戦姫絶唱シンフォギア Answer   作:川井 アザト

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10話

事件があったのは、私が取調室から出て、SONGの本部からリディアンの寮へと帰っている途中のことだった。

 

風鳴司令から持たされたSONGの端末に、緊急の連絡がかかってきた。

 

内容によると、響さんが、オートスコアラーと呼ばれる錬金術の人形、そしてアルカノイズと交戦しているという情報だった。

 

私の戦った、ガリィや派手な外見の人物が、オートスコアラーだというのはそこで知ったが、響さんが、なんとかギアを纏えたことにもすこし安堵した。

 

私は、その連絡を受け、現場に急行した。

 

だが、事態は最悪の展開を、迎えてしまった。

 

響さんのシンフォギア、ガングニールが、オートスコアラーによって壊されてしまったのだ。

 

私が、現場に駆けつけたときには、オートスコアラーの姿はなく、そこには、響さんと一緒にいた未来さんと、戦闘不能になり意識のない響さんが横たわっていた。

 

私はすぐに救援のヘリを送るよう、端末で指示を出し、響さんは、SONG本部の医療班の元へと搬送された。

 

未来さんは、意識のない響さんに、必死で声をかけ続けていた。

 

それから、1週間。

 

響さんは、まだ目覚めていない。

 

未来さんは、心ここにあらずといった状況だった。

 

授業が終わったお昼。

 

私は、未来さんと一緒に、いつもの場所で、昼食を取っていた。

 

真理「未来さん。食べないの?」

 

未来「うん・・・・」

 

未来さんは、自分のお昼ご飯に手をつけようとしない。

 

真理「やっぱり、響さんのことが気になる?」

 

未来「そうだね・・・・」

 

未来さんと私は、1週間の間、一度もお見舞いを欠かさなかった。

 

私にとって、響さんは友達だが、未来さんにとっては、家族のように慕っている友人以上の存在なのだ。

 

真理「私は、響さんなら大丈夫だと思うよ。彼女は、目を背けなかった。だから、シンフォギアを再び纏えるようなったんだし、歌えるようにもなった。私とは、大違いだよ。」

 

未来「真理さんは、違うの?」

 

私の〈過去〉は、炎に晒された、傷だらけの〈過去〉だ。

 

私は、それすらも、身近の大切な人に、言えないでいる。

 

真理「私は、過去は忘れたくない。だけど、自分の心はいつも目を背け続けてる。そこが、私と響さんとの違いなんだよ。」

 

私は、頬の傷を撫でながらそう言った。

 

未来「私は違うと思うな。」

 

未来さんは、私を見つめながらそう言った。

 

未来「本当に真理さんが目を背けてるなら、真理さんは、この間みたいに戦えてなかったと思うな。」

 

真理「未来さん・・・・」

 

未来「私が思うにはね、真理さんは目を背けてるんじゃなくて、自分自身と戦おうと必死でもがいてるんじゃないかって思うんだ。」

 

真理「自分自身、と・・・・」

 

未来さんの言葉に、私は少し、気づかされたような気がした。

 

本当の自分を言えず、過去を言えず、ただひたすらに、歌い、戦う。

 

それらは、まるで、今の自分を映し出している鏡のような行いだと感じた。

 

未来「でもね、真理さん。これだけは、約束してほしいの。」

 

真理「約束・・・?」

 

未来「うん、約束。絶対に、自分のことを、責めないで。」

 

真理「・・・!」

 

未来さんの言葉が、私の心の琴線に触れた。

 

そんなことを感じた、お昼の時間だった。

 

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放課後。

 

私と未来さんで、SONG本部のメディカルルームに、響さんのお見舞いに来ていた。

 

響さんは、メディカルルームの真ん中に寝かされている。

 

相変わらず、響さんは、眠りこけたままだった。

 

未来「響・・・」

 

未来さんは、響さんの手をそっと握った。

 

真理「早く起きてね、響さん。じゃないと、響さんのごはんたべちゃうよ?」

 

響さんの好物は、ごはん&ごはんだと聞いた。

 

それを聞いただけで、響さんは、食べることも大好きなんだと感じた。

 

そんな響さんが、何も食べずに寝ている。

 

その光景が、にわかには信じられなかった。

 

未来「そうだよ。それに、早く起きないと、真理さんも歌ってくれないよ?」

 

放課後の自由時間、たまに、第二音楽室に響さんたちと集まって、歌を歌うことがある。

 

