戦姫絶唱シンフォギア Answer   作:川井 アザト

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3話

この国の学校に通ういつもの朝になりつつあったある日。

私は、いつものように、リディアン音楽院へと続く道を歩いていた。

天気は良好、空気もおいしい。こんな日は、絶好の歌日和だ。

だが、

「少し疲れてるかもな・・・私。」

私は昨日、ある大きな火事の現場に鉢合わせた。

近くの消防士が、建物に数名、民間人が取り残されていると聞いてしまった時、私の体は、勝手に動いていた。

そして、使ってしまった、〈力〉を。

「・・・・・・・・」

うつむきながら、私は登校する。

その時だった。

「おはよう!真理さん!」

後ろから、最近になって聞き覚えのありすぎる声がする。

「っ・・・!」

私は、早歩きで、その場を離れようとする。

「真理さん!待って!」

聞き覚えのある声の主は、私の手を強く握ってくる。

「やめて・・・離して・・・!」

私はその手を振りほどこうとする。

しかし、振りほどけば振りほどこうとすると、その力は強くなっていく。

「ごめんね、真理さん。今日は、離したくないんだ。」

手を握っている太陽の化身、立花響は、少しだけ、握る手を緩めた。

「・・・・!」

彼女は、手を握りながら無理に引っ張ろうとしなかった。

私の意志を汲み取ろうとしてくれていたのだ。

「響さん・・・」

それに、彼女の手は、とても温かかった。

まるで、心の氷を、解きほぐしてくれるみたいに。

「真理さん、お話したいことがあるんだ。お昼にでもどうかな?」

「・・・実はね、私も話したいんだ、あなたと。」

私は、立花響が嫌いなわけではない。

立花響と一緒にいる小日向未来、安藤創世、板場弓美、寺島詩織。

彼女たちが、立花響と一緒にいるとき、その場は、とても温かくて楽しい雰囲気になっていた。

私は、彼女たちと距離を置きながらも、心の何処かで、そっちに行きたいと思っていた。

「っ!真理さん!」

私は誘いを了承した。その瞬間、立花響の顔は、パッと笑顔に変わった。

私は、お昼に、立花響たちと出会う約束をし、その場を後にした。

 

❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖

 

リディアン音楽院での昼休憩。

私は、立花響に場所を指定し、待ち合わせることになった。

待ち合わせの場所に来たのは、立花響本人と、小日向未来、そして、銀髪の少女、名前はたしか、一つ上の学年にいる、雪音クリス先輩だ。

彼女たちは、私のところまで来ると、お弁当を広げ、話し合いの席を設けた。

「ごめんね。こんな薄暗いところを選んで・・・」

「ううん!気にしてないよ!」

「ここは涼しくて気持ちいいから、私も来たかったんだ。」

「まぁ、ここなら、バカの頭も冷えるだろうからな。」

「ちょっとクリスちゃん!言い過ぎだよ!」

「ふふ・・・」

私はすこし、立花響と雪音クリスのやり取りを微笑ましく思った。

「あ、やっと笑ったね。真理さん。」

「ホントだよ!未来!やったね!」

私の笑顔を見た二人は、優しく、微笑んだ。

「じゃあ真理さん!話したいことがあるなら、どんどん話してみて!なんでも聞くよ!」

立花響は、私を中心に、話をすることを勧めた。

「そうだね・・・これは、あなたたちが、聞きたいことにも重なるかもだけど、昨日のことを話したいかな、なんて・・・」

「っ・・・!気づいてやがったのか・・・!」

「ただの勘だよ。雪音先輩。昨日の私の行動には、誰かが気づくはず・・・それは、国の機関だったりの監視体制からでもわかることだよ。」

都内にある無数の監視カメラと、エネルギーの検知器。

私の昨日の行動を鑑みれば、気づかれるのも無理もないことだとわかっていた。

そして、次の日になって、私を必死で引き留めようとする人間がいれば、それは、国に関係しているといっても過言ではないと思っていた。

「昨日の人は、やっぱり真理さんで間違いないんだね。」

「うん。そうだね・・・」

「響から聞いてるよ。昨日、とってもかっこよくてミステリアスな人を見たって。それが、真理さんのことだとは思いもしなかったけど。」

「正直、アタシは、今でも昨日の現象が信じられねぇ。いったいどうやったんだ?」

「そうだね・・・今は、私は特異な能力を持っているとしか話したくないかな・・・私はね、自分の力を誰かに役立てたいだけなんだ。人助け、とかね。」

私の〈力〉は、とても危ないモノだ。

それは、私が身にしみてわかっているつもりだ。

「真理さんも、助けを求めている人を放っておけないんだね。響と一緒だよ。」

「響さんと?」

「ああ。こいつはな、超がつくほどのお人好しだ。殺しに来た敵もドン引きするくらいのな。」

「そうなんだ・・・」

立花響が、優しい性格なのだとは気づいていた。

だが、二人が言うには、彼女は、自分が思っている以上に、優しすぎる性格のようだ。

「私はね、人助けが趣味なんだ!だから、同じ志を持っている人に出会えて嬉しい!私は、これからも真理さんと仲良くしたいな。」

「響さん・・・」

立花響のまっすぐで誠実な瞳が、私のことを見つめる。

「そうだね・・・私も、響さんと仲良くしたい。もちろん、今日この場にいる小日向さんと、雪音先輩とも・・・ダメ、かな・・・?」

わたしは、恐る恐る三人のことを見つめた。

「真理さん・・・!やったよ未来!またひとり友達ができたー!」

「よかったね響!私も嬉しい!」

「これからよろしくな。真理。まあ、お前のことは、追々で良いから、ゆっくり教えてくれよな。」

「うん・・・ありがとう・・・」

それから、私たちは、昼休憩が終わるギリギリまで話し込んだ。

自分の好きなものを、心ゆくまで話し合った。

その時間は、とてもかけがえのないものだった。

 

❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖

 

放課後。

私は、校門を出て、一人寮に向かっていた。

響さん、未来さん、雪音先輩は、別件の用事で、一緒には帰れなかった。

なんでも、響さんの課題が溜まっていて、それが追いついていないんだとか。

あんなに優しい人でも、抜けているところがあるんだと思った。

まあ、響さんぽいって言われれば、そうかもしれない。

私は、そんなことを思いながら、一人、帰路を歩いていた。

そんな時だった。

突然、黒いセダンの車が数台、私の目の前に止まった。

車の中からは、数人のサングラスをした黒服の男たちと、リーダー格であろう、短い茶髪で整った顔立ちの男性が降りてきた。

「田中真理さんですね?」

「そうですが?」

「私は、国の機関の者で、緒川と申します。あなたを連行するため、まかりこしました。」

予想はしていた。

やはり、国の機関が、私の行動に勘づいていた。

「なるほど、やっぱりそうなりますか・・・」

「はい。申し訳ありませんが・・・」

緒川と名乗る男は、申し訳なさそうに、私に同行を求めた。

「いいですよ。貴方がたに従います。」

「ご協力感謝します。すみませんが、規則によってあなたを一時的に拘束します。よろしいですか?」

「かまいません。」

私は、両手を引っ付けて目の前に差し出した。

「失礼します。」

緒川の指示で、黒服の男たちに拘束用の手錠をかけられる。

私は彼らに連れられ車に乗り、そのまま国の重要機関へと移送された。

 

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