東方双神録   作:ぎんがぁ!

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最近6000文字越えが多い気がする……

ではどうぞ。


第百二話 哀れ妖精の仕返し

春度(しゅんど)って知ってるか?」

 

「春度……ですか? なんですかそれは?」

 

雪の舞う幻想郷の空を飛びながら霊那に尋ねた。

案の定彼女は知らなかったらしく、不思議そうな顔をしている。

 

「春度ってのは、言ってしまえば春そのものの事なんだ。これが集まって、満ち溢れる事で春が訪れる」

 

「じゃあ、今のこの状態はその春度が無い状態って事ですか?」

 

「ん〜…惜しいな。無いには無いんだけど少し違う」

 

流石、先代博麗の巫女だけあって理解力がとてもよろしい。

だが、ほぼあってはいるが、少しだけ違うのだ。

今年春度が集まらなかったのは自然現象じゃあない。

 

「幻想郷がこんな状態なのは、自然になった事じゃないんだ。故意的なもの………つまり、春度は奪われたって事だ」

 

「奪われた!? そんな事出来るんですか!?」

 

霊那はとても驚いた顔をしている。

まぁ確かに、"春を奪う"なんて意味分からない言葉を目の前で肯定されたらそりゃそうなるよな。

 

「出来る!……らしいな、どうやら…」

 

「…なんですか、その曖昧な返事は…?」

 

「えっと…実は俺もやり方が分かんないんだよな、オマケに春度を感じる事も出来ない…」

 

恥ずかしながら、頭をポリポリと掻きながら答えた。

だって"春"と"奪う"って言葉的に噛み合わないじゃん。俺だってよく分かんねぇよ。春なんてどうやって奪うってんだ。出来るもんなら手に持ってみたいよ春。

 

「まぁ…取り敢えず奪えるものなんだよ春度って。 よく分かんないけどそうなんだよ…」

 

「投げやりになりましたね…」

 

うっせ。俺は全知全能じゃあないんだっての。

 

「えっと…じゃあこの異変を終わらせるには、何処かに奪われた春度を解放すれば良いんですね?」

 

「何処かっていうか、これから行く冥界だな。そこに俺も用事があるし、春度が集められてるのもそこ。つまり一石二鳥ってこった」

 

「なんでそんな事知ってるんですか?」

 

「神様だからさ、俺」

 

「答えになってませんよそれ?」

 

うぐぐ、困った時の"神様だから"は霊那には効かないらしいな。

彼女の不審の眼差しが少し痛い。

つーかさ、意外と効かないヤツ多いよなコレ。

なんで困った時にはこう言おうって思い至ったのだろうか?

昔の俺に問いかけたい。

 

暫くすると、霊那は聞き出すのを諦めたのか、ブツブツと情報を整理し始めた。

 

「えぇ〜、今回の異変は春度が奪われた事によって引き起こされた、冬があまりにも長すぎるという異変」

 

「そうだな」

 

「で、それを解決するには冥界に集まった春度を解放する事が必要、と」

 

それとー…と、霊那は要領よく情報を纏めていた。

しばらく聞き流していたのだが、その中に思いがけず引っかかった言葉が。

 

 

 

 

 

「春度を集めて…首謀者は何をする気なんでしょう…?」

 

 

 

 

 

「…!」

 

首謀者の目的………冥界といえば、思い出したくもないあの悲劇。そして、その一番の被害者たるアイツ(・・・)

 

(何だっけ……この異変の目的…)

 

紅霧異変の時と同じだ。重要な所ばかり俺の頭は覚えていてくれない。

こんなに大切な事な気がするのに、全然浮かんできてくれないのだ。

 

でも、大切な事を忘れているのは確か。

 

ノロノロ雑談しながら解決出来るほど、平和な異変でもなさそうだ。

 

(なんだ、待ち侘びたからって喜んでられる異変でもないな…)

 

「? どうしたんですか双也さん? どこか表情が険しいですよ?」

 

「……霊那、突然で悪いんだけど…嫌な予感がするんだ。だから…急いで良いか?」

 

