主人公の個性奪っちゃったみたいだから返すね   作:しおんの書棚

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高評価・感想、ご愛読ありがとうございます。
お気に入りが1900を超えて驚きつつ、高評価に押されて区切りのいいところで更新した例。
トーナメント表は、原作通りで、鉄哲の代わりに尾白、塩崎のところにオリ主となっています。


雄英体育祭の第三種目:ガチバトル vs上鳴くんだね

Side 私

 

第一試合は、出久vs心操くん。

 

出久は、私を侮辱されて、思わず言い返してしまった。

 

そんな洗脳にかかるか、かからないかの瞬間、口内に見えた小さな炎。そのまま数歩歩くも、コントロールが完全に切れることで暴走したんだろうね。火傷による痛みを利用して無理矢理解除に成功し、出久はカラクリを完全に把握した。

 

勝ちたかったら自分で調べるはずと、態と伝えなかったんだけど、尾白くんか青山くんからでも予想を聞いてたんだろうね。準備に迷いがなかったし。

 

口から血を滲ませながらも、鍛えてきた成果で攻撃をほとんど貰わず、心操くんの八つ当たりじみた攻撃を、個性も利用して素早く引き込み、背負い投げで場外へ落として勝った。

 

試合後、観客から普通科の星って声をかけられた心操くんは、感極まった様子。出久といくつか言葉を交わし、移籍しての再会を誓っていた。うーん、青春だね!

 

その後、出久は、すぐにリカバリーガール先生のところへと治療に向かって、今は観戦してるはずだ。口内は、かなり危ないので、お姉ちゃんは凄く心配したよ。

 

第二試合は、轟くんvs瀬呂くん。

 

開始早々、テープで轟くんを拘束して場外を狙った瀬呂くんだったけど、轟くんが今までに見たことがないくらい巨大な氷塊を生み出して、瀬呂くんは一瞬で凍結。一部露出してたから、まだよかったけど、下手したら……。

 

表情も異常なほどに険しかったし、私達と話した後で、さらに何かあったのかもしれない。本人も、やり過ぎた、イラついてたって言ってたし。

 

そして、第三試合。私と、問題の上鳴くんとの試合だ。

 

『氷を溶かしたステージを乾かして! 次の対決に行くぜぇ!

 障害物競走、1位と僅差の2位!

 騎馬戦では機動力を担って、1000万ポイントを除いた最高得点に貢献し、こちらも2位!

 フィジカルエリート! 緑谷ひびき!』

 

フィジカルエリートって……。

フィジカルはいいけど、エリートって言葉は、選ばれた者って意味で多く使われるから、あまり良い印象がないんだよね。

 

まあ、優秀って意味もあるから、間違いではないけど……。努力の結果を、優秀の一言で片付けられるのも、納得できないというか、なんかもにょる。

 

そう思いながら、上鳴くんの選手紹介を待ち、開始の合図に備えていた。

 

Side 上鳴

 

八百万達、A組女子出場選手の4人は、試合に集中してるのか来なかったが、蛙吹達にはしっかり詰められた。

 

「ひびきちゃん、静かに怒ってたわよ」

 

蛙吹の言葉にビビる。一番怒らせちゃいけねえ奴を怒らせるとか、過去の自分を殴りたい。

 

アイツは、マジで強い。個性だけの強さとは違う、鍛え上げた人間の強さってやつだ。

 

俺の個人ランキングでは、轟・爆豪、そして緑谷姉の3人が同率1位。個性なら前者、それこそフィジカルと技術なら後者だ。

 

加えて、緑谷弟と違って、明確に個性を使ったところを見たことがない。いや、あのスピードが、引き寄せる個性の応用なのかもしれねえか。

 

とにかく、どんな理由で使うところを見せないのか知らないが、個性ってのは使う人間次第でいくらでも化ける。あれだけ身体を鍛えてるんだ、個性を疎かにしてるわけがねえ。使われれば、おそらくまったく手に負えない。

 

VS(バーサス)! スパーキングキリングボーイ! 上鳴電気!』

 

だから。

 

『スタート!』

 

だからさ。

 

体育祭(これ)、終わったらさ、一緒に飯でもどうよ? 俺でよければ、慰めるよ」

 

「全部、奢り?」

 

「いいぜ。この勝負を、一瞬で終わらせてな!」

 

これで、決める!

 

「無差別放電130万ボルト!」

 

瞬間、俺の身体から電撃が迸った。

 

 

Side 私

 

予想通りだった。だから、私は、最速で対応を完了していた。

 

「擬似畳返し!」

 

電気は、空気中より導電しやすい物体を通りやすく、かつ表面を流れるという表皮効果がある。ついでに言えば、130万ボルト程度では、条件を意図して作らない限り、空中放電にはそうそう至らない。彼の周りでバチバチと放電してるのは、彼の身体自体が電極となり、かつ距離が近く、個性の静電気特性によって、条件をいくぶん満たしたからだ。

 

よって、強力な震脚を例の正拳突き理論を流用した亜音速でステージに打ち込み、隆起したステージの一部を、畳返しの要領で利用すれば、それ自体が向かってくるすべての電気に対する防壁であり、避雷針にできる。

 

『開始早々、上鳴電気! 大・放・電!

