東方双神録   作:ぎんがぁ!

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少し原作設定に絡みが出ます。後の展開を想像すると楽しいかも?

ではどうぞ!


第四話 ツクヨミの頼み、初めての武器

「はっ! やぁぁあ!!」

 

「くっ! おぉらぁあ!!」

 

俺が自分の能力と正体を知り、決意を固めてから早四年。

俺は未だに依姫との稽古を続けていた。

ん?展開が早い?タグを見てくれタグを。

 

「そこだ!」

 

「あっ」

 

カンッと小気味好い音がして、依姫の木刀が弾かれた。

そう、俺は毎日欠かさず依姫との壮絶な稽古を続けていた為、剣術に関しては少し依姫の上を行っていた。神という種族のポテンシャルなのか、現人神に目覚めたあの日から俺の霊力は爆発的に上昇する様になり、今では五百年生きたような妖怪をも軽く超える程になった。霊力の上昇に伴って能力で出来る事にも幅が出来、今ではツクヨミを除けば町で一番強いとまで言われるようになった。

…因みに現人神のことは二人に言ってある。帰ってきたら霊力が跳ね上がってて驚かれたので説明した。あ、転生のことは内緒でね。

 

「ま、参りました…」

 

依姫はしゅん…となって小言のように呟いた。

俺は稽古の終わりを促す。

 

「ふぅ、疲れたぁー。そろそろ切り上げようか依姫」

 

「そうですね。もう日も落ちて来ましたし、終わりにしましょう」

 

依姫に手を貸し、起き上がらせると二人で片付けを始めた。今日もいい稽古だったなぁ!

と、そこへ道場に入ってくる者が一人。

 

「すいません。私はツクヨミ様の使いの者です。神薙双也さんと綿月依姫さんですね?ツクヨミ様がお呼びですのでご同行願います」

 

「ツクヨミ様が?しかも依姫も?」

 

「はい。町でも一、二を争う強さのお二人にお願いがあるそうです」

 

おうふ、ツクヨミが俺たちにお願い? 珍しい事もあるもんだな! そんなに信用されてんのかな?あ、強いからって言ってたね。

そんな訳で使いの人に連れられてツクヨミの部屋まで来た。ん?なんか永琳までいるな。いつに無く真剣な顔だし

 

「何で永琳までいんの?」

 

「この場に必要だからに決まってるでしょ。ツクヨミ様の前なんだから私語は慎みなさい双也」

 

おう…冷たく返された…生半可な話じゃあ無いって事か。

そこにツクヨミが会話に入って来た。

 

「永琳。今回はお願いする立場なのだ、そう堅苦しくせずともよい。 さて双也、そして依姫よ、今言った通り我はお前たちにお願いがあって呼んだのだ」

 

「はい、使いの方から聞いております。私たちの力が必要だとか」

 

依姫が答えた。うむ、と言ってツクヨミが本題に入る。

 

「実はな、我々は十数年前から"月移住計画"というものを進めているのだ。最近は永琳の力を持ってしても"穢れ"を抑える事が出来なくなってきてな、穢れの無い月に移住すれば穢れから永遠に遠ざかる事が出来るということだ」

 

『穢れ』。それはつまり寿命や死の事だ。穢れについては前に永琳から聞いたことがあった。大地や自然、妖怪が発する特殊な輪廻のシステムだと。この町はそういった穢れから人々を守る為に建っている。もちろん住居でもあるが、一番の理由は穢れ対策だ。寿命を恐るなんて、現代人、ましてや一度死を体験した俺からすれば呆れた事なのだが。

 

「それがどうかしたのですか?」

 

俺が問うとツクヨミ、そして永琳までも表情を険しくした。

 

「…妖怪達の動きを観察していた兵士から連絡があっての、どうやら膨大な数の妖怪が集まって町を襲う気のようだ」

 

「なんですって!?」

 