「え? ま、まぁ良いですけど…」

 

「よし、飛ばすぞ!」

 

「あっ、待ってくださいよ!」

 

頭の中にモヤを抱えながら、雪の降る空を急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ? 心当たり?」

 

「ええ。雪と言えば寒い、寒いといえば氷。……あんたも前の異変の時に見なかったかしら? あのバカ丸出しの妖精を」

 

「あー、居たなぁそんなの」

 

顎に手を添えながら、魔理沙はウンウンと頷いている。

勘で聞いてみたが、やはり前の異変の時に出くわしていたようだ。

っていうか、あの妖精ーーチルノって言ったかしら? チルノは湖を通る者全てにちょっかいを出しているみたいね…。異変云々を抜きにしても懲らしめておく必要があるわね。

 

「咲夜は知らねぇか? 一応お前ん家(紅魔館)の近くにいんだけど」

 

隣を飛ぶ咲夜に魔理沙が尋ねた。

 

「えっ!? あ、えっと…ええ、知ってるわ」

 

「? どうしたのよ咲夜。らしくないわね」

 

見慣れない彼女の態度に、私は構わず問いかける。

魔理沙の質問に狼狽える要素なんて無かったはずだけど?

ほら、魔理沙もキョトンとしてるし。

 

「な、何でもないわ。早く行きましょ」

 

「「?」」

 

魔理沙と顔を見合わせる。魔理沙も咲夜の様子に疑問符を浮かべていた。

普段はあんな澄まし顔でいる癖に、今日の彼女はどこか落ち着きがない。

どうしたんだろう?

 

少し速度を上げて先導する咲夜に、同じく速度を上げて着いていった。

 

 

 

 

 

 

 

「お、あそこに緑色のやつがいるぜ!」

 

「あー、あの妖精の側にいたやつね」

 

湖に近付くと、霧の隙間に見えた湖畔に緑色の妖精を見つけた。

異変で出くわした時にチルノの側にいた大人しめの子だ。

直接的な目当ての存在ではないけど、一番近い存在でもある。

あの子ならチルノの居場所を知っているだろう。

 

「ねぇちょっとそこの妖精! 聞きたい事があるんだけど……」

 

 

………反応は無い。

 

 

「……………なんだアイツ、聞こえてないのか?」

 

そんなに遠くから話している訳ではないのだけど……

どうやらあの子にはこちらの声は聞こえていないようだった。その証拠に、こちらには全く見向きもしない。

故意にそうしているならぶっ飛ばしてる所だけど…この子は大人しいしやめておきましょうかね。

 

こちらの声に反応しない妖精に首を傾げていると、同じく不思議に思っているだろう魔理沙がさらに近寄って行った。

私もそのあとをついていく。

 

「ーーー! やーーーこーよ!」

 

「…なんか話してるみたいね」

 

更に近付いていく。従って言っている事がはっきり聞こえるようになり……

 

「チルノちゃん! やっぱりやめておこうよ!」

 

「何言ってんの大ちゃん! さいきょーのアタイに逆らったんだから懲らしめてやらないと!」

 

ーーと、聞き捨てならない言葉が聞こえた。

 

「誰が、誰を懲らしめるって?」

 

緑色の妖精の後ろに降り立ち、霧でボヤけたシルエットに向けて大弊を向けて言い放った。

近付いた為霧も薄れ始め、チルノの姿も見えてくる。

 

「ここ通る度にイタズラばっかりするヤツにそんな権利無いのよ! 誰が何したかは知らないけどそんなの私が許…さ…」

 

「何よ! あんたも逆らうならチョー強いアタイがぶっとばすわよ!」

 

霧が晴れ、見えた先には確かにチルノが居た。別に怖くもない怒りの表情をこちらに向けている。

しかし……私が驚いてるのはその事ではない。

 

 

 

「あー!! あんた前の紅白と白黒! あとさっきアタイに攻撃してきたヤツ(・・・・・・・・・・・・・・・)!!」

 

 

 

ーーチルノの身体中にナイフが刺さりまくっていた、という事だ。

 

「「…………………(じー)」」

 

「な、何よ…邪魔してきたから攻撃しただけよ! 悪い!?」

 

私と魔理沙は無意識に焦り顔を浮かべる咲夜へと視線を向けていた。

なるほど、さっきよそよそしかったのはこの所為ね。

でも………さすがにやり過ぎじゃないかしら?

