夢現世界の災凶姫~Disastress in the Parasomnias~   作:サッドライプ

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 原作に二次創作キャラを出荷しようとするイタいSS書きが居るらしい(活動報告参照)。

 あ、ダークファンタジーいきまーす。




■■化《アラージ》Ⅰ

 

 プリナちゃん可愛い。

 

 それは俺にとって絶対の真理だった。

 もし彼女のことを好きな理由は?と聞かれればいくらでも語れるし、そこに照れやためらいなんて全然生まれない(恥ならあの遺跡で一生分かいた)。

 

 見た目の話ならそれこそ何百日語っても飽きなかったし、俺を気づかってくれる優しい彼女さんで理想のシチュをいくらでも叶えてくれるけなげな彼女さんで、何より俺を好きでいてくれる奇跡な彼女さん。

 もう同棲を始めて3か月とちょっとってところだけど、その間ケンカもしたことないし、「嫌だな」とか失望したってことも一回もない。その分プリナちゃんに我慢させてることとかないかな?って心配になるんだけど、それを聞くたびに嬉しそうにしながら抱き着いたりほっぺに手を当てたりしてスキンシップしてきた。やわらかくて天国。

 

………『無い』とは一回も言わないんで、そんな深刻じゃないけど、あるにはあるってことな感じがしてた。

 

 ともかく俺は不満なんて何一つない。素敵で無敵な世界で一番のお姫様。

 そんなほめるところしかない彼女さんだけど、もしたった一言だけでまとめろと言われたら迷わずこの言葉になるんだ。

 

 プリナちゃん可愛い。

 

 これが究極。見た目ももちろん、優しいところも、けなげなところも、存在が奇跡なところも、『可愛い』の一言に詰めこめる。おかげで今まで「可愛い」を何万回言ったのか分からない。

 なんならあの遺跡で一人こもってた頃、電撃技を撃つ練習とかやってる時に「可愛い!」を掛け声にしてたことさえあった。気合はめちゃくちゃ入るんだけど、よくよく考えるとあの時後ろでプリナちゃんがそれ聞いてたわけで(恥)。

 ほんとよくキモがられなかったよなーそういうところもプリナちゃんマジ天使。好き。可愛い。

 

 そんな大地が震えても竜巻が吹いても揺らがないはずの真理が、ここ最近揺らいでしまっている。

 

 

 プリナちゃんがエロ可愛い。

 

 

 プリナちゃんがひとつだけ溜めてた不満っていうのが、えっちなことだったなんて。

 

 実際俺だって興味ないわけじゃないというかむしろ年相応にエロ坊主だけどさ。親に隠れて見るエロ画像くらいしか知識がないやつが、まともに女の子を抱ける自信とかなくて。

 あとあの遺跡の水晶に封印されて眠ってる女の子の前で、勝手に棒を振って白いのを飛ばす一人野球的な競技をプレイボールし始めたら人間として終わりって意識はあったから、プリナちゃんをエロい目で見るのを避けるのがクセになってたのがデカい。

 

 さすがにいっしょにお風呂とかするとムラムラするけど、半年もそういうことから遠ざかっていたら我慢できないことはない。ましてプリナちゃんに襲いかかって乱暴するなんて真似、俺が俺自身を許せなくなる……と思ってたのに。

 

 

―――『プレゼントはわたし』ですよっ♡

 

 

 裸にリボン巻いてだっこおねだりのポーズ。純度百パーセントで男に都合の良い妄想そのもののシチュをプリナちゃんはやってくれた。

 えっちに腰をくねらせて、濡れた目で上目づかい。ふわふわボイスのささやき声で「見て♡さわって♡」って誘って。それで一撃だった。

 

 ここ最近エルザと密室でやってたのはこれの練習だったんだなってのが一発で分かるクリティカルな破壊力で効果は抜群。気付けば目の前の彼女ともっと強く密着してもっと深く繋がること以外意識から飛んだまま暴走してた。

 

 シミ一つないきれいな肌が赤くなるくらいつかんで、あちこち吸って、感触をしみ込ませるようにしながら衝動を全力でぶつけて。

 痛くないわけなかったろうに、「これは幸せな痛みですから」って。フィクションの中じゃないとあり得ないようなことを言って、本当に幸せそうにしてた。それくらい俺のことを愛してくれてるんだって思うと、色んな感情があふれて胸がいっぱいになった。

 

 で、そこに「あなた様のせいでいやらしい女になっちゃった」なんて言われたらさあ。

 

 「プリナちゃん可愛い」がバグって「プリナちゃんエロ可愛い」になって戻せない。

 サルみたいにサカるってあれ本当なんだな。初めてのコトから寝て起きておはようのチューからエキサイトしてごはん食べて食後の運動して風呂場で汗とその他を流しつつ洗って汚して洗ってまた汚して諦めて軽く流すだけ流したらベッドに直行して本番始めて―――って繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し。たまーに「そろそろやめよう」「もう一回やったら今度こそ終わろう」、って一瞬正気に戻るけど、お約束のとおり欲望に負けるだけ。

 なごり惜しそうに見つめられたり抱き着かれたり、あと純粋に楽しそうに男の夢であるところの“おそうじ”とかされたらブレーキが簡単に吹っ飛んでレース再開しちゃう。

 