依姫が立ち上がって叫んだ。そりゃそうだろう、町にはもし妖怪が紛れ込んだ時の為に兵器が用意してあるが、それはあくまでも紛れ込んだ時、つまり"膨大な数を相手するための設計はされていない"。もしそんな数で攻めてこられたらひとたまりもないどころじゃない、皆殺しになってしまう。

 

「それにな、妖怪達の準備の進みからして攻めてくるのはおそらく……」

 

「月へ旅立つ日にとても近い。故に私たちに残されている時間は短いということよ」

 

ツクヨミの言葉を永琳が受け継いで話した。依姫はもう声が出ないようだ。

俺はというと……俺たちが呼ばれた理由がなんとなく分かってしまった。

 

「つまり、襲ってくる妖怪達を俺たちで食い止めろってことですね?」

 

「……理解が早くて助かるの。端的にはそういうことだ。町で勇士を集い、兵士も含めた迎撃隊を作るのだが、お前たちにはその先頭に立って貰いたいのだ」

 

なるほど、攻めてくる正確な時間は分からないが、攻めてきたら直ちに出発準備&俺たちが出動、迎撃して時間を稼ぐ間に出発し、後から迎撃隊の連中も乗り込んで月へ逃げるって事か。う〜ん…

 

「大丈夫か?依姫?」

 

「わ、私は…」

 

依姫は少し震えている。無理もないだろうなぁ たくさん妖怪が迫ってきたら俺だってビビる。

震える依姫を見てツクヨミが言葉を付け加える。

 

「無理な頼みをしているのは分かっている。これはお前たちの命にも関わることだ、無理強いはせん。だが願わくばこの無力な神の頼みを聞いてはくれないだろうか?我は民を月へ導かなければならなくての、力を貸すことができんのだ。頼む…!」

 

口調からツクヨミの悔しさが伝わってくる。とても歯痒いんだろうな、どちらかしか助けてやることができなくて。

そこへ決意に満ちた依姫の声が響いた。

 

「私は…やります!やらせてください! ここで断ってしまえば、今までの稽古が意味をなさなくなってしまう!」

 

「俺もやらせてください! こういういざって時のために力を伸ばしてきたんです!」

 

俺と依姫は決意した。妖怪たちから町の人々を守り、必ず月へ送り届けると。その声を聞いて、ツクヨミは涙ぐんでこう言った。

 

「ありがとう…!お前たちがこの町にいてくれて本当によかった…!」

 

と、そこへ永琳がなにやら重そうな物を二つ持ってきた。

 

「ツクヨミ様…」

 

「ああ、そうだな。二人に受け取って貰いたい物がある。何も出来ない我のせめてもの餞別だ。」

 

ツクヨミがそう言うと永琳がそれを俺たちに一つずつ渡してきた。コレは……刀か?

 

「依姫に渡したのは『愛宕様の剣』。分かりやすく言うなら迦具土神の神殺しの火を操ることができるわ」

 

「そして双也に渡したのは『祇園の剣』。無数の剣を地より発し、神を封印する刀だ」

 

永琳とツクヨミがそれぞれ説明してくれた。つーかコレ神器って事じゃん!それ位俺たちは期待されてるんだな…これは頑張らないと!

 

「月への出発日、そして妖怪達の侵攻予想日は約二ヶ月後よ。それまでにその刀の力を使いこなせるようにし、侵攻に備えて欲しいの。迎撃隊の訓練は私が請け負うわ。二ヶ月でせめて妖怪10匹は仕留められるようにしてあげるわ」

 

永琳がドス黒い笑みで言った。あの…割と洒落になってないからその笑顔やめてくれない?この場の全員が引きつってるの見えないの?

