あの日の出来事から次の日、響さんたちが、長期の〈休み〉から帰ってきた。
響「真理さん・・・!未来を守ってくれて、本当にありがとう・・・!」
いつもの昼休憩の場所で、響さんが、私の前で頭を下げる。
周りには、響さんの他に、未来さん、雪音先輩、調さんに切歌さんもいる。
真理「頭を上げてよ響さん!私は当然のことをしただけだって!」
派手な衣装の敵に襲われたあの日、私は、国の機関から取り調べを受け、事の経緯を伝えた。
機関の人間は、襲われた事を黙秘することを条件に、私を解放したが、未来さんも含め、響さんたちは、国の関係者だ。
伝えないわけにはいかないと思った。
響「どれだけ感謝してもしきれないよ!未来は私のひだまりなんだ・・・!未来を守ってくれた真理さんには、頭が上がらないよ・・・!」
響さんは、まだ頭を上げようとしない。
真理「大丈夫だよ響さん。未来さんは、私の大切な友達だから守りたかっただけなんだ。それ以外のなにものでもないよ。だから、頭を上げて・・・」
響「真理さん・・・」
彼女は、ゆっくりと頭を上げた。
未来「響、私も、もう平気だよ?真理さんもこう言っているんだし、もう気にしなくていいと思うな。」
響「未来・・・」
未来さんは、気にする響さんを優しくなだめる。
クリス「それにしても!どこのどいつだ!?アタシの大切な友達を傷つけようとした輩は!」
調「私たちの留守を狙って襲うなんて・・・」
切歌「今度現れたら、私が切り刻んでやるデス!」
他の三人も、私たちが襲われたことに憤っているようだった。
真理「いや・・・相手は、私の名前を知っていたんだ・・・もちろん、あんな派手な人は知り合いにいないけど、結果的に、未来さんを私が巻き込んだことになる・・・」
敵がなぜ私の名前を知っていたのかは定かではないが、狙いが私だったなら、未来さんはただの被害者だ。
クリス「お前のせいなんかじゃねぇ・・・!アタシらも不注意だっただけだ・・・!」
響「そうだよ・・・!真理さんは何も悪くない!だから自分を責めないで・・・!」
雪音先輩と響さんは、一生懸命に、私を励まそうとしていた。
真理「二人とも・・・・」
未来「二人の言う通りだよ。真理さんは、私を守ってくれた。それだけでも、私は嬉しいし、感謝だってしてる。ありがとう、真理さん。」
真理「未来さん・・・」
調「今度は、私たちも力になるから。」
切歌「ドーンと任せてほしいのデス!」
真理「調さん、切歌さん・・・」
皆が、私を励ます。こんなことは、人生で初めてだった。
皆の優しい気持ちが、私の心の琴線に触れていた。
未来「はい!じゃあこの話は終わり!お弁当食べよ?お昼が終わっちゃうから。」
未来さんの一言で、私たちは、昨日のことをこれ以上掘り下げることをやめた。
そこからは、いつものお昼ご飯の時間だった。
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未来「ホントに来ないの?」
全ての授業が終わった放課後の教室。未来さんと響さんが、私をライブビューイングに誘ってきた。
話によると、雪音先輩の家で、ロンドンで開催される、翼さんとマリアさんのライブを、皆で見るということだった。
響「真理さん、まだ気にしてるの・・・?」
真理「ううん。そうじゃないんだ。個人的な用事のことだから、昨日のことを引きずってるわけじゃないよ。」
未来「ならいいんだけど・・・」
響「・・・・・本当に来られないの?私、真理さんとも、ライブを見るの楽しみにしてたのに・・・」
真理「ごめんね、響さん・・・」
響さんと未来さんの残念そうな顔を見て、胸が痛くなった。
真理「・・・・・・・・・じゃあ、また明日。」
私は一言そう言って、二人と別れ、教室を出た。
この瞬間が、少しだけ、二人の手を離してしまったような気がした
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日が沈むか沈まないかの時間、私は、ある高台の公園に来ていた。
私の用事というのは、頭を冷やすことだった。
正直、昨日のことは、引きずっている。
未来さんを巻き込んだこともあるが、怒りで我を忘れるくらい〈力〉を使ってしまったことに悩んでいたのもある。
真理「はぁ・・・・・・・」
ため息をつきながら、昨日のことを振り返る。
だが、そのため息は、自分の浅はかさを憂いているだけのものではなかった。
