主人公の個性奪っちゃったみたいだから返すね   作:しおんの書棚

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次の展開にめちゃくちゃ悩んだ結果、必要な間話(若干短め)となった例。
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体育祭の後に相談してみるね

Side 私

 

表彰式は、オールマイトによるメダル授与で盛り上がり、大盛況のうちに終わった。

 

爆豪くんが、次は必ず勝つって言いながらずっと絡んできたけど、これはもう様式美みたいなもんだよね。

 

そして、気になっていた轟くん。メダル授与の時に聞こえてきたオールマイトとの会話で、意識が変わったのか前に進もうとしてることがわかった。出久と二人で頑張った甲斐があったよ。

 

あとは、体育祭の後で答えると約束したOFAの件。

 

あれから色々と考えた結果、確かめたいことがいくつか出てきた。今日これから八木先生と会うんだけど、しっかり確認して慎重に決めようと思っている。

 

出久の個性のこと、OFAのこと。

私の介入で、おそらく本来の道筋から大きくズレてしまっただろうこの世界。

 

けれど、ここは創作の世界ではなく、私達の生きる現実。今生こそは後悔のないように、最後まで“可能性”を信じて、全力を尽くすまでだ。

 

 

Side 八木

 

「有言実行とは。しかも、絶技を二度も」

 

緑谷少女は、あらゆる困難を踏破して、勝利した。そう、乗り越えるではなく、踏破して、だ。

 

雷を無力化し、速度を凌駕し、氷を打ち砕き、爆破すら打ち消すという難行。必ず相対して打ち破る姿は、現状を打破するという意思に、一切の偽りがない証明と私は捉えている。

 

決勝戦においては、やむなく使用しただろう亜音速突きで爆破を発生直後に押し留め、空中ではできないといっていた加速まで、あのような方法で成し遂げるとは。

 

そうこう考えているうちに、以前と同様、ノックが3回。

 

「緑谷です、入室してもよろしいでしょうか?」

 

今回は、初めからトゥルーフォームで彼女を迎える。

 

「どうぞ、入ってくれるかな」

 

「失礼します」

 

そういって入室した緑谷少女は、私の正面に腰掛けた。さて、始めようか!

 

「表彰式でも伝えたが、人の持つ“可能性”を、しっかりと見せてもらったよ」

 

「少々出来過ぎだとは思いますが、噂ではヴィジランテに無個性の強者がいたとか。程度の差はあるでしょうが、無個性でもやろうと思えばできるんだと証明できたのは良かったです」

 

ヴィジランテに無個性の強者が……。以前、相澤君が言っていたナックルダスターのことか? まあ、例として挙げただけだろうし、気にすることでもないか。

 

そう考えを巡らせた私に、緑谷少女が語りかけてきた。

 

「八木先生、約束通り返答するために、OFAについて、いくつか教えて欲しいことがあるんです」

 

つまり、無視できない懸念があって、決断に踏み切れないということか。わからなくもないし、慎重な緑谷少女らしい。ならば、私の返答は決まっている。

 

「後顧の憂いなく託すためにも、私が答えられる限り答えよう」

 

この時の私は、自信を持ってそう言い切ったのだった。

 

 

Side 私

 

快く教えてくれるという八木先生に感謝して、早速質問に入る。

 

「OFAは、聖火のように引き継いできた個性だと伺いましたが、八木先生で何代目かご存知ですか?」

 

「私が八代目だ」

 

八代目? それは、あまりにも引き継ぎ間隔が()()()()

 

やはりOFAには、なにか問題があり、それでも目的があって、どうしても力が必要だからこそ引き継がれてきたのだろう。そこの事情を知らずには、話が進まないと感じた私は、八木先生に問いかけた。

 

「八木先生が、八代目となって35年程と以前伺いました。

 個性が認知されてから約100年。いつから引き継がれてきたのかわかりませんが、最初期に存在したとしても、七代で70年に満たない。

 一人当たり平均10年以下で引き継がれるだけの、なんなら引き継がなければならないような、なにか理由があったはずです。

 その辺りの事情を、よろしければ伺いたいんですが、いかがでしょうか?」

 

私の問いかけに頷いた八木先生は、真剣な表情になり、語り始める。

 

「OFAは、AFOを止めるために引き継がれてきた個性なんだ」

 

「オールフォーワン?」

 

そこから語られたのは、八木先生の師匠であり、先代継承者である志村菜奈さんと、個性AFOを持つ男(オールフォーワン)との戦い。

 

残念ながら敗れた先代。引き継いだ個性でAFOに立ち向かい、倒すことに成功するも、重傷を負って今の姿になってしまった八木俊典さんの戦いの歴史。

 

「私も重症だったが、AFOはそれ以上。重傷を通り越したあの惨状では、生きていまい」

 

「いえ、私は生きていると思います」

 

私は、間髪入れずに返した。だって、私には、確信がある。

 

「……根拠は?」

 

「複数個性持ちであり、明らかに個性を後付けされた存在と、戦ったからです」

 

AFOは、個性を奪い、ストックし、与えることができるという。それなら思いっきりAFOの関与を匂わせた存在と、私達は戦っているじゃないか。

 

「脳無……」

 

さらに言えば原作の都合上、対にしただろう個性名OFAとAFO。

 

