夢現世界の災凶姫~Disastress in the Parasomnias~ 作:サッドライプ
メインクエストというか主人公の立ち位置を定めるのにここまで20話以上。
この連載ちゃんと終わるのかこれ…?
「それで、結局どうなの?」
ダンジョン壊しちゃってごめんなさいの会、IN
ふかふかのソファが低めのテーブルを囲んでる部屋で、エルザ、俺、プリナちゃん(ステルス)と向かい合う形でギルド長が座り、後ろの簡易イスにこないだのキョドり受付嬢が控えている。ラッキーと言っていいのか、そんなに緊張感のある空気にはなってなかった。
や、実際もうちょっとバチギレされるかと思ったけど、おにちくメガネギルド長も見た目と違ってそこまで厳しく追及してこなかったんでよかったよかった。流石に怒った顔はしてたけど、あれくらいならSNSで炎上してフルボッコされた方が精神ダメージはでかそう。SNSやってないしもうできないけど。
そんがいばいしょー、とかそんなこと言われる気配もない。なんかエルザがフォロー入れてくれたっぽいのかな。話の流れが分からないけど、そこまで大変なことにはならなそう。
「
ダンジョン内でPOPするモンスターの増殖を放置していると、ダンジョンの外まであふれ出す。お約束のスタンピードってやつはこの世界にもあるらしい。
だから冒険者がダンジョンに潜るのは自分の利益のためだけじゃなくて、定期的にモンスターの数を減らしてこの街を守る社会奉仕でもある―――ってのはエルザから教わった。
「じゃあ、あの不人気狩場がなくなるのは……」
「ギルドにとっては痛手という程ではなく、この都市にとってはプラスとも言える。
特に飛行型の
「なるほどー。じゃあいいことしたんだな、俺」
「ね?だから素直に報告しましょうって言ったんですよ、ミュートさん」
「ただしっ!」
「おうっ!?」
おとがめなし、ちゃんちゃんで終わりかけたと思ったところをひっくり返される。フェイント入れないで欲しいなーもう。
「
「うん。………うん?」
「下級ランクの
「それは違う……んだけど」
後半だけならぐうとも言えない正論だったんだけど、まず先に「俺の取り分が減るだろうが」みたいなこと言われたせいでモヤる。
でもこのおにちくメガネ、「何かおかしなこと言ったか」的な無表情のままなんでどうツッコんでいいか分からない。おかしいの俺のほうなのかこれ?
「そこで提案がある。カスミ・ユウト、聞くにわざわざ下位の
つまり成長や遺宝が目的ではないということでいいな?」
「クール?まあそんな感じ、なのかな…?」
「そして今回Dランクのエルギノーザを助ける為に戦った。つまり少なくとも自分が危険にならない範囲でなら、足手まといを庇うことにそこまで抵抗は覚えない気質だと」
「……どうなんだろ」
「ザコは死ね!」なんて悪役みたいな感性はしてないし、目の前で死にそうになってるやつがいて、そんな手間でもないなら助けるとは思うけど。エルザを助けたのはうちでお世話してくれる働き者のお手伝いさんだからなんていうか別だし。
自己分析とか超苦手なことやってる間ギルド長はちょっと待っててくれて、頭がぐるぐるしたあたりで次に進めてくれる。………うん、ちょくちょくひどいこと言ってるけど、案外このおにーさん親切な人な気もする。
「話は一度
「へ?まずくない?」
「ああ、まずい。あるいは『猛鳥の峠』の罠の件のように、
モンスターのAIがいやらしい動きになったみたいな感じ?
ゲームなら「燃えてきた!」ってなるけど、リアルに命かかってたら「やめて!」ってなるなそりゃ。エルザだって今日俺らがいなきゃやられてたかも知れないんだし。
「………こういうことを言うと、元気になる連中も居るがな」
「あ、今こっち見ました!ひどいです、エルザはそんな『予言の年が近いからその前兆なんです、備える為に教会に支援を!』とか言って民衆を煽ったりしません!」
「答え合わせをありがとう」
ところでなんかちょこちょこエルザとギルド長がバチってる感じがするのは気のせいかな。どっちかって言うとギルド長側が警戒してる感じ。でもエルザだぜ?そんな構えるようなところあるかな。
「ともかくだ。暇つぶし感覚で
「救出かぁ…」
「当然、自身の命を懸けろとまで言うつもりはない。その分出来高制での報酬にはなるが」
ダンジョンに潜るのもそりゃ暇つぶしだし、それで誰かの命が助かるって言うんなら嫌がる理由はないんだけど。あと、護衛ミッションなら対象を巻き添えにするダンジョン崩壊級の範囲火力は撃てないだろ、って意味もありそう。
ただ俺はよくても彼女たちはどうなんだろう、と視線を向けてみると。
『…………(こくん)』
「ミュートさんのお好きにどうぞ!エルザはお付き合いしますよっ」
「うん、じゃあやるよ」
「そうか。感謝する」
ヴェールを被ったステルスプリナちゃんは頷く動作で、シスター帽がぴくぴく揺れてるケモ耳エルザはにこにこ笑顔で、俺の好きにやっていいって感じの雰囲気だったから話を受けることにする。
「山岳救助隊じゃなくて迷宮救助隊かー。なんかチーム名欲しくなるな」
「あった方がこちらも手間がない。何か案はあるか」
「いつまでも『ミュートさん一行』っていうのも寂しいですよね。どうしますか、ミュートさんっ」
「え、俺が決めるの?」
そりゃエルザはこの調子だしプリナちゃんはそもそもステルス状態でギルド的にはパーティーに入ってない扱いだから、俺が決めるしかないのか。あんまネーミングセンスに自信ないんだけど。
何かにちなんだり意味を持たせた名前つけるほど教養もないし………そーなるとシンプルでいいか。
「じゃあ『サンダーラット』で」
俺に加護をくれるレジェンド電気ネズミ様に感謝を込めて。
「了解した。Aランク
「よろしく!」
なんかいいなこういうの。プリナちゃん入ってないの仕方ないけどモヤるなとか俺Aランク扱いだったんだとかあるけど、異世界ファンタジーで冒険者パーティー組んだんだって思うとわくわくする。
あと、それ以上に。
「ミュートさんと一緒のパーティー。えへ、えへへ……っ」
元いたパーティーを追放されてからソロぼっちを強制されてたエルザ。ほっぺに両手を当てて、お酒飲んだのかってくらいとろけた笑顔になってるのを見ると。「お前はもう一人じゃないからな…!」って肩を叩きたくなる。やっぱり今までさびしくて心細かったんだろうなあ、俺もそうだったから。
これだけ喜んでくれると、暇つぶし感覚とも言ってられなくて本格的に冒険者パーティー頑張ってみようかなって思うよね。
よし、やるぞー。
次回、ギルド長視点。
ギルドとか聖教会とか、結局社会的にどういう立ち位置なのというお話をば。
頭スカスカでいけるとは……?
>俺に加護をくれるレジェンド電気ネズミ様に感謝を込めて
〇カ様「(え、何それ知らん…怖)」
>やっぱり今までさびしくて心細かったんだろうなあ
純粋にミュートくんと同じパーティーってことに喜んでるだけで、他のことは全くこれっぽっちも気にしてません。好きな人のことしか目に入らない一途な可愛いペットヒロインですね。