 いきなりなんだぁ!? ステージが盛り上がったぞ! なにが起きてんだぁ!?』

 

『あいつ、とんでもない足腰してるな。ステージの一部を踏み抜いて、避雷針代わりにしたってことか』

 

隆起したステージを隠れ蓑に、瞬時に上空へ向けて跳躍。今日は身軽だからね、この程度はわけない。

 

「よっと」

 

隆起したステージで、私はまったく見えなかったはずだし、上鳴くんは完全に私を見失ったようで、上を見る様子はない。

 

『緑谷ひびき、どこに消えた!? ステージ上には見えないぜ!? 場外にもいねえ!』

 

今の私では、空気自体を蹴って跳躍したり、姿勢を変えたりはできないけれど、動かない相手の背後まで跳躍するくらいなら、余裕で熟せる。もしも上鳴くんに動きがあれば、それはそれで対応策も準備していた。

 

短い滞空時間中に観察しても、上鳴くんは、電撃を放出した場所を動いていない。私を警戒して動けないのだろう。それなら予定通りと、上鳴くんの真後ろに、音もなく着地。そのまま、いつぞやの爆豪くんよろしく、当身を入れる。

 

「ゲームセットだよ、上鳴くん。後で、しっかり奢ってもらうから、忘れずにね?」

 

そして、気絶して倒れる上鳴くんを抱えた。

 

『ド派手な割に、あっという間についた決着は鮮烈ぅ!!

 おいおい、特撮じゃねえんだぞ! いきなり上鳴電気の後ろに現れて、速攻気絶させるとか、マジかよ!』

 

『デカいステージ片を隠れ蓑に跳躍してたのか、驚異的な身体能力だな』

 

『とにかく第三試合の勝者は、緑谷ひびき! 二回戦進出だあぁ!!』

 

さて、まずは上鳴くんを起こそうか。

 

「えい」

 

そう思いながら、活を入れてみれば。

 

「う」

 

「う?」

 

「うぇ〜い」

 

あ、これって、放電した時点で終わってた感じ?

 

「締まらないなあ、まあいいか」

 

このままにしておくのも後の邪魔だろうと、上鳴くんを連れて控え室へと向かう。

 

次の相手は、対戦表から、飯田くんvsお世話になっている明ちゃんの勝者が相手か。

 

「正直に言って、明ちゃんの方が、色々な意味で厄介かもね」

 

そう呟きながら、上鳴くんを連れて、会場を後にしたのだった。

 

 

Side 八木

 

「はっ、はははは!」

 

思わず、笑いが溢れた。

 

なんということだ! 緑谷少女は、自力で生み出した机上の空論たる技術を、腕だけでなく、脚で活用できるまでに昇華していた。

 

「そうでなければ、あんな威力を出せるわけがない」

 

音速を出せば、身体が壊れる。ならば、亜音速で活用する。

当然、それに耐えられる強靭な肉体と、緻密な衝撃コントロールも必要だ。

ステージを踏み抜くほどの震脚の反動は、全身のバネで吸収し、脚が壊れないようにすればいい。それを実践して見せた訳だ。

 

「言葉通り、机上の空論を、現実に引き摺り下ろしてみせるとは」

 

しかも彼女は、無個性。これでOFAを引き継いだなら、私など目じゃない。

 

「緑谷少女は、今までで十分に、人の“可能性”を見せている。

 だが、強力なライバルが待つこの先を考えれば……」

 

あれですら、見せ札だというのか。その想像に、ブルリと身体が震える。それと同時に思う。

 

「緑谷少女だけは、絶対に悪の道へ落とすわけにはいかない。

 そのためには緑谷少年をもっと鍛え、それまでは守る必要がある」

 

彼女のウィークポイントは、最愛の弟であり、家族だ。

 

私自身、次点ではあるが、緑谷少年を認めている。それこそ緑谷少女と出会わなければ、未来に期待してOFAを譲り渡すほどに。

 

「緑谷少女、君の言葉に嘘はなかったし、ヒーローチーム構想の意味がより一層よくわかった。

 君が最高のサイドキックになるなら、相棒たる緑谷少年は最高のヒーローになれるだろう。それこそが、緑谷少女の目指すヒーローの形。

 お互いの穴を埋めあって支え合う、新しくも正しい真の意味で苦楽を分かち合うヒーローの姿!」

 

先代OFA継承者であった志村菜奈(お師匠)、見て下さい。次代の芽は、貴女の似姿で現れましたよ。家族思いの貴女によく似た少女として。

 

試合は続く、結果はまだわからない。それでも私は期待する。緑谷少女が勝ち進み、仲間を導き、新たな時代を作る。そんな姿()を。

 

「かつてのお師匠のように」

 

願わくば、見守ってください。私も、全力で、少年少女達を守りましょう。今までも、これからも。




超頑張りました、いやマジで。

●オリ主
超人的な技と理論に基づく知識を活かして、電気(ダブルミーニング)を攻略した。

●上鳴
原作同様瞬殺ではあるが、小説の都合上、色々と表現された。
後日、オリ主に“全部、奢らされる”予定。

●プレゼントマイク
毎回、なんかやらかすから驚きっぱなしだけど、期待はしてる。

●相澤
とんでもない身体能力に、無個性だからと簡単に除籍できず、かなりヤキモキしてる。

●八木
脳は、まる焦げになった。これからも、焼かれる予定。

◼️原作乖離・フラグ要素
オリ主 塩崎に変わって勝利
出久  自力で勝利
OFA  オリ主へ譲渡希望+6・個性保有期間さらに延長
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