 

チルノの身体は、妖精だけあって人間の幼児くらいしかない。ただでさえとても小さな身体だというのに、その小さな身体に何十本と鋭いナイフが刺さっているのだ。さすがに私でも可哀想だと思うくらいである。

ってか、その状態でよく生きてるわね…。

妖精の生命力には真摯に驚かされた。

 

「お前…幼児をイジメて何が楽しいんだよ? 立派な犯罪だぜ?」

 

「あなたに言われたくないわよ魔理沙! 私だって撃退したあとにやり過ぎたとは思ったわよ!」

 

「いやぁでも…コレはさすがに無いわぁ…」

 

「魔理沙…痛い目に会いたいようね…」

 

挙句、二人が口喧嘩を始めてしまった。

主に魔理沙が原因ではあるが、それに乗ってしまう咲夜も咲夜だ。異変解決の最中だって分かってるのかしら?

ホント、こんな事で騒がないで欲しいものだ。

 

「ほらあんた達! 喧嘩なんかしてないでーー」

 

「アタイを無視するなぁ!!! ついでだからみんな一緒にぶっ飛ばしてやるわ!!!」

 

言いかけた所、チルノの叫び声と弾幕が私達に飛んできた。

妖力の上昇にいち早く気が付いた私はヒョイっと避けてみせる。喧嘩の最中だった二人も難なく避けたようだ。

空に上がって向き直り、悔しそうな表情をするチルノに問いかけた。

 

「さて、挑んでくるなら相手してあげるけど、今すぐこっちの質問に答えてくれたら見逃すわよ?」

 

「答えるわけ無いでしょバーカバーカ! あんた達なんかアタイの氷で凍っちゃえ!」

 

「……なぁ霊夢、コイツ私らに言ってんのか? 一発ぶっ飛ばしてもいいよな? 答えはーー

 

 

刹那、魔法陣から大量の星の弾幕が放たれる。

 

 

ーー聞いてないけどなっ!」

 

不意打ちにも程がある魔理沙の攻撃は、中々の密度でチルノに迫っていった。魔理沙の怒りが現れているようだ。

まぁ、誰もが認めるバカにバカって言われたんだからそりゃ怒るわよね。

私? 私は器が広いから怒ったりしないわよ。

決して拳を震わせてたりなんかしないんだから。ホントよ?

 

高火力を誇る星の弾幕は間断なくチルノに向かっていった。

さっきの緑色の妖精が居る事に関しては何も考えていないようで、緑色の妖精のいる場所は散らばった弾幕の範囲にがっつり入ってしまっていた。

まぁ、私が気にする事でもないのだけど。

 

「…まぁ魔理沙の弾幕じゃあ瞬殺よねぇ…さっさと叩き起こして事情聴取ーー」

 

「はっ? 何だコレ!?」

 

「……?」

 

驚いた声に、瞑っていた目を開ける。

隣では魔理沙も咲夜も驚きの表情を浮かべていた。

釣られて二人が見ているチルノの方へ目を向けるとーー

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー星の弾幕が、全て凍りついていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ、どういう事よこれ?」

 

呆気に取られていると、目の前の弾幕(氷塊)はけたたましい音を立てて崩れ去った。

キラキラと散る氷霧の先には、いかにもなドヤ顔をこちらに向けているチルノの姿が。

 

「ふっふーんだ! さいきょーのアタイにかかればこんなもんよ!」

 

「…どういう事? 力の弱い妖怪の弾幕とかならまだわかるけど、仮にも異変解決者であり、火力重視の魔理沙の弾幕よ? たった一妖精の所業とは思えないわ…」

 