真理「いい加減出てきてくれないかなぁ・・・?」
私は、感じていた気配に対し、そう言った。
ガリィ「あら?気づかれるなんて、思ってなかったわぁ〜」
気配が隠れていた木の影から、紺色のゴシック調の衣装を来た人物が出てきた。
真理「あなた、昨日の人と同じ気配がするんだけど、仲間?」
ガリィ「あ~らそこまで見通せるなんて大したものね〜。」
真理「じゃあ仲間ってことでいいんだね?」
ガリィ「まあ、そうなるわね〜。」
現れた相手は、昨日の相手が仲間だということを、隠し立てもしなかった。
真理「それで?私を尾けてきたってことは、それなりの用があるってことでしょ?」
ガリィ「そうだわね〜〜・・・あなたの思い出を貰いに来たってところかしら〜〜」
真理「思い出?」
ガリィ「そう。あなたの思い出。黙って差し出してくれるならこの上なくガリィちゃんは、嬉しいのだけれど〜〜」
ガリィと名乗る人物は、笑みを浮かべながら私を煽る。
真理「そう・・・あなたのやりたいことはわかったよ・・・」
ガリィ「へぇ?それじゃ・・・」
真理「でも・・・・・・・・」
私は、手に力を入れて握る。
真理「お前みたいなやつくれてやるほど、私の思い出は、安いものじゃないから!」
私は、目の前のガリィを睨みつけた。
ガリィ「やっぱりそうなるのね〜〜。」
真理「君たちが、何を考えてるのかはわからないけど、もし、私の大切な人を傷つけようとしているのなら、私は、ここで決着をつけるよ。」
ガリィ「へぇ〜〜。それじゃあ、お手並拝見と行こうかしら〜!」
高台の公園で、第二の火ぶたが切って落とされた。
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目の前に現れたガリィは、私に、水の水弾を放ってきた。
私は、それを紙一重で避けると、〈力〉をつかい、相手との間合いを潰す。
潰した間合いから、正拳突きを相手に叩き込む。
放たれた突きは、相手にクリーンヒット・・・するはずだった。
私の拳が当たる瞬間、ガリィの体は、液体となって霧散した。
真理「写し身か・・・」
水となって消えたガリィの写し身に、私が気を取られている時、死角から、水弾が私に向かって飛んできた。
水弾は、私の心臓めがけて飛んでくる。
私はまた、〈力〉を解放し、紙一重で避ける。
ガリィ「あ~らら。私のいつもの最強の一手だったのに避けるとわね〜〜〜」
真理「これくらいじゃ、私は捕まえられないよ。」
ガリィ「そう。なら・・・」
今度は、私の足元から水柱が飛び出してくる。
飛び出した水柱は、私を取り込み、私の体を一瞬で氷漬けにした。
ガリィ「キャハハ!これでどうかしら〜〜手も足も出ないんじゃない〜〜?」
私を捕まえたガリィは、歓喜していた。
ガリィ「じゃあお別れの時間ね〜。さよなら〜〜」
ガリィは、氷漬けの私に向かって、特大の水弾を放ってきた。
真理「それだけなの?」
私は、氷漬けの中でも意識があった。
向かってくる特大の水弾。
それは、私の〈炎〉前では、無意味だった。
水弾の攻撃が当たる瞬間、氷漬けだった私から、特大の火柱が上がる。
ガリィ「なに!?」
突然のことに驚くガリィ。
ガリィの放った攻撃は、全て、私の〈炎〉で、霧散した。
氷漬けから解放された私の体には、炎が纏われている。
埒外の冷たい水を、蒸発させるほどの熱量をこめた炎が。
真理「これで、あなたの攻撃は、全て無意味だよ。」
私の〈炎〉で、まわりの木々は焦げていく。ガリィから放たれた水の攻撃の残滓も蒸発していく。
真理「さあ。どうするの?ガリィさん。」
私は、〈炎〉を纏いながら、ガリィに近寄る。
ガリィ「チッ!相手が悪すぎ!」
そう言ったガリィは、なにやら、液体の入ったようなガラス瓶の結晶を取り出し、地面へと投げ割った。
ガリィの足元から紫色の紋章が現れ、ガリィはそこから姿を消した。
真理「終わったか・・・」
私は、自身の〈炎〉を解除した。
あたりには、焦げ臭さが立ち込めている。
真理「ガリィ、か・・・」
初めて、敵の名前を聞いた。
昨日の敵と、同じ気配を持った敵の名前を。
真理「・・・・・・・また、頭冷やさないと。」
私はまたベンチにすわり、心のクールダウンを図る。
あたりには、焦げ臭さだけが、充満していた。
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