私が、SONGの司令室で倒れてしまってから次の日。
私は、なんとか体を回復させ、リディアン音楽院へと登校しようとしていた。
あの後、私はSONG本部のメディカルルームに運ばれ、緊急の治療を受けたが、SONGの医師も驚くほどの、回復力だったという。
真理(言おうとしたら、これだもんな・・・)
私は、自分の秘密を隠したいわけではない、言おうとしても言えないのだ。
あの時も、倒れてしまうことも考慮し、本気で、私の秘密を話そうとした。
だが、結果は変わらなかった。
真理「歌ならいくらでも歌えるのに・・・・」
気持ちが落ちた時は、歌うに限る。
私は、いつもそうしてきた。
響「おはよう。真理さん。」
後ろから、大切な友人の声がした。
真理「おはよう。響さん。」
私は振り返り、響さんに挨拶した。
挨拶した響さんを見ると、彼女は、私を心配するような面持ちで、見つめていた。
未来「響から聞いたよ真理さん。SONGの本部で倒れちゃったって。」
創世「マリー、もう平気なの?」
詩織「お休みしなくて良いのですか?」
弓美「無理はよくないわ、真理さん。」
響さんだけでなく、未来さん、創世さん、詩織さん、弓美さんも、私を心配してくれていた。
昨日のことは、友人の間で、もう広まっていた。
真理「もう大丈夫だよ。しっかり体は休めた。だからもう心配しないで。」
響「真理さん・・・」
私はカラ元気のつもりはなかったが、響さんたちからは、そう見えているみたいだった。
真理「心配してくれてありがとう。じゃあ、急ごう?遅刻しちゃうから。」
私は、再び、リディアンへの道に、歩みを進めようとした。
その時だった。
真理「・・・・!」
未来「真理さん?どうしたの?」
私の反応に、皆が立ち止まる。
目の前に、一昨日と同じ気配を感じた。
ガリィ「一昨日ぶりね〜田中真理〜」
そこには、高台の公園で戦った、ガリィがいた。
真理「また、ガリィさんか・・・今度は何?」
響「真理さん、知り合いなの?」
私が、ガリィと親しげとまではいかないが、知り合いのように話していたことが、響さんには気になったようだった。
真理「こいつとは、一昨日に戦ったばっかりなんだ。」
響「ッ・・・!?」
未来「また戦ってたの!?真理さん!」
ガリィと一昨日戦ったことに、響さんと未来さんは、動揺していた。
ガリィ「あいにく、私が用があるのは、アンタじゃないの。そこにいるシンフォギア装者に野暮用があるのよね〜」
響「私に・・・?」
ガリィの狙いは、私ではなく、シンフォギア装者の響さんだった。
ガリィ「んじゃ!歌ってもらいましょうか〜!」
ガリィは、手の平から、黒い結晶のようなものをばらまいた。
ばら撒かれた結晶は地面で割れ、そこから紫色の紋章が浮かび上がる。
そこから出てきたのは、〈アルカノイズ〉だった。
真理「アルカノイズ!民間人を巻き込むつもり!?」
アルカノイズについては、昨日、情報開示してもらった中から教えてもらっていた。
響さんたちが今戦っているのは、〈錬金術師〉たちだ。
その〈錬金術師〉たちの、錬金技術と過去のノイズのデータから生み出されたのが、アルカノイズということだった。
ガリィ「シンフォギア装者を戦わせる方法は、よ〜く知ってるの。」
響「くっ・・・!」
響さんは、胸からギアペンダントを取り出した。
そして、ギアペンダントを握り、変身するための〈聖詠〉を、唱えようとする。
たが、
響「歌え、ない・・・?」
ガリィ「はあ?」
響「〈聖詠〉が、胸に浮かばない・・・」
真理「ッ・・・!?」
響「ガングニールが、応えてくれないんだ!」
響さんは、なぜか、シンフォギアを纏えないでいた。
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未来「響・・・!」
真理「どうしたの!?響さん!」
響「わからない!!いつもならガングニールが、応えてくれるのに!!」
謎の原因で、響さんは、シンフォギアを纏えないでいた。
シンフォギアは、纏う本人の強い意志に応え、聖遺物の力とシンフォギアシステムにより、胸の内に浮かび上がる〈聖詠〉を唱えることで、纏うことができると教わった。
