう。

 肉片一つ残ってれば再生できる強力な再生能力があればド素人でも勝てる。

 

 体が治り、全裸のミハカノシノツルギが現れる。

 ぼんきゅぼんのエロい体。長い黒髪に赤目の美女である。

 右胸に乳首はなく口がある。左胸に乳首はあるが。

 

 そしてヴァルザールの上半身がもぞもぞと動く。

 

「……はやく止めを刺せ」

「うわ、喋った!」

 

 ツルギはビビった。

 死んだものだと思ったら生きていたのである。

 

「案ずるな……流石の竜も体を両断されれば瀕死になる……さぁ、早く殺せ」

「えぇ……嫌なんだが」

「は? なぜだ?」

「いやほら、人の命奪いたくないし……」

「我は人ではなく竜だ」

「喋れるならそれは人だと思う……いや竜相手に何言ってんだ……」

 

 ツルギはそう思う。

 相手が襲ってきたのでがむしゃらに戦ったがツルギとしてはまだ人を殺したくない。

 喋って意思疎通が出来るならそれは立派な人だとツルギは思う。

 そのためツルギはまだ生きているというのならヴァルザールを殺す気はなかった。

 

「……ならば死ぬまで暴れてやろうか」

「それが出来ないってことぐらいはわかる……なぁ、なんであんたは襲って来たんだ?」

「ふん。魔王様が死んだ世界に復讐をと思っただけだ」

「ああ、それで襲撃してきたのか……」

 

 うーん、とツルギは悩む。

 殺すのは嫌だがかといって生かして逃がすのもなしだ。

 逃がしたらまた誰かを襲うし、それで誰かが死ぬようなことがあればツルギは悔やんでも悔やみきれない。

 

「そうだ、あんた俺の仲間になれよ」

 

 これは名案だ、とツルギはぽんと手を叩いた。

 

「は……誇り高き竜種である我が定命の者の支配下に下るなど!」

 

 ヴァルザールは魔王の支配下に下ったことを忘れ叫んだ。

 

「いや部下じゃなくて仲間な、あと俺定命の者……人間とは到底言えないけど」

「なんだと?」

「俺、半分不老不死みたいなもんだし、体再生するし寿命ないしでほぼ不死みたいなもんだよ」

「むぅ……確かに体が再生しているな……気にしてなかったが……」

「で、どうだ? それが嫌なら……ほんとーに、ほんとに嫌だが止め刺すけど……」

 

 ツルギは本当に嫌そうな顔をする。

 心の底から嫌である。

 人殺しなど御免被る。いずれ殺すにしてももっと殺人鬼とかのどうしようもないカスにしたい。

 

「……」

 

 ヴァルザールは考える。

 どうせここで死んだところで百年後に復活するだけだ。

 そしてその時代で暴れるにしても不老の勇者によってまた討伐されるかこの女に殺されるだけだろう、と。

 

 ──人を、世界を知るのだヴァルザール。世界はお前が思うほど醜くなく、美しいのだ。

 

 ふと。ヴァルザールは竜王イージュスールの言葉を思い出した。

 

「……いいだろう。仲間になってやる」

「そうか! じゃあ体治すな!」

 

 ツルギはヴァルザールの体に触れる。

 霊癒で体を治していく。

 ミハカノシノツルギの治癒能力は下半身の欠損程度容易く治す。

 新しい下半身が生え、体の傷は一切なくなる。

 

「よし、治ったな……けどこれからどうしようか」

 

 ヴァルザールは二十メートルという圧倒的巨体を持つ。

 流石にこのサイズとなると街中に入れないだろう。

 

「ふん……<擬人化>する」

 

 ヴァルザールが光る。

 ツルギは「まぶしっ」とまゆをひそめた。

 おまけで目くらましに対して耐性を会得し始めた。

 

 光が収まった後、そこにいたのは美女だ。

 

 ミハカノシノツルギが比較にならないほどの美女である。クリスにも匹敵する美貌を持っている。

 

 赤い髪に頭部には赤い角が二対。

 透き通るような青い瞳。

 非常に大きいがミハカノシノツルギには一歩劣る巨大な胸、センチにするなら九十五センチだろう。

 きゅっと細い腰に大きい安産型の尻。

 身長は高く百九十二センチもある。

 背中からは竜の翼が生え尻からはしっぽが生えている。

 

「ふ、服をきろ!」

 