皆、思い思いに好きな歌を歌う時間だ。

 

私は、その時間が、学校の中の生活の中で、なによりも楽しみだった。

 

真理「起きないね、響さん・・・・」

 

未来「起きないね、響・・・・」

 

彼女は、目をつぶったままだった。

 

真理「・・・・・・・・・あったかいものでも買ってくるよ。未来さんは何が良い?」

 

未来「あ、だったら私も行こうかな。響の分まで、選んで飲まなくちゃ。」

 

未来さんらしい回答に、私も少し安堵した。

 

私は、未来さんと共に、メディカルルームから出て、SONG本部内の自販機のところまで行こうとしていた。

 

しかし、その道中、またしても、緊急事態が起こった。

 

アルカノイズの出現を知らせるアラームが、艦内中に響き渡る。

 

真理「またか!?未来さん!あなたは、響さんのところにいて!!」

 

未来「真理さんは、どうするの!?」

 

真理「私は、風鳴司令に状況を聞いてくる!!」

 

私は急いで、SONGの司令室へと駆けた。

 

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私は、司令室に駆け込むように入った。

 

真理「風鳴司令!状況は!」

 

弦十郎「真理君!来てくれたか!」

 

司令室には、風鳴司令、オペレーターの藤堯さんに、友里さん以外にも、雪音先輩に、翼さん、マリアさん、調さんに切歌さんまでいた。

 

響さんを除いてメンバー勢揃いだ。

 

クリス「真理!!お前、あのバカのとこにいたんじゃ!!」

 

真理「警報聞いたらいてもたってもいられなくなっちゃって!」

 

翼「小日向はどうした!?」

 

真理「響さんのところにいます!安心してください!」

 

私は、風鳴司令に、今の状況を聞いた。

 

敵は大群のアルカノイズ、そして、オートスコアラーだ。

 

しかも、SONG本部の補給を狙ってやってきた。

 

オートスコアラーたちは、都内の電力施設を破壊し、こちらのエネルギー補給を断つつもりだと考えられている。

 

マリア「はっきり言って、状況は芳しくないわ。」

 

真理「同時攻撃・・・」

 

オートスコアラーの攻撃には、何か、計画的な動きが見て取れる。

 

それは、その場の状況を見ていた者たちの私見からも明らかだった。

 

調「やっぱり、私たちが・・・!」

 

切歌「アルカノイズがなんぼのもんかデス!」

 

弦十郎「ダメだ!お前たちのリンカーの開発もままならない状況では、実戦に参加することは許可できない!」

 

調 切歌「「ッ・・・!」」

 

皆、見ていることしかできない状況に、歯を食いしばっていた。

 

真理「私が出ます。」

 

私は、戦いの場に赴くことを進言した。

 

クリス「真理!バカかよお前は!?お前一人であのアルカノイズの大群を相手にするつもりか!?」

 

翼「無謀すぎる!それに、敵はアルカノイズだけではない!」

 

真理「わかってます!だから一分一秒でも時間が惜しい!敵がどれだけ来ようと私は戦います!風鳴司令!お願いします!」

 

私は、風鳴司令に頭を下げ、自身の実戦投入の許可を求めた。

 

マリア「勝算はあるの?真理。」

 

マリアさんに、勝算の在処を聞かれる。

 

真理「あります・・・!必ず、私は生きて戻ります!だから!」

 

私は、再度、風鳴司令に頼み込む。

 

弦十郎「・・・・・わかった。許可しよう。」  

 

クリス「オッサン!?」

 

翼「叔父様!?」

 

調「ダメだよ・・・!いくらなんでも真理さん一人じゃ!」

 

切歌「絶対無茶デスよ!」

 

風鳴司令の、以外な返答に、マリアさんを除いたシンフォギア装者の四人は、動揺した。

 

弦十郎「現状、こちらの戦力としては、真理君が一番好ましい。真理君の戦闘データから見ても、実力は充分にあるだろう。」

 

真理「風鳴司令・・・!」

 

弦十郎「ただし、これだけは約束してほしい。」

 

風鳴司令は立ち上がり、私の肩に手を置いた。

 

弦十郎「絶対に、無理だけはするなよ?生きて戻ってくることの約束を違えるな!」

 

真理「はいッ!」

 

私は、風鳴司令からの約束を受け取り、司令室を出た。

 

向かうは、アルカノイズの大群とオートスコアラーのいる戦場。

 

私は、また、錬金術師たちとの戦いに、身を投じた。

 

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