夢現世界の災凶姫~Disastress in the Parasomnias~ 作:サッドライプ
サブタイで分かるとおりまただーくふぁんたじーやるので、ちょっとほのぼのをおつまみ程度に。
冬休み。
なんかとんでもなく大変なイベントがあったけど、だからこそお正月とその前後くらいのんびり過ごしたいわけで。
新年パーティーやった以外は、ぐーたらごろごろまったりゆったりいちゃいちゃと、新しくペットをお迎えした我が家で三人と一匹平和な暮らしをやってたわけだけど。
「あーっ!!」
「………はぁ」
窓からいい感じの日光を浴びて、プリナちゃんと肩くっつけながらソファでうとうとしてたら、エルザの大きな声で意識を呼び戻される。
「んぁ?」
【にぅ?】
「ひぐっ!?」
膝の上に乗せてた白毛玉こと『うに』とそろって疑問に体をかたむけると、何故かダメージ入ったみたいにエルザがうめきながら胸を押さえてた。
半分眠った頭でちょっと考えたあと、「またか」とここ数日恒例になったイベントかと予想して、当然のように的中した。
隣のプリナちゃんは穏やかに笑ってるけど、めんどそうなため息を吐いた後はスルー体勢で明後日の方を向いてる。なんか年末のアレ以来、俺といちゃいちゃするのに関係ないことだと、ちょこちょこダークなプリナちゃんが見えてる。そんなとこも可愛い、ていうか素を出してくれてる感があって嬉しい。
『理想のおよめさん』やってくれるプリナちゃんは最高だけど、可愛い笑顔の裏で内心バチギレして誰かの悪口言ってたりしても、それが俺に向けてじゃないんなら別にショック受けたりゲンメツしたりはしない。妹のニアさんの口ぶりや、俺が誰かを助けるたびになんか複雑そうにしてたのからして、昔助けた相手にロクでもない目に遭わされたのは確定―――それで人間嫌いになったって無理はないし責める理由なんてある訳ない。
むしろそんな人間不信のプリナちゃんが、俺を例外にして一生懸命愛して理想通りのカノジョさんでいてくれる。それが本当に奇跡みたいなありがたさなんだって、俺はちゃんと分かってるつもりだ。
そういう気持ちが伝わって、そして信じてくれて、ちょっと素の自分をさらけ出してくれて。もっとプリナちゃんとの仲が深まったみたいに思えて、きっかけはともかくそれ自体はなんかすごくいいことだって思える。
一方でエルザとの心の距離が微妙に離れた気がするけど。『うに』を連れ帰ってからちょっとこの子が何したいのか分からないっていうか、分かるけど分かりたくないっていうか。
だから俺もプリナちゃんにならってちょっと寝たフリしたいけど、さすがにそれはエルザがかわいそう……なのかな?
「ミュートさんのお膝で抱っこされながらおひるねなんて、エルザもやったことなかったのに!」
うにを指さしながらプンスコしてるケモミミシスター(?)。これが
【……にぅ】
「あー、あー!もふもふまで、もふもふまでぇっ!」
寝ぼけたままにこっちにすりすりしながらよじ登ってくるうにを首筋のあたりで抱っこし直すと、さらに半泣きでヒートアップする。
うにの白いふわふわの毛が肌に気持ちいいんだけど、エルザ的には何かが許せないらしい。
「わぅ~~~っっ!」
“いかく”するみたいにケモミミを立てながら震わせてる姿は、本人的には切実なんだろうけどちょっと
もぞもぞと振り返ってエルザの様子を眺めて、しばらく光る瞳をぱちくりしながらなんか考えてたかと思うと、猫みたいな可愛らしい鳴き声を一つ。
【にぅwwwww】
「~~~ッ!!そのケンカ、買いますからね!?」
声は可愛いのに音だけで草が生えてるのが分かるの、芸が細かいな。
うには生まれたてでこっちの言葉理解するくらい頭が良いんだけど、いい性格もしてたみたいで、ずっとエルザに対してこの調子だ。俺やプリナちゃんにはすごくなついてて甘えてくる癒し系ペットなのに、何がうにを争いへと駆り立てるのか。
「わぅっ!!」
【にぅっ!!】
