東方双神録   作:ぎんがぁ!

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みっじかいです。ご注意を。

ではどぞ!


第二十九話 竹取のかぐや姫

俺が御輿の人達と屋敷に近づいていくと、別の方角から何人かの貴族っぽい人達も出てきた。その内の一人は俺達を視認すると、何やら笑いを含んだ声をかけてきた。

 

「くくく、何だそのおかしな姿をした下民は。お前の連れか藤原の?」

 

「いや、連れではない。旅の者だ。ここへ向かう途中で出会ってな。こやつもかぐや姫に会いに来たそうだ」

 

藤原と呼ばれた御輿の人は、笑い声になんの素振りも見せずに答えた。それを聞いた貴族の人は、更に笑い出して俺に言った。

 

「ふはははは!!旅の者!?流浪人の間違いではないのか!?そんな下賤の者がかぐや姫に会いに来たとは!身の程を弁えたらどうだ!?ははははは!」

 

この言葉にはさすがにカチンッときた。この態度…あのクズ妖怪どもを思い出す。

俺は怒りに震えながら貴族の人に言った。

 

「おやおやぁ?民を見下すクズ貴族様(・・・・・)がこんな所に何の用で?姫の前で恥かく前に、お家帰ってその下賎の民から巻き上げた金で大福でも食ってれば?」

 

俺はクズ貴族という言葉を強調して言ってやった。その意図は貴族の人も理解したようで、額に青筋を浮かばせて怒鳴ってきた。

 

「き、貴様!流浪人のくせして!我を誰だと思っているのだ!!」

 

「知らねぇなぁ!お前みたいな貴族は覚える必要なんて無い!みんなの為自分の為に、汗水垂らして畑を耕してる農民達の方がよっぽど価値があるんじゃねぇのか!?」

 

貴族の人は青筋の他に歯ぎしりまでし始め、藤原さんと同じ様に連れていた護衛の人達に怒鳴った。

 

「貴様もう許さんぞ!!お前たち!!」

 

「「「はっ!」」」

 

「おお望むところだ!!かかって----」

 

「止めておけ。そろそろ来るぞ」

 

俺が天御雷に手をかけ、鯉口を切ったところで藤原さんに止められた。藤原さんの言葉を聞いて貴族の人、そして俺たちのいざこざを傍観していた他の人達もピッと気を引き締めた様だ。俺は静かに刀を鞘に戻した。

その直後、屋敷の扉がスーッっと開かれた。

 

「お待ちしておりました。皆様こちらへ…」

 

扉の向こうには優しそうなおじいさんがにこやかな表情で立っていた。かぐや姫って言うと"竹取物語"。きっと"竹取の翁"ってのはこの人の事だろう。

そのおじいさんに続いて、集まった人達は次々と屋敷へ入っていく。俺は藤原さんの後に続いた。

 

「さ、こちらです。どうぞごゆるりと…」

 

おじいさんはそう言って俺たちを部屋へ招き入れた。

かぐや姫に会いに来たのは俺を含めて六人。全員並んで座り、対面には顔を隠してはいるがかぐや姫が座っている。おじいさんは部屋の隅に座った。

おじいさんが座ったのを確認すると、貴族達は我先にと自分の良いところをアピールし始めた。俺は求婚しに来たのではないので静かに聞いているが……正直うるさい。そこそこの歳した男達が五人もわいのわいのしてたらそりゃあ耳障りだろう。

そうこうしていたら、こんなにうるさい中でも良く通るかぐや姫の声が聞こえてきた。

 

「皆さん、有難うございます。とても楽しいお話でした」

 

絶対ウソだろ!どこが楽しいんだよ!とツッコミたい気分ではあったが、それを聞いて貴族達もなんかデレッとした顔になったので、言うのは野暮な気がした。

かぐや姫は少し区切りをつけると、また話し始めた。

 

「もう少しあなた方のお話を聞いていたい気分ではあるのですが、残念ながらあまり時間もございません。なのでこうしましょう」

 

貴族達は身をの乗り出して言葉に聞き入る。ここまでくると少し呆れてくる。

かぐや姫は続きを話した。

 

「これから私はあなた方一人一人に一つずつ問題を出します。見事達成出来た方と結婚いたしましょう」

 

