東方双神録   作:ぎんがぁ!

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これから新章ですね!やっとこの章まで来た……。

双也視点です。

では新章開幕っ!


第六章 死霊の桜編
第四十五話 出会い


「じゃあ嵐、行ってくる」

 

「ああ。迷惑はかけるなよ?」

 

「お前は親か」

 

「私の苦労を知ってから言え。全く、宴会の時なぞお主さえいなければあんなに酔い潰れることも無かったというのに…」

 

紫と話した次の日。俺は玄関先で出かける準備をしていた。今から"紫の友達"なる人のところへ行くところだ。

嵐に挨拶し、玄関を出るとちょうど紫が迎えに来たところだった。

 

「あら双也。ちょうど準備が出来たみたいね」

 

「何言ってんだ。どうせ準備出来るの見計らって出てきたんだろ?」

 

「よく分かってるじゃない」

 

そう言うと紫は薄く微笑んだ。うむ、機嫌は宜しいようで。

俺たちは早速スキマに入り、目的地を目指した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…慣れてるわね、双也…」

 

「当たり前だろ。何回お前のスキマ落とし食らってると思ってんだ。そりゃ空中であぐらかく余裕も出来るわ」

 

入ったスキマはやはり縦方向のスキマだった。踏み入れた瞬間に浮遊感を感じた。でももう慣れた事。紫のスキマは大抵縦方向なのだ。あぐらと言わず、オヤジみたいに寝っ転がることも出来るぞ?

 

「あ、ちょっと出口ズレてたわ」

 

「は? がっ!!?」

 

瞬間、ケツに形容しがたい激痛が走った。ヤバいヤバい今までで一番痛いかもしれないっ!遂に尾骶骨砕けたかっ!?

 

「ズレた分は歩きましょ。ほら行くわよ双也」

 

「て、テメェ…」

 

紫は落下途中で突然足場を作ったようで、その硬い足場にあぐらのまま激突したらしい。そういう訳で尾骶骨が特大ダメージを受けた。効果はバツグンだっ!

紫はスタスタと歩いていく。俺は痛みに耐えながら走って追いつき、スキマを出た。

 

「……すげぇ…」

 

「ふふ、綺麗でしょう?ここは」

 

スキマを出ると、そこは長い長い石階段の上だった。それにも驚いたのだが、一番の要因はその両脇。前世でも見た事のないくらい見事な桜が所狭しと咲き誇っていた。桜吹雪もハンパない。

 

「さ、行くわよ双也。目的地はこの上よ」

 

紫はそう言って階段を登り始めた。

紫の友達……桜の咲き誇るこの階段……。

そうか、ここが…

 

 

 

 

 

ここが白玉楼か。

 

 

 

 

 

「長い……」

 

「あと少しよ。頑張りなさい」

 

「そういうお前だって汗かいてるじゃんか」

 

「う、うるさいわね!少し疲れただけよ!」

 

初めは桜を見ながら割と楽しく登っていたのだが、いくら綺麗でも景色が変わらなすぎて流石に飽きてきた。ついでにそうなってしまうほど階段も長かった訳で……ホント、何でこんなに長くしたの?バカなの?死ぬの?

 

「なぁ、なんでその目的地に直接スキマ繋げなかったんだよ」

 

「合わせたい人が他にも居るからよ。あら、ちょうど来たようね」

 

「は?来たって----!!」

 

俺が言いかけた瞬間、横から殺気を感じた。急いで天御雷を抜くと、それにガキィィン!!と何かぶつかった。見ると、それは長く流麗な太刀だった。

 

「貴様何者だ!」

 

「斬りかかってからそれを聞くのはおかしいんじゃないか?」

 

俺は襲い掛かってきた老人ごと弾き飛ばし、距離を開ける。白玉楼に太刀を使う老人…この人が魂魄妖忌か。

って紫はどうした!?

 

「おい紫!どういう事だコレ!?」

 

「双也にはその人にも会ってもらいたかったのよ。その人、実際に刃を交えないと納得しない人だから、私先行ってるわね」

 

「うぇえ!? おい待てよ!」

 

そう言い残して紫は行ってしまった。残されたのは、かなりの殺気を放っている妖忌と俺。

とりあえず妖忌に向き直って言う。

 

「あのさ…俺紫の友達だからここ通してくれない?戦う理由ないだろ?」

 

「お主に無くともワシにはある。ここから先は力のある者しか通してはならぬのだ。故に、いくら紫様のご友人とあっても安々と通す訳にはいかない」

 

「ふぅ…仕方ないな。じゃあやるか。俺は紫の友人、神薙双也だ」

 

「半人半霊、魂魄妖忌(こんぱくようき)だ。いざ、参る!」

 

互いに軽く自己紹介し、刀を交える。妖忌はやはり二刀流の様だ。

 

「おらぁ!」

 

「甘いぞ。せいっ!」

 

