呪術廻戦で万にチート転生   作:VISP

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第十三話 格付け 上 独自解釈・オリジナル術式あり 一部修正

 2007年

 

 この年、日本列島は度重なる自然災害に見舞われた。

 能登半島地震(3月)、三重県中部地震(4月)、新潟中越沖地震(7月)などの大きな地震と、台風4号・梅雨前線による大雨(7月)、台風9号による被害(8~9月)、秋雨前線による大雨(9月)により西日本一帯を中心として多大な被害が発生し、そうして生まれた一般人の負の感情によって凄まじい数の呪霊が生み出された。

 余りにも多い呪霊被害に京都校を中心とした呪術師のみでは手が足りないとして東京校からも人員が派遣され、連日連夜任務に当たる事となった。

 これを見て呪詛師も活動を活発化、再び五条悟誕生直後の呪詛師活動期の再来かと思われた。

 だが、それを防ぐ者達がいた。

 

 「リソース回収の時間だぁぁぁぁッ!!」

 「あぁもう最速やからってあちこちの任務回すなやぁ!!」

 

 特級呪具師粒来万穂と特別特級術師禪院直哉の活躍により、凄まじい数の呪霊の過半とおまけに呪詛師が祓われ、或いはリソースへと変換されていった。

 呪霊?いいねいいねドンドン任せてくれたまえよ!皆リソースにするからさぁ!

 そして回収したリソースにより呪具ベルトとケモ耳呪具を作って呪術師を増加!

 永久機関が出来ちまったなぁ~~~!!

 でも余りにも人手不足なのは確かなので折角稼働した呪具工場では熟練工の方々にはケモ耳呪具の生産を覚えてもらって、残りの人に風車呪具を作ってもらいます。

 なお、その生産された風車呪具も停電状態の被災地救援に使うので、一般に回る事はありません。

 これにより目の死んだのとやたら陽キャなケモ耳呪術師が爆増し、呪術界の色物度が上がった。

 元から堅気にはお見せできない程には色物?それはそう。

 

 「んー流石に多すぎて手が回らないね。仕方ないから地元に配置してた式神回すか。」

 「え、何それ聞いてないんやけど?」

 

 呪術界には初公開、粒来特級呪具師作の「自立型蜂式神」のお披露目です。

 一体は30cm程の精々2級程度なのだが、数が増えに増えて西日本に派遣されたものだけでも1万に届こうかという程に増えていた。

 しかもこいつら、何がヤバいって言うと自分で周辺の非活性呪力を集めたり、呪霊や呪詛師を餌にして増えるのである。

 普通の蜂と同じく拠点としてあちこちに巣を作り、そこに呪力を貯蓄して効率良く繁殖していく。

 更に餌が無いと休眠したり、渡りを行って別の土地へ移住する。

 仙台を中心とした宮城県で活動していた個体群は2000程度しかいなかったが、休眠していた個体はその20倍、即ち4万体も存在する。

 その中から一万程を起こし、西日本へと派遣させたのだ。

 凄まじい羽音を轟音の様に響かせながら、万に達する蜂式神が空を渡り、道中に存在したあらゆる呪霊・呪詛師を平らげながら西日本へとやってきた。

 そして、到着次第その凶暴性と食欲を遺憾なく発揮していく。

 一級や特級だろうが一切の区別なく、数の暴力によって押され、潰され、噛み砕かれ、バラバラにされて肉団子へと加工されていく。

 勿論反撃もあり、多くの式神が砕かれたが、しかしそれ以上に押し寄せる数の暴力で圧殺される。

 しかも強力な毒針も持っている事から、一撃一撃は弱くとも最終的に倒せてしまう。

 一部の特級呪霊は数度の攻勢を凌ぐ場合もあったが、基本的に呪霊は生まれた土地から動かない。

 故に呪力の補給も出来ずに徐々に削られ、枯渇し、濁流に押し負ける事となる。

 その濁流を幾度となく防いだ所で、今度はそれを作ったもっとヤバい奴が現れるだけである。

 どっかの自然呪霊達ならば多少の知恵と土地に縛られていない事から逃げ切れるが、そんな呪霊は少数も少数だ。

 こうした蜂式神の活躍(というか虐殺か蝗?害)により、何とか事態は収束し、通常業務へ戻る事が出来た。

 高専の姉妹校交流会も無事開催へと漕ぎ着けた。

 だが、流石に万単位の自立型式神は大問題になった。

 当たり前である。

 