シンフォギアが、纏えないということは、響さんの意思が、シンフォギアに反応していないのか、それとも、単にシンフォギアが故障しているのか。
答えは、その場ではわからなかった。
ガリィ「さっさと歌いなよ。そのためにわざわざ来たのにさぁ〜!」
ガリィは、シンフォギアを纏えない響さんに苛立ったのか、アルカノイズを、民間人である、未来さん、創世さん、詩織さん、弓美さんに、さらに近づけようとする。
真理「ガリィ・・・!」
私は、目の前のガリィを睨む。
民間人の友達を傷つけようとしてまで達したい用事というのは分からなかったが、私は、その用事を遂行しようとしている目の前のガリィが許せなかった。
真理「・・・・・・・・・・・響さん。皆をお願い。」
響「真理さん・・・?」
私は、カバンをおろし、アルカノイズとガリィに対して向き合う。
響「真理さん!やめて!」
アルカノイズに立ち向かおうとする私を、響さんは止めようとする。
真理「大丈夫。私はそんなにヤワじゃないから。私の秘密の一つ、ここで打ち明けるね。」
私は、自分の秘密を〈言えない〉。だから、疑問を持つ者の目の前で、さらけ出すしかないのだ。
真理「そこで聞いてて、私の〈歌〉を。」
私は胸に手を当て、静かに口ずさむ。
〈Sol la Ritu tron 〉
その一節を口ずさんだ瞬間、
私の体は、プロテクターによって包まれる。
手足と体に、次々と黒と灰色の装甲が纏わりつく。
ガリィ「お前・・・・!」
装甲とプロテクターを纏った私の右手に、
炎のように燃える色を持った剣が展開される。
響「真理、さん・・・?」
全ての装備を身に纏い、
私は、アルカノイズとガリィに相対する。
ガリィ「なんなんだよ・・・お前はぁッ!!!」
ガリィは、さらに、アルカノイズを生み出す結晶を、地面に投げる。
その場に生み出されたアルカノイズの量は、その通りを埋め尽くす程になっていた。
未来「真理さんも、シンフォギア・・・!?」
創世「マリーが、ビッキー達と同じ・・・!?」
詩織「うそ、ですよね・・・・!?」
弓美「アニメじゃ、ないんだから・・・!」
私は、歌う。
燃え盛る心を持って歌う。
ここは、私の〈舞台〉だ。
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アルカノイズは、私を分解しようと、襲い来る。
真理「無駄・・・」
私は、歌を口ずさむ。
次の瞬間、私を襲おうとしていたアルカノイズの一団は、私の内から展開された〈炎〉によって、跡形もなく灰となった。
真理「燃えよ、猛き血よ。歌え、燃え盛る焔よ。」
私は、胸の内より流れ出る歌に伴われ、アルカノイズへと突撃していく。
真理「道を示す灯火よ。赤く燃え続けろ。」
私は〈力〉を解放し、自分の〈領域〉の中で、歌い続けながら、アルカノイズを次々と切り刻んでいく。
切り刻まれたアルカノイズは、赤く霧散していく。
真理「答えを求め。私は歩き続ける。」
私は、剣を振るい続ける。
何度も、何度も、何度も。
気付けば、アルカノイズは、残り僅かとなっていた。
真理「これで、おしまい・・・」
私は、剣にエネルギーを集中させ、特大の火柱を纏わせた。
火を纏った剣を、最後のアルカノイズの一団へと、叩き込む。
叩き込まれたアルカノイズ達は霧散し、辺りの通りは、静かになっていた。
響「これが・・・真理さんの、歌・・・」
アルカノイズは殲滅され、残るはガリィ1人となっていた。
真理「まだやるの?ガリィ。」
私は剣を突きつける。
ガリィ「チッ・・・・これ以上やってもジリ貧・・・退くしかないか・・・」
ガリィは、液体の入った結晶を、自分の足元に投げ割り、姿を消した。
真理「ふぅ・・・少し、歌いすぎちゃったかな・・・アルカノイズ相手に・・・」
私は、自身の装備を解除した。
いつもの制服姿に戻り、私は、皆の方へと歩き出す。
真理「皆、怪我はない?」
響 未来 創世 詩織 弓美「「「「「・・・・・・・・・」」」」」
私の戦いを見ていた5人は、半ば放心状態のように、私のことを見ていた。
真理「やり、すぎちゃった・・・」
通りには、一昨日と同じく、焦げ臭い匂いが、漂っていた。
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