夢現世界の災凶姫~Disastress in the Parasomnias~   作:サッドライプ

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 次章もだーくふぁんたじー予定なので、ほのぼの強めな幕間挟みます。

 清楚姫ペンギンの時みたいなノリになってる気もする。つまり、R15相当のエロ方面の下ネタ注意。




デュクレイ魔道具店Ⅰ

 

 なんかくらーい事件があった気もするけど、それはそれとして日常は続く。

 

 朝起きてエルザの朝ごはん食べて、ギルドに行ってクロケおねーさんとお話して、救助依頼が出てたらダンジョン出撃。そうじゃなかったら家でプリナちゃんといちゃいちゃするか街をぶらつくか、あるいはやっぱりダンジョン出撃するか。どのパターンでも夕方までには家に戻っててエルザが晩ごはん作ってくれるから、それ食べたらプリナちゃんとイイコトしておやすみ。

 最後のはうれしいことにプリナちゃんがものすごく積極的で、ただでさえプリナちゃんがカノジョになってくれただけで使い果たしてたと思った一生分の幸運が、まだ半分以上も残ってたんだって思うくらい幸せな時間。このまま毎日プリナちゃんといちゃいちゃにゃんにゃんしてたいだけの人生……。

 

 

「ミュートさん、プリナ様は不満を溜めているのです!」

「な、なんだって!!?」

 

 

 どうもそうはいかないらしい、というのがエルザの爆弾発言で明らかになった。

 プリナちゃんは相変わらずいつもにこにこ優しい彼女さんで、俺にトゲトゲしいことを言ったことは一度もない。だからってあのお姫様だって嫌なことや溜めこんだことが全然ないってわけないのは当たり前のこと。

 

 前の時は、いちゃいちゃしまくってるのに全然えっちなことしない!っていうものすごく可愛い不満だったけど―――。

 

「それです」

「それ?」

「えっちなことです」

「!!?そ、それはもしかして、毎晩毎晩スるのがキツいとか下手くそで感じたフリするのが大変とか――」

「あ、それは全然ないです。プリナ様的に夜のおつとめ三本勝負延長戦ありを週7回はマストですし、ミュートさんが他の女で経験豊富で上手だったらむしろ死にたくなるまでありますし、本番始めて1分保たずに潮吹きす(クジラにな)るあのチョロさは間違いなく素―――」

「へいそこまで(ステイ)な、エルザ」

「わぅ!!」

 

 主にプリナちゃんの名誉のために。いやまあ俺とプリナちゃんの夜のあれこれがエルザに筒抜けなのは超今更だけど。

 ただ俺の男としての尊厳とプライドが死ぬ案件ではないっぽい。

 

「じゃあ一体……」

「ことはミュートさんとプリナ様の馴れ初めです。プリナ様の可愛いところと、恋人になったらしたいことをこれでもかと語って、そんな情熱的なミュートさんをプリナ様も大好きになって、二人は結ばれたんですよね?」

「う゛。あー、あれはまあ……」

 

 と思ったら唐突に過去の恥ずか死案件で刺してくる、なんか今日のエルザ火力高いな。

 

「なんでえっちな妄想はしなかったんですか?」

「はい?」

「なんでハダカに剥いたプリナ様でいちゃいちゃぐちょぐちょする妄想はしなかったんですか!?」

「しねーよ!?」

 

 やってたら悶絶恥ずか死を通り過ぎて爆発してたよ!?ていうかさすがにソレは最後の一線超えてるだろ!?

 

「プリナ様は素敵な恋物語の『理想のおよめさん』を、大好きなミュートさんにやれて幸せ。ミュートさんは世界で一番可愛い女の子が自分にとっての『理想のおよめさん』をやってくれて幸せ。お互いに幸せで満たされる、素晴らしいカップルだと思うのです」

「おう……うん、まあ……へへ」

 

 そう言ってくれると、照れくさくてぽかぽかして幸せな気持ちになる。

 今までの会話の流れから、この前置きが上げて落とすパターンだとなんとなく予感できてても。

 

「でもミュートさんがえっちな妄想をしなかったせいで、夜のベッドの上では『理想のおよめさん』できないんですよ!?ただの野生クジラになっちゃうんですよ!!?」

「だからクジラから離れようエルザさん!」

「えっちはなんとなくキスして触り合って合体だけじゃ限界があるんです。そこのところちゃんと分かってますか?」

「それ言っていいのかシスター!?子作りを目的にしないえっちはダメなんじゃ―――」

「教義上ダメですけど、そんなの関係ありません!大した問題じゃないです!」

「えぇ……っ」

 

