東方双神録   作:ぎんがぁ!

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諏訪子の修行ですね!まぁ後半なんですけど…。

最初だけ双也視点。

十二話、どうぞ〜!


第十二話 神の神による神のための修行

大和との対談の帰り道、俺は元の通ってきた森の中を歩いていた。

 

「ん〜…八坂神奈子か…アマテラスが出てこないのは良かったが、アイツもかなり強いみたいだな…」

 

俺は先程会ってきた八坂神奈子と言う神の事について考えていた。たしか、タケミナカタって言ってなかったか?て事は諏訪子が言ってた軍神ってアイツの事か、強い訳だな。

 

「しかもあの兵達……結界刃ならもっと深く斬れると思ったけど…切り傷程度だったな。"人ならざる戦闘力"ってのは伊達じゃないな、普通より結合が強いのかも」

 

あのムカつく兵達。ちょっと怒って攻撃したけど、内心少し驚いていた。

俺の結合能力と遮断能力は込める霊力で規模が変わる。

例えば、霊力100で結合を使った場合、霊力50の時の2倍の力で結びつくのだ。単純計算だけど。

結界刃にかけている"原子結合を遮断する"能力も然り。あの時の結界刃はいつかの戦争で鉄製の剣を斬った時と同じだ。つまり、あの兵達の体は"鉄よりも結合が強い"って事になる。結合が強いからって鉄より硬い訳じゃないが、それだけタフって事だ、厄介だなぁ。

 

「向こうにはあのレベルの兵がうじゃうじゃいるんだよな…そうなると、ウチの兵や諏訪子だけじゃ勝ち目が無い………………一騎討ちさせるか?」

 

少数対多数の数の優劣は過去の戦いで身に染みてる。しかも根本的な力量が違うんだから真っ向から挑んでも勝てない。幸い俺なら相手できるので、諏訪子には神奈子と一騎討ちしてもらい、残りは俺が引き受ける。兵達は……

 

「うん、無理だな。無駄死にさせるだけだ、今回は俺と諏訪子でやるのが最善かな?」

 

コッチと向こうの兵の力量の差は歴然。恐らくどうやっても勝てない。民を護りたいのに無駄死にさせるのでは本末転倒、という決断が俺の中で下った。

 

「この作戦、諏訪子が認めてくれるかは取り敢えず置いといて…

諏訪子を神奈子より強くする、かぁ。どうするかな〜…」

 

俺は修行のメニューを考えながら歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

〜諏訪大社 境内〜

 

 

「双也大丈夫かなぁ〜、さっきの霊力と神力、絶対双也と大和の大将だよね〜…」

 

「だ、大丈夫ですよ諏訪子様!双也さんならきっと上手く話をつけてきてくれますよ!」

 

さっきでっかい霊力と神力がぶつかるのを感じた。方向からして平原、双也が向かった方向だ。稲穂は双也を信じてるみたいだけど、私は気が気ではない。何もやらかしてなければいいけど…

そんな事を考えていると、正面から男が歩いてくるのが見えた。

 

「あ!双也〜!お帰り〜!」

 

「ん?おお、ただいま」

 

それは当然のごとく、平原へ向かった双也だった。見た感じ外傷はない。よかったぁ〜…

私はさっそく対談について尋ねた。

 

「どうだった双也?」

 

「ああ、向こうの兵がムカついたから身体中斬ってやった!」

 

そうかそうか、向こうの兵はムカつく奴らだったんだ。

ふーん…………ってそうじゃない!

 

「な に や っ て ん の ぉ ぉ お お ! ! ?」

 

今コイツ向こうの兵斬ってきたって言った!?なんで話し合いの場で攻撃しちゃうの!?