元々のOFA・AFOという言葉は、一人はみんなのために、みんなは一人のためにという意味を持ち、セットで用いられるものだ。前世では、ラグビーを題材にしたドラマで、チームワークの重要性を説くのに使われたスローガンでもある。

 

そんな言葉を、わざわざ分けて個性名としたという事実が、ラスボスだろうAFOという存在を浮かび上がらせた。

 

「ええ、あんなバケモノ、誰にでも準備できる存在じゃないです」

 

まあ、最大の要因は、ショート動画の一部を思い出したからなんだけどね。あれって、アホって読むんじゃなかったとは、今まで気づかなかったよ。

 

とはいえ、AFOの存在も気になるけど、別件を聞かねば。考え込む八木先生には申し訳ないけど、時間は有限だしね。

 

「AFOについては、追い続けてきた八木先生にお任せするとして、次の質問に移ります。

 先程の話では、AFOとの激戦の結果、短い間隔での引き継ぎが必要だったのだろうと伺いましたが、本当にそれだけが理由なんでしょうか?」

 

「どういう意味だい?」

 

AFOの件は、私の期待した話じゃなく、気にかけていたのには別の理由がある。

 

「八木先生は、35年以上、OFAを保有してきました。先代以前は、10年足らずなのに、です。

 確かに蓄積されて強力になった個性のおかげで、生き延びられたとも取れるのですが、先代と八木先生でそこまでの差が出るモノなのか疑問に思ったんです。

 そこで、お聞きした話から、顕著な差異を考えてみたのですが……。先代は、浮遊の個性持ちで、八木先生は無個性。先先代がどうだったのかわかりませんので確証はありませんが、今代においては無関係だと思えないんです」

 

「まさか!」

 

ここまで言えば、八木先生にも思い当たったようで。

 

「個性持ちだと、なんらかの悪影響が出る、と?」

 

私は頷き、話を続ける。

 

「八木先生は、ヒーローのオールマイトとして、OFAを使い熟しているのでしょう。

 ですが、引き継いだ個性がどういったモノか、正確に把握できているとは言い難いように思えるんです」

 

八木先生は、無言で考え込んでいた。なら、私から、望む結果が得られそうな方針を示してみようかな。

 

「今後の引き継ぎに必要な知見を得るためにも、八木先生以外でOFAを知る人がいれば伺ったり、過去の継承者がどうなったかなど調べて欲しいんです。

 現状では、AFOの件を別にしても、個性自体の不明点から恐ろしくて引き継げませんし、そんな状態で引き継がせていいモノだと、私には思えません」

 

もしかしたら出久は、引き継いだ後でリスクを知ったんじゃないか。

それでもヒーローへの憧れと、強い正義感から戦って、最高のヒーローになったんじゃないか。

 

仮にそうだったとしても、今の出久には個性がある。それで引き継げば、先代までのようにリスクを抱えることになる。そんなことを姉である私が、許せるわけないよ。それこそ寿命を削っている可能性すらあると、私は考えてるんだから。

 

…… 八木先生の現状からいって、私が引き継ぐことが、最もリスクが低い。それでも、知るべきことは知って、覚悟を持つべきだ。

 

しばらくの間、お互いに沈黙し、生徒指導室に訪れる静寂。

 

「……先代の盟友であり、一時期、私の担任だったヒーローがいる。まずは、そこを当たってみよう。

 合わせて緑谷少女のいう通り、過去の継承者についても、早急に調査する必要があるな」

 

ついに口を開いた八木先生は、私の言葉を真剣に聞いてくれたのか、そういってくれたのだった。

 

 

Side 八木

 

緑谷少女との話は、予想外の方向へと流れたが、ある意味で有意義だった。

 

すでに緑谷少女は去り、ここには私一人。考えるには丁度いい環境だ。

 

「私は、倒れていて欲しいと、無意識に願っていたのだな」

 

脳無について、すでに調査してもらってはいるが、AFOの薫陶を受けた後継か、似たような個性を持つ者の仕業ではないかと疑っていた。いや、思いたがっていた。

 

「とにかく、OFAについてはグラントリノに話を伺うとしてだ。

 過去の継承者については、警察の力が必要だな。こちらは脳無同様、塚内君に協力してもらおう」

 

それにしてもOFAを引き継ぐこと自体に、コントロールとは別の欠点があるかもしれないなんて、思いもしなかった。

 

「まだ、そうと決まったわけではないが……」

 

確かに私は、お師匠の年齢を軽く超えている。激戦に次ぐ激戦で亡くなられたからこそ疑いもしなかったが、無個性が条件なのであれば。

 

「いよいよもって緑谷少女一択だな」

 

なにはともあれ、緑谷少女の言うように、必要な情報を集めねば。そう思った私は、二人に連絡をしてから、部屋を後にしたのだった。




以前のような更新は、約束できないんですが、今後とも応援いただければと思います。

●オリ主
OFAの懸念点を伝えるつもりが、ラスボスAFOを知る結果に。
返事は、しっかり調べてもらってからとなった。

●八木
OFAについて、予想外の話になった。
しっかり調べるために動き出したが、やっぱりグラントリノは苦手。

◼️原作乖離・フラグ要素
八木  OFA調査を引き継ぎ前に開始

◯ネタ
ラグビーを題材にしたドラマ 熱血教師が不良生徒を救うドラマ「スクールウォーズ」のこと。
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