モルガン出したけど観戦シーンとか会話を入れるの難しかったので霊体化しています。
多分初日に「子供の戯れですね」とかノンデリ発言して藤丸から出禁くらってます。
二日目も順調に過ぎた。
だが三日目、事件が起きた。
バトルボード競技中。七高の選手の魔法が暴発し、制御を失った光がコースを逸れた。
それを渡辺先輩――摩利が身を挺して受け止めた。
結果、大怪我。
「達也、どうだった?」
藤丸は、医務室へ摩利の様子を見に行っていた達也に声をかけた。
達也は廊下を歩きながら、淡々と答える。
「肋骨が折れている。だが命に関わる状態ではない」
「……そっか」
「ただし、これ以上競技に出るのは難しいだろう」
藤丸は胸の奥に溜まっていた息を、ようやく吐き出した。
怪我は怪我だ。だが、重症ではない――それだけで少しほっとする。
「……今回の事故は、ただの事故じゃないと思っている」
達也の声が、わずかに低くなる。
「誰かの工作ってこと?」
「ああ。幹比古にも確認した。古式魔法の可能性が高い」
達也は視線を藤丸へ向ける。
「お前の方でも、分かったことがあったら言ってくれ」
「うん……こういうの、モルガンの方が詳しいだろうし。モルガンにも聞いておくよ」
その言葉に、達也は一瞬だけ表情を硬くした。
苦いものを噛んだような顔――それ以上は何も言わず、黙る。
「……?」
藤丸はその反応の理由が分からないまま、達也と別れ部屋へと戻った。
部屋に戻った藤丸は、ソファにいるモルガンへ声をかけた。
「あれって……事故?」
モルガンは霊体化を解き、当然のようにソファへ腰を下ろしてから答えた。
「ただの事故です」
あまりにも平然とした声だった。
「……本当?」
藤丸は疑うように目を細める。
「はい。――ただの事故です」
同じ言葉を、同じ温度で繰り返す。
藤丸はしばらくモルガンを見つめ、それから諦めたように息を吐く。
(モルガンが理由もなく嘘をつくことはないし、なら、言えないか言いたくない理由があるのかな?)
追及するのはやめた。
「分かった。……何か分かったら、教えてもらえる?」
「分かりました。もし“分かれば”教えます」
その言い方に、教えるつもりがないだろうと藤丸はもう一度、小さく息を吐いた。
――そして、九校戦四日目。
観客席には、いつもの顔ぶれが揃っていた。
達也、深雪、ほのか、雫、エリカ、レオ。
ただ一人――今日は、マシュの姿がない。
「今日から新人戦が始まりますね」
深雪が、少し楽しそうに言う。
「マシュさんが、どんな戦い方をするのか……楽しみです」
「ああ」
達也が頷き、競技場を見据えたまま続ける。
「障壁魔法が得意だとは聞いているが、クラウド・ボールは最大で九個までボールが出る競技だ。
それを障壁魔法でどう捌くのか……興味はあるな」
その言葉に、エリカがちらりと藤丸を見る。
「ねえ、藤丸。あんたは知ってるんでしょ?」
「まあね」
藤丸は肩をすくめ、少しだけ得意げに笑った。
「でも、ここで言ったらつまらないでしょ?
始まってからのお楽しみだよ」
「はいはい、もったいぶるわねぇ」
エリカが呆れたように言うが、視線はすでに競技場へ戻っている。
――やがて、場内アナウンスが響いた。
『これより、新人戦・クラウドボール競技を開始します』
ざわめいていた観客席が、一段静まる。
選手入場口から、マシュと対戦相手が姿を現した。
マシュが手にしているのは、競技用に調整されたラケット型CAD。
その表情は落ち着いていて、迷いがない。
二人が所定の位置に立ち、審判が確認を終える。
――次の瞬間。
開始を告げる合図が、乾いた音とともに鳴り響いた。
今、試合が始まった。
「はぁぁぁっ!」
マシュが声を上げ、ラケットを振り抜く。
放たれたボールは鋭く弧を描き、相手選手のコートへと叩き込まれた。
それを見ながら、達也が静かに感心したように呟く。
「……障壁魔法の使い方が上手いな。
ボールの軌道を正確に予測して、来る場所にだけ最小限の障壁を張っている。
そのまま、無駄なく打ち返している」
「でしょ?」
藤丸が、少し自慢げに言う。
「マシュの守りは鉄壁だからね。
ああいう“守る戦い方”が、一番強くなるんだ」
だが、達也はまだ視線を外さない。
「……だが、あの動きは何だ?
自分自身にも加速系の魔法をかけているのか?
障壁魔法を維持しながら、同時に自己強化を行うのは、相当な難易度だと思うが……」
その問いに答えるように、マシュは魔法で打ち込まれたボールへ一気に追いつき、
さらに踏み込み――強烈なスマッシュで打ち返した。
藤丸は、あっさりと言った。
「いや。あれ、魔法じゃないよ」
「……は?」
達也が一瞬だけ言葉を詰まらせる。
「マシュの、純粋な身体能力」
「えぇっ!?
ちょっと待って、今の魔法使ってないの!?
