少年漫画のラスボスになったので異世界堪能します 作:Revak
旅は問題なく終わった。
道中もミハカノシノツルギとヴァルザールという圧倒的強者が居るためモンスターはビビって近寄ることもなく、平和に終わった。
予定通り二週間の時間をかけてノートに辿り着いたのだった。
「ここがノートか……」
ツルギは初めての国外に若干興奮する。
国外とは言うが街の作りは左程変わらない。ヨーロッパ風である。
門の前でツルギ達は並ぶ。
少し待つと自分たちの番がくる。
「お前たちはこの国の者か? そうでないならパスポートを見せろ」
赤い軍服をまとった軍人が槍を手にパスポートの開示を求める。
ツルギはおとなしく見せ、そういえばヴァルザールはパスポートなんて持ってなかったと思い出した。
「えぇっと、あなたは持ってないの……ですか?」
だがさすがの軍人も竜を前に恐縮する。
そもそも論竜に戸籍だなんだのというのはない。大半が竜の谷で暮らしているし、人にかかわる竜などまれだ。
「どうします?」
「どうするって……そらもう……そらあれよ……」
軍人はほかの軍人を読んで何かしら相談する。
五分ほど話したのち放置することに決めたのか「通ってよし!」とヴァルザールは通された。
街の中に入り、ツルギ達は道から少しそれる。
クリスが懐から木札を取り出す。
「ではこれをギルドに持って行ってください。提出することで依頼達成となります」
「わかりました、ありがとうございます」
ツルギはクリスに礼を言い木札を受け取る。
これが依頼達成の証になる。消失厳禁だ。
クリス達甘楽団と別れツルギとヴァルザールはノートの街を歩く。
この街にも異形種や亜人種が多くいる。
五分も歩けばギルドに辿り着き、中に入る。
ギルドの作りはほかの街と何も変わらない。木造建築にウェスタンドアだ。
受付に進み木札を渡して護衛依頼の報酬を受け取る。
「あと、地図を見たいんですがいいですか?」
「いいですよ。ただし魔法で複製するのはやめてくださいね」
「わかりました」
この時代、地図も貴重な品である。
といっても情報系魔法で知ることが出来るぐらいには価値は少ないが、それでも買うとなるとそこそこの値段がする。
「どうぞ。こちらが地図になります」
「ありがとうございます」
渡された地図を見てツルギは地理を確認する。
「ふむ。ここから更に移動するのか? どこにいくんだ?」
ヴァルザールが問いかけてくる。
「ああ。ノクスフィードって街に行こうと思うんだ……地図を見た限りだともう一つ別の街行くっぽいな……」
「ふむ。見せてみろ」
ヴァルザールが横から顔をのぞかせる。
「ふむ。面倒だし飛んで行くのはどうだ?」
「それは……ありだな……」
既にノルドレイン連邦に入ってるためここから飛んで行ったとしても不法入国にはならない。
そのため飛んで目的地にすっ飛ぶのはありだ。
「よし、じゃあ明日には飛んで行くか」
「わかった」
観光とか出来ないというデメリットはあるがそれを考えても先に着いた方がいいだろと思いツルギは受け入れた。
「ありがとうございました」
「はい、どうも」
ツルギは礼を言い地図を返した。
そのままギルドを出て行く。
「そうだ、ヴァルザール。服を買おう」
「む。これ以外にいるか?」
「替えの服がいるだろ。買いに行くぞ」
「……わかった」
という訳で二人は服屋に行く。
流石に
五分ほど歩き服屋に辿り着く。
「そうだヴァルザール、スリーサイズとかわかるか?」
「図ったことないぞ、そんなもん」
「じゃあまず図るところからだな。すいませーん!」
ツルギは店員を呼び止める。
「どうかしましたか?」
「この人、初めて服を買うのでスリーサイズの測定をお願いします」
「わかりました。どうぞこちらへ」
ツルギとヴァルザールは更衣室に連れていかれる。
ヴァルザールが店員と共に更衣室に入りサイズを測る。
ツルギは中をのぞきたい衝動に駆られたが我慢した。女の裸なら自分の者がいつでも見れるので我慢できるのである。
「図り終わったぞ」
「おお、どうだった?」
「バスト九十五、ウエスト六十、ヒップ九十だ」
「うわ、すごいな……」
因みにツルギはバスト百五、ウエスト六十、ヒップ八十だ。
「じゃあいくつか下着買うぞ」
「わかった」
そぅして二人は下着を探す。
服も探そうとかと思ったがヴァルザールの場合翼と尻尾があるため普通の服だと破ってしまうので着れない。
これが
結局下着だけ買って二人は店を出た。
「じゃあ宿行くぞ」
「うむ」
二人は雑談を交わしながら宿を探す。