 ツルギは上の手で目を隠しながら叫んだ。

 女の子が外で裸になるんじゃありません! と慌てふためく。

 

「ふん! 服など定命の者が作った脆弱なる鎧だ! 我はそんなものを着なくともよい!」

 

 ミハカノシノツルギもヴァルザールも服を着なくとも温度によって風邪をひくなどの事はないし、クーパー靭帯も強靭なので垂れることはない。

 つんと重力に逆らい上を向くおっぱいのままである。

 

「えっと、ほら、これ出すから! 着ろ!」

 

 ツルギは己の影の中からブラジャーと上の服とパンツとズボンを出す。

 

「むぅ……お前が言うなら……」

 

 ヴァルザールは嫌な顔をしながら渋々と服を着た。

 

「この下着、サイズあってないぞ」

「そりゃ俺ようだからな……ナシよりマシだろ……」

 

 ツルギが目をちゃんと開けると其処には服を着たヴァルザールが居た。

 

「よし、じゃあ自己紹介をしよう。俺はミハカノシノツルギだ。ツルギって呼んでくれ」

「我はヴァルザールだ」

「ヴァルザールか、よろしくな」

「……うむ」

 

 自己紹介を済ませた二人に駆け寄る者が二人。

 リザードとクリスの二人だ。

 

「おい、無事か?!」

 

 リザードが心配そうに武器を抜いて話しかけてくる。

 

「あぁ、無事ですよー」

 

 ツルギは少し間抜けな声と共に返答する。

 

「むぅ、服は燃えてしまったのか。大丈夫か?」

「大丈夫です、着替えはまだあるので……靴はないですけど」

 

 まぁ最悪素足でもいいか、とツルギはのんきに考える。

 今男の人に裸を見られているが羞恥心はない。

 まだ性自認が男に近いツルギは男に見られてもあまり気にしないのだ。更に相手がほぼ猫のリザードと女のクリスだ。気にするという方が無理があった。

 

「ふむ。そちらの竜は君が配下にしたのかな?」

「配下ではない! 仲間になってやっただけだ!」

 

 ヴァルザールは鋭い目でクリスを睨んだ。

 

「おぉ怖い。だが竜を仲間に、か。勇者のおとぎ話のようだね……うん。そうだ、君たちに新しい服を用意しよう」

「え、いやいいですよ、俺服持ってますし……」

「そちらの竜の彼女、服のサイズがあってないよ。体に悪い。うちは衣服も扱っているからサイズもあっているのを用意しよう。ついておいで。もちろん私たちを助けてくれたんだから御代は要らないよ」

「ほう、気が利くな、貴様」

「ヴァルザール……はぁ、わかりました。お願いします」

 

 

 ■

 

 

「おぉ……」

 

 ツルギは新しい服に感動をしていた。

 新しい服は魔法道具(マジックアイテム)の服だった。

 魔法道具(マジックアイテム)には基本能力が二つある。着用者のサイズに合わせた自動サイズ調整と修復能力だ。

 これがあればいつまでも服を着続けられるのだ。

 

 ツルギは黒いレースのついたブラジャーにへそ部分が丸見えになる──といってもミハカノシノツルギにへそはない──上だけの黒い服。

 同じく黒いパンツに黒いズボンには白いラインが入っている。

 足のサイズは二十七なのでそれに合う黒い靴だ。鉄板入りだがツルギは重さを微塵も感じない。

 

 ヴァルザールも似合った服を着ている。

 魔法道具(マジックアイテム)の服は翼やしっぽが生えていてもそれに合わせて形が変わるため問題なく着用できる。

 ツルギが魔法道具(マジックアイテム)の服を着てないのは金がないのと口が閉じてしまうからだ。だから痴女みたいな恰好を継続している。

 

 ヴァルザールは赤いドレスを着ている。

 動きやすさを重視したスタイルで貴族が着るようなドレスではない。

 これはどちらかというとおしゃれと戦闘を両立したい冒険者向けの格好だ。

 少し動けばパンツが見えそうになるほど丈が短いがヴァルザールは気にした様子はない。

 

「それじゃあ、旅を再開しようか」

「ふん。面倒だな。我が運んでやろうか?」

「いいや、それだとだめだ。こうして地面を歩いて進むのも必要なことだよ」

「面倒だな……」

 

 ヴァルザールはそれだけ言うとおとなしくツルギの後ろに行き歩いていく。

 こうしてヴァルザールが仲間に加わり、ツルギは仲間が出来たと少し興奮した。

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