妖忌は俺の縦斬りを短刀で受け、もう一方の長刀で斬りかかった。攻撃には気付いていたので難なく避ける。

二刀流の厄介なところはコレだ。片方で防ぎ、もう一方でカウンター。攻める時には怒涛の連続斬り。守る時には二振りで堅実に守る。扱いは難しいが攻守に優れているのだ。普通の刀なら相性は劣悪だ。でも…舐めてもらっちゃあ困るな。

 

「いくぞ妖忌ィ!!」

 

「ぬ!?なに!?」

 

忘れているかもしれないが、この天御雷は任意で刃を生成できる。広げた霊力の範囲ならば、その場所も形も数すらも自由自在。そうだな…"無限流"とでも言ってみようか。

霊力を広範囲に広げ、いつでも刃を生成できる様にして斬りかかった。

 

「せい!」

 

「遅い---!?」

 

「"反応が"遅いな。そっちにも俺の刃はあるぞ?」

 

「くっ…」

 

妖忌は俺の結界刃に見事翻弄されている。無限流の良いところは、どんな時、どんな体勢でも斬りつける事が出来るところ。避けられてもその先には刃。受け太刀しても斬りつけられる。

ただの勝ちゲーだこんなの。

 

「ぐぅっ!くそぉ!」

 

「終わりだ…旋空」

 

放った八つの旋空は妖忌の身体を掠めて飛んで行った。力試しの結末なんてこんなもんでいい。殺す理由も必要も無い。

……あれ、気絶させた方が良いのかな?その方が後で何も言われないか?

 

「ゴメンもう一発」

 

「はぁあ!?」

 

「大人しくしててくれ?」

 

俺は"意識を遮断する能力"を刀に乗せて一閃した。

力なく倒れる妖忌を受け止め、担ぎ上げる。

…お?

 

「あらら、半霊まで落っこちてるじゃんか。…しゃーないか」

 

落ちていた妖忌の半霊の尾?みたいなところを持って拾い上げる。

おお?なんだコレ!?なんか風船ヨーヨーみたいに伸び縮みする!

 

ビヨン ビヨン

 

「あはは!面白いなこれ!」

 

尾の先を人差し指と中指で挟んでまさしく風船ヨーヨーの様に弄ぶ。半霊ってこんな感じなんだなぁ…。そう思いながら階段を再び登り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビヨン ビヨン

 

「……何をしてるのかしら?」

 

ビヨン ビヨン

 

「何って…こいつ気絶させて登ってきたんだけど」

 

ビヨン ビヨン

 

「そうじゃなくて……それ、妖忌の半霊じゃなくて?」

 

「そうだよ? なんか伸び縮みして面白かったからさー」

 

ビヨン ビヨン バチンッ 「痛っ!!」

 

「あ、起きたか」

 

妖忌の半霊で遊びながら階段を登ると、終点らしき所には紫が居た。どうやらそろそろ来ると思って迎えに来たらしい。半霊で遊びながら話していると、うっかり尾が指から離れてしまい、半霊の本体にぶつかった痛みで妖忌が起きた。ゴムパッチンみたいな音だったから相当痛かっただろうな。

妖忌は状況に気付くと、俺の肩の上でジタバタし始めた。

 

「お、下ろしてくだされ双也殿!ワシはもう動けますゆえ!」

 

「お、おう…分かったから上で暴れないでくれ」

 

俺が妖忌を下ろすと、紫が妖忌に話しかけた。

 

「どうだった妖忌?双也は強かったでしょう?」

 

「…はい。まさかワシがあそこまで手玉に取られるとは…力試しでなく、真剣な殺し合いならば間違いなく死んでいたでしょうな。まだまだ精進が足りませぬ」

 

「戦闘経験でも私より上だしね。なんたって私の師匠みたいなモノだし」

 

「いや紫、師匠は言い過ぎだと思う」

 

そんな会話をし、妖忌に本題を問いかける。

 

「で妖忌、俺はもう合格だよな?通っていいだろ?」

 

「ああ、はい。双也殿は合格です。ここを訪れる際は強力な結界を張ってから(・・・・・・・・・・・)お入り下さい」

 

「結界?」

 

「はい。なぜなら----!」

 

言いかけた妖忌は俺の後ろを見て何かに気付いたような顔をした。同時に何か良くない気配を感じ、自分の周りに結界を張って振り向くと…

 

「紫?あんまり遅いから私も来ちゃったわ。早く中に入りましょう?そこの男の子も」

 

そこには、柔らかくカールのかかった桜色の髪に、薄い青色の着物を着た美しい少女、西行寺(さいぎょうじ)幽々子(ゆゆこ)が薄く微笑んで立っていた。

 

 

 

 

 

 




戦闘大幅カットォ!!
…はい、あんまり妖忌に時間かけてられないと思ったのでサクッとやられて貰いました。ごめん妖忌……。

ではでは。
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