魔法科高校の帰還者   作:テトマト

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第4話

改札を抜けて、家までの道を歩く。

藤丸とマシュは二人でなんて事ない会話をしながら家に帰る。

「ただいま」

鍵を開けて玄関をくぐると、マシュが背筋を伸ばして続く。

「ただいまです、先輩」

二人分の靴が並ぶ。

「今日は……疲れた?」

藤丸が少し優しい声音で聞く。

「いえ、とても楽しかったですから」

マシュは迷いなく答えた。

「そっか。良かった」

その瞬間。

「マスター!」

霊体化を解いたメリュジーヌが現界し、勢いのまま藤丸に抱きついてくる。

「メリュジーヌ、さっきはありがとう」

「うん。でも……うざかったから、吹き飛ばしたかったなぁ」

「メリュジーヌにしては、よく我慢が出来ていた」

現界しながらランスロットが感心したように言う。

「それ、バカにしてる?」

「褒めている」

「嘘くさ……」

藤丸は二人の温度差に苦笑しつつ、リビングへ歩いた。

壁際のモニターが控えめに待機している。スイッチを入れると、画面が柔らかく灯った。

「おかえり、藤丸くん」

最初に映ったのはレオナルド・ダ・ヴィンチ。隣にオルガマリー所長がいて、何か言いたそうに口をパクパクと開いたり閉じたりしている。

――所長が言葉を探している間に、ダヴィンチが先に口を開いた。

「どうだった? 入学初日。楽しかった?」

「うん。楽しかったよ」

藤丸は即答してから、少し照れて付け足す。

「いろいろあったけど」

「そっか。……じゃあ、その“いろいろ”を聞かせてくれる?」

「もちろん」

藤丸は今日の出来事をざっくり話す。入学式の事、学校見学の事、揉め事が起きて、達也が割って入り、騒ぎが収まったこと。

帰りに少しだけ話せたこと。

「私もお友達ができました!」

マシュが嬉しそうに言う。

オルガマリー所長が、ようやく安心したように笑った。

「それは……良かったわね、マシュ。……藤丸も」

言い切ってから、照れ隠しみたいに咳払いする。

「所長として言っておくわ。無理はしないこと。ちゃんと休むこと。いいわね?」

「はい。分かりました、オルガマリー所長」

マシュがきちんと返事をする。

藤丸が横で小さく微笑んでいると、所長は少しだけむっとした顔をして、すぐに目を逸らした。

ダヴィンチが画面越しに手を振る。

「ランスロットもメリュジーヌも、お疲れ様」

「マスターと一緒にいられると思って護衛に入ったのに、全然触れ合えないし……学校、壊した方がいい?」

「ダメだからね」

藤丸が笑って止める。

メリュジーヌは頬を膨らませるだけで、いったん引き下がった。

その横でランスロットが――少しだけ間を置いて、また余計な一言を落とす。

「…………マシュの制服姿も」

「言わなくていいです」

マシュが即座に切って、藤丸は思わず吹きそうになる。

ダヴィンチが軽く手を叩いた。

「よし。今日は疲れてるだろうし、“報告会”はおしまい」

オルガマリー所長が続ける。

「夕飯、食べて。歯磨きをして、お風呂にも入りなさいよ。それから――」

「お母さんみたい」

藤丸が言うと、所長はムッとした顔をする。

「……うるさいわね」

マシュがエプロンを手に取る。

「先輩、夕食の準備をします。今日は――簡単なもので」

「ありがとう。手伝うよ」

「はい。では、野菜を洗ってください」

藤丸はキッチンへ向かいながら、画面の二人にもう一度だけ言った。

「……ありがと。見守ってくれて」

ダヴィンチは少しだけ目を細めて笑う。

「どういたしまして。明日も“ただいま”を待ってるよ」

モニターが消える。

部屋に残ったのは、鍋の音と、包丁がまな板を叩く音。

それと――少し離れて立ち、黙って見守る二騎の気配。

二人の新しい日常は、始まったばかりだった。

 

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