主人公の個性奪っちゃったみたいだから返すね   作:しおんの書棚

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転生オリ主の勘違いが原作崩壊させる例


主人公の個性奪っちゃったみたいだから返すね

Side 私

 

個性と呼ばれる超常が日常に溢れる世界。

そんな世界に生まれた私は、4才になった今日、検査を受けて個性が判明した時に、前世を思い出して、今世の人格と綺麗に統合された。

 

この世界の私は、前世の記憶がない状態ならこうなるだろうと思える感じだったし、今後は記憶を得た分で多少大人びるだろうけど、許容範囲だと思う。

 

それはさておき、ここは漫画”僕のヒーローアカデミア“の世界。主人公の緑谷出久が、最高のヒーローになる物語という謳い文句だったはずだ。

 

転生者である私が持つ原作知識は、ほぼないんだけど、出久が無個性だったことで、現状の不味さをすぐに理解した。

 

いやいや、この世界で無個性じゃ、ヒーローになるのはあまりにも困難でしょ。

 

「私が先に生まれて、奪っちゃったんだろうな」

 

私って、出久の双子の姉なんだよね。

流れてきたショート動画で得ていた情報によれば、出久の家族は、一度も登場しない父さんと、心配性のポッチャリ引子母さんだけ。双子の姉なんていなかったはずで、私の存在が原作崩壊の原因で間違いない。まあ、引子母さんがグラマラスビューティーな理由までは、わからないけどね。

 

「駄目でしょ、オリキャラに主人公の能力与えたら……」

 

そんな愚痴を溢しながらも、この状況を解決できる方法はと考えた私は、一つの“可能性”に思い当たった。

 

「……返せばいいだけだよね?」

 

私は、記憶が蘇る前に、ヒーローになりたいと思ったり、告げたことはなかった。急に生えた存在とはいえ、弟が不幸になるのを黙って見ているような姉にはなりたくない。前世補正で精神的には大人でもあるし、子供の未来を大人が閉ざすなんて、許されていいわけがないとも思う。

 

早速行動をと、ノックしても反応のない出久の部屋にそっと入った私は、泣きながら寝落ちしたと思われる出久の頭を撫でる。

 

「大丈夫だよ、出久」

 

そう告げながら、出久の胸に手を当てた私は、強く願った。

 

「私達は双子だもん、必ずできる」

 

そう、私達は双子なんだ。肉体的には、性別が違うだけの同一存在であり、同じ“可能性”を持つからこそ、私にも出久と同じ個性を宿せた。それなら返すことだってできるはず。

そして、願いは叶う。さっきまであった両親と同じ個性、“火を吹けて、物を引き寄せられる”個性。試してみると、どちらも発動しない。

 

うん、これでいい。いや、これがいい。

 

だって、私の中にあった出久の個性を、本来の持ち主に返せたのだから。

 

Side 出久

 

僕は、ヒーローが大好きで、No.1ヒーローのオールマイトに憧れてた。

だから、個性が発現するのを疑ってもいなかったし、発現した個性でオールマイトみたいなヒーローになるのが夢だった。

 

だけど、お姉ちゃんと一緒に受けた個性検査で、僕は無個性だって……。

 

大丈夫なフリをして、強がって家まで帰ってきた。お母さんを悲しませたくなくて、お姉ちゃんに心配させたくなくて、部屋まで我慢したんだ。

 

「お姉ちゃんには発現したのに、僕は……」

 

悲しかった。悔しかった。羨ましかった。

そんな気持ちがごちゃごちゃになって、涙が止まらない。

 

ずっと泣いてたら、ノックが聞こえてきた。僕は寝たフリをしてやり過ごそうとしたんだけど、誰かが部屋に入ってきて、僕の頭を優しく撫でる。

 

「大丈夫だよ、出久」

 

お姉ちゃんの声がして、僕の胸に何かが置かれた。

 

「私達は双子だもん、必ずできる」

 

なにができるんだろう。疑問に思うと同時に感じる胸の温もり。それは徐々に強くなって、熱を感じているうちに僕はいつのまにか本当に寝てしまったみたいで、目を覚ました時には暗い部屋に一人だった。そして、いつものように電灯をつけようと、リモコンに手を伸ばした瞬間。

 

「え?」

 

リモコンは、僕の手に引き寄せられたように動き、掌に収まった。

 

「嘘。も、もう一度……」

 

今度は、ヒーローノートに手を伸ばす。すると、さっきと同じように引き寄せられたノートが、手元に来た。その瞬間、思い出す言葉。

 

「お姉ちゃんがいってた、“必ずできる“って、まさか、そんなことが本当に?」

 

お姉ちゃんに発現した個性は、お父さんとお母さんと同じもの。だから、双子の僕にもできるはずだって、どうやってかはわからないけど()()()()()()()()()()()の?