 

「いやだから、ムカついたから斬って----」

 

「そういう事言ってるんじゃないよ!!双也ってバカなの!?なんで攻撃しちゃうのさ!かかって来いって挑発してる様なモンじゃん!」

 

「どうせ勝つ気なんだからいいだろ?」

 

「確かに腹は括ったよ!?でもだからって挑発する事ないじゃん!向こうもきっと活気付いてるよ!」

 

「分かった分かった!ごめんって!でももうやっちゃったんだからしょうがないだろ?諦めて頑張ろう!」

 

コイツ…誰の所為だと思ってるの?全く…

 

「あ〜う〜…もういいよ! それで?話はどうまとまったの?」

 

「ああ、それも含めて作戦を立てたんだ。聞いてくれ」

 

 

 

 

〜バカ人神説明中〜

 

 

 

 

「…ってのはどうだ?」

 

「ふ〜ん、確かに双也の言い分は分かるよ。でもさ、そんな兵を相手に一人で行って本当に大丈夫?」

 

双也は説明の中で、一対多は無謀、みたいに言っていた。なのになんで一人で請け負おうとしているのか疑問に思った。矛盾してるじゃん。

 

「諏訪子、それはあくまで力が同じくらいの場合の話。俺なら…」

 

瞬間、双也からとんでもない量の霊力が吹き出し、私は気が飛びそうになって倒れかけた。心配になって稲穂を見れば凄い汗をかいて膝を付いている。

な、なにこの霊力……。

 

「これだけ霊力があるんだ。簡単に負けたりしない。っとゴメン、当てちゃったか」

 

双也はすぐに霊力を抑えた。何なのこの力…まるで意識をもぎ取っていくみたいな重さと濃さ。桁違いにも程がある。

 

「そ、双也、平原での解放よりも霊力が強い気がするんだけど…」

 

「ああ、あれ感じ取ってたんだ。あれより強い理由なんて簡単。解放の度合いを変えただけだよ。今のが全開放」

 

今のが双也の全開…至近距離で突然解放したらそれだけで何人かは倒せるんじゃないかな…?

町の方にも影響とか無ければいいけど…

 

「い、稲穂、大丈夫?」

 

「は、はい…」

 

「ホント悪かった。突然過ぎたな、ここまでになるとは思ってなくて…」

 

双也は申し訳なさそうな顔をして謝っている。反省はしている様だ。稲穂もやっと回復して息を整えている。

全く、周りの事も考えて欲しい。

っとそれはそれとして、

 

「と、取り敢えず!それだけ霊力あるなら確かに大丈夫そうだね。でも双也、無茶はしないでよ?」

 

「まぁ…努力はするよ」

 

これで話はまとまった。私は神奈子とか言う軍神を、双也はその他の兵や神を相手する。これならまだ希望はあると思う。明日から修行だ!

 

「よし、作戦も立てた事だし、ご飯にしよ!誰かさんが周りを考えなかった所為でお腹減ったし!」

 

「ハ、ハハハ…」

 

「はい。ご飯持ってきますね!」

 

稲穂は台所に駆けて行った。それを横目で見ながら私たちは机についた。あ、そういえば…

 

「双也、修行メニューとかどうするの?」

 

「あ、それ考えてたんだけどな、まぁ明日のお楽しみだ」

 

「あ〜う〜…教えてくれたっていいのに…」

 

「どうせ明日になればわかるだろ。あ、朝7時から始めるから。そのつもりでな」

 

そう話していると稲穂が料理を運び終わった様だ。今日の料理も美味しそう!

あとは何事もなく夜は更けていった。

 

 

 

 

 

〜翌日 諏訪大社の庭〜

 

 

「よし、じゃあ始めるぞ」

 

「う、うん。でもさ、本当に準備とか無しでいいの?修行って何か道具を使うイメージがあるんだけど…」

 

今は朝の7時。修行を始めると言われた時間。私たちは神社の庭に出て向かいで立っていた。双也に言われたから本当に何も持ってないけど、大丈夫かな?

