魔法科高校の帰還者   作:テトマト

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九校戦編終わったら更新をやめます。詳しくは活動報告をご覧下さい。


第31話

「……どこから説明しようかな」

部屋に腰を落ち着けた藤丸は、少し困ったように視線を彷徨わせてから口を開いた。

「まずは――サーヴァントから、かな」

「サーヴァント?」

幹比古が首を傾げる。

達也と深雪も、聞き慣れない単語に静かに藤丸を見た。

「うん」

藤丸は頷き、言葉を選びながら続ける。

「サーヴァントっていうのは、過去の英雄や偉人を召喚した存在だ。あんまりこの言い方は好きじゃないけど俺と契約している"使い魔"だね」

「じゃあ、ハベトロットさんも英雄なんですか?」

深雪が控えめに問いかける。

「ハベにゃんは、スコットランドに伝わる糸紡ぎの妖精だね。

 あと……モルガンもサーヴァントだよアーサー王伝説に出てくる魔女モルガン」

「普段は“霊体化”っていう状態で透明になって、俺のそばにいてもらってる」

「それが、あの偽装魔法の正体か……今もいるのか?」

「うん。ハベにゃん、出てきて」

「はいよー。改めて、糸紡ぎの妖精ハベトロットだよー」

藤丸の声に応じて、ハベトロットが姿を現す。

「……確かに」

達也は静かに頷いた。

「こんな存在がいると知られたら、大騒ぎになる。

 だからこその偽装魔法、というわけか」

「僕の知っている妖精とは、かなり違うね」

幹比古が興味深そうに言う。

「妖精って、実体を持たない存在だと思ってた」

「そうですね」

マシュが、膝の上のハベトロットを撫でながら説明する。

「妖精は今と昔では在り方が変わっていると聞いています。それにサーヴァントは人々のイメージによって姿や性質が左右されることがあります」

「で、俺の古式魔法は」

藤丸が話を戻す。

「そういうサーヴァントたちの力の一部だけを借りる魔法なんだ。

 本人を呼び出してるわけじゃないし、能力もかなり弱体化してる」

「それでも、破格の性能だった」

幹比古が正直に言う。

「……もしかして、精霊とも契約してるのかい?」

「うーん?……確かアーキタイプ・アースって、精霊だよね?」

藤丸は少し自信なさげにマシュを見る。

「はい。真祖の姫で、種族的には精霊の上位存在です。

 精霊から見れば、王族にあたります」

「せ、精霊にそんな存在が!そんな存在聞いた事ないよ!」

幹比古の声が震える。

「じゃ、じゃあ……竜神様とかも?」

「竜神は聞いたことないかな」

幹比古が少し安堵した、その直後。

「でも、神様はいるよ竜もメリュジーヌっていう原初の竜とか、

 あ!一番近いのは伊吹童子かな?」

「……」

「幹比古?」

反応がない。

「し、死んでる!?」

「い、いえ……気絶しているだけです」

マシュが困ったように補足する。

「ショックが多すぎたみたいですね」

 

 

「藤丸、もう一つ聞きたい」

達也が静かに切り出す。

「――カルデアとは、何だ?」

「お兄様!?」

率直に聞く達也らしからぬ行動に深雪が驚く。

藤丸も目を見開いた。

「……どこで聞いたの?」

「俺の師匠だ。

 『広めるわけにはいかない』と詳しくは教えてもらえなかった。」

「……そっか」

藤丸は少し考えてから、頷いた。

「全部は無理だけど、話せる範囲なら」

「正式名称は、人理継続保障機関ノウム・カルデア。

 人類の過去と未来を観測して、人類が滅びないよう原因を解決する組織だ」

「人類……!」

達也が思わず息を呑む。

「人類が滅びる、なんて……」

深雪も顔色を変える。

「あー、今はもう大丈夫かな」

藤丸はあっさり言った。

「前は“特異点”っていう歴史の歪みが頻繁にあったけど、今はその原因も解決したし。

 人類の危機も……たまにしか起きないから」

「いや、たまに起きてたら十分大問題だろ」

達也が即座に突っ込む。

「あ、あの……」

「もし、世界の脅威になる人が現れたら……藤丸さんたちはどうするんですか?」

深雪は達也をチラリと見て藤丸と達也が敵対するかもしれない未来を想像して不安そうに手を握りしめる。

 

「まずは話し合いだね」

「……話し合い、ですか?」

拍子抜けしたように深雪が聞き返す。

「うん。相手も人だからまずは話し合い。

 それでも世界を滅ぼそうとするなら……その時は考える」

藤丸は、当たり前のことのように言った。

「……ありがとうございます」 

深雪は、胸を撫で下ろすように頭を下げた。

「え? どうしてお礼?」

「いえ……藤丸さんが、ちゃんと“人”として向き合う方だと分かって……」

藤丸は少し驚いた顔で深雪をみて当たり前と話すように続けた。

「人なんだから、まず話すのは普通でしょ?それでダメだったらまた、考えればいいしさ」

その言葉に、達也は一瞬だけ視線を伏せた。

少し間を置いて、藤丸は姿勢を正す。

「達也、深雪さん」

二人を見る。

「俺は、二人が何を隠してるか知らないし、詮索もしない。

 でも、友達だと思ってる」

「困ってたら力を貸すし、相談にも乗る。

 達也が何者かは知らないけど……達也は達也だ」

「だから、その時は――友達として力を貸すよ」

そう言って微笑む藤丸に、達也も静かに笑った。

「ああ……ありがとう、藤丸」

 

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