 なんか熱くなって信仰心をぶん投げるダメなシスターにドン引きしたけど、言いたいことはなんとなく理解した。

 今回のプリナちゃんの不満は、俺にとって最高にえっちな『理想のおよめさん』が分からないからそう振る舞えないこと、らしい。いや別に今のクジラなプリナちゃんで十分過ぎるくらい可愛い………ってだからクジラから離れろって。俺までエルザに釣られてどーする。

 

 なんかもう本当にけなげできゅんて来る悩みなんだけど、ありがたいことにプリナちゃんは本気で俺にとって最高にえっちな『理想のおよめさん』になろうと悩んでくれてるんだろう。

 

「でもあの時えっちな妄想しなかったのって、そーいう知識も経験も全然なくて妄想する材料がなかった、っていうのもあるんだけど」

「―――つまり、知識も経験も身に着けた今ならちゃんと妄想できるってことですよね?」

「まあ、うん。……うん?」

 

 

「では見つけましょう。ミュートさんにとって最高にえっちな理想のプリナ様を!!」

 

 

 なんか盛大に空気がバカっぽくなったけど、つまりはこれが今回のテーマだった。

 

 

 

…………。

 

「こんな感じでよかったですか、プリナ様」

「はい。一点を除けば」

「わぅ?うまいこと狙ってた話に着地できたと思うんですけど」

「ええ、それ自体はいいのです。ですが」

 

 

「誰が、クジラですって?」

 

 

「…………エルザはわんこなので」

 

「そう、そうね。余計なことまでお漏らししてしまう(しつけ)のなっていない駄犬ですね。ましてそんな自分を棚に上げて他人をクジラ呼ばわりなんて、ふふ」

「お、お許しを」

「ミュートはつい甘やかすから、家畜が粗相をしてしまうのよね。私が代わりにちゃんと調教してあげるから、うふふふふ」

「あわわわわ」

 

 じゃぶじゃぶ。ごぼごぼ。

 

「きゅぅ~~~~」

 

 

「………もうっ」

 

「(その照れ顔見せるだけで、ミュートさんには超高得点だと思うんですけど)……ばたり」

 

 

 

…………。

 

 そういうわけで。

 

 お出かけ支度(したく)して戻ってきたら何故かものすごく顔色が悪くなってたエルザ―――心配しても「へーきです」の一点張りで押し切られたけど―――に連れられて商業区画に来て、とある店に入って。

 

「ミュートさんミュートさん、こっちとこっち、どちらが好みです?」

「………待って。なにこの状況?」

 

 薄暗くて、何故かピンク色の照明の店内。裸の女の人が表紙になってる雑誌がたくさん並んでる本棚。それ以上に、何故か普通のおもちゃ屋だとまったく見ないおもちゃばかり置いてある棚。その中で、右手には着ても肌が透けて全然隠れないうっすいワンピース?みたいな服と、左手には着ても大事な部分だけ全然覆われてないテカテカ生地のレオタード?みたいな服を掲げて見せてくる、シスター服首輪付きの女の子。

 もう色々とおかしくてどこからツッコんでいいか分からない。

 

「まず店名。『デュクレイ魔道具店』って書いてなかった?」

「はい。魔道具たくさん置いてますよね」

「………」

 

 俺も勉強の結果もう店の看板とかメニューとかは、この世界の文字でもなんとか読めるようになってるけど、読み方間違ったってことはなさそう。

 でもそうなると、何がおかしいの?みたいに素で目をぱちくりさせるエルザに返す言葉が出てこなくて、棚から『サンプル』って書かれてる棒のおもちゃを手に取ってみる。ちょっと反り返りながら先っぽが丸く膨らんでるそのおもちゃは、握り手のスイッチを押すとふぃぃぃん、ってくねりながらぶるぶる震え始めた。

 

「ジャス○ウェイじゃん……」

 

 なんか銀髪糖尿病サムライの映画で見たよこういうの。これ魔道具?……まあ電動じゃないなら魔道具なのか。冒険者が命懸けで稼いできた魔石がこれに使われるのかって思うとすっごい微妙な気分になるな。

 

「ミュートさん、それあの方に使いたいんですか?」

「しないよ!?」

 

 形を見たら何に使うのか大体想像はつくけど、たとえおもちゃでも俺以外の何かがプリナちゃんの体の中に、っていうのはいい気分しないから正直要らない。

 

