魔法科高校の帰還者   作:テトマト

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今回ちょっと短いです。
次話は長いので許してください。


第20話

九校戦が近づいてきた日の放課後

駅前の見慣れたカフェの奥席に、第一高校の面々が集まっていった。

テーブルの上にはドリンクと軽食。――今日は、九校戦に出場する深雪、マシュ、ほのか、雫の小さなお祝い会だ。

「じゃ、四人の出場を祝って――かんぱーい!」

レオが景気よく音頭を取る。

グラスが軽く触れ合って、乾いた音が弾けた。

「……で」

レオは飲み物を置くと、何でもない顔で言った。

「ところでみんな、何に出るんだ?」

「知らないのに仕切ってたの?」

エリカが呆れた顔で、即ツッコミを入れる。

「細けぇことは気にすんなって!」

レオが笑ってごまかした。

深雪が先に、迷いなく口を開く。

「私は、ミラージ・バットとアイスピラーズ・ブレイクです」

美月が確認するように質問する。

「ミラージ・バットって得点が高い競技ですよね?」

深雪は頷く。言葉は丁寧なのに、自信が揺れない。

「ええそうよ、でもお兄様がCADの調整をしてくださるから、負けないわ」

「へいへい、お熱いことで」

エリカがわざとらしく手で顔をあおぐ仕草をする。

達也は否定も肯定もせず、いつも通り静かにコップを置いただけだった。

続いて、マシュが背筋を伸ばす。

「私は、クラウド・ボールとバトルボードに出場します」

「俺も応援に行くから頑張って。マシュなら勝てる!」

藤丸が言うと、

「はい、先輩。マシュ・キリエライト、全力で戦ってきます!」

マシュははっきり返して、表情を明るくした。

「……こっちもこっちで熱いわね」

エリカが小声でぼやく。

ほのかが、控えめに手を挙げるみたいに言った。

「私もバトルボードに出場するので……マシュさんと当たるかもしれません」

「はい。その時は全力でお相手します!」

マシュが即答する。

「わ、私も負けるつもりないから!」

ほのかもつられて、声が少し大きくなる。

二人の間に、火花というより“青春の火”が散った。

雫は淡々と告げる。

「私は、スピード・シューティングとアイスピラーズ・ブレイクに出場する」

「じゃあ雫も、深雪と当たるのか?」

レオがポテトをつまみながら聞く。

達也が、合理的に補足した。

「組み合わせ次第だ。運営は同じ学校同士が当たりにくいよう調整するが、進行上、そうなる可能性はゼロじゃない。……その場合、棄権で回避する選択肢もある」

「でも」

雫が、いつもより少しだけ熱を含んだ声で言う。

「私は深雪と戦ってみたい」

深雪が、すぐに返す。

「私も望むところよ」

レオが満足そうに頷いて、グラスをもう一度掲げた。

「よし! じゃあ改めて! 出るやつは勝ってこい! みんなで頑張ろう!」

「「「おー!」」」

声が揃って、グラスの音がもう一度響いた。

 

 

お祝い会が終わり、藤丸は自室に戻って寝る支度をしていた。

髪を乾かし、制服を畳み、ベッド脇のランプだけを点ける。

――そのとき、端末が震えた。

画面には「エリカ」の表示が出ている。

(こんな時間に?)

首をかしげながら通話を取った。

「もしもし、藤丸?」

「どうした、こんな時間に」

一拍置いて、エリカの声が妙に小さくなる。

「今、近くにマシュはいる?」

「……? いないけど」

意図が読めず、藤丸は困惑しながら答えた。

「なら良かった」

エリカの声が、子どもが悪だくみを思いついた時みたいに弾む。

「ねえ、ちょっとサプライズしない?」

 

 

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