「なぁ、前……魔王軍に所属してた頃は何してなんだ?」
「街の襲撃や、魔王様を背に載せての探索だったな。我は探知能力も優れているからな」
竜種は全体的に探知能力に優れる。
これは竜の宝物を探す習性からくるものだとされているが理由は定かではない。
最上位の探知職とそん色ない探知能力をヴァルザールは持っている。
罠の探知や敵の探知能力に優れているのだ。
魔王軍にはヴァルザールレベルの探知職がもう一人しかいなかったため重宝されていたのだ。
「探索? どういった探索をするんだ?」
「ダンジョン探索だったり、敵地への航空侵入などだな。我は魔王軍に所属する竜でも最強だったから敵地への侵入はよく任された」
「てことはヴァルザール以外にも竜が居たのか」
「当然だろう。魔王様は全ての竜を支配下に置いていたんだぞ」
「そりゃすごいな……竜の支配者か……」
なんかかっけぇ、とツルギは魔王に対し羨望を抱く。
そうして話しているとそこそこのランクの宿に辿り着く。
中に入って受付に進む一拍したいことを伝える。
「一泊ですとお二人で四万セラですね」
「わかりました」
ツルギは大人しく財布を取り出し四万セラ支払う。
「部屋は二階です。鍵はこちらです」
「ありがとうございます」
ツルギは鍵を受け取り二階に上がる。
渡された鍵は二百五番。鍵を開けて中に入る。
部屋の作りは簡素なものでベッドが二つにテーブル一つに椅子二つがあるだけだ。
テレビもエアコンもない。異世界なので当然だが。
上位の宿になるとエアコン代わりの
そのアイテムの名は
もう一つ扉がありそこには風呂がある。
「風呂どっちから入る?」
「後でいいぞ」
「わかあった。じゃあ俺さきな」
ツルギは風呂に行く。
湯舟が一つとシャワーが一つついている。
ツルギは風呂の蛇口の形の
それと同時に懐中時計を取り出して時間を図る。この時計は
日本の風呂のように溜まったら止まってくれる便利な機能はないのだ。
だいたい十五分かかるのでその間は待機だ。
ベッドに腰かけ衣服を脱ぐ。
全裸になってタオルと着替えを用意しておく。
待つ間暇なので書店で買った本を読む。
本のタイトルは『辺境暮らしの平凡令嬢、気づけば王子の婚約者になってました?』である。最近第一巻が発売された。
ツルギはこういったラノベをよく読む。たまにならBL物も読んだりする。
「なんだそれは、何の本だ?」
気になったのかヴァルザールが本をのぞき込んでくる。
「これはラノベ……なんていうんだろ、うーん、架空の恋愛物語?」
「架空という事は存在しないという事か。存在しない物語を読んで面白いのか?」
「面白いよ。自分にはない発想とかあるし……」
「ほーん……我も読んでみようかな」
「お、いいね。今度一緒に書店行こうよ」
「いいだろう」
そうして本を読んだりしていると時間が経って風呂のアラームが鳴る。
アラームを止めてツルギは風呂にバスタオルを持って行く。
風呂場のドアを開け、中に入る。
蛇口を捻ってお湯を止める。
かけ湯をしてから体を洗い始める。ツルギは体を洗ってから風呂に入るタイプだ。
備え付けのシャンプーとタオルで体を洗う。
ごしごしと男の時のように洗うが問題ない。肉体強度が高いのでたとえ鉄のたわしで洗ったって傷などつかないのだ。
体を洗うと今度は四つの腕で髪を洗う。
この長い髪は少し邪魔くさいがこの体と外見で固定されているため髪を切っても再生能力ですぐ伸びるのだ。これ以上伸びることはないからいいが少し邪魔である。
髪を洗い終わるとゴムで髪を縛ってから湯銭に入る。
「はぁ~……」
こうして風呂に入ってゆっくりすると、色々と考えてしまう。
異世界転生。異形の体。殺害。
色々ありすぎてまだどこかふわふわしている。現実味が少しない。
だがまともな職について地に足つければ変わるのだろうか、とも思う。
ルシフェルがきっかけで領主になるなんて言い出したが、それを辞めてもいいかもしれない。
確かに部下に任せれば完璧な領地経営が出来るだろうが、それだと自分居なくていいのではと思ってしまうし、何よりただの一般人が領主など出来るわけがないと思う。
これはダンジョンの
この体は不老不死のようなものなので生き急ぐ必要はないのだ。
ツルギは手のひらで霊力を転がす。
作中でもなぜミハカノシノツルギが霊力を使えたのかは明かされていない。ツルギは知らないがファンブックで明かされている。
霊力を妖精のような形にして動かして遊ぶ。
「どーすっかな……」
ツルギは色々と考えて、しょうがないからと考えるのをやめ風呂を上がった。