 「こんな大量に何時作っていたのだ!?」

 「えぇいこれだから特級は!」

 「事態の収拾が確認されたら廃棄なり何なりさせねばならん。逆らえば何らかの罰則を与えよう。」

 「少し甘くは無いか?以後の生産を禁止すべきではないか?」

 「下手に禁止すれば緊急時に手が足りなくなる場合もあろう。他の特級ならば兎も角、彼奴は呪術界に必要な人材だ。呪具工場が稼働したとて全てを代替は出来ぬ。」

 「むぅ・・・仕方あるまい。」

 

 そういう訳で総監部の命により宮城県の治安を維持してる1000体の他、予備の500体を除いた全てがリソースに還元され、呪具の材料へと変換される事になった。

 

 「そんなー!折角ため込んだのにー!」

 「いや、これは仕方ないやろ。流石に多すぎるて。」

 

 そんな訳で交流会開催である。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 2007年 呪術高専東京校 姉妹校交流会にて

 

 事前に全ての関係者と近隣の住民を「不発弾発見」の名目で避難させた状態で、今回の交流会は実施された。

 おまけで総監部の腐った蜜柑達は東京周辺から事前に退避している。

 だって両校合わせて遂に特級に認定された問題児共が何と4名もいるという前代未聞の世代での開催である。

 対策はしてもしたりない程には学生どころか呪術界の歴史上でも他に例の無い程にヤベー過剰戦力なのである。

 その対決は資料として極めて価値があるとして、今年4年で不参加の冥冥の協力の下、呪いを録画可能なビデオカメラを鴉に持たせて撮影する事となっている。

 こうした対策にやり過ぎなのではないかという声もあったが、総監部及び高専上層部は構わず行動した。

 去年の時点でこいつらのぶつかった時のやばさは身に沁みている。

 幾ら対策した所でしたりない、そういう想定で動くべきだと分かっているのだ。

 何だったら会場となった東京校が灰燼に帰する可能性も十分に考えられる。

 それに交流会は通常2・3年生が主体となる行事であり、人数が足りない場合のみ1年生が参加する。

 4年は実質一人前判定なので、この手のイベントには出てこないし、そんな暇もない。

 つまり、五条と夏油の二人が万穂と直哉に学生として呪い合うのはこれが最後になるのだ。

 去年負けたあの二人がそれで終わる訳がない。

 負けてから1年、ずっとリベンジの準備をしているのは既に確認が取れている。

 だったら対策せねばならないのが偉い人のお仕事である。

 実際、その対策は無駄にならなかった。

 初日の団体戦が僅か5分で終了したからだ。

 夏油の放つ1000体もの呪霊と五条の赫が連射され、万穂の呪具による爆撃と直哉の超音速での通り魔戦術により、会場各所に配置された呪霊があっさりと祓われてしまったからだ。

 余りにも速攻で終わってしまった初日に関係者は唖然としつつ、残った時間は京都組は近場の観光、東京組はまだ更地になってないグラウンドでBBQをして楽しんだ。

 そして翌日、去年と同様の形式で個人戦が始まった。

 最初の1~4番の試合は双方が順当に勝ち負けをし、2勝ずつで終わった。

 

 「んじゃ、やろっか夏油君。」

 「去年みたいにはいかないよ、直哉。」

 

 にっこりと、目の奥が一切笑っていない笑みで直哉と夏油が激突した。

 序盤は昨年と同様に音速の戦闘機動を取る直哉を、夏油が呪霊の軍勢で絡め取ろうとする形で始まった。 

 去年は夏油が心身共に消耗し、前日で更に手持ちの呪霊を削られるという不利が重なった状態での敗北だった。

 しかし、今年は双方が万全の上に大幅に強化されている。

 戦いは自然と苛烈なものになった。

 

 「行くでぇ・・・変・身!

 

 直哉が腹に付けていたベルトが浮き出て、同時に今年から付け始めた右目の眼帯を引き千切り、掌印を構える。

 万穂の奪った六眼と同じもの、コピー六眼がその右目に存在していた。

 その掌印は伎芸天のものを元としたものだ。

 伎芸天は大自在天(=シヴァ神)の髪の生え際から誕生した天女であり、容姿端麗で器楽の技芸が群を抜いていたため、技芸修達と福徳円満の護法善神とされる。

 変身のかけ声と共に、直哉の全身が作り直される。

 皮膚と衣服が甲虫を思わせる黒々とした甲殻となり、関節部は黒いゴム状の軟質素材に覆われ、顔はカミキリムシに似た形状へと変化する。

 その右側の複眼のみコピー六眼と同じ色をしている事から、六眼と複眼を合わせたものだと分かる。

 全体的に言えば万穂の持つ蟲の鎧をシンプルな、より人型に近づけたであろう姿だった。

 

