私は、SONG本部から出て、港に群がるアルカノイズの大群の前へと立った。
港の警備部隊は下がり、この戦場は、私の独壇場となった。
真理「想像以上に数が多いね・・・」
港にはびこるアルカノイズの数は、この間戦った、ガリィとの戦闘よりも、はるかに多かった。
真理「考えても仕方ないか・・・」
今は、港にいる人間や、SONG本部を守ることに専念するため、時間が一分一秒でも惜しかった。
私は、胸に手を当て、唱える。
〈sol la ritu tron〉
手足に、ギアが纏われる。
全身をギアが覆い、私は、目の前のアルカノイズの群れに向き合う。
真理「この間は歌いすぎたよ・・・だから今日は、効率よく行く・・・」
私は、右手に剣を展開し、両手に構え、深く姿勢を落とす。
真理「ふぅ・・・」
息を吐き、そっと目を閉じる。
構えられた剣に、じわじわと炎が宿る。
私がそっと目を開ける。
すると、剣の炎は、巨大な火柱へと姿を変える。
真理「喰らえ・・・!」
私は、目の前のアルカノイズの、集団に対し、火柱の上がる剣を、横薙ぎに振り払った。
振り払われた剣は、炎の音を上げながら、目の前のアルカノイズたちを、薙ぎ払っていく。
炎に飲み込まれたアルカノイズは、塵一つ残さず消えていく。
私が、剣を振り終えた時には、港の地面に、大きな焦げ跡が、残るのみだった。
真理「正面のアルカノイズの一掃、完了・・・」
SONG本部の正面に居座っていたアルカノイズは、私の炎で殲滅された。
真理「よし・・・!じゃあ次・・・!」
私は、港の近くで暴れているオートスコアラーに、目標を変える。
〈力〉、通称〈オーバードライブ〉を解放し、目的の地へと移動しようとした。
だがその時、私の視界の端で、赤い結晶のようなモノが向かってくるのが見えた。
真理「くッ・・・!」
私は、〈オーバードライブ〉を解放し、私の方へと飛んできた、結晶を、紙一重で避ける。
飛んできた結晶は、私の頬をかすめ、後ろに着弾する。
ミカ「ありゃー?外れたゾ。」
結晶の飛んできた方向から、声がする。
真理「やっぱり、アルカノイズだけじゃなかったか・・・」
声のした方向を見ると、そこには、小柄で、大きな爪を携えた、色白の赤髪の少女のような姿をした人物が立っていた。
真理「あなた、オートスコアラー?」
ミカ「そうだゾ!ミカだゾ!やっと会えたゾ田中真理!」
真理「ガリィとは違うんだね。まあ、人形とはよく言ったものだよ」
ミカ「あんなやつと一緒にしないでほしいゾ。ミカの目的はぁ〜〜」
ミカと名乗るオートスコアラーは、大きな手をこちらに構える。
ミカ「お前だゾ!やっとお前と戦えるゾ!」
ミカは、私と戦う気になって歓喜しているようだった。
真理「はぁ・・・帰ってほしいんだけど、ほっとくわけにもいかないか・・・」
私は、静かに、ミカに向かって剣を構える。
真理「あなたに歌ってあげるほど暇じゃないから、速攻で終わらせるよ。」
ミカ「お!やる気になってくれたゾ!行っくゾー!」
ミカは、大きな手の平から、赤い結晶を、私に向かって撃ちだす。
私は、剣で、向かってくる結晶を弾く。
ミカは、私が結晶に気を取られている隙に距離を詰め、大きな爪で攻撃を繰り出してくる。
私は、それを躱し、大ぶりの攻撃のタイミングを見計らって、ミカの心臓部分に剣を突き立てようとした。
ミカ「どか〜ん♪」
ミカの体から突如として、火の玉が膨れ上がる。
真理「ッ・・・!」
私は、オーバードライブを使い、火の玉を回避する。
ミカ「おお〜!これ避けるなんて!オマエすごいゾ!」
ミカは、興奮を露わにしていた。
真理「あいにく、あまり私は人間じみてないんでね。」
私は、体勢を戻し、再び剣を構える。
ミカ「すごいゾ!やっぱりマスターの言った通りだゾ!やっぱりお前は怪物だナ!」
ミカは、嬉しそうに、また、両手を私に構える。
真理「怪物かどうかは知らないけど、これ以上アナタに構ってられない・・・!」
私は、剣を深く構え刺突の態勢をとる。
真理「砕けろッ・・・!」
オーバードライブを高出力に発動し、一気にミカとの間合いを詰める。
剣の切っ先は、まごうことなくミカの胸に突き刺さるルートだ。
真理「とったッ・・・!」
剣は、ミカの胸に突き刺ささった・・・・・はずだった。
突然、ミカの前に、黄金のシールドが展開され、私の剣を止めていた。
キャロル「まったく・・・大層な威力だな。田中真理。」
目の前には、大きな帽子をかぶりローブを身にまとった、少女が立っていた。
真理「ッ・・・!」
目の前の少女は、私の剣を、シールドで、弾き返す。
ミカ「あり?マスター?なにゆえ来たんだゾ?」
キャロル「下がれミカ。こいつは、オマエごときに手に負える相手ではない。」
ミカ「え〜〜〜!ミカもっとやりたいゾ!田中真理は、ミカの獲物なんだゾ!」
キャロル「オマエの意見など聞いてはいない。下がれ。」
少女は、ミカを睨み、退くように命じた。
ミカ「チェッ!興が削がれたゾ。んじゃ、バイナラ〜」
ミカは、懐から紫色の瓶を取り出し、地面に投げ、紋章を展開させて姿を消した。
オートスコアラーのミカが、姿を消し、この場には、私と目の前の少女の一対一となっていた。
真理「今度は、どちらさま?」
キャロル「キャロル・マールス・ディーンハイム。オマエという怪物じみた奇跡を殺戮する者だ。」
真理「キミも錬金術師?」
キャロル「そうだ。オレには、成し遂げなければならないことがあるのでな・・・・・田中真理、オマエにはご退場願おう。」
キャロルと名乗る少女はそう言うと、何もない空間から紫色の大きな竪琴を取り出した。
キャロル「オレも、オマエ相手に出し惜しみはできないのでな、本気でいくぞ・・・!」
キャロルは、竪琴の琴線に指を触れ、そっと奏でた。
すると、竪琴は姿形を変え、キャロルを包み込むように、展開していった。
竪琴から糸が飛び出し、キャロルの手足を包んだかと思うと、次々と、衣服の様相が変わってゆき、キャロルの姿も、少女の姿から、大人の成人女性の姿へと変わっていった。
真理「ギア・・・!?いや、これは・・・!」
キャロル「ファウストローブ。高質量のエネルギーを錬成した、オレの兵装だ。言っただろう。出し惜しみはしないと。」
私は、ファウストローブを纏ったキャロルに、剣を構える。
キャロル「さあ、殺戮の時間だ。」
キャロルと私の、第二の火蓋が、切って落とされた。