それから俺たちは刀を操る事に専念した。まぁぶっちゃけ言っちゃうと、二、三日でほぼマスターしてしまったのだが。俺や依姫ぐらいの霊力があればまぁ妥当だろう。

ある日永琳の訓練を見てみたいと思い、訪ねてみたが……

 

「ぜぇ…ぜぇ…っ! はあぁぁああ!!」

 

「うおっ くそっ!おらぁ!!」

 

「そこガラ空きだぁ! ぐあっ、なん…だと…」

 

「ハハハハハ! 調子に乗るからだぁ!おらああ!!」

 

……地獄絵面だった。永琳は大群との総力戦を想定しているようで、迎撃隊全員参加の超乱闘をさせているようだ。

…毎日手加減なしで。元の性格はよく知らないがこれだけはわかる。もうみんな性格が荒んできてるんだけど…

 

「あら双也、来てたの?刀の方はどう?」

 

「あ、ああ。もう使えるようにはなったよ」

 

「そう、なら丁度いいわね。みんなぁ〜!今から新しい人入れるからぁ〜!よろしくねぇ〜!」

 

は!?え、ちょちょ、待って待ってホント待って!俺こん中に放り込まれんの!?この地獄に!?永琳ってキチ○イなのか!?

俺が永琳の言葉に度肝を抜かれていると、一人が叫び声を上げた。

 

「新しい獲物だぁぁあー!!みんなかかれぇぇえー!!」

 

「うぉぉおおぉおぉお!!」

 

嘘だろ!?全員俺の敵!?

永琳の方を横目で見ると爽やかな笑顔を返してきた。

…右手をふりながら。チクショウ!やるしかねぇのか!

 

「永琳覚えとけよ!!」

 

「忘れなければね」

 

俺は祇園様の剣を抜いて走って行った。結果はまぁ、ご想像の通り。

因みに俺が吹っ飛ばした迎撃隊員の治療は全部永琳がやったそうだ。目に涙を浮かべて俺を放り込んだことを後悔していたらしい。ざまぁみろっ!

そんな日々を過ごしていたある日、町に警報が鳴り響いた。

 

「緊急連絡!緊急連絡!町の外壁の向こうより膨大な妖力を感知!住民の方々は直ちにロケットへ乗り込んでください!!繰り返します!街の向こうに……」

 

町の人々は血相を変えて走っていく。と、目の前で子供が転んだ。俺は抱えて立ち上がらせた。

 

「大丈夫?痛くない?」

 

「う、うん!大丈夫!ありがとうお兄ちゃん!」

 

「ああ、じゃあね」

 

子供は急いで親の元へ駆けていく。

そして俺はみんなの方に振り向いて話始めた。

 

「みんな、よく聞いてくれ。今妖怪の大群が迫ってきている。奴らは今の子の様な小さな子、親、親戚…その沢山の繋がりを持つ者達を殺そうとしている。俺たちはこの二ヶ月、町の人々を守ると誓って鍛錬を積んできた。ならばその成果を妖怪共に知らしめる時だ!人々を月へ送り届ける為に!命をかけて!ここを守り抜こう!!」

 

「「「「おおおおおおおおおお!!!」」」」

 

俺の言葉でみんな士気を高めてくれた。 よし、これなら準備万端!最高の状態で戦いに望める!

俺は依姫に声をかけた。

 

「依姫は大丈夫か?」

 

「はい。私も心構えは出来ています。今はただ眼前の妖怪を斬り捨てるのみ!」

 

うん、大丈夫なようだ。俺はひとしきり安心すると、また心を切り替え、祇園様の剣を抜いて前を見据えた。

 

 

双也達の目にはおびただしい数の妖怪達が波のように押し寄せてくる姿が映っていた。

 

 

 




そろそろ双也くん以外の視点でも書いてみたいなーと思う今日この頃です。文才が欲しい!
双也くんの前世の東方projectの事ですが、その中に風神録は存在しません。故に早苗もいないわけで、双也くんは現人神の事をしらなかったんですねー。
補足が多くてすいません。気をつけます。

ではでは。
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