咲夜の解説は尤もだ。

異変解決をするにあたって伴うのは当然実力。私達の中でも、特に高火力なのも当然魔理沙だ。

本気ではなかったにしろ、妖精程度倒すには十分過ぎる威力の筈なのに……妖精が出来る事の範囲を超えている。

となれば、考えられる事は限られてくる。

 

「……力が上がってるのかしら?よくよく感じてみれば、前よりも妖力が大きいし…」

 

「確かに…前よりも大きい気がするわね…」

 

「ちっ、まぁでもやる事は変わんないぜ! 力が上がったってんなら、それごと吹っ飛ばすまでだぜ!」

 

「あっ、ちょっと魔理沙!」

 

防がれた事で闘志に火がついたのか、ろくに考えもせず魔理沙は突っ込んで行ってしまった。

少しくらい警戒すればいいのに、と思わないでもない。

まぁ単純に火力勝負するのはアイツの良いところでもあるけれど。

そうして考察していた私達に先駆け、二人は既に弾幕勝負を始めてしまっていた。

 

「これならどうだよっ!」

 

「へんっ! そんなの凍らせちゃえば怖くないもんねー!」

 

「うざっ!」

 

若干表情に怒りが見える魔理沙の弾幕は、案の定チルノに氷漬けにされて砕けていく。最初のが唯のミラクルではないって事ね。

でも、攻撃に関しては前と何も変わっていなかった。

威力は多少上がっているようだけど、密度が薄っぺらい弾幕。

怒りで頭に血が上っている魔理沙でもかすりもしない程だ。

 

………ふむ、私もさっさと終わらせたいし、ここは協力しましょうかね。

 

「咲夜、少しチルノの相手しててちょうだい」

 

「え?」

 

「頼んだわよー」

 

「ああちょっと! 霊夢!………もう!」

 

何か愚痴を言いながらも、咲夜は魔理沙に代わって少々調子に乗っているチルノの相手を始めた。

咲夜も実力はあるし、任せてしまっても問題は無い。

手が空いた魔理沙の元へ飛び、ちょっとした打開策(・・・)を耳打ちする。

 

「ーーって事なんだけど。やれるわよね?」

 

「へっ、私を誰だと思ってんだ? バッチリ決めてやるよ!」

 

「ふふ、そうこなくちゃね」

 

作戦を伝えると、魔理沙はいつもの快活な笑みを浮かべて拳を突き出してきた。

それにコツンと同じく拳を当て、私は未だ戦闘の続く咲夜の元に飛んだ。

 

「さぁ、作戦開始よ咲夜」

 

「作戦って……私何も聞いてないけど?」

 

「弾幕打ってればいいのよ。あとは火力馬鹿がどうにかしてくれるから」

 

「……作戦なのよね?」

 

「作戦よ。こんなアドリブに付いていけないようじゃ異変解決者としてはまだ半人前ね」

 

「……………言いたい事はあるけどまぁいいわ…じゃ、始めましょ」

 

「ええ」

 

咲夜と並び立ち、踏ん反り返っているチルノへ弾幕を張り始めた。

 

「むだむだぁ!」

 

私が加わった事で弾幕の量は単純に二倍ほどになったはずだが、チルノはそれすら纏めて凍らせてしまい、弾幕は中々届かない。

やっぱり力が上がっている。何故かはまだ分からない。

 

「…やっぱり凍らされるわね。厄介だわぁアレ」

 

「そうね。でもその氷もいくつか弾幕をぶつければ壊せるし、力押しでいけるんじゃないかしら?」

 

「…まぁ、単調な攻撃じゃあ反応されるだけだけどね。 ……ペース上げてくわよ」

 

合図し、弾幕の放つ速度を上げる。

依然凍らされてばかりで一向に届く気配はないが、同時にチルノの攻撃も止まってしまっていた。

"攻撃こそ最大の防御"ってね。今は関係ないけど。

 

「むうぅ…二対一なんて卑怯よ! アタイだって怒るわよ!?」

 