私の問いに双也が答えた。

 

「ああ、何も必要ない。当然修行の内容に関係してるんだが、言っても難しい事じゃない。俺が昔やってた方法さ」

 

「双也が昔に?てことは一億年前にやってた修行?」

 

「そう。唯一必要と言えば根気だ。んじゃ説明するぞ。修行内容は二つ、瞑想と乱取りだ」

 

「えっ それだけ?」

 

「そう、それだけ」

 

意外…難しくないって言ってもここまでとは…。もしかしてあんまり長くやらないのかな?

と思ったのも束の間。次の言葉で根気が必要と言っていた意味が分かった。

 

「まぁ時間割が大きいんだけどな。朝から二時間瞑想、終わったら残りはずっと俺と乱取りだ」

 

「………え?ウソでしょ?」

 

「嘘じゃない。瞑想は神力を高める。乱取りは実践訓練だ。自分より強いヤツと戦うと意外と身につくんだ。シンプルだけど結構効果あるんだぞ?」

 

筋は通ってるけど、あんまりやる気にはなれない内容だった。でも必死に足掻くと誓った手前、愚痴は吐いても弱音は零せず、しぶしぶ修行を開始した。

 

 

 

 

〜瞑想 一時間経過〜

 

 

「あぁぁああ!お尻が痛いぃぃいいい!」

 

「まだ一時間だぞ。あと半分!頑張れ!」

 

一緒に修行と言うことで、双也も隣で瞑想してるけど全然辛そうに見えない。アレかな、やってるウチに尾骶骨が痛くない様に変形しちゃったのかな? う〜そうはなりたくないなぁ… いたたた…

 

 

 

 

〜乱取り 午後の部〜

 

「ほらほら!どうした諏訪子!まだ動きが鈍いぞ!」

 

「くぅ! ならこうだ!」

 

私は地面に手をついて能力を使った。

双也には言ってなかったけど、私の能力は"坤を創造する程度の能力"。要は大地を操る事ができる。コレを使って双也の真下の地面から土柱を突き出す!完全に初見だし、これは入ったでしょ!

と思ったが、どうやら双也を舐めていたらしい。

 

「おっと! せい!」

 

なんと双也は真下からの攻撃をヒョイっと避けて柱を切断。そしてそれをいくつかに斬って飛ばしてきた。

は?そんなのアリ?

 

「…え?うわわわわぁ!!」

 

ピチューン

 

 

 

 

〜一日目終了〜

 

「ふぅ、これで終了! どうだった諏訪子?修行になるだろ?」

 

「ハ、ハハハ…ソウダネ…」

 

「敗因を考えて次に活かしていくともっと良いぞ?何ならなんで避けれたかとかを俺に聞いてもいい」

 

「う〜ん、それじゃあ…」

 

私は乱取り中なんで避けれたのか分からなかった事について聞いた。

 

「私が土柱を突き出した時があったでしょ?アレなんで避けれたの?完全に初見だった筈だよね?」

 

「ああアレか。えっとだな、まず予備動作が大きいのと、使う土だな」

 

「使う土?どういうこと?」

 

「おそらく、お前は地面の土をそのまま突き上げる様にしたんだろ?それだと地面の膨らみとかで分かっちゃうんだ。

例えば…俺の足元にある表面の土を上に組み上げる様に突き出せば、体制も崩れるし出も早いし、今よりもっと良くなる」

 

「な、なるほど…」

 

凄いな…そんな事まで考えたことなかった…。強者と戦うと身につくって言うのはあながち間違いじゃないのかも。

これからは自分でも工夫してみよ!

 

それから一ヶ月。そんな修行をずっっっと繰り返し行い、着実に力をつけていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして遂に、開戦の日がやって来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なぜ修行を諏訪子視点で書いたかというと、大変さを双也以外のキャラで描きたかったからです。決して困った諏訪子を見たかった訳ではありません。ホントですよ?

余談ですが、"坤"という字がiPhone5sだと"ひつじさる"とうたないと出てきてくれなくてちょっと焦りました。

ではでは。

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