 

「じゃ、じゃあ」

 

息を吸い込んで、火を吹く自分を想像して、一息に吐き出す!

 

「で、できた。僕にもお姉ちゃんと同じことができた! お母さん! お姉ちゃん!」

 

僕は、お母さんのもとへと駆け出した。夢への第一歩を手に入れた喜びと、お姉ちゃんへの感謝を胸に。

 

 

Side 私

 

いやー、目を輝かせる出久は、めちゃくちゃ可愛かったですね。

一悶着あったけど再度検診を受けた出久は、しっかり個性登録されました。これで原作崩壊は防げたかな。

 

それにしても禿げ眼鏡の丸顔先生が凄い驚いてたし、なんならこっちを見てたけど、なんだったのだろうか。まあ、お医者さんだし、もうストーリーには絡んでこないでしょ。

 

その後、出久の友達の爆豪勝己くん。出久曰く、かっちゃんには、爆破なる物騒な個性が発現したとか。で、彼を含む仲良し4人組は、いつものようにヒーローごっこをして遊んだらしい。

 

私はあまり騒々しいのは好きじゃないから、ほとんど爆豪くんとの交友はないんだけど、たまに出くわすとヤンキーばりに絡んでくるんだよね。出久の姉ってこと以外、特に接点はないはずなんだけど、不思議だ。

 

そうそう、前世の私は女性自衛官でね。CQCや射撃、銃剣道、捕縛術、趣味で武術を齧ってたの。だから、成長を阻害しないように気をつけながら、しっかり鍛えていくつもり。

 

そんなある日、図書館に向かう途中のこと。私の目は、空き地にいる出久の姿を捉えた。

後ろの少年を庇うように立つ出久。よく見れば爆豪くんが、小さな火花をあげる手で殴りかかろうとしていて。

 

「没個性なんかじゃない! 最高の個性だ!」

 

「舐めんな! 歯ぁ食い縛れやあ!」

 

おお、出久、カッコいいぞ! でも、そのまま受けるのは、色々とマズイ。

 

「シッ!」

 

一瞬の助走に歩法を加え、一足に間合いを詰める。爆豪くんの突き出した腕が伸び切る前に、下から掌底でカチ上げて逸らし、彼の前に立ち塞がった。

 

「なにすんだ、テメェ!」

 

「個性を他人に向けるのなら、流石に止めるよ」

 

「チッ! 没個性の癖に姉弟して生意気なんだよ!」

 

うーん、とりあえず状況確認しながら、頭を冷やしてもらうしかないか。

 

「出久、少し離れて。爆豪くん、どういう状況か教えてくれる?」

 

「ああ!? 丁度いいところに来たな!

 没個性のお前が、いっつも澄ましやがって気に入らなかったんだ! ぶっ飛ばしてやる!」

 

話がまったく通じないんだけど、対処するしかなさそうだ。

彼の個性は、出久から聞いた話とさっき見た情報で推測する限り、掌から爆発を起こす個性。応用はききそうだけど、今はまだ小学校入学前で、そこまで使いこなせているとは思えない。ならば、組み伏せる。

 

「グッ! ふ、ざっけるな! 正面からやり合え、クソが!」

 

大振りの右腕で殴りかかってきた彼を掻い潜り、その勢いを利用して背負い投げ。地面につく直前で腕を引き上げ、強制的に背中で受け身を取らせつつ、転がして体位を調整。そのまま腕を捻り上げ、地面に押しつければ、拘束は完了。

 

「出久、お母さんか爆豪ママに連絡して、引き取りに来てって頼んで。拘束解いたら、他の誰かに八つ当たりしそうって」

 

「う、うん。ごめんね、かっちゃん」

 

「舐めんな、没個性どもがあ!」

 

「後ろの君、今のうちに帰ってね」

 

「ありがとう!」

 

うんうん、お礼ができて偉いぞ、少年!