あれ、ほとんど人外みたいな動きなんだけど!?」
エリカが思わず身を乗り出して叫ぶ。
「どうやってんのよ、あれ!」
「簡単だよ」
藤丸は胸を張る。
「俺の後輩は、最強だから」
「説明になってないわよ!」
即座にツッコミが飛ぶが、藤丸は気にしない。
達也は改めて、冷静に状況を分析する。
「堅実だが、非常に有効な戦い方だな。
相手は、自分に飛んできたボールを処理するので精一杯だ。
攻めに転じる余裕がない」
「まさに――」
レオが腕を組み、満足そうに頷いた。
「守りは最大の攻撃、ってやつだな」
その言葉通りだった。
マシュは、相手の放つボールを障壁魔法で確実に捌き、
隙を見てはラケットで鋭いスマッシュを決めていく。
点差は、少しずつ、しかし確実に開いていき――
やがて、その差は誰の目にも明らかになった。
最終的に、マシュは大差をつけて勝利を収めた。
二回戦が始まり、観戦を続ける中で、エリカがぽつりとこぼした。
「確かに強いけど……絵的にちょっとつまらないわね」
試合展開は一回戦とほとんど変わらない。
飛んでくるボールに合わせて的確に障壁魔法を展開し、ラケットで確実に打ち返す。
無駄がなく、危なげもない。
「まあな」
達也が淡々と返す。
「派手な魔法や奇策を使っていない。競技としては堅実だが、観る側には地味に映るのも仕方ないだろう」
結局、二回戦も同じ流れのまま進み――
マシュの勝利で幕を閉じた。
そして三回戦。決勝戦。
さすがに相手選手も粘りを見せ、試合は白熱した。
攻防のテンポも速く、ボールの威力も増していく。
だが、途中から相手の動きが目に見えて鈍り始める。
「……落ちてきたな」
達也が状況を見て、静かに言う。
「クラウド・ボールは、一日で決勝まで行う過酷な競技だ。
ペース配分を誤るか、体力が足りなければ――最後まで持たない。」
「体力、ねぇ」
達也の言葉を受けて、エリカがマシュを見ながら続ける。
「あれだけ動いてたのに、まだ余裕ありそうなのがすごいわよね」
マシュは汗をかき、息も少し荒くなっている。
だが、その表情に焦りはない。まだ戦える――そう言わんばかりだ。
「言ったでしょ。マシュなら勝てるって」
藤丸がそう言った直後だった。
相手選手がついに崩れ落ち、コートに膝をつく。
審判が駆け寄り、様子を確認してから、はっきりと宣言した。
「――試合続行不可能!」
その宣告と同時に、マシュの勝利が告げられた。
会場から、大きな歓声が沸き上がる。
昼休憩になり、藤丸は選手控え室の外で立っていた。
関係者以外は立ち入り禁止。仕方なく、入口付近で人の流れを眺めながら待つ。
やがて――
控え室の扉が開き、マシュが姿を現した。
藤丸はすぐに声をかける。
「お疲れ様、マシュ。優勝おめでとう……かっこよかったよ」
その言葉に、マシュは一瞬きょとんとしてから、頬を赤らめた。
「……ありがとうございます、先輩」
小さく頭を下げる仕草が、どこか照れくさそうだ。
「マシュの魔法も、ずいぶん上達したね。
まだ魔法を習い始めて間もないのに……俺なんて、初歩的な魔法でもまだまだなのにさ」
「いえ……私も、まだまだです」
マシュはそう言って、自分の手を見つめた。
「私はもう、シールダーの力を失っています。
あの頃と比べれば……まだ、足りていません。
もっと魔法を使いこなせるようにならないと」
その横顔は、少しだけ陰っている。
藤丸は、その様子を見てから、穏やかに声をかけた。
「マシュ。もう、そんな“大きな力”はいらないと思うよ」
マシュが顔を上げる。
「この時代は……平和、とは言い切れないけど。
それでも、俺たちが命を賭けて戦う必要は、もうない」
「……だからさ」
マシュは静かに首を振った。
「そうかもしれません。
でも、いざという時に先輩を守れなかったら……私は、きっと後悔します」
そして、はっきりと言葉を重ねる。
「それに――私にとって、先輩のファーストサーヴァントであり、“盾”であることは誇りです。
この生き方は……変えたくありません」
まっすぐな視線。
迷いのない瞳。
藤丸はその目を受け止めて、ふっと微笑んだ。
「そっか」
そう言って、そっと手を差し出す。
「……分かった。
じゃあ、これからもよろしく。俺のシールダー」
マシュの表情が、ぱっと明るくなる。
「はい。こちらこそ、これからもよろしくお願いします……私のマスター」
マシュはその手を取り、ぎゅっと握った。
二人の手は、自然に重なったまま、しばらく離れなかった。
マシュの魔法は適正自体は深雪に次ぐレベルで高いですが学ぶ期間が短かった為、一高の中で上の中ぐらいの成績です。
デザイナーベビーと調整体って似てるよね
書いた後にクラウドボールとアイスピラーズブレイクの時間が被っていることに気付きました。達也がいなくなってしまう為、競技の時間とかをズラしています。