双也運いいなって思ったそこのあなた!転生者は大抵そんなもんです。勘弁してください。
では三話!どうぞ!
朝早くに起き、永琳の美味しい朝飯を食べたら稽古場に行く。稽古場ではもう依姫が待っていた。
「おはよう依姫…ずいぶん早いね」
「あ、おはようございます双也さん。双也さんこそ、私の予想よりもずいぶん早かったですよ?」
「まぁ早起きは三文の得って言うしねぇ。体に染み付いてるんだよきっと」
俺は遠い目をして言った。実を言うと俺は前世でもかなり早くに起きるのが習慣になっていた。というのも、朝が超早い上に学校には一時間前に着きたいとか言う生真面目というかバカな早苗に合わせる為に少々無理をしていたのだ。眠い目を擦って腫れ上がるなんて日常茶飯事だった。
「それじゃあ早速始めましょうか。準備はいいですか?」
「ああ、いいぞ」
「では瞑想から始めましょう」
そして今日の稽古が始まった。瞑想は霊力を高めるのに効果的だそうで毎日二時間はやるらしい。正直二時間瞑想って結構キツイ。その内尾骶骨変形しちゃうんじゃないかな?
依姫との稽古は、キツイキツイと言いながらも内容自体は簡単な物だ。瞑想したら準備運動して木刀で打ち合い。それに1日使う。
「やあぁぁあ!」
「まだ甘いですね。そこ!」
俺は簡単に隙を突かれ木刀を弾かれる。
「剣速が遅すぎます。ちょっと剣術をかじった者ならば簡単に見切られますよ?」
「う〜ん、いかんせん木刀重いんだよなぁ。戦闘なんかほぼしたことないし」
「まぁ重さにはその内慣れるでしょう。まだ2日目です、焦らず行きますよ」
依姫が再開を促す。くそー絶対見返してやるかんな!
木刀を構えたところでふと思う。
(でも依姫は木刀を自分の手足のように扱う。どうすれば…ん?木刀が……手足?)
いい事を思いついた。実行出来れば剣速問題は解決だ。早速木刀に"能力を使ってみる。"
……よし!
「来ないのですか?なら私が攻めますよ?」
「いや、今行く。準備が出来たところだ」
依姫は訝しげな顔をすると木刀を構えなおした。
そこへ俺が突っ込んでいく
"今の木刀は俺の手と同様だ!"
(ッ!剣速が、早くなった!?)
おうおう、依姫驚いてる。そりゃそうだ、剣速は今までの比ではなくなっている。擬音で表すなら、ブォンブォンからヒュンヒュンになった感じだ
驚きで隙ができ始めた依姫に、二日目にして初めて勝ったのであった。
〜お昼〜
昼頃になってお腹が空いてきたころ、見計らったように永琳が昼飯を持ってきてくれた。特大おにぎりだ。
「双也〜、そろそろお昼にしましょう?依姫も食べる?」
「はい!いただきます!」
なんか依姫嬉しそう。永琳に声かけられたから?まぁいいか。
俺は気にするのをやめ、永琳特製おにぎりを頬張る。モグモグ。
「それにしても、何で突然あんなに早くなったんですか?」
依姫が会話を切り出した。まぁ気になるよなそりゃあ
「(ゴックン)簡単な事さ。"木刀"と"俺"を能力で繋いだんだ。」
「双也さんと木刀を?何故です?」
「木刀と俺を繋ぐ事で、木刀は俺の身体の一部になったんだ。自分の身体を動かすのに重さは感じないだろ?つまりそういうことさ」
「早くも能力を使いこなし始めてるわね、双也…」
依姫は手のひらをポンっと叩いて納得している。永琳の声には若干の呆れが混じっている。なんだよ、俺は戦闘狂じゃないぞ!
「でも双也、能力の酷使はやめた方がいいわよ?霊力が膨大にあるならいいし、少し時間が経てば回復はしてくるけど、あなたの霊力は大きくないんだから」
そうである。いくら転生して竜神にサービスを貰ったとしても俺の霊力は決して大きくない。それこそ今のままでは永琳の半分以下だろう。まぁその為に瞑想してるんだけどね。と、そこで思い出したように永琳が会話を切り出した。
「あ!大事なこと思い出したわ!双也、ツクヨミ様から呼び出しがかかっているわ。すぐに行ってくれない?」
「え?でも依姫との稽古がまだ…」
「私の事ならお気になさらず。ツクヨミ様の呼び出しでは仕方ありませんしね。また明日続きをしましょう。」
「そうか、悪い依姫。また明日よろしく!」
そう告げると走ってツクヨミの元へむかった。全く、大事なことなら忘れるなよ……意外と抜けてるなぁ
なんて思って走り、気づいたらツクヨミの前。俺は正座で座った。
「うむ、ご苦労双也」
「いえ」
「ふむ、では本題だが…」
この時点で俺は薄々感づいていた。よく見ると前来た時にいた召使い的な人たちが全員いなくなっている。ということは大事な話なのだろう。
俺関連の大事な話……アレしかないよなぁ。やっぱ見切ってたか
「双也、お前は神であろう?」
「……………はい。でも自分で確証がある訳ではありません」
「どういうことだ?」
「……………………」
「大丈夫だ、お前が周りを混乱させまいと黙っていた事はわかっておる。故にここには我以外は誰も居らん。話せ。それとも神である我が信用出来ぬか?」
(………仕方ない。黙ってても埒があかないし、竜神にしてもらった神の設定についてもわからないことが多い。ツクヨミは何か分かっているようだし、素直になろう)
俺は転生の事と今までの顛末を全て話した。俺は隠し事が苦手なようだ。話したらなんとなくスッキリした。
ツクヨミは始終驚いた顔だったがちゃんと信用してくれたようだ。
「…ということです。」
「ふむ、双也よ 我がお前の疑問を解いてやろう。よく聞け」
「はい」
「お前はおそらく神の中でも特殊な部類、『現人神』というやつだろう」
「あらひとがみ?」
なんだそれ?漢字がよくわからないな。て言うか、前世でもそんな神聞いたこと無いんだけど?
