東方双神録   作:ぎんがぁ!

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この話書くの結構苦労しました…何故か? 期末テスト期間だったからですっ!

ではどうぞ!


第九十二話 最初の関門?

「……見えてきたな」

 

「だな。さてさて、今回の首謀者はどんな奴なのかワクワクするぜっ!」

 

チルノ達に勝利し(強制退場させ)、湖を突っ切ると洋風の館が見えてきた。

あれが目的地、確か……えっと、紅魔…館? である。

 

「にしても赤いなぁ、目がチカチカするぜ」

 

「確かに、こんなの見続けたら目が悪くなりそうだな…」

 

館を目にし、最初に思った事がコレである。

それはもう赤過ぎて赤過ぎて、直視なんてしたくないレベルである。

魔理沙の言う通り、ただひたすらにチカチカする。

 

そんな感想を思い浮かべながら飛んでいると、目の毒だぁ〜、とか言いながら嫌そうな顔をしていた魔理沙が突然声を上げた。

 

「お! 今霊夢が入ってったぞ! 追いついたみたいだな!」

 

それを聞き、彼女の視線の先へ目を向けた。

そこには大きく開かれた巨大な門と、その前にある橋の上で倒れている女性の姿があった。

 

「魔理沙! 今なら行ける! 突っ切るぞ!」

 

「最初からそのつもりだぜ!!」

 

開いた門へ飛び込むべく、俺たちは速度を上げた。

女性が目覚めた感じはない。このままなら突っ切れるはずだった(・・・・・)

 

「ッ!! 魔理沙!!」

 

「あ? うわっ!?」

 

突然背後に殺気を感じ、反射的に魔理沙を横へ突き飛ばした。

同時に俺も反対方向へ弾くように移動する。

 

元居た場所には、回転蹴り後と(おぼ)しき体勢をしている、先ほどまで倒れていた女性の姿があった。

 

すぐに瞬歩で移動し、魔理沙を抱えて距離を空けた。

 

「あちゃ〜…失敗ですか。中々やりますね」

 

彼女は頭を掻きながらこちらに振り向いた。

 

赤い髪の毛をロングにし、中国人だと言われれば頷いてしまうような緑色のチャイナ服。頭には真ん中に"龍"と書かれた帽子を被っており、いかにも武人というような雰囲気を纏っている女性だった。

 

「不意打ちなんか武人のする事とは思えないけどな。随分と礼儀を知らない格闘家なこった」

 

「いえいえ、私は礼儀を重んじていますよ、ちゃんとね。ですが、"敵を通すな"との命令ですので、最善策を取らせていただいたまでです。避けられちゃいましたけど」

 

「でもさっき霊夢を通してたじゃんかお前」

 

「そ、それは言わないでください! 負けちゃったんだからしょうがないんですよ!」

 

そんな軽口を叩いている割には全く隙のない姿勢をしている彼女。今攻撃してもきっと反撃を受けるだろう。

どうせ突破しないと進めないのだから慎重に行こう。

焦って返り討ちに合うのは馬鹿馬鹿しい。

 

「さて、あなた達もどうせお嬢様達の邪魔をしに来たのでしょう? この紅魔館の門番として、この紅美鈴(ほんめいりん)がお相手しましょう」

 

そう言って美鈴が構えた。かなりの迫力を感じる。

 

「よっしゃ! それなら私が相手してやるぜ! 弾幕勝負だ!」

 

そう魔理沙が言うと、美鈴は予想外に嫌そうな顔をしていた。

……ああそういう事…。

 

「……魔理沙、ここは俺が引き受ける。待っててくれ」

 

「はぁ? なんでだよ! さっきからいいとこ無いんだから私にやらせろよ!」

 

見るからにウキウキしていた魔理沙は、当然俺に不満の声をぶつけてきた。

どんだけ弾幕勝負したいんだこの白黒は。

 

「いーから。俺だっていいとこ無いんだからさ」

 