 時間感覚ないけど窓が明るいのと暗いのが4回くらいは切り換わったのはほんの少し記憶にあるから、100時間以上連続プレイしちゃってた訳で。

 なんとか切り上げて人間らしさを取り戻した後、俺が最初に実行したのは――――エルザへの土下座だった。

 

 

「みっともないところをお見せしました。全力で反省してます」

 

 

 汚したところの掃除、替えのシーツやタオルの洗濯、毎日3食ごはん買い出しして料理。

 ただ頭パーになっていちゃついてるだけの二人を面倒見るのがどれだけ虚しい作業か。俺が逆の立場だったら絶対キレ散らかす。なのにきっちり家のこと全部片づけ続けてくれたエルザには申し訳なさ過ぎてこれから先一生頭が上がらない。

 

 だけどエルザは。愛すべき我が家のもう一人の家族は。

 

「わぅっ。じゃあいいこいいこってなでて、ほめてください!」

 

 いつもどおりににぱーって笑って頭を差し出してくるだけだった。

 リクエスト通りになでなではするけど、本当にこれでいいのかって思ったのは一瞬で伝わったみたいで。

 

「だってミュートさんが最高に幸せそうだったので。

 エルザもそれだけで最高に幸せです。十分すぎるくらい、ごほーびはもらってます!

―――あ、そうだ。改めておめでとうございます、ミュートさん!!」

「~~っ、エルザぁっ!!」

「わふーっ♪♪」

 

 けなげなこと言って、しかも祝福までしてくれたわんこを思わず抱きしめて今までで一番のわしゃわしゃ。するとしっぽはゴキゲンにぱたぱた。

 

 なんでここまで俺になついて尽くしてくれるかはよく分からないけど、こんなけなげなわんこに裏があるなんて絶対思えないし。

 プリナちゃんもそうだけど、エルザのことも大事にしなきゃって改めて思った。

 

 

 

 

 そんな感じで、次の日の朝何日かぶりのギルドに顔を出すと。

 

「―――ッ!!?」

「いやいやいや。なんでそんなユーレイでも見たような顔すんのさクロケおねーさん」

「あははーなんでもー。現実はそんな甘くないっていうか油断した頃に刺してくるんだなーってちょっと再確認してただけー」

 

 いつもの黒髪ギャル風受付嬢さんが、ホラー映画の退場シーンって言われても信じるようなすごい顔を一瞬してた。恐怖と絶望と諦めと現実逃避を足して4かける、みたいな。

 変な夢でも見たのかな?………なんてすっとぼけはともかく、そこまで恐いのか俺?

 

「ちょうど救助依頼が今日は出てるわ。もしかして予感してた?」

「ん-ん。でもそういうことなら、いつもどおり迷宮救助隊『サンダーラット』、行ってくるわ」

 

 なんだかジャストタイミングだった。一日復帰が遅れてたら微妙に後味悪いなーってなってた感じ。

 

 で、そこから先は本当にいつもどおりの話だった。

 昨日行ったっきり帰ってこない冒険者を助けにそのダンジョンに向かって、エルザレーダーで探して生きてたら連れ戻す。

 

「生きてるかー、おーい?」

「………」

 

 いつもと違うのは、その冒険者がソロだったこと。しかも中学生かな?くらいの年下だったこと。まあ背が低いんで、重さはともかく担いで運びやすいのは助けるのに都合が良かったけど。

 なんか冒険者には珍しく覇気のないぼーっとした奴で、クロケおねーさんの救助料金で全財産の半分取られる説明の時も全然反応がない。死にかける目にあって呆然としてるとかそんなんじゃなくて、単純に反応が薄い系。大丈夫かこいつ。

 

 そんで、いつもと一番違うことがあったのは。

 

「ってあれ?あなたのギルド口座、全然残高がないんだけど?」

 

 

「……ぜんぶ、おとうさん達に渡すことになってるから」

 

 

 おっと、なんか闇の気配がしてきたぞ?

 

 

 





 ダークファンタジー(家庭板)

>「嫌だな」とか失望したってことも一回もない
 プリナちゃん視点、「理想通りに可愛くふるまってあげたらその分だけ純粋になついてくれる彼氏くん」って考えた場合、沼ってるのはやっぱり……。

>今まで「可愛い」を何万回言ったのか
「聞きたいですか?昨日までの時点で99822回です」
 プリナちゃんのことなのでガチに数えている可能性はあるという。

>「可愛い!」を掛け声にしてた
 普通にキモい奇行だけど、全てに裏切られて人間不信で千年ひとりぼっちで閉じ込められてたお姫様にとっては癒しでしかなかったんだ。
 なお素振りよろしく掛け声と一緒に放つ電気ショックは可愛くない威力の模様。

>こんなけなげなわんこに裏があるなんて絶対思えない
 そうだといいねー。

>「現実はそんな甘くないっていうか油断した頃に刺してくる」
 災害級電気ネズミが急なお休みで相手せずにいられた安息の数日間。これはもしかして解放された……?とほのかに期待してたところにぬっと顔を出す変な夢っていうか悪夢。
 上げて落とすのは基本ですね!


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