魔法科高校の帰還者   作:テトマト

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第27話

午後のミラージ・バットでほのかが優勝した後、藤丸は達也に呼ばれ、指定された部屋へ向かった。

部屋にはすでに幹比古の姿がある。どうやら彼も達也に呼ばれたらしい。

さらにエリカ、レオ、深雪、マシュ――いつもの顔ぶれも揃っていた。

全員が集まったのを確認してから、達也が入ってくる。

無駄な前置きはない。入室するなり、本題へ直行した。

その内容に、幹比古が目を見開いた。

「……本気で言ってるのかい、達也?」

達也が持ち出したのは、モノリスコードに出場できなくなった選手の代理として、この三人で出場しないかという打診だった。

「本気だ。この三人なら、最も勝率が高いと思っている」

即答だった。

「えーっと……」

藤丸が申し訳なさそうに手を挙げる。

「達也。俺が十文字会頭の時に使った“あの魔法”は、さすがに反則になるよ?」

「分かっている」

達也は即座に否定した。

「モノリスコードは“魔法のみ”という制約があるが、実戦形式の競技だ。

 お前の冷静な判断力と状況対応能力は、モノリスコードで大きな武器になる」

……が、藤丸と幹比古は顔を見合わせ、同時に唸る。

「「うーん……」」

その様子を見て、エリカとマシュがすかさず背中を押した。

「いいじゃない。達也くんがそこまで言ってるんだから、出なさいよ。

 それに、絶対面白そうだし」

「先輩も出ましょう!

 先輩が参加すれば、優勝間違いありません!」

勢いのある二人に押され、藤丸と幹比古は苦笑しながら頷いた。

「……分かったよ、達也。どこまで力になれるか分からないけど、やってみる」

「うん。俺も全力でやるよ」

了承を得ると、達也はすぐに切り替える。

「よし。では、まず大まかな作戦とポジションを決める」

達也は幹比古に視線を向け、次いで藤丸を見る。

「幹比古の魔法については把握している。

 だが――藤丸。お前の魔法について、俺はほとんど知らない。九校戦で使える魔法は、どんなものがある?」

「うーん……」

藤丸は少し考えてから立ち上がった。

「説明するより、見た方が早いと思う。ちょっと外に出ようか」

そう言って、藤丸は達也と幹比古を促し、部屋を後にした。

 

 

藤丸は一度、達也たちと別れ、自分の部屋へ戻った。

必要な道具を取ってから、演習場へ向かう。

合流した藤丸が持ってきたのは、指輪と呪符だった。

「……古式魔法の補助具だな」

それを見て、達也が小さく呟く。

「うん。今から使うのは古式魔法だからね」

藤丸は指輪を嵌め、右手で銃の形を作る。

視線の先には、訓練用の人形。

「ガンド」

次の瞬間、人差し指の先から黒い塊が撃ち出された。

一直線に飛び、人形の胴体に命中する。

「ガンドか……」

幹比古が目を細めて解説する。

「確か、西洋ではかなり有名な古式魔法だね。

 古式魔法の中では発動が速くて、現代魔法に近い性質を持つって言われてる」

「……だが」

達也が続ける。

「威力が低いな。

 当たれば集中を乱すことはできるが、意識を奪うほどではない」

「まあね」

藤丸は苦笑いした。

「威力が弱いのは、単純に俺の才能が足りないってのもあるんだけどね

あと、人に当たると軽いデバフ効果がある。

 ちょっと体が重くなったり、調子が悪くなったりする程度だけど」

「なるほど……妨害用か」

「じゃあ、次いくよ」

藤丸は今度は呪符を取り出す。

深く息を整え、集中する。

一分程すると呪符の文字が熱を帯び、いきなり火が走った。

燃えた呪符が赤い槍に変わる。

「——クーフーリン」

名を口にした瞬間、槍の重みが“現実”になった。

視界が研ぎ澄まされ、体が軽くなる。

 