そう言いながらあーだこーだ文句を言う魔理沙を宥めていた。

こういう様子は、年相応の少し子供っぽい感じが出ていてなんだか微笑ましい。

俺に妹が居たらこんな感じなのだろうか?…いや、妹分なら居るな。

 

そんな事を思いつつ、彼女の興奮が治まると俺は未だに構えを崩さない美鈴に向き直った。

 

「…いくら格闘戦の構えをしても、今からやるのは弾幕勝負だぞ? 霊夢に負けて悔しいんだろうが、それがルールだ」

 

「……はぁっ…やっぱりダメですか。このまま流れで格闘戦に持ち込もうと思ってたんですけどねぇ…」

 

ドヨ〜ン、と効果音が付きそうな感じの雰囲気を纏い始めた美鈴。わざとらしいとさえ思える程に肩を落としている。

そんなに弾幕勝負苦手なのか…………まぁやる事は変わらないけど。

 

「じゃ、俺は……カードないから無しでいいや。通常弾幕だけでやる。美鈴は?」

 

そう言って先に提示してやると、少し癪に触ったのか眉を顰めて睨んできた。

 

「……いくら得意じゃないと言っても、そんなハンデを提示されても"舐められている"としか思えませんね」

 

「いやいや、今から考えるのが面倒なだけさ」

 

そんな事はない、とジェスチャーしながら伝えると、ちゃんと理解してくれたのか一つ溜息を零し、どこからかカードを二枚取り出して前に掲げた。

 

「仕方ないですね。私のスペルカードは二枚。あなたは持っていないようなので、勝敗は降参か気絶のどちらかにしましょう。使うタイミングも任意……いいですよね?」

 

「ああ、オッケーだ」

 

「話が通じるだけ、さっきの霊夢って人よりはマシか……それじゃあ心苦しいですが……弾幕勝負、開始です!!」

 

宣言を皮切りに、互いに弾幕を放ち始めた。

 

 

 

 

 

美鈴の弾幕は、とても色鮮やかだった。

赤、緑と始まり、青、黄、紫……早い話が虹色に近く、それを回転する様に撃ってくる。

俺も結界刃で迎え撃とうと構えていたのだが……

 

「……なぁ美鈴、隙間……多くないか?」

 

「に、苦手なんですよ弾幕っ! 黙っててくださいっ!!」

 

怒り?を露わにし、更に弾数を増やしていく美鈴。

それでもまぁ…結界刃で斬り落とすまでもない。

体捌きだけで避けれるられるものばかりだ。

 

「あーっ! 埒があきません! 一枚目、行きます!」

 

不得意なりに必死で弾幕を飛ばしていたが、軽々と避け続ける俺に痺れを切らしたのか、早々と美鈴は一枚目のスペルカードを取り出した。

目の前に掲げて宣言する。

 

「華符『芳華絢爛』!」

 

カードが光り輝き、大量の弾幕が広がり始めた。

赤や黄を主とした弾幕が、低速ながらも華のように広がっていく。

やはり弾幕勝負なので、明後日の方角に飛んでいく弾も多々あるが、ここもやはり弾幕勝負、眼を見張るほどに美しいスペルだ。

見惚れて被弾する奴も、もしかしたら居るかもしれない。

俺も勝負じゃなければ眺めていたい気分だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

でもまぁ、こっちも急いでるんでね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ!? いつの間に!!?」

 

「悪いな美鈴。俺は宿がかかってるんだよ」

 

スペルカードは弾の密度が濃い。

それは美鈴の芳華絢爛も例には漏れず、一見すると隙間など無いように見えるが………よーく見れば存在するのだ。

 

俺はその一瞬の隙間を瞬歩で通り抜け、美鈴の懐に入った。

スペルを放つことに夢中だった彼女は、らしくもなく隙だらけだ。

 

「アステロイド・接近砲弾(ブロードカノン)

 

一発に威力を絞ったアステロイド。

それを懐がガラ空きな美鈴の腹にぶち込んだ。

"えげつねぇっ!!"と魔理沙の声が聞こえた気がしたが、きっと気の所為だと思う。

 