「さよう。現れる人の神と書いて現人神。神と人の二面を同時に持つ者のことだ。お前は、神であるはずなのに妖怪が倒せなかったと言っていたな?それは今、お前は人間の面がむき出しになっているからだ。そして我はお前の中に僅かな神力が見えた。このことからお前は現人神だと判断できる」
「……現人神の事はよくわかりました。それじゃあどうやったら神の面が出て来るんです?」
「それは多分、こうすれば……」
ツクヨミは俺に向けて手をかざし、そこから何やら光るモノを放出した。瞬間、俺は自分の力が強くなっていくのを感じた。なんだこれ!?
「ふむ、どうやら現人神の力は霊力のようだな…神力は純粋な神にしか持てないということか」
「何をしたんです!?」
「お前の身体に神力を感じさせただけだ。通常眠っている神や神力を起こすには神力を感じさせればいいからな。」
なるほど、つまり今が完全に現人神になった状態か。今までの力は文字通り"半分"だったわけだ。
「でも何でそんな特殊な神になっちゃったんでしょう?」
「分からん。現人神であるお前だから言うが、実はな、現人神という存在に前例は無いのだ」
「………え?じゃあ何故知ってるんです?」
「神同士の話し合いの中で、可能性としてはあり得る存在として既存だったからだ。神と人が交わったなら、という可能性のな。だが転生者であるお前は話が別だ。心当たりは無いのか?」
俺は竜神の言葉を思い出してみる。すると引っかかる言葉があった。
他のありとあらゆる設定がランダムになってしまうぞ?
………そうか、そういうことか。理由はわかった。でも………
「そんな細かいとこまでランダムだなんて考えねぇよぉぉおおお!!!」
「どうした!?わかったのか!?」
「ハァハァ、はい 分かりました。しょーもない理由ですけど聞きます?」
「あ、ああ頼む」
〜現人神説明中〜
「なるほどなぁ。そんな低い確率に当たるとは、幸運と言うか不幸と言うか」
ツクヨミに説明した。こっちが恥ずかしくなる内容を。
つまりはだ、あらゆるって言葉の示す範囲を履き違えてたらしい。俺は身体能力とかその世界にあった力(霊力など)とか、そういう大雑把なモノだと思っていたがどうやら本当はもっとずっと細かいところまでの事だったようだ。今回の事ならば、俺は神になりたいと言った。でもそこでどんな種類、どんな力と細かく設定しなかったため全てランダムになり、現人神に落ち着いたようだ。
忘れてた!てへ☆
………竜神のテヘペロが脳裏をよぎった。殴りたい、この笑顔
ランダムなのはいいがちゃんと説明しておいて欲しい。
「はぁ、じゃあそろそろ失礼します。今日はありがとうございました」
「あ、まて双也!まだ少し話がある!お前の神の面の性質についてだ!」
「性質?」
性質ってどゆこと?どんな神かって事かな?
「お前の性質は『天罰神』。天罰を下すことに特化した神だ。天罰自体はどんな神でも起こすことができるが、お前のそれは他の神のとは桁違いのはずだ。それこそ我や姉様…アマテラスオオカミなどの位の高い神を遥かに凌ぐ程の天罰……
双也、力の使い方には気をつけろ。今は何故か発動出来ないようだが暴走したらただでは済まんぞ?」
ツクヨミが険しい顔で俺に注意…いや、警告をしてきた。コレは本当に気をつけないといけないな。稽古頑張らないと。
「はい、気をつけます。ありがとうございました」
「うむ、ではな」
そう言って扉を閉めた。やっと自分の正体がわかった。
でもこの先に不安も覚える。俺は暴走せずにいられるのだろうか?
いや暴走しないって気持ちじゃないといけないな
そう決意し、夕暮れに染まる町を家に向かって歩き出した。
やっと双也くんの正体が判明ですね!
天罰に関してはwikiで少しかじったのですが元々の構想と少し違うところがあって……なので「この小説の天罰はこういうものなのかー」と思って頂けるとありがたいです。
近々双也くんの現時点の設定を載せようと思います。まぁ古代編終わったあたりかなぁ。あと二、三話ですが。
ではでは。