 「切り札があるのが君だけと思うなよ・・・!極の番うずまき、2番!」

 

 通常、呪霊操術の極の番うずまきは手持ちの呪霊を渦状の一塊へと圧縮、高密度の呪力の塊として放つというシンプルかつ強力な技だった。

 ただし、使用した呪霊は使い捨てる事になるため、呪霊操術の手数を損なう一長一短の技となる。

 更に準一級以上の呪霊に限り、圧縮した際に「術式の抽出」を可能とする。

 呪霊を介さずに好きなように使うことができるという、呪霊操術の真の強みである生得術式を複数使用できるという部分を極めた、正しく奥義と言える。

 1年もの全国特級逆グルメツアー(強制)をくぐり抜けた夏油はこの部分に着眼した。

 

 純粋な呪力として放ち、術式を抽出も出来るなら、逆に取り込んだ全ての呪霊の呪力をも自分のものとして使えるのではないか?

 その強化の分だけ手数を捨てる事にはなるが、現役の他の特級術師よりも呪力総量及び出力を強化出来るのは大きな手札になるのではないか?

 

 結果、総身に五条悟の倍以上の呪力を纏い、無数の術式を次々と切り替えながら、更に特級呪具「游雲」も武器庫呪霊から取り出して、式神使いの常識から外れた全力の真っ向近接戦闘へと突入したのだ。

 これには直哉も驚きつつも、超々音速域での戦闘機動と一秒スタンを流れるように使いつつ、以前よりも遙かに流麗になった呪力操作と桁違いに跳ね上がった身体能力を活かした戦闘スタイルは強化された夏油ですら有効打を殆ど与えられない程に厄介だった。

 だが、夏油とて投射呪法への対策は終えている。

 投射呪法は術者の視界へと有効範囲を依存している。

 故に術者の死角に入ればその効果を大きく減衰する。

 なので、大きな呪霊の陰に隠れたり、自分の身体からノーモーションで出した呪霊で視界を遮ったりする事で直撃を防ぐ。

 直哉も変身及びコピー六眼による視覚の強化により多少の視覚への妨害には対応できているのだが、術式無しの近接なら五条と互角の夏油、しかも物理攻撃力特化の特級呪具付きとなると術式を決めるのは容易ではない。

 

 (まぁ何とでもなるんやけどな。)

 

 眼前から数cmの空気が1秒だけスタンする。

 つまり、その間だけ空気は盾代わりとして機能する。

 盾を砕いた分だけ減速した游雲の下をくぐり抜け、至近距離で投射呪法によって強化されたラッシュを叩き込んでいく。

 だが、夏油とて特級である。

 その打撃一つ一つを相殺するために2級未満の呪霊達が縛りによって命をかけて能力を底上げし、直哉の何でも無い打撃一つを相殺するために散っていく。

 実に人の心のない反応装甲だが、効果は抜群だ。

 一級呪霊程度なら即死する程の威力の打撃の雨が無効化されるという事態に、やっぱコッチ側の住人はちゃうなぁ!と直哉のテンションはぶち上がる。

 

 「なら、領域展開!」

 「領域展開・・・」

 

 再び膠着した現状を動かすため、直哉は領域を展開し、夏油もそれに応ずる形で領域を展開・・・

 

 「なんちゃってw」

 

 しなかった。フェイントである。

 ぺろっと舌を出した夏油の手に握られていたのは、万穂印の領域対策用使い捨て結界破壊呪具(独鈷型)お一つ1000万円※ただし閉じない領域には非対応 だった。

 

 「は?」

 

 バキン、と展開したと同時に直哉の領域が破壊された。

 この反動で一時的に術式が焼き切れ、直哉は自慢の投射呪法が使用不可能となってしまった。

 再使用には数分かかるだろう。

 

 「君、万穂君と出会ってちょっと素直に成りすぎたね。悟も割とピュアな所あるけど。」

 「っらぁ!」

 

 ぶわりと、今まで控えていた呪霊による物量攻めが再開される。

 直哉は格段に強くなったが、それでも術式無しでは千を優に超える呪霊を相手に徐々に押される。

 触れられた瞬間に反撃するカウンター技である落花の情で辛うじて致命打を避けるものの、自慢の足が先程の半分以下では逃げ切れない。

 