弾速が遅くなるために近距離で扱う弾だが、威力は折り紙付き。

着弾の衝撃&吹っ飛びながらの炸裂で大ダメージを狙える弾だ。

 

美鈴のスペルは一瞬でブレイクし、彼女自身は門を巻き込みながら庭へ吹き飛んだ。その先で弾が炸裂した音も聞こえた。

 

………これで終わりだろう。

 

「スペル一枚目だけど、いいのかコレ?」

 

「別にいいだろ。戦闘不能になったら気絶と同じ」

 

「やっぱお前えげつないな」

 

「伊達に長生きしてないんでね」

 

"大して年違わねぇだろ…"と小言を漏らす、俺の年を勘違いしているらしい魔理沙。

弾幕勝負だからそう見えるのかもしれないが、これくらいの事が出来なかったらきっと俺はここに居ない。

とっくの昔に死んでるはずだ。

 

「さぁ行こう。霊夢もきっと先に進んでる」

 

「そうだな!」

 

壊れた門を駆け抜け、屋敷の扉へ向かう。

目先には先ほど美鈴が吹き飛んだ事による砂煙が立ち上っておりーーー

 

 

 

ーーそこから虹色の弾幕が向かってきた。

 

 

 

「ちっ、仕留め切れてなかったか」

 

一応弾幕勝負なので、ブレイクシュートで弾を相殺し、目を凝らす。

砂煙りの中に映るシルエットは、手を前に掲げて何かを持っている。

おそらく使うつもりだった二枚目を発動させようとしているのだろう。

 

……………よし。

 

「一つスペルカードにできそうな技を思いついたけど……今は通常弾幕って事でいいかーーーアステロイド」

 

美鈴に向かって走りながら、両手にアステロイドを構築する。

それを何分割かに分け、弾道や効果を分けるそれぞれの能力を付与した。

 

煙が晴れた時には、美鈴がスペルを発動する直前だった。

 

「まだ、終われない…」

 

美鈴はそう呟くと、目の前で気を練り上げていく。

虹色に輝く気は、光の渦を帯びて次第に大きくなっていった。

 

「魔理沙! 先に中に入れ!!」

 

「おうよ!」

 

言うと同時に飛び上がり、構える。

美鈴はもはや俺を倒すことしか目に見えていないのか、通り過ぎる魔理沙に見向きもしなかった。

 

輝きは強まっていき、遂に

ーーー放たれた。

 

 

「星気『星脈地転弾』!!!」

 

「アステロイド・全弾臨界放火(オーバーフルバースト)!!」

 

 

虹色の砲弾と、様々な射種が入り乱れるアステロイドが衝突し、炸裂した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……終わったか。さっさと行くぜ」

 

「ああ……ちょっと待ってくれ」

 

「…?」

 

扉の脇に座らせている美鈴の手を取り、能力を発動する。

傷は癒えても、彼女は気絶はしたままだった。

 

「これでよし。少し手間取ったな。早く行こう」

 

「おう………なぁ、なんで私にやらせなかったんだよ? いいとこ無かったからーって理由なら私でも良かったじゃんか」

 

少々不満気な視線を浴びせてくる魔理沙の肩にポンッと手を乗せ、ニヤッと笑いかける。

 

「お前だと、楽しみ過ぎて長引きそうだったから」

 

「うおいっ! 私を戦闘狂みたいに言うなよ!! 私は至って普通の恋する乙女だぜ!?」

 

「弾幕ごっこする時点で普通じゃないし、弾幕好きには変わりないし、乙女は自分を乙女って言わないし、そもそもお前本当に恋してるのかよ?」

 

「うぐっ……反論の余地がないぜ…」

 

そんな軽口を叩きながらも、俺たちは急ぎ足に歩を進めた。

 

 

 

 

 




アステロイド本格始動。

この後結局、双也はオーバーフルバーストのスペカを作ったそうです。

ではでは。

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