 

その後、すっ飛んできた爆豪ママこと光己さんが、爆豪くんに強烈な拳骨を喰らわせると平謝り。キレ散らかす爆豪くんは、引き摺られるようにして帰って行った。

 

 

Side 出久

 

何か理由はあったんだと思うけど、かっちゃんが同級生を殴ってた。だから、僕は理由を聞いて仲直りしてもらおうと間に入ったんだけど、その行動が気に入らなかったみたい。

 

「デク、俺に逆らおうってのか!? この没個性が!」

 

僕のことはいい。けど、個性に関しては駄目だ。だって僕の個性は、お姉ちゃんが引き出してくれた家族の絆。

 

「没個性なんかじゃない! 最高の個性だ!」

 

「舐めんな! 歯ぁ、食い縛れやあ!」

 

ここで避けたら、後ろに! そう迷ったのが行動を遅くさせて、殴られる覚悟を決めたんだけど、目の前にかっちゃん以外の影がさした。

 

「なにすんだ、テメェ!」

 

「個性を他人に向けるのなら、流石に止めるよ」

 

「チッ! 没個性の癖に姉弟して生意気なんだよ!」

 

お姉ちゃんが、かっちゃんの腕を逸らした? いつも本を読んでるお姉ちゃんが?

 

「出久、少し離れて。爆豪くん、どういう状況か教えてくれる?」

 

「ああ!? 丁度いいところに来たな!

 没個性のお前が、いっつも澄ましやがって気に入らなかったんだ! ぶっ飛ばしてやる!」

 

僕は状況についていけなかったけど、目の前でお姉ちゃんに殴りかかったかっちゃんが、あっという間に投げられて簡単に抑えられてた。

 

「グッ! ふ、ざっけるな! 正面からやり合え、クソが!」

 

「出久、お母さんか爆豪ママに連絡して、引き取りに来てって頼んで。拘束解いたら、他の誰かに八つ当たりしそうって」

 

お姉ちゃんの声にハッとして、すぐ連絡する。

 

「う、うん。ごめんね、かっちゃん」

 

「舐めんな、没個性どもがあ!」

 

「後ろの君、今のうちに帰ってね」

 

「ありがとう!」

 

とりあえずお母さんに連絡すると、おばさんに連絡してくれるっていってくれて、それからここに来るらしい。

その後、少ししておばさんがきたんだけど、かっちゃんに拳骨して謝ってくれた。

 

「うちの勝己がごめんね! あんたも謝りな!」

 

「ああ!? 俺は悪くねー!」

 

「僕は、まだなにもされてないので」

 

「ってことは、あんた女の子に殴りかかったの!?」

 

「うるせー! 男とか女とか関係ねーだろ!?」

 

そんな感じで、ワーワー騒ぎながら、二人は帰って行った。

そして、迎えにきたお母さんと、図書館に行くのを取り止めたお姉ちゃんと一緒の帰り道。僕は、気になったことをお姉ちゃんに聞いてみた。

 

「お姉ちゃん、あんな風に動けたんだ」

 

「出久がNo.1ヒーローになるなら、誰が出久を守ってくれるの?

 それは当然、同じ“可能性”を持つお姉ちゃんにしか務まらない役目。ちゃんと守れるように、ちょっとだけ鍛えてる」

 

「そっか」

 

僕は、その言葉に、また胸が温かくなった。

 

それと同時に思ったんだ。あんなに強いオールマイトだけど、もしもオールマイトがピンチの時は、誰が守ってくれるのかなって……。

 

 

Side 私

 

歳を重ねた15歳、中学3年生になった私は、現実という壁に阻まれつつあった。

記憶を取り戻した当初、出久に個性を返すのが一番大切で、その後のことはあまり考えてなかったんだけど、今の私は可愛い弟を守れるサイドキックになるために、出久が目指す雄英高校へ入学したいと思っている。

 

で、歴史や個性による変化さえ把握すれば、学力はまったく問題ない。身体能力も前世の経験を生かして鍛え続けてるし、個性社会の影響か、前世に比べれば馬鹿みたいな身体能力を発揮できるから、こちらもOK。だから、入学するだけなら、前例はないけど可能だと思う。

 

問題は、無個性であること。

私は、出久と同じ内容で個性登録されたままだから、世に言う無個性差別を回避できていた。とはいえ、さすがにヒーローを目指すための学校へは虚偽申告できないから、高校で無個性差別に晒される可能性がある。

それだけならまだいい。私のせいで出久を悲しませたり、出久がいじめられたりするのは嫌だ。

 

そして、個性がないせいで出久の力になれないのも嫌だし、危険に飛び込んでいくだろう出久を守るのに必要だとも感じ始めている。

 

「そんなこと考えても仕方ないか」

 

できることを積み上げて、可能な限り出久の力になる。それが今できる限界だもんね。

 

そう考えながら下校していると、聞こえてきたのは。

 

「爆破音? まさかね?」

 

嫌な予感に苛まれ、音源へ向かい目にしたのは、流体に絡みつかれる爆豪くんと、日和見のヒーロー・野次馬達。ここで行かなきゃ出久の、未来のNo.1ヒーローの姉じゃないでしょ! それに人を助けるのは理屈じゃない!