「……!」

幹比古が息を呑む。

藤丸は槍を握り締め、突き出した。

轟音。

訓練用人形が、跡形もなく吹き飛ぶ。

「……すごい威力だ」

幹比古が率直に言う。

「見たところ、身体能力も上がっているのかい?」

「うん。これは“霊基投影”っていう古式魔法」

藤丸は槍を握ったまま肩をすくめる。

「召喚した武器によって、身体能力が上がったり特殊なスキルが使える感じ」

その一方で、達也は黙ったまま槍を観察していた。

どこまで踏み込んでいいか、測っている様子だ。

それに気づいた藤丸が声をかける。

「達也。気になることがあったら、別に聞いていいよ」

「……分かった」

少し間を置いてから、達也が問いかける。

「以前使っていた魔法はCADを使っていたな。あれとは別物か?」

「うん。というか――」

藤丸はあっさり答える。

「あれは偽装用の魔法だよ。魔法自体には、何の効果もない」

「……は?」

思わず、達也の口から声が漏れた。

藤丸は悪びれもせず続ける。

「ハベトロットみたいに霊体化してるのを、“魔法で呼び出した風”に見せてるだけで魔法そのものには効果がないんだ」

あまりに率直な暴露に、達也は一瞬言葉を失う。

「……いいのか? そんな話をして」

「うん?」

藤丸は不思議そうに首を傾げる。

「確かに秘密だけど、友達に教えるくらいなら全然いいよ。達也は信頼できるしね」

その当たり前の言い方に、達也は顔を覆い、大きくため息を吐いた。

「……はぁ。そうだな。お前はそういう奴だったな」

「だ、大丈夫?」

珍しい達也の反応に、藤丸は目を丸くする。

「問題ない。……聞きたいことは他にもあるが、とりあえず今はモノリスコードだ」

達也は気持ちを切り替え、視線を槍へ戻す。

「この武装は、どれくらい維持できる?」

「ずっとは無理。でも、一度召喚すれば維持自体はそこまで難しくない」

藤丸は正直に答える。

「ただ、戦闘すると結構疲れる。連戦はキツいかな

 それに、強力な武器ほど消耗も大きい」

達也が続けて問う。

「……他には、どんな“武装”を呼べる?」

「剣とか弓とかそれ以外にも、気配を隠す仮面とか、杖みたいに“魔法っぽい現象”を起こせるのもあるよ」

「かなり多彩だな……」

達也は感心した様子で、さらに踏み込む。

「正確には、どれくらいの種類を呼べる?」

「えーっと……」

藤丸は少し考えてから答えた。

「これは、俺と“契約したことがある相手”の力を借りる魔法なんだ。

 だから契約した相手なら出せる。数で言うと……ざっと三百人くらい?」

「……は?」

幹比古の声が裏返った。

「それ、一つの魔法で実質三百通りの手札があるってことじゃないか!?」

「いやいや」

藤丸は慌てて手を振る。

「基本、一度に呼べるのは一つだけだし

 それに元の武器と比べたら、性能はかなり落ちてる。借りられるのは“欠片”だよ」

「……元になった本人は、どれだけ化け物なんだよ」

幹比古は完全に引いている。

そこで達也が、話を整理するように口を挟んだ。

「とりあえず、役割を決めよう」

三人を見渡し、淡々と続ける。

「藤丸は遊撃。状況に応じて支援と攪乱を担当してもらう。

 俺はオフェンス。幹比古はディフェンスだ。モノリスの防衛を頼む」

一拍置いて、確認する。

「異論はあるか?」

「僕は問題ないよ」

幹比古が頷く。

「俺もそれでいいと思う」

藤丸も同意した。

三人の役割が、静かに定まった。

 

 




藤丸も神秘の影響でシャドウサーヴァント等の魔術を使用できなくなっています。
藤丸単独での自衛手段としてこの古式魔法をカルデアが開発しました。

ぶっちゃけモノリスコードに藤丸を出したかったので作りました。
モノリスコード終わったら出番ないです。
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