わんことにゃーこがケンカしてるの図だから、まあはたから見てる分にはコーラ片手に観戦してたいほのぼのバトルではある。さすがに本気でギスるのは嫌だから止めに入るけど。
「煽るな、うに。いったん降ろすからな」
【にぅっ!?】
がーん!とショックを受けたみたいに、気のせいか目の光がハの字になったように見えるうにを剥がして、カーペットの床に座らせる。俺がまずエルザの味方をしたことが衝撃っぽいけど、それは残念でもなく当然っていうか。この街に来て常識も文字も暮らし方も手探りだった頃から、たくさん世話を焼いてくれてるうちのわんこをいじめたり仲間外れにしたりするのはさすがに教育案件だ。
「ちょっとそこでじっと反省してな?勝手に動いたらビリビリの刑だからな?」
【にぅ……】
ペットを飼うなんて初めてだからこれでいいのか分からないけど、だからって何やっても甘やかしていい訳ないのくらいは分かる。
「………ごめんなさいそろそろ許して欲しいです」
「エルザは、まあ。そんなにひざでおひるねしたかったのか?」
「だめ、ですか……っ?」
「ぅ―――」
うるうる。シスターらしいのか組んだ手がとてもサマになった上目遣い涙目おねだり。耳としっぽが半分だけへにゃってるのも威力が高い。もともといつもがんばってるエルザのお願いはたいてい聞いてあげたいのもあって、条件反射で「おいで」したくはなるんだけど。
「なんですか、ミュート?」
視線を戻して、隣でじーっとこっちを見てくる彼女さんの前で他の女の子をひざに乗せるなんて簡単にできるわけもない。
「やっぱりまずい、よね?」
「あなた様が家畜を愛でることに口を出すほど、
―――もちろんあなた様がそういう女がいいと思うのなら、そう成りますけれど?
細めた眼からなぜかはっきりと聞こえる副音声で背中がぞくぞくする。可愛さの中に冷たさが混じって、深みが出て色っぽいというかデンジャラスみというか。
ていうかエルザを素で家畜扱いしていたことが発覚。彼氏が同じ屋根の下で他の女の子とも同居して頭なでなでとかもしてたのを許してた理由が、まさかの“女の子”扱いしてなかったからだなんて。
「……っ」
「ふふっ。あなた様、かわいい―――♡」
そんなダークプリナちゃんを見てもやっぱり好きだなぁ、って思っちゃうあたり末期症状な気がしてきた。それを見透かして艶っぽく微笑むプリナちゃんに、一生手のひらで転がされるんだろうなという予感も。
「あの、ミュートさん……」
「うん。おいでー」
「~~~~っ!!わぅっ!!」
「ほーらよしよしいいこいいこー」
とりあえず何言えばいいか分からない空気になったんで、許可も出たことだしエルザを構ってその場を流すことにした。
「―――くすっ」
「わふぅーっ♪」
【にぅぅ………】
ソファーに座ってケモミミや髪を無心にわしゃわしゃする俺。
隣で肩を寄せながら意味深に笑うプリナちゃん。
くてっと上半身を俺の膝に預けてご満悦なエルザ。
言いつけどおり待機してて哀愁ただよううに。
なんだかとっても不思議で謎な空気の中で、ほのぼのっぽい我が家の休日が過ぎていくのでしたとさ。
ねーこのヒロインなんだかすごくしっとりしてるんだけどー。
え、最初からそうだったって?
>新しくペットをお迎えした我が家で三人と一匹
ミュートくんにはペットと認識されてないし一人とカウントされているエルザわんこ。悲しい話……なのか?
>何がうにを争いへと駆り立てるのか
ごしゅじんさまのペットは二匹もいらないにぅ。
>ペットを飼うなんて初めて
ちょくちょく内心でエルザを刺していくミュートくん。わんこは当然その内心を察しているので継続ダメージを脳に受けている。
>ダークプリナちゃんを見てもやっぱり好き
『理想のおよめさん』やることには変わらないけど、ミュートはバケモノの自分を見ても全然嫌いにならないと確信できたので次の段階に進んだプリナさん。
もちろん内心はすっごくほのぼの!