東方双神録   作:ぎんがぁ!

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今回から諏訪大国編です。いつかの後書きで書きましたが、双也くんは風神録を知らないのでココでは何もかもが初見です。


ではどうぞぉ!


第二章 諏訪大国編
第七話 気になる未来、募る不安


〜某国 ある神社の境内〜

 

 

「ああぁぁああ〜〜…暇だなぁああ〜…」

 

私は洩矢諏訪子。この諏訪大国を治める祟り神だ。

私は今とても暇を持て余している。というのも、つい先日この国で定期的に行われる奉納祭が無事に終わり、その時に散々騒いだ反動が今になって国中に帰ってきたようなのだ。今日は休んでいる店も多く、人通りも少ない。おまけにいつも神社に遊びに来る子供達まで家にこもっている始末。暇で暇で仕方なかったのだ。

 

「ねぇ稲穂〜、何か面白いことない〜?」

 

「もう…諏訪子様!あなたはこの国を治める神なんですから、そんな子供みたいなこと言ってたらダメですよ!」

 

「あーうー…稲穂は厳しいなぁ…」

 

彼女の名は東風谷稲穂。この神社の巫女だ。今年で二十歳になる。国でも有名な美人なのだが、巫女という清楚な仕事柄だからか色恋沙汰が何もない。そろそろ後継ぎの一人くらい作って欲しいところだけど…

と、そこへ一人の兵士が駆け込んできた。

 

「す、諏訪子様!」

 

私は飛び起きて兵士の言葉に聞き入る。

 

「数年前に見つけた洞窟の神力が目覚めの兆候を示しています!」

 

「な、なんだってー!」

 

「……何故そんなに目を輝かせているのですか?」

 

「え!?別にっ!?何でもないよ!?」

 

やっと面白そうな事が来た!コレは行くしかないでしょ!

兵士が怪しそうな目で見てるけど気にしない!早速何人かで隊を編成して向かおう!

洞窟の神力は数年前に偶然見つけたモノだ。戦争で地を走り回っていた時にわずかな神力を感じて辿ったら見つけた。ただその時はまだ小さな神力だったし、戦争中で手が離せなかったので印を付けて放っておいたのだ。それからは定期的に様子を見ている。それが目覚めかけているらしい。興味を引かない訳がない。

 

「それじゃあ行こう行こう!!」

 

「…嬉しそうですね諏訪子様」

 

「そんな事ないよっ! 国に被害が出るようなら潰さないといけないんだから!嬉しいわけ無いじゃんっ!」

 

「……そうですか」

 

「お気をつけて〜」

 

稲穂が微笑みながら送り出してくれた。よ〜し、どんなヤツだろう!?

 

 

 

 

そして現在。私達が洞窟に着いたら入る直前に男が出てきた。しかもソイツは驚く私たちを尻目に なんだこりゃあ!? とか言ってる。このままでもしょうがないのでコッチから声をかけた………

 

 

 

 

 

〜双也〜

 

 

「ココは私の国だよ。そんな事より、そこの洞窟から出てきたみたいだけど……お前何者だ?」

 

横から声がした。その方を見ると、何人かの兵士を連れた大きな帽子の幼女が立っていた。

えっと、話しかけられたの俺だよね?

 

「え?えと、俺は神薙双也。よろしく」

 

「あ、うんよろしく………じゃなくて!お前は何者だって聞いてんの!そんな洞窟に居る神なんて聞いたことないんだけど!」

 

なんか自己紹介したら怒られた。ちょっとヒドイと思う。って、うん?神?……あ

 

「切り替わったままだった。え〜っと、………よし、これで戻ったかな」

 

「ッ!? 神力から霊力になった!?しかも並の力じゃない!! お前ここで何をしてた!!」

 

切り替えるのに発動しっぱなしだった能力を解いたらメッチャ驚かれた。しかもなんか警戒が強くなってない?

ここで嘘を言ってもめんどくさくなりそうなので正直に答える。

 

「えーっと、何してたと言われても、寝てたとしか言いようがないな…」

 

「ふざけてるのか!?そんなのが通用する訳ないだろ!そもそもお前の神力は数年前から感知してた。その間寝てたなんてありえない!」

 

数年前から? もしかしてひどく寝過ごしたのだろうか?精神世界にいると時間の流れが遅いのかな?

……ちょっと今の時代の事が心配になってきた。聞いてみよう。

 

「な、なぁちょっと聞きたいんだけど、今っていつのじだ----」

 

「うるさい!!コッチの質問に答えないなら力ずくで吐かせる!覚悟しろ!」

 

おおっと、少女も切羽詰まってたようだ。でも焦れったいからって攻撃するのはどうなんだろう?まぁコッチにも非はあるんだけど。

と、そんなことを考えていたら攻撃して来た。その場で足踏みしたら拳大の石が大量に飛んできた。どういう原理だよっ!

