レイア「エルフナインが脱走しました。よろしいのですか?マスター。」
キャロル「問題ない。計画通りだ。最初の毒を仕込ませるのは、あいつの役目だ。」
とある城の中。
歯車と機械が激しく絡み合ったようなその空間に、四人の人形と、一人の少女の姿があった。
ファラ「でしたら、次は私の番ですわね。」
キャロル「お前に任せる、ファラ。」
ファラ「仰せのままに。」
人形の一人、ファラは、自分の使命を全うするため、その場から姿を消した。
ガリィ「思い出の回収は予定どおりですよ〜マスタ〜。」
キャロル「ご苦労だ、ガリィ。引き続き思い出の回収に努めよ。」
ガリィ「承知しました〜。」
キャロル「後は、ミカが動けば、計画は初めの一歩を踏み出す。奇跡の殺戮は、予定通り・・・・というわけでもないようだ。」
キャロルは、錬金術のモニターを展開し、ある一人の少女の姿を映し出す。
キャロル「田中真理・・・・こいつは、オレの奇跡の殺戮にとって、最大の障害となりうるだろう・・・」
レイア「マスター。田中真理は、タダの地味な人間ではないのですか?」
キャロル「侮るな、レイア。こいつは、人間ではない。〈怪物〉だ。」
キャロルが〈怪物〉と呼ぶその少女。
そんなことを、キャロルから呼ばれていることを、田中真理は、知る由もなかった。
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取り調べを受けた日から3カ月が経とうとしていた。
リディアンでの授業中、私はふと、隣を見た。
響さんが、お休みをしている。
あの、響さんが、太陽のような陽の気を持った彼女が、学校を休んでいる。
響さんだけじゃない、雪音先輩に、調さんと切歌さんまで。
学校に残っている友達は、未来さん、創世さん、詩織さん、弓美さんの四人だった。
(なんだか、寂しいな・・・)
最近になって、響さん達とつるむようになってから、私の中での友達の大切さは、比べ物にならないくらいになっていた。
それ故に、彼女たちのいない日常が、考えらなかった。
未来「真理さん?どうしたの?」
2つとなりの席に座っている未来さんが、小声で私に話しかけてきた。
真理「いや、なんだか、寂しいなって・・・」
未来さんに、自分の、今の、気持ちを言った。
未来「わかるよ、真理さん。私も、響がいない時間が、なによりも寂しくてしかたないよ・・・」
真理「未来さんも、そうなんだね・・・」
未来、真理「「はぁ・・・」」
私と未来さんで、同時にため息をついた。
「小日向さん、田中さん、私語は謹んでください。後、そんなに大きなため息つかれたら!私の心も削がれます!」
未来 真理 「「は、はい!ごめんなさい!」」
私と未来さんは、先生の大きな声に反応して、起立して謝った。
いつもなら、響さんが、先生に怒られているのだが、今日は私と未来さんとで怒られてしまった。
私のいつもの日常は、少しだけ、狂っていた。
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1日の、全ての授業から解放され、私は、未来さんに創世さん、詩織さんと弓美さんとで、学校から出ようとしていた。
真理「・・・・・・」
創世「どうしたの?マリー調子悪そうだけど?」
未来「私と一緒だよ。響がいなくて、寂しいって感じてるの。」
創世「あ~なるほどね・・・」
詩織「たしかに、響さんがいるといないとでは、場の和みがちがいますものね。」
弓美「アニメみたいなあの子がいれば、いつだって現実逃避できてるような気がするもんね〜。」
皆、響さんのことを思い思いに話す。皆、響さんの存在が、自分の中で大きいのだ。
真理「はぁ・・・歌いたい・・・」
私は、今の陰鬱とした気持ちを発散させたかった。その方法は、私の大好きなことを思いっきりするしか他に思いつかなかった。
未来「そういえば、最近真理さんの歌を聴いてないような・・・真理さん、とっても上手なのに・・・」
創世「え?マリーってそんなに歌が上手なの?初耳なんだけど。」
詩織「私も、初めて聞きました。」
創世さんと詩織さんは、私が歌を歌っていることについて、知らないようだった。
そういえば、この3人には、一度も歌を聴かれたことがない気がする。
弓美「なるほどね〜〜・・・となると、行くところは一つでしょ!!」
真理「え?」
創世 詩織 弓美「「「カラオケ!!!」」」
カラオケ。それは、大衆が、歌を歌うために行くところ。
