少年漫画のラスボスになったので異世界堪能します   作:Revak

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 二年の時が経った。

 その間、ツルギは次期領主として仕事を淡々とこなしていった。

 特に問題はなかった。ミスをしても智獄(ちごく)やカナメが修正してくれる。

 

 そして領内はそこそこ発展した。

 といっても画期的な発展はしていない。

 というのもこの世界、いわゆるなろう的なNAISEIチートは百年前の賢王トイラが全部やってあるのである。

 更にこの世界用に魔法を使った発展システムになっているので、今更ツルギが出来ることはない。

 そもそもツルギに内政チートが出来るような知識がないというのもあるが。

 

 

 二年後の今。ツルギはドレスを着用していた。

 

「似合うか?」

 

 ツルギはそう智獄(ちごく)に問いかけた。

 

 ツルギが着ているのは漆黒のドレスだ。

 胸元が開いていて、腰にはスレットがぎりぎりまで開いているというちょっと破廉恥なドレスだ。

 ハイヒールを着用し着飾っている。

 

「よくお似合いです、ツルギ様」

「そ、そうか」

 

 ツルギは少し照れた。

 

 今から行うのはツルギがノクスフィードの領主になった記念パーティだ。

 迎賓館という本館とは離れた場所で行うパーティであり既に周辺の領主やノクスフィード内の豪商を招いている。

 

「さぁ、行くぞ」

 

 ツルギはそう気楽に言った。

 

 

 

 パーティ会場に入るとやはり主催でもあるため視線を集める。それに美人でもあるからだ。

 

 

「皆様、今宵はパーティに来てくださりありがとうございます。まだ夜は長い。ですのでどうか、精一杯楽しんでいってくださいませ」

 

 ツルギは拡声器の魔法道具(マジックアイテム)で声を大きくし、そう一言いうと頭を小さく下げた。

 

 そのあとはパーティだ。

 ツルギは近隣でコネを強くしておいた方がいい者たちから順にあいさつ回りに出る。

 コネというのは大事だ。次につながるし、仕事にもなる。何か問題が起きた時助けてくれる。もちろん相手方に何かあった時は率先して助けないといけないが。

 

 

 そうしてあいさつ回りをしていると昔馴染みと呼べる者にも挨拶をする。

 

「久しぶり、クリス」

 

 敬語になってはいけない。

 領主たるもの決まった言葉遣いがある。へりくだってはいけないし、かといって見下してもいけない。

 

「久しぶりです、新領主様」

「といっても二週間ぶりだけどね」

 

 そこにいたのは甘楽団のリーダー、クリスだ。

 変わらぬ美貌を持ち、それを引き立たせるようなドレスを着ている。

 流石に主役であるツルギを上回るようなドレスは着てないがそれでも目立つ容姿をしている。

 

「しかし、あの時の冒険者が気づけば領主様になってるなんて、思ってもみなかったよ」

「私も、こんなにも早く領主になるとは思ってもみなかった」

 

 二人は軽い雑談を交わす。

 まるで親しい友人のようだ。

 そしてそれは半分あっている。ツルギが領主の仕事をし始めたぐらいからクリスはこのノクスフィードに居を構え活動を始めたのだ。

 そして今では御用商人にまでなりあがっている。

 

「と、そろそろ行かなければ。では」

「えぇ、また」

 

 

 この後めちゃくちゃコネ強めた。

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 パーティから一年が経った。

 その間、問題らしい問題は起きなかった。

 

 領内の改革をしたり公衆浴場を増やすなど、公共事業も行ってきた。

 基本的には善政をしき、領民からも受け入れられていた。

 特に語ることもないのですっとばすとしよう。

 

 

 そして、領主の館の門前で。ツルギはカナメを見送りに来ていた。

 

 ツルギは多数の魔法道具(マジックアイテム)を装備している。

 最低でも聖遺物級の白銀級冒険者として恥ずかしくない装備だ。

 

 耳には髑髏型の水晶のピアスを付けている。これは聴覚強化の魔法が込められている。

 胸には胸当て用のプレートが付いている。これは単純な防御力上昇と身体能力上昇が込められている。

 こういった魔法の鎧は体の一部だけを隠すタイプでも魔法の力で全身に守りが入る。といっても普通に全身を覆った方が防御力高くなるが。

 ブーツはサイハイブーツだ。跳躍力上昇と身体能力向上が込められている。

 小手には武器攻撃力上昇と防御力上昇が入っている。

 腹には何もつけてなく口が露になっている。

 これがミハカノシノツルギの最強装備一式だ。普段から装備している。

 魔法道具(マジックアイテム)なので手入れも要らないため普段着用して問題ない。

 

「本当はもう少し残ってほしんだが……」

 

 ツルギは上の手で頬をかきながらつぶやいた。

 

「甘えては駄目です。もう立派な領主なんですから、一人で運営してくださいね」

「はい……」

 

 厳しい言葉を言われ、ツルギは目を伏せた。

 そして、もうこういった言葉を聞けないと思うと寂しく思う。

 

「もう貴女はこのノクスフィードの立派な領主です。胸を張ってくださいね」

「母上……」

「翼。苦労をかけます……母の生涯一度のわがままを許して」

 

 カナメは翼の頭を撫でた。

 親が子をいつくしむようになで、翼は涙を小さく流した。

 

「はい、母上」

 

 翼は涙をぬぐい、そういった。

 

「では、さようなら。もし縁があれば、もう一度会いましょう」

 

 そうしてカナメは護衛のククルを連れて東雲皇国へと旅立っていった。

 

「……じゃあ、恥じないように今日も仕事、しますか」

 

 ツルギはうーんと伸びをした。

 

 

 

 こうして、ツルギの冒険は終わった。




少々駆け足だったけどこれで完結です
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