 

「私が来たってね!」

 

周囲の止める声を無視して走り出した私、その目の端に映るもう一人。

 

「出久!」

 

「姉さん!?」

 

「爆豪くんは任せた!」

 

腰の二重巻きベルトを一気に引き抜き、爆豪くんを縛るようにして巻きつけると、ヴィランから引き抜くために走り抜ける。

 

なにやら二人が揉めてるけど、今はそんな場合じゃない!

 

「死にたくなかったら黙って全力を尽くしなさい、爆豪勝己!」

 

「うるっせー! 俺一人で倒せらあ!」

 

その瞬間、出久が火を吹き、怯んだヴィランを爆破が襲った。これなら、抜ける!

 

「出久! 限界まで引っ張って!」

 

「うん!」

 

そうしてなんとか爆豪くんを引き抜いたタイミング。

 

「私が来た!」

 

どこからともなく現れたオールマイトが、あっさりと倒したのはいうまでもなかった。

 

 

Side オールマイト

 

緑谷少年との邂逅で、制限時間を迎えた私は、その事件を影から見ているしかなかった。

なぜ、誰も助けない。君達もヒーローだろう。そんな思いで、歯噛みしていた時、誰よりも早く飛び出したのは。

 

「お師匠!?」

 

ポニーテールを靡かせて、鍛え抜かれた肉体が躍動する。

 

「私が来たってね!」

 

お師匠に見間違えるほど、よく似た年若い少女。年齢の割に速い、増強系の個性だろうか。

 

「出久!」

 

「姉さん!?」

 

「爆豪くんは任せた!」

 

なんと緑谷少年まで。しかも、姉と。

手にしたロープ状の物で、被害者の少年を救うべく巻きつけたようだな。緑谷少年の個性は、物を引き寄せると聞いた。血縁であれば、近い個性なのだろうか。では、さっきの速度は、個性なしだというのか。

 

途中、被害者の少年が知人なのか揉めていたようだが、彼女の一喝で急速に連携が取れる。被害者の少年と緑谷少年の個性も生かして、一気に離脱をはかったか。

 

しかし、決定打に欠ける。このままでは。

 

「ヒーローは、いつも命懸け。そういった私が!」

 

制限時間を気にして見殺しなど、お師匠も、当然ながら私も、自分を許せるはずがない! そもそもの原因は、私が捕らえたヴィランを落としてしまったことにもあるのだ。

 

「私が来た!」

 

言葉と同時に飛び出すと、一撃。すぐさま捕獲して見渡せば、視線が彼女と交差する。

 

「ありがとう、オールマイト」

 

そういって頭を下げた彼女は、他のヒーローに捕まる前にサッサと離脱していった。緑谷少年がお叱りを受けるのを横目に、私も速やかに離脱する。

 

「あの身体は、OFAに適応できるほど鍛え上げられていた。個性を使ったようには見えなかったが……」

 

お師匠に似た彼女が、どうにも気になった私は、彼女の後を追ったのだった。

 

 

Side 私

 

事件の後、いつもの放課後のように掃除兼鍛錬へと向かった。場所は、とある海岸。

 

ここの惨状に気づいてから、鍛錬に丁度いいとゴミ拾いから始めて、最近はもっぱら粗大ゴミを移動している。まあ、最初はゴミ拾いからなのは変わらないんだけど。

 

「ちょっといいかな」

 

「なんでしょうか?」

 

振り向いた先には、ガリガリに痩せた背の高い男性。

 

「いつも一人でゴミ拾いを?」

 

「はい、鍛錬ついでに清掃活動をと。元々は酷いもので、遊ぶ場所すらなかったのですが、適度に頑張りましたよ」

 

「鍛錬の目的はあるのかい?」

 

そんなに気になることかな、まあいいけど。

 

「私、無個性なんですよ。それでも可愛い弟がNo.1ヒーローを目指すなら、その弟を守るサイドキックになりたくて。

 だって、トップは孤独でしょう? そんな時、寄り添ってあげられたらなって。

 だから来年、雄英を弟と一緒に合格するためにも、鍛錬してるんです」

 

「無個性……。しかし、さっきは」

 

「あー、目撃した感じですか?」

 

男性が頷く。

 

「誰かを助けようとする意思に、個性の有無は関係ないでしょう? あの時は、ただ助けたいと思っただけです。

 倒せるとは思ってませんでしたが、被害者さえ救い出せれば、あの場のヒーローで対処できる”可能性“を信じたんです」

 

そういうと、目の前の彼の身体が急に大きくなって。

 