私は、まだカラオケというものに行ったことがなかった。
真理「カラオケってどんなところなの?」
創世「え!?マリーカラオケ行ったことないの!?」
弓美「それは、人生の半分を損してるわね。」
詩織「とても楽しいところですよ。思いっきり歌えば、気分も晴れます。」
3人は、私に、カラオケの楽しさというものを教えようとしてくれる。
それを聞くと、俄然、興味が湧いてきた。
真理「楽しそうだね。カラオケ。私も行きたい。」
未来「私も行きたいな。真理さんの歌も聴きたいし、響の分まで歌いたいから。」
弓美「よーーし!そうとわかれば!」
創世「行こうよ!マリー!コヒー!」
詩織「さあ!早く早く!」
私たちは、カラオケに向けて、一斉に駆け出した。
まだ見ぬ冒険に出るように。
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カラオケは、とても楽しいものだった。
自分の好きな歌を思いっきり歌える。
その喜びを爆発させてくれる、とても素晴らしい場所だった。
私は、最初何を歌えばいいのか分からなかったが、自分の好きな歌を歌えば良いと、彼女たちは言ってくれた。
その言葉に甘え、私は、翼さんや、マリアさん、奏さんの曲を歌った。
逆光のフリューゲル、不死鳥のフランメ・・・私の心に火を灯してくれる歌の数々。
私は、それらの歌を、思いっきり歌った。
未来「楽しかったね。真理さん。」
3人と別れたカラオケ終わりの夕方に、私は未来さんと一緒の帰路に着き、今日のことを振り返っていた。
真理「うん!とっても楽しかった!素晴らしいね!カラオケというものは!」
未来「真理さんが楽しかったのなら、私も嬉しいよ。」
あっという間に過ぎたカラオケの時間は、私にかけがえのないものをくれたような気がした。
真理「未来さん、また一緒に、今度は、響さんや雪音先輩、調さんに切歌さんとも行きたいな。」
未来「もちろんだよ。また楽しもうね。」
私は、未来さんと、再びカラオケで楽しむ約束をした。
レイア「取り込み中か?」
突然、後ろから声がした。
真理「!?」
声がした方向を見ると、そこには、色白な肌で、派手な服装をした人間が、謎のポーズで立っていた。
真理「あなたは誰!?」
レイア「知る必要はない。お前を派手に味見しにきただけだ。」
目の前の人物は、コインを指に挟んで構えた。
レイア「戦え、田中真理。さもなくば・・・」
指に挟まれたコインが飛び、私の頬を通り過ぎ、未来さんの腕をかすめた。
未来「キャアっ!」
真理「未来さん!」
腕に傷を負った未来さんは、その場に倒れる。
レイア「どうする?田中真理。」
真理「・・・・・・よくも、やってくれたな・・・私の友達を・・・」
私は、激しい憤りを感じた。
真理「ぶっ飛ばす・・・!」
私は、〈力〉を解放し、目の前の派手な人物に肉薄した。
レイア「なにっ!?」
真理「フッ!!」
間合いを一気に潰し、相手の腹に蹴りを食らわせる。
レイア「がっ!!」
真理「ぜぁっ!!」
吹き飛ぶ相手にさらにまた接近し、頭を掴み地面に叩きつける。
レイア「がはっ!!」
叩きつけた地面に亀裂が入り、相手はその場にめり込む。
真理「よくも私の友達を傷つけたな・・・?」
私は手を握り、拳に力を入れる。
真理「潰す!」
私は、構えた拳を、相手の頭に叩き込もうとした。
未来「真理さんっ!!もうやめてぇっ!!」
真理「っ!!」
拳を叩き込む瞬間、未来さんの声がして、私は我に返った。
放たれた拳は、相手の頭を逸れ、地面へとめり込んだ。
真理「はっ・・・はっ・・・はっ・・・」
不覚だった。怒りに任せて〈力〉を使うなど。
未来「真理さんっ!」
倒れていた未来さんは、後ろから私に抱きついた。
真理「・・・・未来さん、動いたら傷が・・・」
未来「そんなの関係ない!真理さんが誰かを傷つけるくらいならこんなの・・・!」
真理「未来さん・・・」
未来さんは、しばらく私を離さなかった。
レイア「まさか、これほどとはな・・・・・マスターに、知らせねば・・・」
目の前の倒れている相手が、そんなことを言った瞬間、何かが割れる音がしたかと思うと、相手はその場から姿を消してしまった。
真理「消え、た・・・?」
敵の消えたその場には、地面の大きな亀裂と、怪我をした未来さんと私だけが、取り残されていた。
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