 「極の番 うずまき1番。」

 

 無数の呪霊に集られ、対応の追いつかない直哉に対し、万の呪霊を束ねた砲撃が放たれる。

 対する直哉は呪霊ごとうずまきの砲撃に飲み込まれ・・・

 

 「ざぁんねん♥」

 

 砲撃の最中を、直哉が突っ切ってきた。

 装甲表面こそダメージが見られるが、何故かうずまきの砲撃を受けても殆どダメージが入っていない。

 これはオリジナルの呪具ベルトの機能の一つ、登録された術式の使用によるものだ。

 直哉のベルトに登録された術式はある呪詛師の持っていた「あべこべ」術式である。

 強い攻撃が弱い攻撃になり、逆に弱い攻撃は強い攻撃になるという、初見殺し性能が高い術式だ。

 あべこべにできる上限と下限を自由に変更可能なため、相手の強さによってリスクの軽減も出来る。

 ただし、複数種の同時・連続攻撃には切り替えが間に合わない、また特級クラスだと火力のインフレには本来ついていけないという欠点がある。

 しかし、呪具ベルトの持つ大幅な処理能力強化と六眼による呪力操作の効率上昇により、その場で被弾の可能性のある最も威力の高い攻撃に自動で設定する事に成功している。

 今回の場合は呪霊の群れに対しては一級以上、次いで夏油のうずまきの砲撃に即座に設定された。

 元々持っていた呪詛師とは桁違いの防御力を持つ変身状態である事も重なり、直哉は本来必殺と言える夏油のうずまきを少ないダメージだけで切り抜けたのだ。

 

 「ッ!?」

 「シィッ!」

 

 同時、投射呪法が再度使用可能となる。

 再び始まった超々音速域での戦闘機動に、不意を突かれた夏油は対応が遅れてしまう。

 体内の呪霊がオートで対応するものの、直哉の拳に見える黒い光はどう足掻いても防げない。

 

 「・・・じゃぁ仕方ないね。」

 

 間に合わないなら間に合わないで取るべき手段はある。

 出来れば使いたくなかったが、相手がこちらの予想以上だったなら仕方ない。

 とある呪霊の術式を起動すると、可能な限りの防御姿勢を取って、直哉の一撃を迎え入れた。

 

 黒閃

 

 打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した際に生じる空間の歪み。

 衝突の際はその名の通り、黒く光った呪力が稲妻の如く迸り、平均で通常時の2.5乗の威力という驚異的な攻撃を叩き込む。

 況してや強化された本人の呪力と膂力、スピードと体重の乗った一撃は特級呪霊であろうと間違いなく致死のそれ。

 

 そんな一撃のダメージが夏油と直哉双方に決まった。

 

 「 」

 「がはっ!!」

 

 からくりは簡単である。

 夏油は黒閃が決まる瞬間、相手と自分のダメージを共有する「道連れ」の術式を発動したのだ。

 適当に手下の呪霊で甚振って呪霊玉にして取り込んだ夏油にとっては雑魚だったが、完全初見の直哉にとっては初見殺しも甚だしい。

 直哉は自ら出した黒閃の一撃を無防備に諸で受け止め、夏油は呪力と呪霊による防御で辛うじて軽減できた。

 強力な攻撃の瞬間こそ、防御や回避に意識がいかない最も無防備な瞬間となる。

 同じダメージでも、元の状態に差があればそりゃ結果的に受けるダメージは違う。

 

 「ぜぇ・・・ぜぇ・・・君ホントに去年まで一級だったとか嘘だろ?呪具の後押しでもおかしいよマジで・・・次やったら私の負けかもね。」

 

 ボロボロでよろよろの夏油が、勝利の証として右腕を真っ直ぐ掲げ・・・そのままバタンと倒れた。

 

 

 第五試合結果

 

 東京校 夏油傑○ VS 京都校 禪院直哉×

 

 

 

 

 




直哉の変身時の姿
ビーファイターのブラックビートを魂ネイションのクウガの様な生物的にした姿
ただし腕部の鋏など機械的な部分はオミットされてます

登録中の術式
呪詛師の粟坂二良(リソース化済み)のあべこべ術式

敗因
テンションぶち上げ過ぎ&焦りからの判断ミス
領域はある程度相手の手札減らしてからにしましょう
後、六眼で相手の術式の詳細や呪具位は見破れるようになりましょう
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