 ていうかもう分かったというか認めるしかないけど、ここはいわゆるアダルトショップ。この世界に来るまで俺は入ったことないっていうか街のどこにあるのかさえ知らなかったような店ってことだ。

 それ自体はいい。俺も男だ、ちょっと恥ずかしいしいけないことしてる感じがしてドキドキするけど、色々見て回りたい気持ちがないって言ったらウソになる。でもそれは一人で、それか男友達と無駄にテンション上げながらおバカなノリで、っていう状況の話なわけで。

 

 いつも一緒に暮らして家事をして世話焼いてくれる美少女が、エロ用品の店でエロ衣装を両手に「どっちがいい?」とか聞いてくるのは明らかにおかしいでしょ。もうシスター服も首輪もえっちなコスプレにしか思えないんだけど。なおカノジョは別にいる。しかもエルザに俺を色仕掛けしようとかそんな意図は全くなくて、ただどっちの服がエロくてプリナちゃんに着て欲しいかを善意で質問してるっていう。なんだこれ。なんなんだこのカオス。

 

「………。じゃあ、こっちで」

 

 ツッコミが絶対に追いつかなくなるのを予感して、中途半端に混ぜ返すくらいならって、俺は言いたいことを全部のみ込んで質問にだけ答えた。そもそも俺はボケかツッコミかで言えば確実にボケの方だって自覚くらいある。

 

「やっぱりボディコンよりベビードールですか。ミュートさんの好みの傾向的にそうだとは思ってましたけど」

「分かってたらなんで聞いた」

「まだまだこれからっ、ミュートさんに最高に刺さるえっちなスケスケ下着を選び出すんです。それに衣装だけじゃなくてシチュの方も。ほら、参考文献がそこの棚にいっぱい」

「待って俺女の子の前でエロ本選定させられんの?」

 

 店員さーん、とこういう時ばっかり俺の制止を聞かずに暴走するエルザ。ていうかこういうお店ってそんな気軽なノリで客と店員が会話するもんなの?もうちょっとお互い恥ずかしくて店内静かなの想像してたんだけど。

 

「何か、お困りでしょうか」

「こういう系統のでいいの探してるんですけど、在庫見せて貰っていいです?」

「かしこまりました、少々お待ちください。……あら」

 

 やり取りだけならアパレルショップ。ただしここはアダルトショップ。

 

 と、えっちなスケスケ下着のバリエーションを客に聞かれても冷静な顔で対応してた店員のねーちゃんが、俺の髪を見て何か考え込む。

 店員が若い女の子っていうのもイメージとちょっと違うよなあ。この子クールそうな黒髪ロングの美人さんで、学園ラブコメものだとメインヒロインやってそうな見た目してるのに、エロ用品店の店員って。

 

「『サンダーラット』のミュートさんとエルザさんですね。その節は叔父が世話になったと聞いています」

「おじ?」

「ああ、失礼。私はトレポネーマ・パリドゥム」

 

 トレポネーマ……どっかで聞いたような。

 

 

「『俺っちの(メイ)、俺っちの姪、どっちもMain!よろしくだぜBROTHER!!』………以上、叔父のデンティコラからの伝言です。何故パーティ名を間違って覚えていたのかは知りませんが、金髪の抗魔士(イムニティ)とシスターの連れなどあなた方しかいないと思いますので」

 

「お、おう。よろしく」

 

 

 無表情のままデンてぃの口調を真似するねーちゃん。『あ、この人もキャラ濃いやつだ』と一発で分からされた瞬間だった。

 

 

 





 今回は自信を持って断言できます。ほのぼのです。
 前話から続けて読んだら温度差で風邪引きそうなくらいほのぼの!

>「夜のおつとめ三本勝負延長戦ありを週7回」
 そんなとこまで超人。年増は性欲が強いとかそんなこと言ってはいけない

>「1分保たずに潮吹きす(クジラにな)るあのチョロさ」
 そんなとこまで水属性ヒロイン()

>「キスして触り合って合体」
 果たして恋のABCは一般知識なのか死語なのか。そういえば昔、Hの後に()があるなら、Hの前には練習のための自慰()があってそれに必要なのは良い絵婦(EF)―――つまりエロ漫画があるから世界は愛にあふれている!!とかいうネタをやった気がする。今考えてもアホ極まりないな!

>「私が代わりにちゃんと調教してあげる」
 調教師プリナちゃんりたーんず。

>「私はトレポネーマ・パリドゥム」
 後で気付いたけど、女の子に付ける名前では絶対にない。今更デンてぃの名前いじれないので手遅れ。


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