 

「おっと、ほっ、はっ、あぶねっ!」

 

「!? なに!?」

 

しかし簡単に当たる俺ではない。正直依姫の剣速に比べたら遅いほうだ。身体をそらして避けたり、手で軌道を変えたりして上手く捌いていく。…と、同時にいくつかの石つぶてを少女に繋いでいっている。コレは自主練をしていた時に見つけたカウンター法である。飛び道具をターゲットに繋げていくとカウンターのホーミング弾になる。いわば技を乗っ取っているのだ。その光景に少女は驚いて動けなくなっている。当然そこに球は飛んでいく訳で。

 

「くぅっ!」

 

なんと少女は紙一重で避けた。正直びっくりしたがまだ球は尽きていない。次々と襲いかかっていく。

 

「ふっ、よっ、やぁ!」

 

少女は球を避けたりはたき落としたりしていて意外に当たらない。でも…チェックメイトかな

ついに少女は捌ききれなくなり、球が迫ってくる。

と、ここで俺は繋がりを解いた。

 

「いたっ」

 

直前で繋がりを断たれ追いかける対象を失った球は少女の目の前で勢いを失い、頭にコツンと当たるだけだった。戦うのが目的じゃないしね、少し話せる状況にできればそれで良いのだ。

少女は何やら不満げにこちらを睨んでいる。額をさすりながら。ちょっと悪かったかな…

 

「え、えっと、ちゃんと話し合いさせてくれる?」

 

「…………わかったよ。話し合いするからウチの神社まで付いてきて」

 

なんか拗ねたような声だったがなんとか場を乗り越えたようだ。神社に連れて行ってくれるらしい。おそらく、さっき見えた大きな神社のことだろう。

あ、歩いている間に自己紹介でも済ませようかな。不機嫌なままじゃ何となく気不味いし。

 

「えと、さっきも言ったけど、俺は神薙双也って言う。君は?」

 

「……洩矢諏訪子。あの国を治めてる祟り神だよ」

 

「こんなよ…っと何でもない。気にしないで…」

 

「?」

 

あぶねぇ…とっさに「こんな幼女が!?」って言いそうになった…なんか神って意外とそういうの気にしてるみたいだし、いつかの二の舞になるところだった…

そうこうしていると神社に着いたようだ。境内では何やら巫女さんっぽい綺麗な人が手を振っている。

 

「おかえりなさ〜い!」

 

「ただいま稲穂…」

 

「ほーう、綺麗な巫女さんだな諏訪子」

 

「!! そうでしょそうでしょ!?稲穂は可愛くて聡明で家事万能の完璧な子なんだよ!!」

 

「す、諏訪子様、恥ずかしいです…」

 

巫女さんの事を言ったらすごい勢いで機嫌が良くなった。これで話が変な方に行くこともないかな?

俺は諏訪子の機嫌が良くなったことに少し安堵すると巫女さんの方に向き直った。なんか誰かに似てる気がするな…

 

「いきなり変なこと言って悪かった。俺は神薙双也だ。よろしく」

 

「あ、いえいえ!お気になさらず!私は東風谷稲穂と申します。よろしくお願いします!」

 

…え?こちや!?もしかして早苗と何か関係でもあるのか!?…いや、字が違う可能性もある。聞いてみるか。

 

「あの、こちやってどういう字?」

 

「え?えと、"東"に"風"と"谷"ですけど…それが何か?」

 

「い、いや、気になっただけ。何でもないよ…」

 

おいおい、字まで一緒だったんだけど…じゃあ何?この人が早苗の祖先ってこと?確かに早苗に似てるけどココって東方projectの世界なんだよな?それなら東方に関係する人達と出会う筈だと思うんだけど…なんで早苗の祖先がいるんだ?

俺が自分の持っている情報との食い違いに戸惑っていると諏訪子が声をかけてきた。

 

「そろそろ中に入って話そうよ。 双也だっけ?お前に興味が出たんだ。さぁ早く!」

 

ということで居間。丸い机を俺、諏訪子、稲穂で囲んでいる。諏訪子から話を始めた。

 

「まず双也、お前は何者?神力も霊力も持っているようだし、少なくとも人間じゃないのは分かってるよ」

 

「ああ、初めはその質問を勘違いして悪かった。俺は神と人間の両方の性質を持つ現人神だよ」

 

「神と人間の両方!?そんな人が存在するんですか!?」

 

「……まぁ俺がそうだからね、存在はするよ」

 

稲穂がものすごい驚いている。存在がどうこうって言葉にちょっと引っかかりがあったけどまぁ良いとしよう。

諏訪子は納得した様な顔をして何かを呟いている。なんか知ってそうだな…

 

「そうか、双也があの時ツクヨミ様の言っていた……」

 

「諏訪子?」

 

「ん?何?」

 

「今度は俺から質問するぞ?」

 

「あ、うん。どうぞ?」

 

諏訪子は顎に添えていた手を離し、こっちに向き直った。

それを確認してから俺はずっと密かに心配していた質問をする。

 

「今っていつの時代だ?」

 

「……そうだね、双也はツクヨミ様を知ってるよね?」

 

「え?あ、ああ、一応知ってるがそれがどうしたんだ?」

 

諏訪子が、俺とツクヨミが面識があるのを知っている事に少し驚いた。諏訪子は言葉を続ける。

 

「ツクヨミ様が、遂に現人神を見つけた、と言って神の議会を騒然とさせたのが今はもう昔の話…。双也がツクヨミ様の言っていた現人神だったんだね」

 

「…え?昔?どういうこと?」

 

俺は諏訪子がツクヨミとの事を知っていた事には納得していた反面、昔と言う単語に少しの不安感を抱いた。もしかして…寝過ごしたなんてレベルじゃない…?

 

「ツクヨミ様は言ってたよ。その現人神は我々が月へ移住するときに真っ先に妖怪たちに切り込み、そして死力を尽くしてとんでもない戦火を上げたって」

 

俺の不安は大きくなっていく。コレは……ヤバいな…

 

 

 

 

 

 

「双也、お前が人妖大戦で妖怪を皆殺しにしてから………もう一億年は経ってるんだよ」

 

 

 

 

 

 




伏線ぽくない伏線。正直、私自身物語の方向性がわかっておりません。何だか変な事になっちゃうかも………

分からない事があれば質問してください。物語上で判明している事ならお答えしますので。


ではでは。

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