さいきょーならハンデ(・・・・・・・・・・)をくれても良いじゃない!」

 

「こっちは一人じゃあんたの相手出来ない(・・・・・・・・・・・・・・・)のよ!」

 

「あそっか! アタイさいきょーだから二人でかかってきも何も問題なかったわ!」

 

 

やっばり馬鹿ねこの妖精。

 

 

「咲夜ぁ! ラストスパート!」

 

「分かったわ!」

 

弾幕の速度を更に上げる。

比例して凍りついていく速度も上がり………結果、とんでもない大きさの氷塊が出来上がった。

……作戦通りだ。

 

「今よ魔理沙ぁ!」

 

「心得たぜっ!」

 

氷塊が十分な大きさになったところで、待機していた魔理沙に叫んだ。

待ってましたと言わんばかりに、魔理沙は既にミニ八卦炉を構えた状態で、その中心部には光が集まっていた。

 

「恋符『マスタースパーク』!!」

 

極太のマスタースパークは出来上がった氷塊にぶち当たり、チルノの方へ砲弾の様に吹き飛ばした。

 

ま、簡単に言えば、凍らせるんじゃあ止められないくらいの物量でぶっ飛ばそう、という発想だ。

弾幕でチマチマ攻撃しても効果は薄いし、一発で倒せばそれだけ時間短縮になるし。

一石二鳥である。

 

「ナイス魔理沙、これで事情聴取出来るわ」

 

「私にかかればこんなもんだぜ! 咲夜も私を見習うといい!」

 

「私火力馬鹿にはなりたくないし、遠慮させてもらうわ」

 

「なんだとぉ!?」

 

二人仲良く(?)コントを始めたところで、チルノに話を聞きましょうか。

ちゃんと話を理解できればいいけど…………って、ん?

 

「きゅうぅ〜…」

 

「あらら、目回してるわね。起きろーチルノー! ……ダメね…」

 

氷塊の威力が強すぎたのかしら? 頬を叩いても起きないのでは大抵何しても起きない、と言うのは我が兄貴分で実証済みである。

そういえば緑色のもちゃっかり近くで気絶してるわね。

取り敢えず……文句言ってやらないと。

 

「ちょっと魔理沙! 威力強過ぎて起きなくなっちゃったじゃない!どうしてくれんのよ!」

 

「ああ!? 私の所為かよ! この作戦言い出したのお前だろ!?」

 

「起きなくなるまで強くなくても良いじゃない! そこらへんちゃんと考えなさいよ!」

 

「まぁまぁ二人とも…」

 

「「うっさい咲夜!!」」

 

へらへらした表情がなんとなくムカつく咲夜に怒鳴った。

不覚にも魔理沙と被ってしまったが。

ま、コイツとの啀み合いなんて日常茶飯事以外の何者でもないし、切りのいいところで止しましょうか。

 

そんな事を考えながら魔理沙を睨んでいると、近くの茂みからカサッと音が聞こえた。

二人にも聞こえたようで、啀み合いはやめて三人顔を見合わせる。

 

「今…音がしたよな」

 

「ええ…」

 

「追うわよ二人とも。……さっきの音がしたとこ、妖力の残り香がある」

 

先ほど音のした茂みを睨みながら二人に告げた。

感じる限りではそこまで強くはなさそうな感じだが、妖怪の中には極限まで妖力を抑えられる者もいるらしい。かつてそんな妖怪も居たと紫に聞いた事がある。

…用心する事に越した事はないわね。

 

「……行きましょ。ここに居ても何も始まらないし」

 

「お、おう…」

 

「……………」

 

気絶している二人の妖精を横たえ(チルノに関してはナイフを抜いてあげて)、私たち三人は怪しい影の残り香を追って歩を進めた。

 

 

 

 

 




最近筆が進まなくて困ってるぎんがぁ!です。どうも。
この回なんて3週間くらいかけてチマチマ書きましたからねぇ…
内心、そのうち書き溜めが尽きるのではないかと震えておりますw

ではでは。

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