貴族達はうおおおお!と歓声を上げた。何回もここに通い続け、やっと結婚の話が出てきたからだろうか。それにしたって恥じらいは持った方がいいと思う。俺は黙ってその様子を見ていたが、今度は俺に向けた声が聞こえた。

 

「時に……そこのあなた」

 

「ん?俺?」

 

「はい。あなたは自分の事を私に紹介する訳でもなく、ずっと様子を見ていただけ。……あなたは私に求婚しに来た訳ではないのですか?」

 

ずっと黙っていたから目をつけられたようだ。まぁ雑音のない中で会話ができるし結果オーライかな。

俺はかぐや姫に答えた。

 

「ああはい。俺はあなたに求婚しに来たのではありません。ちょっとお話がしたいなと思ってまして。出来れば静かなところで」

 

貴族達は呆気に取られた顔をしている。俺といさかいのあった貴族の人なんか"何コイツホントに男か?"って顔をしている。ちょっとイラっときた。

その言葉にかぐや姫は少し驚いたような声音で言った。

 

「そ、それがあなたの願いなのですか?」

 

「はい」

 

俺が平然と答えると、かぐや姫は突然笑い始めた。

 

「ふ、ふふふ…あははははは! 私とお話する為に来たとは…ふふふふ。いいでしょう。それでも願いの一つであることは変わりありません。ならばあなたにも問題を出しましょう。どれもこれも実現するのは至難の技。あなたたちに解けますか?」

 

かぐや姫はそう言って貴族達に問題を言い渡し始めた。

ちなみに藤原さんは"蓬莱の玉の枝を持ってこい"というものだった。未来の話だけど、輝夜のスペカにこんな名前のがあったよな?起源ってコレだったんだ。

一人納得していると、俺の番が回ってきた。

 

「さて、最後です。あなたの名は?」

 

「神薙双也です」

 

「!!………では双也、あなたには"東の地に住む花の妖怪(・・・・)、その花を十本と種を十粒持ってきてもらいましょう"」

 

「…うっっげ………」

 

かぐや姫はそれを平然と言ってのけた。花の妖怪って言うとあの人しかいない。どっちが強いとか関係なく会いたくない人だ。こいつどんな鬼畜問題出したか分かってんのか?

少々先行きが不安になってきたが、コレも試練。そう思って耐えようと思う。

 

「さあ、期限は一週間後です!良い結果をお待ちしておりますよ」

 

かぐや姫がそう言って今日はお開きになった。

屋敷を出たところで藤原さんが声をかけてきた。

 

「お主…双也と言ったか?大丈夫か?妖怪なぞ相手にすればタダでは済まないぞ?」

 

「大丈夫ですよ。関わりたくは無いけど、腕っ節には自信あるので」

 

いやほんと、切実に関わりたくない。怖い。

 

「…そうか。私は藤原不比等(ふじわらのふひと)だ。よろしくな双也」

 

「あ、はい。よろしくお願いします」

 

俺は御輿の人改め、不比等さんと握手をして別れた。

とりあえず今日の宿を探さなければならない。都へ向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのガキ……絶対に許さん…!念には念をだ、邪魔させて大恥かかせてやる…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

都はかなり賑わっていた。もう日も落ちかけ、暗くなり始めた頃だというのに、結構な数の人が町を出歩いている。

 

「もうこんな時代か…早いもんだなぁ…」

 

俺は諏訪の国を思い出しながら言った。あの頃は灯など無い、夜になれば闇しかない時代だった。こんな風景を見ると技術の進歩をヒシヒシと感じられる。俺も歳くったもんだな。

俺がそう考えながら歩いていると、人とぶつかってしまった。

 

「あっ…とゴメンな。大丈夫か?」

 

「ああうん、大丈夫大丈夫!コッチこそごめん。じゃ!」

 

「あ、おい!」

 

去っていった人は少女だった。いくら出歩いても大丈夫な時代とはいえ、子供が出るには遅いと思うが…。

…ん?そういえばさっきの子…どっかで見たことあるような…。

俺はそんな気がしたが、まぁいいか!とアッサリ割り切り、宿を探して都を歩き続けた。

 

 

 

 

 




双也くんは他人を見下す人が大嫌いなのです。

ではでは。
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