「え? オールマイト?」

 

「そう、私がオールマイトさ」

 

直後、縮んで元に戻る。

 

「だが、長年の無理が祟って、長くは戦えなくてね」

 

「……それ、私に話してよかったんですか? 口は固いと思いますけど、漏れたらヴィランが活性化しますよ?」

 

「だからこそさ、次の象徴が必要だ」

 

うん、それはそうかもしれないけど、私に話す理由がない。

 

「そうかもしれないし、別の形が必要かも知れませんけど……」

 

「緑谷少女。私の個性は、聖火のごとく受け継がれてきたものなのさ」

 

「ああ、なるほど。私だけだとは思ってませんでしたが、そういうことですか」

 

出久に個性を返せたんだし、そういうこともあるだろうと理解し、加えて次を私にという想いも把握はした。

 

「それはどういう?」

 

「個性の譲渡ですよ。

 私、4歳の時点で2つ効果を持つ個性を持ってたんですけど、弟が無個性で。弟とは双子ですし、渡せる“可能性”はあるはずだって思って胸に触れて願ったら、渡せたんですよね」

 

「そんなことが……。とにかく察したようだけど、私は君に託したい」

 

個性は、正直な話、欲しい。けれど、きっと私は相応しくない。

 

「私、みんなより弟や家族が大事です。もしも同時に襲われたら、何をおいても家族を優先します。

 確かに個性があればとは思いますけど、私はそんな希望の篝火を宿すには、相応しくありません」

 

そう告げた私は、一礼して踵を返し、帰路につく。海岸に佇むオールマイトをその場に残して。

 

 

Side オールマイト

 

私が知る限り、汚れ尽くしていたはずの海岸線。そこは、多少のゴミはあれども、想像を遥かに超えて整備されつつあった。

残すは大型ゴミ。それすらかなりの量が移動されたのか、数箇所にまとめられている。

 

緑谷少女に聞けば、一人でこれを成したという。ならば、その肉体も納得だ。

 

正体を明かし、個性の譲渡について話せば、すぐに察する理解力。

個性の譲渡が他にあったことに驚いたが、それすら肉親とはいえ他人のため。

 

救うことに個性の有無は関係なく、救うという意思こそが大切という精神性。

救助活動においても、すべてをこなせるなどという傲慢さはなく、任せるべきは任せられる人間性。

加えて、急造のチームというには語弊があるだろうが、言葉と行動で最善のプランへと導く判断力とリーダーシップ。

 

さらに、個性を欲していても自分は相応しくないと判断し、欲を抑え込める自制心。

 

「緑谷少女、君はいうとおりの行動をとるのだろう。

 しかし、それでも君は、それ以外の状況なら多くを救えるはずだ」

 

今は待つとしよう、君が訪れるという母校での再会を。

 

「とはいえ、その時に向けて動くべきか」

 

次代の候補は見つけた。あとは、その時のために行動しよう。

彼女であれば、私が何も言わなくても、鍛え上げると信じられた。無個性で、あれだけの動きがすでに可能な彼女と、その想いがあれば。




続きません。

●オリ主
流れてくるショート動画程度しか知識を持たない転生オリ主。
出久と同じ濃い緑の髪で、引子ママに似たストレートヘアをポニーテールにしている。(お師匠風)
見た目は、ストレス太りしなかった引子ママだと思えば、非常にわかりやすい。めっちゃ美人、グラマラス。
身体はめちゃくちゃ鍛えられていて、身体能力・技能共に高レベル。雄英の原作試験であれば、余裕で主席レベル。

●原作主人公
二つの効果がある個性持ちになった結果、無個性イジメから逃れた。OFAは、多分貰えない。
お姉ちゃん大好きで、オールマイト・お姉ちゃん・かっちゃんがヒーロー。

●かっちゃん
オリ主とはずっと別のクラスだった。
かっちゃんのヒーロー出久が、お姉ちゃん好きすぎて嫉妬気味。

●禿げ眼鏡の丸顔先生
AFOと繋がってる例の人。

●オールマイト
いろんな意味で、お師匠似のオリ主にやられた。
是非、OFAを継承したい。次点で、出久。

◼️原作乖離・フラグ要素
オリ主 出久の個性勘違い・お師匠似・上澄みの各種能力
出久  姉GET・個性GET・姉個性維持と勘違い
緑谷母 娘GET・ストレス消滅
爆豪  出久に次ぐ幼少期からの壁(オリ主)発生・オリ主個性持ちと勘違い
医師  個性譲渡疑惑
AFO  へえ?
OFA  オリ主へ譲渡希望・個性譲渡実例の発見(譲渡済)
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